かつて一世を風靡した美人女優、故夏目雅子さんが押し掛けて結婚してもらったとい
う、うらやましい作家の痛快な本です。(注1)
酒は浴びるほど飲み、喧嘩は良くし、稼ぎはあるようだがそれ以上に遊ぶために借金
をしているようなつまらない男となぜ結婚するのだろうと思う。(注: 本人がそう言ってる)
女性は往々にしてこういう不良男に惹かれるようですね。
しかし、本書は大人の男らしい力みのない語り口ながら、説得力のある(?)エッセイで、
時折キラリとした言葉が並ぶ。
「敗れて学ぶこともある」 「命をかけて守るべきもの」
「大人が葬儀で見せる顔」 「大人のラブレターの流儀」
「女は不良の男が好き」 「大人はなぜ酒を飲むのか」
その中で、新成人の諸君に少し言っておきたいという一文をご紹介する。
一 すぐに役に立つものを手にして、何かが上手く行ってると思うな。
すぐに役に立つものはすぐに役に立たなくなる。
二 金をすべての価値基準にするな。金で手に入るものなどたかが知れている。金を力
と考える輩は、さらに大きな金の力で、あっという間に粉々にされる。
金は砂と同じだ(そう言えば砂金と言うな)。
三 自分だけが良ければいいと考えるな。ガキの時はそれも許されるが、大人の男に
とって、それは卑しいことだ。
咄嗟にプラットホームから飛び降り、人を救おうとした、あの韓国人青年の勇気と品
格を思い出せ (いちいちそうしろと言ってるんじゃないからね)。
四 世界を見ろ。日本という国がどれだけちいさく、外国からどう日本人が見られてい
るか。将来、この国はどうなって行くのかを自分で考えるんだ。
五 神社、寺で手を合わせた経験があるなら、キリスト教、イスラム教、仏教を学んで
おくことだ。
そこに今の世界観の出発点がおうおうにしてある(食事中に戦争と宗教の話はしない)。
六 他人を見てくれで判断するな。自分の身なりは清潔にしておけ。
七 二十歳から酒を飲めるようになるが、乱れるな。愚痴るな。品の良い酒を覚えろ。
八 今はこう言ってもすぐにはわからないだろうが、周囲の人を大切にしろ。家族、友、
恩師......。
九 安手を引くな。
安いものに手を出すな。我慢をしていれば必ずいいものが見えてくる。
思いついたままに書いたが、ひとつくらい実行してみなさい。
初めて前妻の夏目雅子のことを本の終わりに書いているが名文である。
これがなければさほど売れなかっただろうと思う。死んでも夫を立てる立派な妻です。
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夏目雅子は今も偉大だ。
美人薄命ですね。
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とおやま ひでゆき
(注1) 大人の流儀 [単行本]
伊集院 静 (著) 単行本: 194ページ
出版社: 講談社 (2011/3/19)


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