後継者は会社を継ぎたくない 後篇
2011年11月28日
こんにちは。野呂です。
寒くなってまいりましたね。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
さて―、
事業承継を3年後に見据えたある製造業を営む企業。
地元でも有数のいわゆる"有力企業"であり、財務内容は非の打ちどころナシ!
息子である製造部長を後継者として考えておられたが、
先見性があり経営者としての能力に長けた社長の影に隠れた存在だった。
社風調査をしてみる―。
すると・・・
すばらしい財務の裏側に、
常に先手を打つカリスマ社長の経営手腕が光り、
主体性なく"右向け右!"の「おのぼりさん」社員の影が浮かび上がった・・・。
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有力企業と呼ばれたこの企業の実態は、
返事をすることはしても、考えることをやめてしまった社員の集団だった。
有力企業というよりも有力社長。
まさに、社長が興し、社長が切り盛りする企業だった。
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社長塾には、社長・製造部長で参加いただいた。
社長塾では自社の経営を振り返るところからスタートした。
話す内容はある意味、基本的なことだが、
あらためて現状を振り返っていただくための大切な時間。
「いかに経営目的が重要か」そして
「事業を継ぐ後継者は、
伝統を尊重しながらも守・破・離の精神で自らの経営スタンスを
作っていかなければならない」ことを説く。
次に「わが社の経営課題」と題して自社の課題の本質を抽出していくのだが、
その時の後継者の顔つきに何か微妙なものを感じた。
素直に考えているようではあるが、どこか受け身であり、
社長にただ従っているような姿勢。
その姿に、何か後継者の内にある大きなわだかまりを感じざるを得なかった。
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会社の課題を検討した後は、
個人に焦点を当て、自らの行動の傾向を分析してゆく。
社長の分析をしてみると、
今まで経営者として張り詰めていた緊張の糸が切れかかっている姿が見えた。
そして後継者には、明らかに「依存」と「自らを律しきれない弱さ」が見えた。
後継者に話を聞く―。
「自分はいつも社長と比較されて生きてきた。
そして優れた社長であるがゆえ、常に劣等感を持っていた。」
どうしても自分に目を向けることができず外的要因に逃げてしまう。
そして自分の過去を否定してしまう。
...後継者の気持ちはひしひしと伝わってきた。
その気持ちに寄り添いながら、次の言葉を贈った。
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「流れに乗って流れを変える、
流れに逆らわず次の流れをつくる」
「自分の過去を否定する人間は自分の未来も暗くする」
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後継者が経営者として本気で会社を導いていくには、
後継者自身が「夢・未来・希望」を持たなければ、社員を不幸にしてしまう。
自社の社長である前に、自身の父親である社長と、まずは本音で話し、
親のありがたみを感じ、
感謝の心を身につけることが絶対必要である。
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親子であるがゆえ難しい心の事業承継―。
しかし事業承継の真の目的は「企業の永続」であり、
その観点から経営の価値観を分かち合うことがなければ、
どんなに形を作っても事業承継はスタートしていかない。
法律的な承継については制度に則った最善の策を選択すればいいだろう。
しかしやはり会社という生き物を承継していくにあたっては、
心の事業承継がまず必要だ。
そして、「継ぐ者」「継がせる者」が一体となって価値を共有し、
縁あって会社を支えてくれている社員の働く場を永続させるために企業改善を進めていく...、
その先に、社員の自立が生まれてくるのである。
(終わり)
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「後継者は会社を継ぎたくない 後篇」
NBCコンサルタンツグループ
代表 野呂 敏彦
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後継者は会社を継ぎたくない 前篇
2011年11月15日
こんにちは。野呂です。
寒くなってまいりましたね。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
さて―、
先代経営者の求心力・牽引力で経営してきた組織であればあるほど、
先代に仕えた幹部たちは先代から離れることを拒み、
後継者に反発しがちです。
若き後継者が承継時【古参幹部の反発】に頭を悩ませるケースは
少なくありません。
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事業承継を円滑に進めるために必要な2つの条件は
〔1〕後継者育成 と 〔2〕社内体制の整備(社内改革)であることは
以前にもお伝えしましたが、
いずれが欠けていても後継者を苦しめることになります。
殊に、
後継者を受け入れる環境が整備されていない(反発する年上の幹部がいるような)場合、
会社は後継者にとって"針のむしろ"と化すでしょう。
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┃事例┃ 若き後継者へ古参幹部が反発 ┃
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創業者である父親は、絵に描いたようなワンマン社長で、
先見性に富んでおり、次々と新たな事業を展開しては成功させていた。
経営は順調であったが、社長は〔60歳〕をひとつの節目と考えており、
60歳になる誕生日に息子である営業部長にこう言った。
「会社を頼む」
後継者はそのときの気持ちをのちにこう語っている。
「継ぐということはこれから半永久的に経営をしていかなくてはいけない
ということ・・・。そのときはまったく自信がありませんでした。
社長(父親)にはカリスマ性があります。しかし自分にはありません。
だからと言って逃げ出すことはできない。この会社を私の代で潰すことは
できない・・・そう思えば思うほど私は焦るばかりでした。」
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後継者は想定していたと言うが、
先代社長が一線を退いてからというもの、先代に仕えてきた幹部からの
後継者に対する反発はすさまじいものだった―。まさに総スカン。
後継者は空回りしていた。先代と同じ方法で経営しようとしていた。
つまりパワー系の指示命令。高圧的な態度を取ることで、自信のない自分を
払拭したかった。
あるとき、幹部のひとりが食って掛かってきた。
「あんた(後継者)は、上からガミガミ言い過ぎだ。そんなんで人がついてくるわけがないだろう」
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後継者が相談にこられた―、疲れきっていた。
後継者と私たちの経営改革がはじまった。
≪次回へつづく≫
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