【銀行交渉のポイント編-5】 
2011.11.02

【銀行交渉のポイント編-5 会社に独自の技術力があれば、赤字債務超過でも銀行交渉が有利になる事例】 

信用金庫や地銀は、中小企業へ融資するかどうかの判断を行うに
当たって金融庁の検査マニュアルに従って判断を行います。

その検査マニュアルには、具体的な事例とともに銀行
(信用金庫・地銀)が融資するかどうかを判断したポイントと、
その判断基準の適否について解説が記載されています。
この【銀行交渉のポイント編では】27パターンの事例を紹介します。

 中小企業の経営者の皆様におかれましては、
御社の決算内容、銀行との交渉と比べながら読んでいただくと
わかりやすいと思います。

 以下の事例集は、すべて銀行(信用金庫・地銀)の立場から
書かれた内容なのでこの文中で債務者と表現されているのは、
一般の中小企業のことです。


【事例-5 会社に独自の技術力があれば、赤字債務超過でも銀行交渉が有利になる事例】

【概況】
債務者は、当行メイン先(シェア  100%、与信額:平成 13 年 3 月決算期   
100 百万円)。代表者以下5名で家電メーカー向けのプラスチック用金型を
受注生産する業歴 20 年を超える金型製造業者である。

【業況】
景気低迷による金型需要の低下や家電メーカーの生産拠点の海外シフト等
から受注量が激減、売上の減少傾向に歯止めがかからず、毎期赤字が続き
債務超過(前期末 75 百万円)に陥っている。当行は、工作機械購入資金
や材料仕入資金等に応需しているが、このうち、工作機械購入資金については、
条件変更による元本返済猶予が実施されている。

【自己査定】
当行は、延滞もしていないほか、代表者及び従業員のうち2名は、この業界
でも評判の腕前を持つ金型職人であり、今まで代表者が取得した特許権及び
実用新案権が5件、従業員が出願中の特許権が2件あることなどから、今後も
家電メーカーからの受注がある程度確実に見込まれると判断し、
要注意先としている。

【検証ポイント】
技術力について

【解説】
1.中小・零細企業等の債務者区分の判断に当たっては、企業の技術力等が
十分な潜在能力、競争力を有し、今後の事業の継続性及び収益性の向上に大きく
貢献する可能性が高いのであれば、それらを債務者区分の判断に当たっての
要素として勘案することは有用である。

2.本事例のように、業況不振により連続して赤字を計上し、債務超過に陥って
いる債務者については、今後、業況回復の可能性が低いと認められるのであれば、
経営破綻に陥る可能性が高い状態にあると考えられ、破綻懸念先に相当する
可能性が高いと考えられる。

 しかしながら、債務者の持つ高い技術力によって今後もメーカー等からの
受注が確実に見込まれており、今後の業績の改善が具体的に予想でき、
さらに、他の種々の要素を勘案し、今後の事業の継続性や収益性の向上に
懸念がないと考えられるのであれば、要注意先に相当する可能性が高いと
考えられる。

 一方、今後の業況の改善が見込めず、企業の資金繰りの状況や代表者等の
個人資産の余力等を勘案したとしても、例えば、今後延滞の発生が見込まれる
など、事業の継続性に懸念があるならば、破綻懸念先に相当するかを
検討する必要がある。

3.なお、技術力の検討に当たっては、債務者が既に取得している、
若しくは現在出願中の特許権、実用新案権の存在が特許証明書等で確認できる
のであれば、債務者の技術力の高さを表す事例の一つと考えることができ、
将来の業績に対するプラス材料の一つとなり得ると考えられる。

 しかしながら、今後の事業の継続性及び収益性の見通しを検討するに
当たっては、こうした特許権等の存在のみにとどまらず、例えば、
当該特許権等により、どの程度の新規受注が見込まれるのか、また、
それが今後の収益改善にどのように寄与するかなどといった点を具体的に
検討することが必要である。

*****************************
今回の事例では、会社の技術力によって今後どれだけ収益性の改善が
確実に見込めるのか、という点がポイントになっています。
製造業で、自社の技術力に自信のある会社にとっては、うれしい
事例です。


銀行交渉のポイント編
2011.10.22

【銀行交渉のポイント編-3 会社の決算書の債務超過額よりも、社長が所有する個人資産額額の方が多い場合の銀行の判断は?】

 信用金庫や地銀は、中小企業へ融資するかどうかの判断を行うに当たって
金融庁の検査マニュアルに従って判断を行います。
その検査マニュアルには、具体的な事例とともに銀行(信用金庫・地銀)
が融資するかどうかを判断したポイントと、その判断基準の適否について
解説が記載されています。この【銀行交渉のポイント編では】
27パターンの事例を紹介します。

 中小企業の経営者の皆様におかれましては、
御社の決算内容、銀行との交渉と比べながら読んでいただくとわかりやすいと思います。

 以下の事例集は、すべて銀行(信用金庫・地銀)の立場から書かれた内容なので
この文中で債務者と表現されているのは、一般の中小企業のことです。

【事例3 会社の決算書の債務超過額よりも、社長が所有する個人資産額額の方が多い場合の銀行の判断は?】

【概況】
 債務者は、当金庫メイン先(シェア 80%、与信額:平成 13 年 12 月決算期 180
百万円)。不動産仲介、賃貸及び戸建分譲の3分野を手掛けている昭和 62 年に取
引を開始した不動産業者である。

【業況】
 最近の景気低迷による仲介物件や戸建分譲の減少から、売上は下落傾向にある
(前期  146 百万円)ため、毎期赤字を計上している。

 また、バブル期の分譲プロジェクト計画が頓挫して塩漬けになっている土地が
多額の含み損を抱えていることから前期 100 百万円の実質債務超過となっている。

 当金庫の融資額は上記プロジェクト資金で、これまで元本の期日延長を繰り返し
ていたが、ここにきてようやく期日一括返済から長期間にわたる約定返済に切り替
え、代表者が個人預金から返済を行っている。
 
 代表者は、土地等の不動産(処分可能見込額ベース)及び家族預金等を前期末で
合計 120 百万円程度有している。

【自己査定】
 当金庫は、代表者は会社が有事の際には私財を提供する覚悟があることが確認で
きていることから、法人・個人一体として考えると債務超過の状態にはなく、加え
て現に、代表者が返済していることを踏まえ、要注意先としている。

【検証ポイント】
   代表者の資力を法人・個人一体とみることについて

【解説】
1.一般的に、バブル期に取得した土地の地価の下落により債務超過に陥り、また、当
該土地を売却できないために貸出金の期日延長を繰り返している場合には、債務者の
財務内容、貸出条件及びその履行状況に問題があることから、要注意先以下の債務者
区分に相当する場合が多いと考えられる。

 しかしながら、中小・零細企業の債務者区分の判断に当たっては、当該企業の財務
状況のみならず、例えば、代表者の個人資産等も勘案して、その上で債務者区分を検
討する必要がある。

2.本事例の場合、貸出金は長期にわたって実質延滞状態にあるほか、多額な塩漬け物
件の含み損等から実質大幅な債務超過状態にあり、貸出金の回収に重大な懸念がある
とも考えられ、破綻懸念先に相当する可能性が高いと考えられる。

3.しかしながら一方、代表者は、企業の実質債務超過相当額を上回る個人資産を有し、
当該資産を債務者に提供する意思も確認されているほか、現に、個人資産から企業の
借入金の返済も行っている状況にある。
 
 したがって、こうした代表者の資産内容を検証したところでの返済能力や返済の意
思が十分確認できるのであれば、要注意先に相当する可能性が高いと考えられる。

4.なお、代表者等の資産について検討するに当たり、その資産の有無のみならず負債
や代表者等個人の収支状況等についても確認する必要がある。(具体的には確定申告
書、今後提供しようとする資産の登記簿謄本や、他金融機関、ローン会社等の抵当権
の設定の事実等)。

 また、例えば、代表者が当該企業と別に企業を営んでいる場合、当該別企業の業況
が芳しくなく、当該別企業に対して今後もかなりの資産提供が予想される場合や個人
で多額の借入金を有する場合などについては、その程度に応じて、要注意先以下に相
当するかを検討する必要がある。

**********************************
今回の事例では、会社の決算書が債務超過であっても、いつでも処分可能な
社長の個人資産が債務超過額を上回る程度であれば、それを加味して銀行は
会社の財政状態を評価することがわかります。

貸しはがし等に、なる前に社長個人の資産の情報を銀行に開示しておくことも
重要かもしれません。


速報です!!23年中にあと1回税制改正があるかもしれません!!!
2011.10.16

速報です!!23年中にあと1回税制改正があるかもしれません!!!

10月11日の税制調査会で、復興関連の税収確保に関する税制改正大綱が、
税制調査会の資料として公表されました。相続税も24年1月1日から
課税強化がほぼ決定です。

興味のある方は、下記URLで原文をご覧ください。
http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2011/__icsFiles/afieldfile/2011/10/11/23zen11kai8.pdf

 以下、主なものを抜粋しました。

相続税・贈与税:
(1)継続中の平成23年度税制改正法案に関する項目の修正案
 ①相続税
  基礎控除の引下げ及び税率構造等の見直し
  (施行時期)平成23年4月1日→平成24年1月1日 へ変更の上、実施
 ②贈与税
  税率控除の緩和及び相続時精算課税の対象拡大
  (施行時期)平成23年1月1日→平成24年1月1日 へ変更の上、実施

所得税:
(1)復興特別所得税(付加税)の創設
 ①税額
  年分の基準所得税額×4%
 ②基準所得税額
  居住者......すべての所得に対する所得税額
  内国法人...利子等及び配当等などに対する所得税額
  非居住者・外国法人...国内源泉所得のうち利子等及び配当等などに対する所得税額
 ③対象期間
  平成25年分から平成34年分の10年間

(2)継続中の平成23年度税制改正法案に関する項目の修正案
  給与所得控除の上限設定及び成年扶養控除の見直しに係る源泉徴収
  (適用開始時期)平成24年1月1日→平成24年7月1日 へ変更の上、実施

個人住民税:
(1)均等割の引き上げ
  ①税額
   年額500円の引き上げ(現行4,000円のため、引上げ後は4,500円となる)
  ②対象期間
   平成26年度から平成30年度までの5年間

法人税:
(1)復興特別法人税(付加税)の創設
 ①税額
  各年度の基準法人税額×10%
 ②基準法人税額
  各事業年度の所得に対する法人税額
  (留保金課税、所得税額控除等を適用する前の法人税額)
 ③対象期間
  平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度
  (清算予納申告事業年度を除く)

(2)継続中の平成23年度税制改正法案に関する項目の修正案
  次の項目について変更の上、実施
  ┌───────────┬─────────┬─────────┐
    │         項目         │       原案       │      修正案     │
    ├───────────┼─────────┼─────────┤
    │                      │施行時期:       │施行時期:       │
    │法人税率の引下げ等    │平成23年4月1日以後│平成24年4月1日以後│
    │                      │に開始する事業年度│に開始する事業年度│
    ├───────────┼─────────┼─────────┤
    │エネルギー需給構造改革│廃止時期:       │廃止時期:       │
    │推進投資促進税制等の特│平成23年4月1日   │平成24年4月1日   │
    │別措置の廃止          │                 │                 │
    └───────────┴─────────┴─────────┘

法人住民税及び法人事業税:
(1)継続中の平成23年度税制改正法案に関する項目の修正案
 法人税率引き下げ及び課税ベース拡大等に伴う法人住民税及び法人事業税に係る所要措置
  (施行時期)平成23年4月1日→平成24年4月1日 へ変更の上、実施

 なお、これらは税制改正大綱の内容なのですべて改正されるかどうかは、
現時点では定かではありません。