倒産の兆し 其の⑥~火の無い所に煙は立たない~
2010.07.30

・あの会社は危ないという噂が何処からとも無く耳に聞こえるよう事があります。又、取引先との
 会話の中で同様な会話が交わされます。      

・はっきりと目には見えませんが、仕入先が警戒をして従来の買掛取引を認めず、現金取引に
 変更したり、取引銀行が新規融資を見送り、返済に専念するようになります。一部、街金に
 手を出さざるを得なくなって、資金繰は火の車になって破綻への道を歩むことになります。

・興信所情報の風評欄にも目を向けてみると、ある程度のヒントらしきコメントを見かけることが
 あります。   


債権の二重譲渡~振興銀行敗訴~
2010.07.29


・債権を売却する側の資金繰が苦しいと、一つの商品(譲渡債権10億円)を二つの相手先
 A、Bに売却することを実行します。

・本来、一つの商品の売却先は一社のみであり、それが二社に売却されることはありえません。
 しかし、債権譲渡の性格の特殊性により二社どころか三社にも売却が可能となります。
 NON-SILENT方式では、たとえ債権売却がなされても債務者宛に債権者から通知は
 なされません。債権の売買と言っても、実態は契約書類の取り交わしだけで終了してしまい
 ます。

・本来、10億円プラス将来利息の現在価値額=Yしか受領できないのに、二重売却により
 (10億円プラス将来利息の現在価値額)X2倍=2Yも受領できることになります。

・資金繰の逼迫している金融会社にとっては大きな魅力(但し、危ない橋を渡っている)です。

・債権を購入する側は、購入そのものに慎重な姿勢が臨まれます、儲かればよいという主義
 では、債権を売却する側に騙されやすくなります。
倒産の兆し 其の⑤~大株主交代~
2010.07.28

・株主配当が少なく投資メリットが無い、経営の先行きに不安を感じて投下資金を引き上げる
 事態です。

・大株主は投資先の経営内容をいち早く知る立場にあって、投下資金の回収に不安が生ず
 れば苦渋の選択の一つとして、大株主の地位を手放します。外部から見て、大株主の脱退は
 経営悪化の前兆とも見れます。無論、経営悪化以外の理由もあるかもしれません。

・何がしかの検討、調査、見極めが必要とされるところです。
倒産の兆し 其の④~経営者の不在、面談不能~
2010.07.27

・支手決済、従業員給与支払、経費支払、買掛支払、税金納付等、日々の支払いに追われて
 経営者自身が自分の席に座っているところではなくなってくると、事務所を訪問しても電話を
 掛けても、なかなか連絡が取りにくくなります。

・従業員に対して社長の行き先を聞いても、曖昧ではっきりした返答がありません。

・自宅に連絡をして、奥さんに連絡依頼をしても、社長からは何らのコンタクトが付かないことに
 なることもあります。

・日々の支払いに追われてしまうと、資金のことで頭が一杯になり他のことには目がいかなく
 なります。資金に無関係の人達には会いたがらなくなります。

・究極には夜逃げと云う事態になります。
倒産の兆し 其の③~経営者交代~
2010.07.26

・経営者の交代理由としては病気及び老齢等による健康不安、事業活動に関わる不始末の
 引責、従業員等の不始末による引責、経営不振・事業失敗による経営責任、社内規約等の
 年齢制限、業務遂行上の意欲減退、吸収合併、乗っ取り、大株主の意向、社内抗争、
 プライベート上のスキャンダル等々、様々な理由があると思います。

・経営者交代の裏に隠された奥深い事由によっては、破綻への道が隠されているとも限り
 ません。       

・経営責任による経営者交代は、交代以前の倒産の兆しの遠因でもあり、更に経営者交代
 そのものが倒産の引き金を引くこともあります。
                                     


倒産の兆し 其の②~兆しへの心掛け~
2010.07.23

・倒産前には必ず何らかの兆しがあるものですが、気付く人もいれば、気付かずに見逃し
 しまう人もいます。

・兆しに気が付く人は、それなりの心構えを持って毎日を過ごしている人だと思います。
 昨日と今日で変化があった場合に、其の変化の依って来る事由を見つけ考えて対策を
 講じようとする気持ちの作用を働かせているものです。しばしば徒労に終わることもありますが、
 経験として一つ一つ積み重ねていけばよいと思います。
倒産の兆し 其の①~倒産とは~
2010.07.22

・倒産とは忌み嫌うべき言葉であって、誰しもお目にかかりたくないものです。
 しかし、現実には何らかの形で常々見たり聞いたりしている言葉かと思います。

・ある日、社会から必要とされなくなり、社会と云う舞台から退場させられてしまいます。

・企業等は自然人と異なって、事業と云う無機物の集合体ですから再生と云うことも
 最近時はしばしば行われていることは、皆さんご承知の通りです。

・「安きに居りて危うきを思う。危うきを思えば備え有り。備えあれば憂い無し。」
 ~出典「春秋左氏伝」~
 倒産の兆しを見つけて、或いは感じて対策を立てることが望まれるところかと思います。
債権譲渡 其の⑨~似て非なるもの~
2010.07.21


・債権譲渡、債権流動化類似の金融手法としてP-IN乃至P-OUTと云うものがあります。

・P-INとはParticipationーINの略字、銀行等が既に融資している金額の一部に、外部の
 投資家が参加(資金運用の一環として当該融資金の一部を資金負担する)することを
 言い、参加金額、参加期間は千差万別です。
 受け入れる金融機関側から見ればP-OUTと言います。

・受け入れる金融機関の狙い
 ①資金の流動化を図れる
 ②新たな投資家とのつながりが出来る、既存投資家とのパイプをより太く出来る

・投資家の狙い
 ①金融機関の取引先で信用のある先により安全な資金運用できる
 ②資金運用先の多様化を図れる

・融資先の倒産に伴うリスクの取り扱い等についての種々の整備が成されていない為に 
 日本では、取り扱われてはいません。

債権譲渡 其の⑧~経営者の欲~
2010.07.20

・債権譲渡が金融手法の一つとして多く用いられたのは、それなりの理由があります。

・将来、何十年にも亘って得るべき利息収入を、債権譲渡時に一度に得ることが出来ることです。
 例 債権譲渡額5000億円 平均金利2% 平均期間20年とすると20年間の利息収入合計は
    毎年の平均利息額100億円X20年=2000億円 を現在価値に引き直して受領する。
 
・20年間の長きに亘って受領すべき利息を、自分が経営している此の期間に受領してしまう 
 ことになる。少なくとも其の金額だけ期間利益は増加することになり、業績向上に大きく寄与
 したということで、多額の役員賞与を堂々と手に入れることになります。

・経営者の欲のなせる業でしょうが、見方を変えれば経営判断ともいえます。
債権譲渡 其の⑦~リーマンショックの一因、債権流動化の欠陥~
2010.07.16

・債権流動化は不良債権処理、総資産圧縮、自己資本比率アップ、収益増加等のメリットも
 ありますが、デメリットもあることを忘れてはならないと思います。

・CDS(Credit Default Swap)と云う言葉を思い起こしてく下さい。リーマンブラザーズ、AIG他
 多数の金融機関が破綻したり、苦境に陥った原因の一つには債権流動化に伴うCDSが潜ん
 でいたと思われます。多数の銀行、保険会社等が売買、保証、スワップに参加して想定元本
 想定リスクは神のみぞ知り、全体像について人間は誰も知らないという恐ろしい状況に陥り
 ました。気付いた時には手遅れとなり、大きな痛手を被ることになったのです。
債権譲渡 其の⑥~債権流動化の長所~
2010.07.15

・債権者が債務者に通知する事無く、貸出債権を大量に売却できることです。

・債務者宛に大量の債権譲渡通知書(配達証明付)を出状する必要が無い。
 確定日付を取る手続き不要、或いは債権譲渡登記をする必要も無い等の時間を省略できる。

・千億円単位にて売買するので、総資産圧縮効果は多大である。

・将来の利息収入を、現時点で受け取れるので、収益増加に寄与する。
債権譲渡 其の⑤~債権譲渡の長所~
2010.07.14

・経営目標にマッチし、下記の事項に貢献すると思います。

 ①不良債権譲渡(除外)により、貸出資産の良化をもたらす

 ②資産圧縮:貸出債権を譲渡によってB/S上から除外し、資産圧縮を図ることが出来る。

 ③自己資本比率上昇:総資産の圧縮により、自己資本比率が上昇して対外的信用増大に
   寄与する。

斯業界の常識と世間の非常識
2010.07.13

・各々の業界にとって常識と思っていることが、意外にも世間一般では非常識と見られている
 事が間々あるものと再認識いたしました。

・日本では公営の賭け事(競輪、競馬、競艇、宝くじ等)以外に金銭を賭けることは法令違反に 
 なると世間の人々の大半は認識していると思います。

・しかし、限られた人々の付き合いしかしていない人々にとっては、周りの人々が何気なく
 資金を提供して遊ぶことを見ているだけでは、法令違反と気付くことは稀だと思います。

・自分が知らないからといって、法令違反は許されるものでありません。上司、先輩、同僚、
 新聞、テレビ、雑誌等の媒体を通じて学ぶ必要があります。

・残念ながら、仕事のみに専念して他の事に目を向ける余裕がないと、往々にして陥りやすい
 巧妙なトラップ(罠)に陥ってしまいます。
債権譲渡 其の④~債権流動化との相違~
2010.07.12


・金融機関等は己の債権を他の金融機関に譲渡する際に、借入人に対して債権の譲渡を
 通知する(NONーSILENT方式)、通知しない(SILENT方式)の何れかにて行います。
 不良債権を譲渡する場合にはNON-SILENT方式を行い、一般債権を譲渡する場合には
 SILENT方式を行うことが多いようです。

                   債権譲渡              債権流動化
  民  法            条文有                条文無
  譲渡通知           有                   無
  売買意思表示        債権譲渡契約書           債権譲渡契約書
  第三者対抗要件      通知(確定日付証書)        不要
                            法人:債権譲渡登記も可
                        又は債務者の承諾

・債権譲渡は債権流動化に比べて、手続きが複雑(第三者対抗要件を具備することが必要)
 につき、不良債権処理等に限定されて使用されることが多い。
債権譲渡 其の③~具体的実施方法~
2010.07.09

・新旧債権者間の合意(意思表示)を図る~債権譲渡契約書を締結

・譲渡人(旧債権者)から債務者への通知を行う~配達証明付内容証明郵便

・債権譲渡通知書を以って、確定日付を取得~第三者対抗要件を具備する
 尚、法人が保有する債権を譲渡する場合には、譲渡人との共同申請により債権譲渡登記を
 することでも、第三者対抗要件を具備することができる~民法の特例等に関する法律~

・余談ではありますが、この債権譲渡の対抗要件に関する特例について、数年前の司法試験
 択一問題に出題されたことがありました。社会的なニーズにマッチした内容だったのでしょう。
債権譲渡 其の②~根拠法、根拠となる契約~
2010.07.08

・債権譲渡を金融機関等が実施するに際しての根拠法は民法第466条(債権の譲渡性)です。

・個別具体的な契約としては、金融機関等は債務者と金銭消費貸借契約書を取り交わします。
 其の条項の中に債権譲渡ができる旨、記載されています。取引基本約定書には記載があり
 ません。
 金銭消費貸借契約書の条項文言内容
  ① 金融機関は本契約に基づいた債権を将来、他の金融機関に譲渡できる
  ② 前項の譲渡は借入人に対して譲渡した旨の通知をする場合と、通知をしない場合もある
    旨、規定しています。

・借入人が知らない間に、当初の債権者から他の債権者に代わってしまうこともしばしば発生
 してしまいます。

・金銭消費貸借契約上、規定されている「通知しない場合」は、民法上の債権譲渡には該当し
 ません。所謂、「債権流動化」と云われているものです。
債権譲渡 其の①~金融手法の一つ~
2010.07.07

・最近の金融手法の一つとして、債権譲渡、債権流動化が多用されていることは周知の事実か
 と思います。少し前迄は金融手法の主流としてスワップ、オプション、スワップション等が声高
 に叫ばれていました。

・金融機関等は不良債権の売却もさることながら、総資産圧縮の観点からも債権譲渡等を大量に
 実施しています。資産売却により収益受領を図れるが、将来、収益を受け取れる機会を放棄
 することにもなります。
資金繰に関する事項 其の⑳~融資できるのか~
2010.07.06

・資金を必要としている取引先に対して、金融機関等は融資するか否かを判断することに
 なります。

・金融機関等が融資を断る何らかの理由

 ①期間損益が赤字となっている。或いは前期と比較して利益が大幅に悪化している。

 ②在庫が異常に膨らんで、デッドストック、売れ残り商品が発生すると思われる。

 ③売掛期間が長期化し、且つ現金回収比率が悪化している背景には債権未回収の
  発生が伺える。

 ④支払先の要請があって、買掛期間短縮、現金払の比率が増加している。支払先からの
  信用低下が感じられる。

 ⑤主力銀行の融資姿勢が消極的である

 ⑥訳も無く社長への貸付金や仮払金が発生している。

 ⑦リスク商品への投資(投機)が見られる。
資金繰に関する事項 其の⑲~予想資金運用表の作成~
2010.07.05

・予想貸借対照表の作成後、税金支払額を加味して更に資金運用表を作成します。

・資金の運用と調達を、運転資金、固定資産・投資、財務の三項目に分けて分析します。

・運用と調達のバランス、固定資産投資は損益+償却額の範囲内、回収と支払いの調整
 適正在庫水準の確保等を検討します。

・必要な利益確保が無いのに固定資産投資を行うと過大投資になって資金繰に窮します。
 回収と支払いにアンバランスが生じると運転資金不足が発生します。
 過大な在庫を抱えると売れ残り品が発生して資金を圧迫します。
資金繰に関する事項 其の⑱~予想貸借対照表の作成~
2010.07.02

・月末の主要勘定残高を見て、予想貸借対照表を作ります。

・現預金、売掛金、受取手形、在庫、固定資産、投融資、買掛金、支払手形、借入金等々の
 予想残高を資金繰表から算出します。

・六ヵ月後乃至一年後の予想貸借対照表を作ってみて、資金の流れからみて資産・負債の
 概算額を把握します。更に損益を組み込んで自己資本の増減を加味します。

資金繰に関する事項 其の⑰~入手した資金繰表~
2010.07.01

・相手から入手した資金繰表をじっと眺めて下さい。

・書き記された数字が全て正しいとは限りません。辻褄合わせの為に数字を歪曲して
 都合の良いようにしているかもしれません。

・予想された数字は一人歩きをして表面的には立派な顔をしていますが、一皮向けば
 邪悪な心(相手を騙そうとするずるい心)が潜んでいるかもしれません。歪曲された数字を
 いくら検討しても騙されるだけに終わってしまいます。

・予想された数字が意図しなくても誤って表面に現れてくることもありますが、その際には
 相手とのヒヤリングを通じて正しい予想数字に変更していけばよいと思います。

・正しく算出された数字をみて初めて、判断が正しくなされます。