オリンパス、社内告発で報復人事か? 法廷闘争へ
2009.02.28

27日3時6分YOMIURI ONLINE記事はこう報じた。

東証1部上場の精密機器メーカー「オリンパス」(本社・東京)の
男性社員が、社内のコンプライアンス(法令順守)通報窓口に
上司に関する告発をした結果、配置転換などの制裁を受けたとして、
近く東京弁護士会に人権救済を申し立てる。

男性の名前は、通報窓口の責任者から上司に伝えられ、
異動後の人事評価は最低水準に据え置かれている。
公益通報者保護法では、社内の不正を告発した従業員らに対し
会社側が不利益な扱いをすることを禁じているが、男性は
「こんな目に遭うなら、誰も怖くて通報できない」と訴えている。

申し立てを行うのは、東京都内に住む浜田正晴さん(48)。

代理人の岡本理香弁護士によると、浜田さんは大手鉄鋼メーカー向けに
精密検査システムの販売を担当していた2007年4月、取引先から機密情報を
知る社員を引き抜こうとする社内の動きを知った。
システムの追加受注を有利に進める目的の工作で、不正競争防止法違反
(営業秘密の侵害)の可能性があると判断。
最初は上司に懸念を伝えたが、聞き入れられなかったため、同6月、
コンプライアンスヘルプライン室に通報した。
その後、オリンパスはメーカーに謝罪している。

ところが同室の責任者は、浜田さんとのメールを、当事者である上司や
人事部にも送信。
約2か月後、浜田さんはその上司の管轄する別セクションに異動を
言い渡された。

配属先は畑違いの技術系の職場で、現在まで約1年半、部署外の人間と
許可なく連絡を取ることを禁じられ、資料整理しか仕事が与えられない
状況に置かれているという。
それまで平均以上だった人事評価も、通報後は労働協約上、原則として
長期病欠者以外には適用されない評価を受けている。

06年4月に施行された公益通報者保護法に関する内閣府の運用指針では、
通報者の秘密保持の徹底を求めており、オリンパスの社内規則でも
通報者が特定される情報開示を窓口担当者に禁じている。

浜田さんは昨年2月、オリンパスと上司に対し異動の取り消しなどを求め
東京地裁に提訴し、係争中で、窓口の責任者が
「機密保持の約束を守らずに、メールを配信してしまいました」と
浜田さんに謝罪するメールも証拠として提出されたが、
オリンパス広報IR室は「本人の了解を得て上司などにメールした。
異動は本人の適性を考えたもので、評価は通報への報復ではない」と
コメントしている。


社内告発に対する報復人事を疑われる今回の問題は、訴訟にまで発展した。
この問題が法廷の場で争われることは、残念なことであるが、「会社ありき」
のわが国の企業文化を是正する、いいきっかけになるかもしれない。

会社側の主張を是認できる要素は少ないかもしれない。
部署外の人間と許可なく連絡を取ることを禁じられ、資料整理しか仕事が
与えられない状況というのは、どう考えてもおかしい。

軟禁状態に追い込む必要はないはずであろう。

社内メールさえ送信できないとでもいうのか。

情報をシャットアウトされているというのは、フェアな状況とはいえまい。

異動が本人の適性に応じたものというのであれば、評価が最低ランクに
落ちることがありえようか。
適性に応じているなら評価が上がりこそすれ、下がるはずがない。

適性外の仕事だからこそ意欲も涌かないし、社内メールさえ許可がなければ
出せないのであれば、上司に仕事の仕方のイロハから聞きながら
やるしかないですよね。

それも営業の方が技術系の現場でSEをやれと言われて、
技術が伴わなければ、できないですよね。

それとも、SEが出来るレベルと評価されたのでしょうか。

それであれば、資料整理しかさせてもらえないはずがないですよね。


正直なところ、報復人事の状況証拠が揃ってるんですよね。

法廷の場ではっきりすることになりますが、オリンパスが勝つつもりで
闘うのであれば、どういう証拠を出してくるのか、また、原告の証拠を
どのように崩していくのか、興味のあるところです。


会社経営は「こころ」にある
2009.02.27

昨日は、日本リーディング総合法務事務所の早川先生が主催する
ベンチャーマッチング交流会と、ベンチャー支援で有名な公認会計士の
小谷野先生が主催する、のびよう会の共催で開催されたセミナーに
参加してきました。

「2009年大不況下に負けないベンチャー企業とは
~ベンチャーが日本経済を元気にする!~」

基調講演は、平成20年上場第一号としてマザーズに上場した
株式会社デジタルハーツの宮澤社長による
「会社経営・・・すべては「こころ」である」。

後半のパネルディスカッションでは、
早川先生をコーディネーターに
宮澤社長、小谷野先生、企業法務の石綿弁護士の3人をパネリストとして
「不況下に企業家としてなすべきことは」。


特に宮澤社長の言葉は印象的でしたね。

「出口はあると思うし、作る」

幼少期に父親の会社が倒産し、苦境を舐めながら、再起を図る父親を支え、
青年期に再起した父親の事業が傾いた時には、父親に撤退を進言せざるを
得なかったという重い体験がありながら、自らも仲間のために起業し、
成功を収めてきた彼の言葉には、苦境を乗り越えてきた自信が窺えた。

また、石綿弁護士は、企業法務の最先端で感じてきたこととして、
強い者が生き残るのではなく、ダーウィンの法則にもあるように適者生存。
環境の変化に対応できるものが生き残るのだ、という。

小谷野先生は社長が最前線から逃げることなく、立ち向かっていくことを
強調されていましたが、「できる」「やる」と思うから前に出るのである。

変革の時は、レールから外れているものにとってチャンスなのだ。

そういう意味では、昨日のセミナー、その後の懇親会を含め、
ベンチャー社長の熱い思いに触れ、ますます気合が入りました。

今年はチェンジの年なのだ。
それも“Yes,We Can!”
できることを信じて変革するのだ。

この“Yes,We Can!”がキーワードなのだ。


確申期の月末という、税理士にとっては厳しい日程ではありましたが、
無理にでも時間を作って参加してきて良かったと思います。

昨日は本当にいい話を聞きました。ありがとうございました。


高杉氏への日経株譲渡認められず、東京地裁判決
2009.02.26

25日1時16分YOMIURI ONLINE記事はこう報じた。

「金融腐蝕列島」などの作品で知られる作家高杉良さんらが、
「日本経済新聞社の元社員から同社株の譲渡を受けた」として、同社などを
相手取り、株主であることの確認などを求めた訴訟の判決が24日、
東京地裁であった。

矢尾和子裁判長は
「日経新聞は日刊新聞法に基づいて株の譲渡先を自社の事業関係者に
限定しているが、原告は事業関係者ではない」と述べ、高杉さんの請求を
棄却した。

判決によると、高杉さんは2006年7月、元社員から、同社株1000株を
1株7360円で買う契約を結び、同社に承認を求めたが認められなかった。

日経新聞社には、「株主が日経株式を売却する場合は、社員株主で作る
『日本経済新聞共栄会』が1株100円で買い戻す」というルールがあり、
最高裁は今月17日、このルールについて「合理性があり、有効」とする
判断を示している。

一方、同社がこの問題を受けて取締役会で元社員の社友資格を取り消す
決議を行ったことについては、判決は
「日経新聞の信用を失墜したとまでは言えない」と述べてこの決議を
無効としたうえ、元社員が株主であると認めた。
日経側は共栄会が、元社員が持っていた全株式(5590株)を譲り受けたと
主張した。

先日の18日に書いたコラムと関連する判決が24日に東京地裁で出ていた。
日経新聞株の譲渡を巡るトラブルですが、先日も書いたように、17日の
最高裁判決において、日刊新聞法に定められた社員持株会が、株式の譲渡の
際の株の引取りを一手に行うとする日経新聞のルールが承認された以上、
高杉氏への株の譲渡が認められなかったのは当然のことであろう。

ただ、今回の判決は、株を他に譲渡しようとした元社員の社有資格さえ
奪おうとした日経新聞側の主張は退けている。

日経新聞側は、
「日経の元社員から高杉良氏への日経株式の譲渡を東京地裁判決が
認めなかったのは、日刊新聞法を支えとする当社の社員株主制度
ならびに株式譲渡ルールの正当性を認定したものと受け止めています。
ただ、当社の定款に反して事業関係者以外に株を譲渡しようとした
元社員の社有資格取り消しが認められなかったのは大変遺憾であり、
控訴します。」(日経HPより)
との、コメントを発表し、即時に控訴したようだ。

マスコミ各社の場合、報道に恣意性が入り込まないように、外部関係者が
株主になることを極力押さえる方向にあり、日刊新聞法もその理念から、
社員持株制度の充実を求めるところである。

マスコミの中には上場し、外部に公開されているところもあるが、
それが裏目に出ると、ホリエモン事件のようなことが起きることになる。

社会の公開し、透明性の高い経営を目指すべきなのか、
外部からの買収に備えて、非公開を貫くべきなのか。

特殊な業界だけに悩ましいところであるが、この問題は、成長を遂げた
中小企業にも言えることである。

上場することによって、外部の厳しい目に晒されることによって、
経営の透明性や遵法意識が高まり、より社会性を備えた会社へと
成長することが期待されるところであるが、
多くの中小企業は、良くも悪くも同族会社である。

同族会社なるがゆえに、1度暴走し始めると、歯止めが利かなくなる。
ミートホープ事件しかり、船場吉兆事件しかりである。

マスコミが暴走した時に、それを止められるのは、ライバル社である
他のマスコミ各社でしかなかろう。

そういう意味では、あまりに保護主義的な持株会ではなく、もう少し
フレキシブルに外部者の声が届きやすい状況は作れないものだろうか。

株式公開が全てではないが、外部からも透明性高く、明快な経営を
推進するためにも、何らかの検討が必要な時期に来ているように思う。


グーグルDB訴訟、和解成立、米国内で全文が原則公開へ
2009.02.25

25日3時9分YOMIURI ONLINE記事はこう報じた。

検索大手グーグルが進めている書籍全文のデータベース化を巡って、
同社と米国の著作者らが争っていた集団訴訟が和解に達し、その効力が
日本の著作者にも及ぶとする「法定通知」が24日の読売新聞などに
広告として掲載された。

著作者らが自ら申請をしなければ、米国内でのデータベース化を
拒めない内容で、日本の作家らには戸惑いもある。

集団訴訟が起こされたのは2005年。
米国内の大学図書館などと提携し、蔵書をデジタル化して蓄積する
計画を進めていたグーグルに対し、全米作家組合と全米出版社協会が、
「著作権への重大な侵害」などとして訴えた。
両者は昨年10月に和解で合意、今夏にも出される連邦裁判所の認可を待って
発効する。

合意の対象は、今年1月5日以前に出版された書籍で、同社は、
(1)著作権保護のために設立される非営利機関の費用3450万ドル(約32億円)
(2)無断でデジタル化された書籍などの著作権者に対しての補償金総額
4500万ドル(約42億円)以上をそれぞれ支払う。
見返りとして同社は、絶版などで米国内で流通していないと判断した
書籍のデジタル化を継続し、書籍データベースアクセス権の販売や、
広告掲載などの権利を取得することが定められた。また、対象書籍に
関連して同社が今後得る総収入の63%を著作者らに分配することも決まった。

また、著作権者は、オンライン上での使用を望まない場合、
2011年4月5日まで、同社側に自著の削除を求めることができる。
さらに、和解に拘束されることを望まない著作権者に対しては、
和解からの「除外」を認め、今年5月5日を除外通告期限としている。

和解の効力は米国での著作権を有する人すべてが対象となる。
著作権に関する国際条約「ベルヌ条約」の規定で、加盟国で出版された
書籍は、米国内でも著作権が発生するため、影響は世界中に及ぶ。
このため法的手続きの一環として、今月に入って、世界200以上の国・地域、
72の言語で和解合意内容を伝える通知の掲示が開始された。

グーグルは和解で、絶版や品切れ状態の書籍本文の入手が容易になると
利点を強調、本文閲覧を含む新サービスは米国内の利用者に限られる
としている。
ただ、和解に巻き込まれる形になった日本の著作者団体は戸惑いを隠せない。

日本文芸家協会の三田誠広副理事長は
「届け出なければ権利が保障されないのはアメリカ的なやり方だ。
アメリカで流通していない日本の新刊書がネット上で見られる恐れがある」
と危機感を募らせる。
同協会は、3月上旬の理事会で、会員の意思表示の手続き代行などの
対応を議論する予定。

一方、著作権に詳しい福井健策弁護士は
「グーグルの説明が分かりにくいのは改善するべきだが、著者や出版社に
とって長所も短所もある和解内容だ。
音楽のように書籍もネット配信する文化が普及していくのか、注目している」
と話す。

図書館との提携事業は、現在、「googleブック検索」の一部となっており、
700万件以上の書籍をデジタル化している。


衝撃的な内容のアメリカ的な解決手段であったところですが、
アメリカの大学に寄贈された蔵書等も対象になるであろうから、自分の
書籍がアメリカでデータベース化の対象とされていることを知らないまま、
データベース化された後に、初めて自分の著作権が侵害されていることに
気付く研究者が多数出てくることが予想される。

日本文芸家協会だけの問題ではないのだ。

日本から研究のためにアメリカの大学に留学した経験のある研究者が圧倒的に
多いだけに、お世話になった方々に献本した書籍が、その方々からの寄贈
により、アメリカの大学図書館に、日本語の文献が所蔵されている可能性は
高いのである。

グーグルのデータベースが集団訴訟の中で、英語のものだけを対象に
されていたのであれば、問題なかろう。
しかし、日本の出版社が版権を持ち、著作権を執筆者がもつ書籍について、
米国内で流通していないものについては、データベースへのアクセス権と
広告掲載権を、本人に連絡がないまま、米国内の全ての権利がグーグルに
移行してしまうことになることについて、日本の出版社はどのように
考えるのであろうか。
日本語で書かれたアメリカでは一切流通ルートに乗っていなかった文献が
日本語のまま、アメリカでデータベース化されることを容認するとでも
言うのであろうか。

日本の出版社は、自社が出版し、自社が版権を持つ全ての文献に対して、
グーグルに、版権が自社にあることを要求しなければならないであろう。

実にアメリカ的なアメリカさえ良ければ、周りがどうなろうと知ったことではない
とでも言いたげな和解の内容に、憤りを感じる。


JRグループ大量採用へ
2009.02.24

24日17時36分KYODO NEWS記事はこう報じた。

JR東日本は24日、10年4月入社予定の10年度採用計画を1700人程度
にすると発表した。
計画数ベースでは08年度から3年連続で1700人程度と過去最高水準となる。
団塊の世代の大量退職に対応する。
JR東海はリニア建設に備え、10年度の採用計画数を過去最高の
約1030人とする。
JR西日本も1000人以上の採用を計画。
景気が悪化する中、JRの積極的な採用姿勢が目立つ。

鉄道会社は景気変動の影響を受けにくいのであろうが、
こういう時代にあって、いいニュースを聞くことは嬉しいですね。

JR側の思惑は、団塊世代からのバトンタッチだけではあるまい。

こういう時代だからこそ、積極的な採用姿勢を打ち出すことで、
より優秀な人材の獲得するためのアピールを狙ってのことであろう。

学生も就職が厳しい時代の方が質が高いですね。

私はバブル就職の時代でしたから、何にもしなくても、
また、何にも出来なくても就職できましたが、
今の学生は、漢検をはじめ、様々な検定試験や資格試験をパスしている
者も多いんですね。
少なくとも、我々の頃とは、心構えが違います。

ただ、学生には、自分が何をやりたいのかを自覚して欲しいと思います。

何が出来るかではなくて、何をやりたいのか

企業は学生に即戦力を求めていません。
中小企業はある程度即戦力に近い方を求めていますが、
意欲的な学生が就職したいと希望するようないわゆる大企業には
学生に即戦力を期待するほど甘い考えの人事屋はいないでしょうね。

即戦力じゃないから就職後の研修があるということを判ってもらいたい。

中小企業では研修にかける時間もコストもないですからね。
だからある程度即戦力としての評価がないと採れない。

ただ、学生が社会人としての自覚を持ち始めれば、
会社は当然のごとく戦力として計算し始めます。

それまでの猶予期限はあって3年ですが、ほぼ最初の6ヶ月で見えるでしょう。

その間に「こいつは使える」と思われる人間になること。

それが将来性のある社会人としてのスタートを切るための鉄則です。

大器晩成型で、じっくり戦力として花開く方もいらっしゃいますが、
そういう方を評価できる上司に出会えることは少ないかもしれません。

だからこそ、最初が肝心。

大量採用であれば、競争は熾烈でしょう。
昔と違ってポストはないのですから。

JRの積極姿勢が吉と出るか。
10年後、30年後のJRグループが楽しみです。


林仲宣「租税手続法の解釈と適用」
2009.02.22

今日は、税理士(特に試験組)が意外と弱い租税手続法の分野やそれに
係わる判例研究をまとめた研究書を紹介したい。

林仲宣「租税手続法の解釈と適用―納税者の視点からの考察―」
(税務経理協会2009年2月)

林先生は横浜で長年税理士事務所を開業されていながら、大学でも教鞭を
取られ、現在は名古屋の椙山女学園大学の教授でいらっしゃいます。

林先生とは、我が師匠西野敞雄国士館大学教授について日本税法学会に
参加させて頂いて以来ですから、もう10年以上、日本税法学会関東部会を
中心にご指導を賜っている私が理想とする実務家教員の1人である。

本書は、林先生から頂戴したものであり、
そのお礼も兼ねてここで紹介させて頂きます。

本書は林先生が書きためた論文の中から、特に租税手続法の分野にあたる
論文をまとめ、収録したものですが、適切な加筆訂正がなされております。

特に本書で読んで頂きたいのは、見落とされがちな更正の請求に関する
第1部第1章~第4章である。
国税通則法が試験科目にないためであろうか、多くの税理士が苦手とする
分野であり、更正の請求の期間徒過によるミスは少なくない。

例えば、今年の確定申告であれば、法定納期限は3月15日であるが、
当日は日曜日で税務署はお休みである。
そのため、申告期限は休み明けの3月16日(月)となっている。

多くの税理士はこの休み明けの申告期限ということを、
常識であるように感じているであろう。

本当にそうであろうか。

休み明けの申告期限というのはあくまで自己申告や自己納付を円滑に
行うための特例措置であり、特例措置が設けられていないものについては、
あくまで法定申告期限厳守であり、法定申告期限内の開庁日が期限なのである。

更正の請求には特例措置が設けられていないため、今年であれば、
3月13日(金)5時までに更正の請求をしないと、
期限徒過になってしまうのである。

この点については、本書では取り上げていないが、本書が取り上げる
事案も問題が多いところである。

更正に関連して、第2部第3章では嘆願書の問題が取り上げられている。
嘆願書の存在は、法が予定しているものではないが、実務的には
それなりの効果が期待されているものといえよう。
嘆願書を提出することによって、税務署長による職権更正をお願いするという
効果である。

その意味で、
「嘆願書は、最終的に納税者にとって有利になることを目的とするが、
任意とはいえ課税庁側から要請されることは多い。
しかし納税者が自主的に嘆願書を提出することは、納税者の事情をアピール
する意味からも何ら問題はない。
その意味からすれば、本事案におけるB税理士は、不手際があったといえるだろう。
顧問契約上の義務というより、税理士業を情報サービス業とする見地からすれば、
少なくとも嘆願書の提出という手段があることは説明すべきであったといえよう。」
(本書117ページ)との指摘は、業界に対する警告を含んだ至言である。

また、第2部第7章では、平和事件最高裁判決を取り上げ、
「さらに「当時の裁判例等に照らせば、被上告人の顧問税理士等の税務担当者
においても、本件貸付けに本件規定が適用される可能性があることを疑って
しかるべきであった」と指摘する。
判決で引用された昭和55年10月22日東京地判は、通常の経理処理で発生
したと思われる無利息融資に対する課税を容認した事例であり、経理事務の
日常からすれば異論を呈したい判決である。
しかも解説書等の発行時よりも古い時期に出された判決である。
税務の現場においては、残念な現実といわなければならないが、判例より
国税職員等が執筆した解説書の記載の方が優先される。
本事案の場合、「個別、具体的な事案に則した検討」ではなく、運転資金の
無利息融資の是非という本質論で検討するならば、本件各解説書を踏まえた
判断は実務上、しごく当然な行為である。」(本書154ページ)
と指摘する。

実際、現在でも、大蔵財務協会等から出版される実務指南書は、
表書きから執筆者の官職名が外れてからも、業界内のベストセラーである。

実務的には、国税職員の執筆した実務指南書がバイブル的に使用されている
現実には判決後も何も変化はない。
しかし、裁判所が以上のように考えている限り、判例研究の重要性が
薄れることはない。

最後に本書第2部第9章において税理士の役割について言及する。

「裁判所は、「本件契約は税理士にも税務労務の対価として報酬等の利益が
ある有償契約であるから、民法651条の適用はなく、期間の定めなき
継続的契約の解除として、民法617条、627条の趣旨も斟酌し、事務処理等に
必要な相当期間を経て終了するとみるのが相当であ」る、と判示する。
税務労務という見解は、裁判所が、会計業務が税理士の本質と定めている
ことから、当然の帰結であるが、筆者にとっては初見の表現である。
確かに会計業務を概観すれば、会計資料をコンピュータに入力することや
会計データを精査することで、会計帳簿や関係文書を作成する作業は、
会計帳簿等を製品と考えれば、出来高制の労務の対価と見えるに違いない。
しかしながら、会計ソフトは、会計処理を容易にするが、会計ソフト自体は、
簿記会計の知識や会計処理に影響を与える税務知識の修得を増進させるもの
でもない。
税理士の持つ専門的知識が付加されることで会計基準や租税法規に適合した
形式が整う。
会計業務は、機械的な単純な作業ではない。」(本書170ページ)

税理士は専門家としての矜持を持って情報サービス業を旨とする
プロフェッショナルとして、計算屋ではない適正な租税知識の提供を
推し進めていく必要があろう。

税理士会において積極的に租税法の啓蒙活動を取り組んできた林先生の
後を追うものとして、専門家責任という問題に取り組んでいきたいですね。


ビッグカメラ創業会長、不適切会計処理で引責辞任
2009.02.21

20日18時5分トムソンロイター、ネット記事はこう報じた。

ビッグカメラは20日、不動産証券化に伴う会計処理の見直しなどによる
過年度決算の訂正を発表した。
同時に新井隆二代表取締役会長が責任を取り辞任し相談役に就任すると発表した。

同社は08年12月25日に過年度決算を訂正することを発表し、
訂正数値について精査してきた。

2006年8月期から2008年8月期までの決算を訂正。
2008年8月期の連結当期損益は、これまで41億1200万円の黒字としていたが、
16億6200万円の赤字となった。
1月16日に発表した概算の21億4100万円の赤字よりも赤字幅は縮小した。

この件とは別件で、ビッグカメラ新井会長には次のような記事もある。

家電量販大手のビッグカメラが虚偽内容の有価証券報告書などを基に
公募増資したとされる問題で、証券取引等監視委員会は31日、
不正な増資の際に持ち株を売却したとして、金融商品取引法に基づき
同社の新井隆二会長(62)に約1億2000万円の課徴金納付命令を出すよう
金融庁長官に勧告する方針を固めた。
虚偽記載に絡み企業トップへの命令が勧告されるのは初めて。
課徴金額も個人としては過去最高額となる。
(KYODO NEWS 1月31日記事)

不動産証券化に伴う時価主義に基づく会計処理を恣意的に行い、
会社の利益を過大に見せかけ、その間に公募増資を行いつつ、
株価を吊り上げた上で、自己の持ち株を売却して
不正な利益を得ていたということであろう。

これって、村上さんの「聞いちゃった」と同系統の不正では?

村上さんとの違いは、村上さんはインサイダー情報に基づいて、
他人が知らない間に巨利を貪ったものであり、
新井さんの場合は、何も知らない投資家に出資させ、
結果的に株価暴落分を損させたわけですよね。

さらに悪質なような気がしてならない。


なぜこんなことができるのか。

会計処理の不安定性に他ならない。

特に時価主義を中心とする客観性のない情報を利益の源泉とすることは
危険極まりないと言わざるを得ない。

私は法政大学大学院時代には時価論を研究しておりましたが、
時価には検証可能な客観性がないんですね。
これを正しい数値であることを公的に担保するものは、
公認会計士監査の質を向上させる以外にないと思います。

しかし、わが国の公認会計士のファイナンス分野における
レベルの低さは如何ともし難く、(税理士は言うまでもありませんが…)
会社が計算してきた時価の検証を自社開発のソフトで行っている
ところは皆無ではないかと思います。

理論値として計算された時価を時価とするのであれば、
検証可能かもしれないが、わが国の会計慣行には馴染まないであろう。

時価主義会計を本当の意味で基準化するのであれば、
ファイナンス分野での日本公認会計士協会の活躍がもっと
期待できるはずであろうが、どれだけのものが
自分でモデリングして検証できるのであろうか。

自分でも、大学院時代に苦手にしていた分野であるが、
私が勉強した15年前の理論は、今では既に通用しない世界ですから、
最先端の理論を常に取り入れて頂けなければ、
世界の金融市場、株式市場に、堂々たる根拠を示しえないであろう。

アメリカ型金融経済が崩壊しつつあることの背景には、
根拠を示しきれなかった時価主義の恣意性も含まれているのであろう。

今回のビッグカメラの記事にしても、恣意的な会計処理を見抜けない
会計士が通してしまったからこそ、
何も知らない投資家に被害を与えることになる。

プロフェッショナルの矜持を持ち、その責任を全うすべきなのは、
税理士だけではないことは自明のことであろう。

会計分野については、税理士も専門家の端くれであるが、公認会計士こそが
会計分野の最高峰の国家資格のはずであろう。

その責任は、公認会計士法が規定する、受託責任だけでよいのか。
公認会計士しか、何も知らない投資家を保護できるものはいないのだ。

プロフェッショナルの矜持と責任を自覚して頂きたいものである。


ゼロゼロ物件、家賃保証会社に賠償命令、福岡簡裁
2009.02.20

19日10時30分西日本新聞ネット記事は次のように報じた。

敷金・礼金が不要な「ゼロゼロ物件」のアパートに入居した福岡市の
30代の男性が、滞納した家賃を未明の時間帯まで強引に取り立てられた
として、家賃保証会社「フォーシーズ」(東京)に100万円の損害賠償を
求めた訴訟で、福岡簡裁の野瀬真司裁判官は「生活の平穏を害した」
などとして5万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

ゼロゼロ物件は、家賃の連帯保証会社による強引な取り立てが問題化している。
こうしたトラブルの救済のため、弁護士らでつくる「全国追い出し屋
対策会議」(大阪市)によると、家賃取り立てに関する保証会社への
賠償命令は全国で初めてという。

判決(17日)などによると、男性は2007年4月、フォーシーズを
連帯保証人としてアパート(家賃月額5万1000円)に入居。
給料が減るなどして同年6-8月の家賃を滞納すると、同社社員3人が
自宅で午後9時ごろから翌午前3時ごろまで支払いを催促した。

判決によると、男性は同社の連帯保証を受け、アパートを借りた。
3カ月続けて家賃(月額5万1000円)を滞納した2007年8月31日
午後9時頃、自宅を訪れた同社従業員3人から6時間にわたって
取り立てを受けた。

野瀬裁判官は、午前0時以降も取り立てが続いた点を問題視し、
慰謝料を認めた。

この記事につき、先行した18日16時10分asahi.com記事によると、
「野瀬裁判官は「午前0時を過ぎた交渉については精神的苦痛を与えた
というべきだ」と指摘。ただ社員が男性方に無断で上がり込んで玄関に
居座ったなどとする男性側の主張は、「犯罪行為に当たるような強引な
取り立てを受けた証拠はない」と退けた。」という。


そうすると、今回の判決は、家賃保証会社に対する損害賠償請求が
認められた画期的な判決ではあるけれども、その理由には、残念ながら
汎用性が少ないと言わざるを得ない。

悪質な取り立てであり、夜0時を過ぎての交渉が精神的苦痛を与えたと
認定されたということは、日を跨がなければOKということになりかねない。
また、玄関に座り込んだことについては証拠不十分であるとして採用されない
ということは、写メでも取っておくしか方法がないということだろうか。
おそらく写メでも、日付の改変ができることから、証拠能力不十分
ということになることが容易に想像できるが・・・

この問題については、近年トラブルが急増しており、法曹界においても
対応が迫られていた。
16日10時53分asahi.com記事はこう報じている。

賃貸住宅の家賃を滞納した借り主が、家賃保証会社などから強引に閉め
出される「追い出し屋」被害を食い止めようと、弁護士や司法書士らで
つくる支援団体「全国追い出し屋対策会議」が15日、結成された。
家賃保証業の登録制を柱とする「賃貸保証業規制法(仮称)」の早期制定を
提唱し、国土交通省に近く申し入れる方針。

結成集会は大阪市港区で開かれ、東京や大阪、福岡など13都府県の
弁護士や司法書士らが参加した。
日弁連消費者問題対策委員長の吉岡和弘弁護士は「安全で平穏に居住する
権利を侵害する追い出し屋をまかり通らせてはならない」と語った。

被害の多くは敷金・礼金なしの「ゼロゼロ物件」に集中。
被害者の一人、大阪府牧方市の派遣社員の男性(22)は昨秋、妻子が
保証会社の社員を名乗る男から追い出されたと証言した。
東京では不動産会社と借り主との間で「施設付鍵利用契約」と称した
契約が結ばれ、滞納時に玄関ドアの鍵を無断交換される例が紹介された。

基調講演で、京都産業大法科大学院の高嶌英弘教授(民法)はドアロックや
家財撤去などを記した契約書について「建前上は借り主から合意を
取り付けている形だが、実際は借り主の権利を排除しているに過ぎず、
法律上も無効だ」と指摘した。

同会議は家賃保証業の登録制導入や晋也早朝の督促の禁止、違反業者への
営業禁止などを盛り込んだ規制法を提唱。
公的保証人制度の創設などを求める宣言を採択した。
代表幹事の増田尚弁護士は「低所得者向けの住宅政策が貧弱なことが
被害の背景にある。国は法整備を急ぐべきだ」と話した。


このような取組みもなされているので、低所得者向け住宅施策の整備が
急がれるところであろう。
この整備は派遣切りにより寮を出ざるを得ない派遣社員たちの住宅の
確保と共に、早急に求められる喫緊の政治課題であろう。
民間だけでできることはしれている。

今こそ、政府の役割が求められるところであろう。

また、この問題については以下のHPを参考にされたい。
敷金問題研究会HP
http://hccweb5.bai.ne.jp/~hea14901/index.htm


江東バラバラ殺人、星島被告に無期懲役判決
2009.02.19

18日10時4分毎日jp記事はこう報じた。

東京都江東区のマンションで昨年4月、会社員の東城瑠璃香さん
(当時23歳)を殺害したとして、殺人や死体損壊などの罪に問われた
元派遣社員、星島貴徳被告(34)に対し、東京地裁は18日、
「死刑の選択も考慮すべき事案だが、死刑をもって望むのは重すぎる」
として、無期懲役(求刑・死刑)を言い渡した。

星島被告は初公判で「違っているところはございません」と起訴内容を
認め、被告人質問では「死刑でおわびするしかないと思います」と発言。
争点は量刑に絞られていた。
検察側は「過去に類を見ない悪質な犯行」と死刑を求刑し、弁護側は
「起訴内容を認め反省している」として無期懲役が相当と主張していた。

平出喜一裁判長は「「性奴隷」にしたいとの動機は極めて身勝手で
自己中心的。遺体を細かく切断して投棄した犯行は死者の名誉や人格、
遺族の心情を踏みにじる極めて卑劣な犯行」と非難しつつ、
「殺害された被害者が1人の場合、死刑を選択するには他の量刑要素に
相当強度の悪質性が必要」と指摘した。
そのうえで、
(1) 殺害方法は執ようと言えない
(2) 実際にわいせつ行為はしていない
(3) 殺人や死体損壊・遺棄に計画性がない
などを挙げ、無期懲役を選択した。

公判では、検察側が裁判員制度を見据えた視覚に訴える立証を展開。
法廷の大型プロジェクターには、下水道菅から発見された東城さんの
遺体の肉片や骨片の写真を映し出す場面もあった。
遺族の一部が号泣して退廷する場面もあり、ビジュアルな立証方法が、
遺族や裁判員に与える心理的影響についての課題も浮かび上がった。


昨年春に社会を震撼させた江東マンションバラバラ殺人事件の地裁判決は、
星島被告に無期懲役という判決が下された。

検察側のコメントを考えれば、高裁に控訴されるものと思われるが、
前例主義の裁判実務を考えると、最高裁まで上げても、
死刑判決が下されるか、微妙な問題であろう。

感情的には納得いかない判決であるが、実務的には妥当と言わざるを得ない。

それにしても、3人以上殺さないと死刑が適用されない前例は
何とかならないものだろうか。
平出裁判長も、1人しか殺していない事件で死刑を適用するため、
(1) 殺害方法は執ようと言えない
(2) 実際にわいせつ行為はしていない
(3) 殺人や死体損壊・遺棄に計画性がない
という3つの要件を提示してきているが、
時代が変わり、社会が求める安全を維持する機能を裁判所も果たすためには、
前例を改め、新たな基準を模索する必要も出てきているのではないだろうか。

現実社会に則した研究を刑法学者の皆様にも要請したいところです。

私の勝手な意見ですが、平出裁判長が示した3基準の中で、
(1)については、星島被告には確かに適用は無理であろう。
しかし、特に(3)は、計画性がないことだけが悪質性の判断と
言えるのだろうか。

遺体をバラバラにして水洗トイレに遺棄するという殺害方法は、
計画性という点では計画性があったとは言い難いが、
死者の尊厳を冒涜し、死者を物としてしか取り扱わない殺害方法を
残忍と言わないのだろうか。

さらに、(2)についても、星島被告の犯行動機は「性奴隷」であった。
女性を人間としてではなく、物としてしか見ていないことは、被害者に
対してだけではなく、全ての女性の尊厳を踏みにじるものではないだろうか。
実際にわいせつ行為をしていないことが、この犯行の残忍性を否定する
基準になることに憤りを感じる。

今年5月からスタートする裁判員制度が円滑に機能するためにも、
法律家の常識を一般人の常識に合わせていくべきであろうし、
また、マスコミ等を通じて、法化社会への啓蒙活動をもっとやっていく
必要性も強く感じている。

私も国士館大学法学部で教員をさせて頂いている身として、
法のもつ意味を社会に浸透させることの必要性を痛感している。

法律が分かりにくければ分かりにくいほど専門家のもつ希少価値が高まるのは
事実ですが、分かりやすい法律であればあるほど、社会一般に法が浸透し、
法が持つ抑止力が強まるはずであろう。

星島被告の場合、事件当初は、「おれが捕まるはずがない」とでも
考えていたフシを感じるだけに、日本の警察の優秀性に感謝するとともに、
捕まったときのリスクを社会一般に浸透させていきたいものである。

また、私の本業である税理士についても、税金を安くしてもらうために
税理士を使っていると考える納税者が後を立たない。
適正な税額を計算するための国家資格ですし、普段の業務からの関与
だからこそ提案できるコンサルティングもございますから、
払うべき税金は払って頂きますが、払うべきではない余計な税金を
払わないようにご指導させて頂くのです。

脱税や租税回避のリスクを理解して頂きたいものです。


日経株式訴訟、元社員同士の譲渡認めず
2009.02.18

17日15時34分YOMIURI ONLINEは次のように報じた。

日本経済新聞社の社員株主制度を巡り、元社員同士の株譲渡が
認められるかどうかが争われた訴訟の上告審判決が17日、
最高裁第3小法廷であった。

堀籠幸男裁判長は、「日経新聞には、株主が売却する時には、
社員株主で構成される「日本経済新聞共栄会」が買い戻すルールがあり、
このルールは有効だ」と述べ、元社員2人の上告を棄却した。
元社員間の株譲渡を認めない判断で、日経新聞側の勝訴が確定した。

判決によると、元社員は2005年9月、保有していた同社株400株を
1株1000円で元論説委員に売却する契約を結び、同社に承認を求めた。
しかし、同社側は、「日刊新聞法などに基づいて株主は社員らに
限定し、株を譲渡する時には共栄会が1株100円で買い戻すことに
なっている」と拒んだため、2人は、元論説委員が株主であることの
確認などを求めて提訴した。


一見すると、従業員持株会をもつ会社や同族経営の中小企業にとって、
朗報とも言える判決が確定した。

ただし、時事通信17日17時30分ネット記事によると、
最高裁の判断理由には、
同社の譲渡ルールについて、日刊新聞法に基づく社員株主制度の維持が
目的であり、従業員に株の取得を強制していないこと、
配当が行われていること、等の理由から、合理性があり、公序良俗にも
反しないとされているようである。

つまり、判決をただ結果だけを見ていると、従業員持株会を通じて株を
取得している従業員に対して、株を手放す時には、従業員持株会が
買い取るというルールが認められたように見えるが、
実質は、特別法により社員株主制度が要請されているから、
従業員持株会が買い取るルールが有効とされたようなのである。

したがって、この判決が一般の会社にそのまま通用する可能性は
低いと言わざるを得ません。


それではなぜそんな記事を紹介するのか。

この文章は判決文を確認せず、新聞記事に基づいて書いていますが、
こういうやり方で判決のもつ意味を考えるのは、非常に危険なんですね。

判決文を読んでみると、表面的に見える内容とその前提条件等が
全く異なっている場合も多く、判断を誤る可能性も秘めています。

私自身、税務調査の現場で、ある判決文の読み方に誤りがあったことを
調査官に指摘されたことがありました。(06年M税務署)

この時は、判決文自体を確認していたのですが、
思い込みもあったのでしょうか。
闘えるつもりで意気込んで攻めたつもりが
返り討ちに遭ってしまった事例です。

社長も納得の上での修正申告でしたが、非常に悔しい出来事です。

ここでも多くの事件を紹介していますが、
生の判例を読んでいない税理士があまりにも多く、
非常に危険な状況であることは間違いありません。

例えば、いわゆる平和事件最高裁判決(平成16年7月20日判決)が、
我々税務専門家に対して高い専門家責任を課してきたことは
記憶に新しいところであろう。

詳しくは、税法学554号(2005年11月)に発表した
拙稿「税理士の専門家責任」を見て頂きたいところですが、
判決は「当時の裁判例等に照らせば、被上告人の顧問税理士等の
税務担当者においても、本件貸付けに本件規定が適用される
可能性があることを疑ってしかるべきであった」として、
納税者に謝った税務指導をした税務専門家の責任を問うような
判決であったのである。
それも、誤った指導をした税理士の根拠となったのは、
大蔵財務協会発行の所得税実務事例集であり、その当時の
執筆者は、官職名も付していたものであった。
それでも、裁判例等に照らして判断することを要求されていることを
我々税理士は肝に銘じる必要があろう。

判例紹介に拘るのは、情報発信の必要とともに、情報のミスリードを
避ける必要が、職業倫理的にも求められているからである。


新銀行東京、旧経営陣に110億円の賠償請求へ
2009.02.17

17日8時5分産経新聞ネット記事はこう報じた。

東京都が1000億円を出資して設立し、昨年4月に400億円を追加出資して
経営再建中の新銀行東京(津島隆一代表執行役・東京都新宿区)の
経営責任をめぐり、同行は16日、不適切な融資が経営悪化を招いたとして、
仁司泰正元代表執行役(68)ら旧経営陣2人に計110億円の損害賠償を
請求する方針を固めた。
訴訟を通じ、背任罪を視野に本格的な刑事告発の検討にも入る。

弁護士らで作る外部調査委員会は同日、仁司元執行役ら旧経営陣の
「独善的な業務運営」が経営悪化を招いたとする答申をまとめ、
同行に提出した。
これを受け、新銀行は、損害賠償請求の提起で仁司元執行役らの
経営責任の明確化を図る。
また、当時の取締役に対し、経営監視に不備があったとして役員報酬の
返還を求める。

外部調査委員会は、平成17年4月の開業から18年12月までの間、旧経営陣が
適切なデフォルト(債務不履行)防止策を取らずに融資拡大路線を推し進め、
同行に多大な損失を与えた点を重視。
数ヵ月後の破綻が予測でき回収不能が明らかな企業への融資を積極的に
推奨したり、容認していたと指摘した。

また、仁司元代表ら元執行役が取締役会に対し、事実とは異なる「楽観的」な
報告を行い、正確な情報を意図的に隠蔽したとの見方を強めた。

内部調査などによると、新銀行は昨年3月末時点で融資先2300社以上が破綻、
総額約285億円が回収不能となった。
「返済が滞ってもまともに回収しない状態」(元行員)が続き、
行内のモラルハザードが蔓延していたという。
新銀行設立を主導した石原慎太郎知事は、これまで「経営者の才覚に
問題があった」などと旧経営陣の責任を繰り返し強調していた。

新銀行は昨年12月に金融庁から業務改善命令を受け、1月に全役員10人の
報酬の30%を1ヶ月減額する社内処分を明らかにした。
今月12日に発表した平成20年4~12月期決算(非連結)では、最終損益が
73億円の赤字(前年同期赤字は89億円)だった。


ずさんな融資基準で経営破たん寸前の新銀行東京は、
とうとう元幹部に対する損害賠償請求にまで発展したようですね。

その原因がどこにあったのか究明するためには、
新銀行が自ら訴訟を提起することはいいことなのかもしれない。

訴訟の場で争われるのは、旧経営陣のずさんな融資基準を誰が主導したのか、
というところになるであろう。

朝日新聞によると、仁司元執行役は昨年の朝日新聞の取材に対して、
「「都や専門家の作った当初計画通りの展開をした」と主張。
「もともと年間経費が150億円かかる銀行規模のため、6千億円の融資残高が
ないと黒字にならない計算だった」と都が作った同行の構想に無理があった
との考えを示していた」(asahi.com17日6時1分記事)という。

仁司元執行役ら旧経営陣の暴走なのか、都の計画がずさんすぎたのか、
政治家の思惑を外れる法廷の場に、原因究明の場が移されたのは、
非常にいいことではなかろうか。

また、他人のお金だと思って、適当に使ってしまっていたのであれば、
その責任をきっちり取って頂くべきであろう。
その責任がどこにあったのかが明確にならなければ、
誰が責任を負うべきなのかはっきりしない。

仁司元執行役が主張する都の計画通りにやったのだから責任はないというのは、
経営者として会社経営を受けた以上、言い訳に過ぎないのではないか。

都の計画に無理があるのであれば、なぜそれを是正する努力をしなかったのか。
もし是正する努力をしたけれども、都議会の反対で出来なった場合や、
知事の反対で出来なかったのであれば、その責任は都議会であり、知事にあろう。

経営者である以上、従業員や顧客、株主等、関係者の利益を守るために、
体を張るべきであろう。

体を張ったけれども、都に押し切られたのか?
そういう面も多少はあるかもしれないが、それだけではあるまい。

自分たちが突き進めたビジネスモデルが失敗だったと気が付いたときに
その変更を決めるのは、経営陣の叡智ではないのか。

ウソの報告をして取締役会の判断を誤らせたのであれば、
その責任は甚大である。

トップが責任を取る社会が確立されてこそ、
下が思い切り動けるんではないでしょうか。

責任の取り方が出来ていないわが国の現状は憂うばかりである。


小渕優子少子化担当相、第2子妊娠
2009.02.16

久しぶりに政治に嬉しいニュースが入りました。

少子化担当相の小渕優子衆議院議員(35)が第2子を妊娠、
9月に出産予定であることが、15日、小渕氏の地元、
群馬県富岡市での講演会の会合で明らかにされた。

小渕氏は07年9月に長男を出産しているので、第2子になるという。

麻生内閣の客寄せパンダ的存在と目されていた小渕氏であるが、
自身が現在進行形で取り組んでいる子育てについて、

安心して子育てが出来る社会
安心して第2子第3子が産める社会

を政治課題として取り組んでいることが現在のポジションに
抜擢された理由でもあった。

私も子育て中(1歳4ヶ月の娘がいます)ですが、
東京の中でも働きながら子育てをするには最も環境が劣悪なところの
1つである江東区に住んでいるため、希望する保育園に入れるのに、
わずか6ヶ月で保育園に入園させる決断をせざるを得ませんでした。

といっても私は殆ど何も手伝えていないのが現実で、
嫁さんと彼女のご両親に負担の殆どがいってしまっているので、
偉そうなことは何もいえませんがね…

住民が増えている地域には保育園の増園を期待できるところですが、
住民の高齢化が進む地域に増園を期待する方が無理です。

そういう意味では、少子化担当相の妊娠・出産は、
嬉しいニュースではないでしょうか。

確かに、産休中は小渕大臣の代わりを誰かが務めざるを得ず、
任務を全うしていないのではないかとの批判もあるでしょう。

しかし、現場感覚がとかく薄れがちな永田町の人々の中で、
最も身近な問題として現場の人間として問題に直面している者が
担当大臣として職務執行のチャンスがあるということを喜びたいですね。

わが国は、働く女性に厳しい社会だと思います。

少子化担当相には子育て経験のある、それも複数の子どもを育てたことのある
女性議員が当たるべきだと常々思ってきただけに、
これからの小渕大臣の活躍、そして、小渕議員に続く
永田町を支える女性たちにエールを送りたいと思います。


マイケル・ボルダック 目標達成する技術
2009.02.14

今日は、成功したいというモチベーションを高めてくれる本を
紹介したいと思います。
アマゾンランキングで1位になりましたので、ご存じの方も多いと
思いますが・・・

マイケル・ボルダック「目標達成する技術」
(堀江信宏訳、フォレスト出版2008年12月)

マイケル・ボルダックは、世界No.1コーチのアンソニー・ロビンズ
の下で修行し、アンソニー・ロビンズ社の副社長を経て独立した
世界有数のコーチです。

本書の特徴は、6-7ページにもあるように、以下の4つの点にある。

・すでに千数百人の人が結果を出している!
(収入だけでいえば、1063人が60日で41%以上収入をアップさせました)

・単なる成功哲学でなく、すぐに使える実践的スキルである!
(成功法則本に書いてあるような単なるポジティブシンキングなどではない、
すぐに使える結果が出る方法です)

・すでに多くの日本人が体験して結果を出している!
(私はタイに住んでおり、定期的に日本で活動していることから、日本人の
クライアントが圧倒的に多く、日本人のことを理解している)

・どんな目標にも効果がある!
(ビジネス、ダイエット、投資、勉強、資格試験、人間関係、健康・・・など、
どんな目標でも達成可能です)


成功するために必要なことは、ゴールを特定すること(78ページ~)です。
具体的にどうしたいのか。

私も大学生や大学院生たちによく話していますが、論文を書くに当たって、
結論を決めなさいということですね。
落とし所というか、どこに行きたいのかが明確にならないために
泥沼にはまってしまうわけです。

ビジネスでも同じですね。
何のためにビジネスを起こしたのか。
何のために仕事するのか。
どうしてこの会社に入ったのか。

それをいつまでも覚えていることは難しいかもしれないですね。
なぜか。
マイケル・ボルダックは、モチベーションが続かない理由(87ページ)として
次の点を指摘します。

私たちは、
・痛みを感じることでやる気が出てきます
・やる気が行動を起こします
・行動すると結果が出ます
・進歩すると痛みが消えます
・その結果、痛みがなくなると、やる気もなくなります

痛みを感じられなくなるからモチベーションが下がるというのですね。
しかし、ゴールまでたどり着いていなければ、モチベーションは保てるでしょう。


具体的な中身については、本書を読んで頂いた方が早いし、
本物だけが持つ輝きにも触れることができるはずです。

私自身、ある方にコーチングを受けておりますが、そのコーチも
アンソニー・ロビンズや本書の著者マイケル・ボルダックといった
世界有数のコーチに教えを受けた方です。


また、前回のセッションでは、待ち時間の間、インターンで来ていた学生
(偶然でしたが、法政の後輩でした)とも話をしましたが、いつも
刺激を頂いてきています。

私自身が成功者にならなければ、信用されないかもしれませんが、
私自身のゴール、30年後、山本先生のような存在になれるよう、
頑張りたいですね。


メリルリンチ、買収される前にボーナスを前倒し支給
2009.02.13

12日4時38分トムソンロイターのネット記事はこう報じた。

米メリルリンチが、秘密裏にボーナスを前倒して支払い、従業員
700人近くに対して少なくとも一人当たり100万ドルを支払っていた
ことが分かった。

ニューヨーク州のクオモ司法長官が下院金融委員会のバーニー・フランク
委員長(民主党、マサチューセッツ州)に宛てた書簡で明らかになった。

メリル幹部は2008年12月、同社が第4四半期に153億ドルの損失を
計上する一方で通常よりも早い時期に同年のボーナスを受け取っていた
としている。

ロイターが入手した書簡のコピーによると、司法長官は「われわれが
要請した透明性の高い方法でのボーナス計画の開示ではなく、メリルは
ボーナスを支給するために支給日を前倒し、失敗した幹部に高額を
支払ったようだ」と述べた。

司法長官によると、メリルの08年ボーナス総額は36億ドルで、従業員
1人当たり平均9万1000ドル。トップ149人に対しては合計8億5800万ドル、
696人が少なくとも100万ドルをそれぞれ受け取っていた。

メリルを買収したバンク・オブ・アメリカのルイス最高経営責任者(CEO)
は金融委員会の公聴会での質疑応答で、今後大きな変更が行われる見通しだが、
実際に会社を所有するまで変更は不可能、と述べた。


なんとも悪質な話ですね。
アメリカらしいといえばアメリカらしいのかもしれませんが・・・

バンカメが救済的に買収したはずのメリルリンチは、買収されたら
もらえなくなるであろうボーナスを買収前にもらっちゃったんですね。

自分さえ儲かればいい、という考えが蔓延していたアメリカの経済界の
腐敗も、ここまでくると、呆れるしかないですね。

成功報酬的に短期の利益にしか目が向かず、長期的な成長を意識した
投資がないがしろにされてきたわけですが、彼らの発想には、
ゴールデンリタイアがあるんですかね。

自分が辞めた後の会社がどうなろうと知ったことではないんでしょうね。

日本人のメンタリティーには合いそうにもありません。


法律に対する考え方自体が、東洋と西洋では違いますから、
分かりにくいかもしれません。

やってはいけないことを規定するのが法律だ、法律に書いていないことは
やっていいことだ、と考える欧米的な法律のとらえ方は、我々日本人には
理解しがたいところですね。
私たちの基本的な考え方は、法律というものは規範であって、法律に
書いていなくても、やるべきではないことはやらないというものでしょう。

税法においては、法律に書いていないことを上手く使って(悪くいうと
法の網の目をぬって)税金をできる限り安くする租税回避スキームは、
外資系投資銀行を中心に各種の方法が次々と開発されている。

租税法律主義を強く打ち出すのであれば、税法に書いていないことに
課税することは許されないことになるので、租税回避が成立する。

しかし、もう1つの大原則である租税公平主義からすれば、不公平感を
増幅させるような租税回避は否認されるべきであろう。


今回のメリルリンチのやり方にしても、経営の失敗を買収により
救済してもらいながら、自分たちの報酬はまず確保することに抵抗感が
ないのでしょうね。

恥も外聞もいらないのでしょう。

別業界ですが、会社の救済に公的資金投入を希望しながら、自家用
ジェットで移動するような会社もありましたよね。


やってはいけないことではないのでしょうが、我々の常識からは
理解できない感覚ですね。

我々も襟を正して、やるべきではないことに「NO」と言いたいものですね。


年金受給者無料相談に行ってきました
2009.02.12

今日2月12日、年金受給者無料相談の相談員として、
葛飾区金町地区センターに行ってきました。

今日の来場者はいつもの無料相談と比べても格段に多く、
申し訳ありませんでしたが、受付の判断で午前中のうちに
本日中の相談の受付を打ち切らざるを得なかったそうです。

9時半からの相談の予定でしたが、8時半に会場入りした時点で、
もう会場前のロビーは来場者でごった返していました。

そんな中で会場設営し、相談を承った次第です。

我々税理士も、社会貢献事業の一環として、ボランティアとして
確定申告時期に、年金受給者や小規模事業者に対する
無料相談を毎年行っている。

今日の来場者にいらっしゃいましたが、こんなに待つなら、
先生の事務所にお伺いしたい、と言われた方がおりました。

申し訳ありませんが、ボランティアとして参加している時の
無料相談は当然なのですが、事務所に来て頂いてとなると、
我々も商売として事務所を構えている以上、いくばくかの
料金を頂戴させて頂くことになりますね。

我々は、ボランティアとして社会貢献も行いますが、
まず何より、クライアントから頂戴する顧問料や申告料、相談料で
生活しているわけですから。

また、無料相談会場だから何でも無料でというわけにもまいりません。

今日は年金受給者を対象としたものですから、
年金関係のことについては無料相談の対象として対応させて
頂きますが、年金受給者であっても、事業者であったり、
書類が揃っていないにもかかわらず、これでやってくれと
言われても、対応は致しかねます。


来週からはいよいよ確定申告シーズンです。

私も今日から確定モードに突入です。
来週2月16日(初日)と来月3月4日(金町会場最終日)に
税理士会による無料相談会の相談員として、今日と同じく
葛飾区金町地区センターに行く予定になっています。

初日と最終日なので、今日同様、相当の混雑が予想されます。

事故のないよう、つつがなく社会貢献事業を終えたいものです。


ビジネスゲーム 誰も教えてくれなかった女性の働き方
2009.02.11

今日は、特にこれから社会に出る女子学生に読んでもらいたい本を紹介します。
現役のOLさんにももちろん読んでもらいたいし、男性が読んでも
参考になる本だと思います。

「ビジネス・ゲーム 誰も教えてくれなかった女性の働き方」
(ベティ・L・ハラガン著 福沢恵子・水野谷悦子訳
光文社知恵の森文庫 2009年1月)

本の帯には、

勝間和代氏絶賛!!
私の人生を助けてくれた本
この本を手に入れてから、私は社会人生活が一変しました

とあります。

本書は、アメリカで1977年に出版、
訳書が1993年に出版された本の文庫化です。
1度廃刊になっていたそうですが、
文庫で再販されることになったのです。


翻訳者の1人、福沢さんは、大学時代に「女たちの就職手帳」の
創刊に関わった方で、私にとっては大事な友人の一人です。
今は日本女子大学客員教授(キャリア開発論)になられています。

偉ぶらない方なので、知り合った当時は、こんなに凄い方だとは
思わなかったですね。
その印象は今でも変わりませんが、フェニミズムやキャリア開発の
世界では、非常に有名な方なんですよね。

本書のありがたいのは、1度読んでからもう一度全部読むというよりも
読み直したいところにすぐ戻れるという点にあるかもしれません。

これを可能にしているのが本書187ページ以下の
「ビジネス・ゲーム 金言集」です。

本書のエッセンスはここに出てきていますから、
金言集を確認して、何度でも読み返してもらたいものです。


女性が男性社会で対等に働いていくための心構えとノウハウを
詰め込んだ本書ですが、我々男性が読むべきなのかもしれません。

差別というのは、差別する側にはわからないものです。

差別している本人にその気はなくても、
そのことを気にしていることにとっては、差別的であることが多いのです。

私を含め、世のオジサン世代はとかく部下に付いた
女性の気持ちがわかりません。

伝統的に男性社会として確立されてきたビジネスの世界では、
男性的な理屈がまかり通るため、それで済ませてきた気がします。

しかし、女性の力を十分に引き出していかなければ、
これからの少子化の時代、社会の活力を失う事にもなりかねません。

だからこそ、女性の視点から書かれたこの古典的名著が
求められるのかもしれません。


古典的名著と書きましたが、その中身は一切色褪せていません。


会社という組織を考える場合、軍隊になぞらえることは多いですね。

本書でも、24ページ以下には、
1)目的が明確であること。軍隊は国を守るため、具体的には
戦争に勝つために存在し、企業は利益を上げるために存在する。
2)大きな組織がいくつものセクションに分割され、それぞれの
セクションに管理する人間が配置されている。
3)組織の中では一種の「チーム・スピリット」が要求される。
自分の上官・上司に対して逆らうことは許されない。
という3点を挙げ、ビジネスと軍隊の共通性を指摘する。

そして、ビジネスで成功するためには、まずは組織における役割を
全うする必要があることを指摘する。

ピラミッドの中に生きている人間(あなたはまさしくその一人です!)
は、自分の属する階級の仕事をきちんとこなしてこそ評価されます。
誰か別の人の仕事をしてあげても、それはあなたの仕事の評価には
なりません。
仕事が完了した時、それは誰がやったかは問題ではないのです。
仕事熱心な女性は、その情熱のあまり「仕事が自分を必要としている」
と勘違いしてしまい、無駄なエネルギーを使ってしまう傾向があります。
しかし、ここでもう一度はっきり言っておきますが、組織の中では
「自分の仕事」をすることこそが大切なのです。(29ページ)

どんなスポーツでもプレイヤーは自信を持ってプレイするように
教えられます。
もし、自信なさそうな態度でゲームに参加していたら、対抗チームは
すかさずそのプレイヤーに集中攻撃をかけてくるでしょう。
ビジネス・ゲームについても同じこと。
あなたは自分の仕事上の役割を恐れることはありません。
ただ、それを「演じる」ことができればよいのです。
もし、あなたが重要な会議に紅一点で出席しなくてはならないような
状態に置かれたら、目立たないように行動するのはやめましょう。
どんなに目立たないように振舞っても、あなたは注目されているのです。
それなら開き直って、どんどん積極的に発言し、その場の雰囲気を
自分のペースにしてしまう方が賢明というものです。
これは、会議に限らず、どのような場面についても応用できます。
あなたは自分に与えられたチャンスを恐れず、十分に利用する態度を
貫くことがゲームに勝つ秘訣です。(155-156ページ)


皆さんが、ビジネスで成功するよう、期待しております。


キャノン工場建設で口利き、2.9億円脱税容疑で逮捕
2009.02.10

10日3時3分YOMIURI ONLINE記事はこう報じた。

大手精密機器メーカー「キャノン」が大分市に開設した工場などを巡り、
同市のコンサルタント会社「大光」などグループ3社が2006年までの
3年間に、工事を受注した大手ゼネコン「鹿島」などから得た
仲介手数料や裏金などを含む計30億円の所得を隠していた疑いが強まり、
東京地検特捜部は9日、一部の脱税工作に関与したコンサルタント会社
社長・難波英雄容疑者(61)(兵庫県宝塚市)ら5人を法人税法違反(脱税)
容疑で逮捕した。

特捜部では、大光の大賀規久社長(65)についても容疑が固まり次第、
逮捕する。

3社は、大光とコンサルタント会社「ライトブラック」(大分市)、
内装工事会社「匠」(東京都千代田区)で、いずれも大賀社長が
代表取締役を務めている。
発表などによると、難波容疑者らは大賀社長と共謀、所得隠しの
疑いがある30億円のうち、ライトブラックの06年5月期までの2年間の
所得約9億7600万円を隠し、法人税約2億9200万円を脱税した疑い。


この件について、10日1時30分時事通信社ネット記事はこう報じた。

キャノンの工場建設をめぐる脱税で、大賀規久社長(65)と同郷に知人で
日本経団連会長の御手洗富士夫キャノン会長は9日の定例記者会見で、
「事件そのものの関与は全くなく、私のあずかり知らないところで
行われた」と述べた。

大賀社長が建設業者の選定で影響を与えたかに関しては
「鹿島に一括発注しており、その先について、うちがどうこう
言うことはあり得ない。
彼(大賀社長)がどういう行動を取ったかも知らない」と説明。
その上で、「うちの人間がやっていないことは、調査の結果、」
確認されている」と述べ、キャノンの関与を改めて否定した。

キャノンの御手洗会長も誤解されかねない位置にいる事件だけに、
今後の動向が気になるところですが、
そもそもなぜ脱税する動機が生まれるのか。
建設業界の悪しき慣習である「裏金」の存在抜きには考えられない。

今回の事件も、ライトブラック社は「キャノン関係の工事を
あっせんした謝礼の趣旨で鹿島などから裏金を受け取ったという」。
(9日22時49分asahi.comネット記事)

おそらくは大賀社長と御手洗会長が同郷で知人関係にあることを
担当者は知っていたのであろう。
ビジネスとはいえ、担当者は人間である以上、上司の覚えめでたく
ありたいと思うのは当然のことであろう。
見積もり自体が適正なものであるならば、上司の覚えめでたく
なるような人脈を作ろうと、関係者に落札させても不思議ではない。
それも、今回のケースでは、見積もり自体は鹿島からである。

そういう意味では御手洗会長のあずかり知らないところで起きた
事件と言うこともそうだろうなと思う。

ただ、裏金を受け取ったとしても表に出せない金であれば、
それは脱税犯として断罪されるべきである。
バックマージンを含め、表に出せないのであれば、
経費であれば、使途秘匿金として、損金不算入。
もらった側が面に出さなければ、それは脱税ですから、
もらった側は益金算入しなければならないものでしかない。

建設業界における悪しき伝統は、政界の悪しき伝統にも
繋がっているように思う。

裏金を益金算入せず、申告しないというのは、不透明な政治資金と
何が変わろうか。

残念ながら、申告納税制度の本質が理解されていないわが国において、
我々税理士が記帳代行をベースに食っていること自体、
悪しき伝統なのかもしれません。

私も記帳代行をやらないとはいいません。
ただ、帳簿をつけていれば税法上の特典として青色申告を認めますよ、
という制度自体が、申告納税制度の本質が理解されていない
証左でもあるのですね。

裏金を捻出可能な今の制度は既に制度疲労を起こし、
時代にそぐわないものになってきている。

脱税自体は絶対に許せないとんでもない「犯罪」でしかありませんが、
それを生む温床を根絶していく努力をしていかねばなりません。

これを国に任せておけないのであれば、それこそ、
民間のプロフェッショナルである税理士や公認会計士が中心になって、
行動を起こす必要があるのではないでしょうか。


他の税理士が投げ出した税務調査のその後
2009.02.09

10月のコラムに書いた他の税理士が投げ出してしまった税務調査の話が
ようやく決着がつき、税務署から更正処分が届きました。

その時に、
「今は調査官からの連絡待ちになっていますので、どうなるか判りませんが、
調査官の対応からすると、理由のある主張にはきちんと応えてくれる
のではないかと、期待しているところです。」
と締め括りました。

税務署を安易に信じるわけにはいきませんが、
理屈が判っている方が担当だと、やっぱりいいですね。
約半年かかりましたし、追加提出した資料もかなりの分量になりましたが、
こちらの言い分を理解して頂き、こちらの主張どおりの更正処分が頂けました。

重課さえにおわされた案件でしたが、当初の処分を全部取り消し、
当初申告是認ということになりました。

大変な調査でしたが、やりがいのある調査でしたね。
また、担当調査官にも上司の説得にご尽力頂き、ありがとうございました。

こういう結果があるから、闘う税理士をやめられないんですよね。

私自身が身に染みていることですが、税理士が一人だけでやっていることの
リスクをまともに見てしまった案件でもあったのかな、
というのが率直な感想ですね。

前の税理士はかなりお忙しい方のようですが、スタッフを使われていないため、
たった一人で走り回っていらっしゃるそうです。

そういう方が難しい案件を抱えてしまえば、通常業務に差し障るでしょうし、
対応が片手間になってしまいがちです。
私も2年前までそうでした。

私の場合、体調を崩している時に、受験時代の友人が以前の事務所を
退職していたので、私の名代として来てもらったのがキッカケで、
スタッフを雇うことになりました。

おかげで、今は彼らの給与を払ってあげるため、給与を増やしてあげるために
走り回っているような感じもありますが、
クライアントの安心感はかなり違うようですね。

私が外の仕事ができるのも彼らのおかげでもありますが、
クライアントが安心してくれるということの方が、意味は大きいですね。

税理士は、クライアントとともに共存共栄。
一緒に大きくなっていくものだと思うし、
苦しい時には、一緒に乗り越えていく道を模索していくものではないでしょうか。

自分ひとりが忙しく走り回って、お客様目線を忘れてしまっては、
税務署の方を向いて仕事をしていると変わらなくなってしまうような気がします。

今回の私のケースのように、証拠(状況証拠でもしかたがないかもしれないが)
さえきちっと用意することが出来れば、ちゃんと判ってくれるはずです。

プロフェッショナルの矜持を持ち、クライアントのために闘いましょう!


戸井十月「ゲバラ最後の時」
2009.02.08

今日は、自分の理想に向けて不屈の闘志を燃やし続けた男の物語を
紹介したい。

戸井十月「ゲバラ最後の時」(集英社2009年1月)です。

NHKハイビジョンのドキュメンタリー「チェ・ゲバラ――遥かな旅」
(2007年2月放送)での取材、撮影時に行われたインタビューを基に
執筆された本書は、文章に慣れていない方には読みにくいかもしれない。

しかし、ゲバラに影響を受けた彼らの言葉から示唆されるものには、
本物のもつ重みのようなものが感じられる。

私は、チェ・ゲバラのことは、最近公開された映画の宣伝CMで知った。

現代史には疎い部分があり、特に私を含み、日本人は中南米の歴史には
非常に疎いと思います。
アメリカの思想統制に基づいた現代史を学ばされたものにとって、
キューバ革命の英雄のことは、ほとんど知られていないのが実情だ。

本書を読んでの率直な感想は、イデオロギーに偏った偏向者としての
イメージではなく、後進の教育に熱心なナショナリストであった、
ということである。

本書35-36頁の、ゲバラの遺体が発掘された1997年、ゲバラの遺体が
キューバに帰国した際のカストロ議長の演説は印象的である。

「私たちは、チェと、その同志たちに別れを告げに来たのではなく、
出迎えのために来たのです。
チェは、道徳の巨人です。
彼のように純粋で、真の尊敬に値する人間の存在は、腐敗した政治家や
偽善者がはびこる今こそ、より一層際立って見えます。
チェの理想が実現していたら、世界は違ったものになっていたでしょう。
戦士は死ぬ。
しかし、思想は死なない。
チェは、全世界の貧者の象徴として永遠に生き続けるでしょう。
君が勝ち取ろうとした理想を実現するため、今も困難な闘いを続けている
我々を助けるために君たちが戻ってきてくれたことに感謝します。
ようこそ、英雄的な同志たちよ。
より良い世界をつくるために闘い続けましょう。
永遠の勝利の日まで」

本書42頁はこう記す。
「ゲバラを最も深いところで突き動かしたのは、人間愛と正義感だった。
ゲバラは言っている。[愛のない本物の革命家なんて考えられない]と。
ゲバラは偏狭なイデオロギーに囚われていたのではなかった。
もっと広く分かりやすくてシンプルな、それゆえ実現されることが
困難な理想世界を求めて闘い続けたのだ。
ゲバラは実に人間臭い男だったが、信念を貫くことについては
少しもブレることがなかった。
筋の通った生き方と死に方
それが、チェ・ゲバラという男の核であり、芯だった。」

同じく141頁にはこう記す。
「チェは教育を重視していました。
革命軍の兵士たちが最低限の知識と教養を身につけることはかれにとって
最優先事項の1つだったのです。
彼は、革命を前進させるためには銃が撃てるだけでは駄目で、教養と知識を
身につけて一人の人間として成長しなければいけないと考えていました。
チェは、ゲリラ兵士は社会変革者であり、破壊者ではなく創造者なのだと
いつも言っていました。
創造するためには知識も教養も技術もいる。
だからこそ、人間として常に学ぶ姿勢が必要なんだと。
チェは、それを他人に強制するのではなく、自分自身が率先して
誰よりも学ぶ男でした。
チェは、キャンプの中でもいつも本を読んでいましたよ。」

彼らの革命思想を肯定する気はないが、「今のために」ではなく、
「将来のために」今何ができるのかを考え、信念のために命を惜しまなかった
彼の生き様には、我々が置き忘れてきたものを見せてくれている。

特に政治家の皆様には、今こそゲバラのその信念と生き様を心に刻み、
将来のために何をやるべきかを考えるべきであろう。

私が大学や税理士会で啓蒙活動に従事するのも、税を知ることが
社会正義の実現に不可欠であると信じるからであるが、
税を知らないことで不利益を被る方が多すぎるからでもある。

誰かがやらなければ、業界自体も崩壊の危機に陥るかもしれない。

学生のうちから、物を考える習慣をつけておけば、
将来の日本は変わるかもしれない。

ダメもとでも、何かやっておきたいではありませんか。


法政大学において日税連の寄附講座
2009.02.07

昨日6日、日税連の寄附講座を法政大学で開催するための打ち合わせが
ボワソナードタワーで行われました。

コーディネーターの神谷経営学部長は、私にとって恩師の一人でもあり、
また、法制会計人会の幹事の一人としても、寄附講座が成功裏に
終わるよう、精いっぱいのご協力をさせて頂いております。

4月10日の第1回講義には日税連の池田会長、
翌17日の第2回は、法政OBである東京税理士会山川会長にご登壇頂き、
最後の7月17日までの全14回、法政OB13名で、今年から3年間、
寄附講座をやることになっています。

私は7月10日予定の第13回講義、「税務調査と税理士」というテーマで
90分間講義させて頂く予定です。

大学院時代に「君の英語力では先はないよ。」と師匠にダメ出しされて
諦めた母校の教壇に立てるというのは、ある意味感慨深いものがあります。

税理士の専門家責任を主要な研究テーマの1つに掲げる私としては、
願ったりのテーマですが、OBの先生もいる中で、このテーマ、
私で本当にいいんですかね。

引き受けた以上は、期待に応えなければなりません。
実務と並行ですので、大変ですが、頑張りたいところです。


また、今年4月より、法政OBのM教授から推薦され、
某大学の法学部で税法の非常勤を引き受けることになりました。

大学では、国士舘、独協についで3校目の非常勤の経験になります。

期間限定ですが、業績・教歴になりますので、頑張ります。


お金にならないことばかりで忙しくなってきましたが、
将来への道を切り開くためにも、今が正念場かもしれません。

受験時代からの仲間である我がスタッフ達とともに、
私で出来ることを精一杯頑張りたいですね。


内定取消騒動の日本総合地所、経営破たんへ
2009.02.06

5日19時40分asahi.comネット記事は次のように報じた。

マンション分譲大手の日本総合地所(凍傷1部上場、東京都港区)は
5日、東京地裁に会社更生法の適用を申請し、受理されたと発表した。
負債総額は1975億円。
マンション販売不振に金融市場の混乱が加わり、資金繰りに行き詰った。
同社は昨年11月、学生53人の採用内定を取り消し、社会的な話題を集めた。

東京都内で記者会見した西丸誠社長は「金融機関の締め付けが非常に
厳しく、想像を絶する変化だった」と経営環境の激変を強調。
内定取り消しが報道で大きく取り上げられ、社会的な批判を浴びたが
「マンション販売現場では(お客さんに)怒られたが、販売には
影響なかった」とした。

日本総合地所は93年の設立。
主に首都圏で、ファミリー層を狙った「ヴァレーナ」シリーズ
マンションを分譲。
団塊ジュニア世代のマンションブームに乗り、業績を拡大し、
01年に東証2部、03年に東証1部上場。
08年3月期の連結決算は売上高1189億円、純利益46億円を計上していた。

しかし、一昨年夏のサブプライムローン問題浮上後、
拡大路線が裏目に出て、業績が急速に悪化。
昨年10月以降は資金繰りが切迫するようになったという。
今月3日には、09年3月期の連結業績が305億円の純損失に落ち込むと発表。
最後は、今月上旬の建設代金支払いのめどが立たず、行き詰った。

民間の信用調査会社、帝国データバンクによると、今回の負債総額は
08年度では、昨年8月に倒産したマンション分譲大手の
アーバンコーポレーション(負債総額2558億円)に次いで7番目の規模となる。


同じく5日20時50分共同通信ネット記事は次のように報じた。

今春入社予定の学生の内定取り消しが問題となったマンション分譲大手の
日本総合地所は5日、自力再建を断念し、東京地裁に会社更生手続きの
開始を申し立て、受理されたと発表した。
内定を取り消した53人すべてに対し、補償金100万円を支払済みと
している。
負債総額は1975億円。
不動産市況の悪化を受け、マンション販売が低迷。
金融機関が融資姿勢を厳格化し資金繰りも行き詰まり、事実上破綻した。

昨年、今春卒業の大学生53人に対して突然内定取消を言い渡して
社会問題化された日本総合地所が経営破綻した。

建築基準法の改正後、建築確認がなかなか通らなくなり、
事前の土地投資を自己資金ではなく、金融機関からの借入によって
行っていた不動産業者にとって、金利負担は馬鹿にならないものである。
さらには、リーマンショックに端を発した金融不況が、貸し剥がしを
引き起し、建築確認がおりずに塩漬けになってしまっているマンション
開発が不良債権化した案件とみなされ、返済を迫られるわけですね。

そういう意味では、デベロッパーの不動産会社は非常に厳しいですね。

この図式を変えないと、不動産業者の経営破綻はまだまだ起きる
可能性がありますね。


ところで、日本総合地所が内定を取り消した学生に支払った補償金って
所得になるんですかね。
学生時代から可愛がっていた後輩のT君が、色々と調べてくれています。
(彼は昨年末、国士館の学生向けに採用枠を採ってくれました。
税法の授業中に紹介した会社の人事部に勤務するFPです。)
彼が問い合わせた限りでは、国税庁では揉めているようですね。
所得なのか、損害賠償なのか。
この点については、2月中に彼と共著で論文にまとめる予定です。
これから掲載してくれる雑誌を探さないとなあ。


一般企業向け公的資本支援策、中小企業向けは7200億円
2009.02.05

4日20時30分時事通信社ネット記事は次のように報じた。

政府が検討している一般企業向けの公的資本増強支援策で、
日本政策金融公庫(日本公庫)の2009年度の損失補てん限度額
(1兆4684億円)の内訳が4日、明らかになった。
中堅・大企業への出資損失と融資損失の補てん見込みは7484億円と、
全体の半分にとどまることが判明。
残りの7200億円は中小企業向け融資損失への補てんへの備えとして見込んだ。

政府は出資損失の5割ー8割の補てんを検討中。
補てん割合を50-80%と仮定すると、出資損失見込み額は
最大で0.9兆ー1.5兆円となる計算だ。

政府は今国会提出の産業活力再生特別措置法(産業再生法)改正案で、
日本公庫が将来発生する損失の一部を補てんできる対象に、
日本政策投資銀行などが実行する一般企業への出資損失を追加。
09年度予算案で補てん限度を1兆4684億円確保したが、内訳は未公表だった。

中小企業の資金繰りが先細っている。
それだけに、日本公庫の融資損失枠がどれほどになるのか、
注目されるところでした。

財政基盤の脆弱な中小企業にとって、緊急融資の必要性が高まっているが、
セーフティーネット融資の審査さえ、非常に時間がかかっている
現状は、早急に改善が必要な状態であった。

今回明らかになった損失補てん枠が、予想以上に大きかったことは
厳しい経営を強いられている中小企業にとって朗報です。

麻生内閣の指導力に疑問符がでるほど遅々として進まない
中小企業対策ですが、何とか早急な是正を求めて行きたいものです。


対岸のアメリカでは、公的資金を受ける企業の幹部報酬の上限を
年間50万ドル(日本円約4500万円)に制限する方針を明らかにしている。
大統領は、金融・経済危機に拍車をかけた企業の幹部報酬に公的資金を
無駄遣いすることは認めないとし、「金融システムの回復のためには
信頼回復が必要であり、信頼回復のためには税金が金融機関の過剰報酬に
使われることが決してないようにする必要がある」と指摘している。
これに対し、金融大手ゴールドマン・サックス幹部は公的資金
約9000億円を返済する意向を示しているという。
(5日8時8分トムソンロイターネット記事、5日10時23分共同通信社ネット記事等)

日本でもアメリカほどではないにしても、公的資金の投入と
公的資金の投入を受ける企業の幹部報酬の制限は必要であろう。
乱脈経営の結果として税金を投入せざるを得なくなるような企業は
市場から退場して頂くこともその選択肢に入ってこよう。

昨日書いた天下りの件にしても、多額の退職金を支払いながら、
その財務内容のチェックを受けない公益法人への公的資金投入は
問題であろう。
また、旧経営陣(既に退職した天下り官僚)の責任を
追及しないことにも疑問がある。
公益法人といえども、民間企業である以上、説明責任とともに、
経営責任を明確にする必要がある。


そのためには、公認会計士監査の義務化、
または政治資金監査人制度ような制度を創設して、
会計の専門家といえる方々によるチェックを義務化するべきであろう。

外部にスピンアウトすることにより会計検査院の検査を免れる
現状のやり方は是正しなければならない。


これと同じ論理が公的資金の投入を受ける企業に対しても適用される。

公的資金の投入に対しては、公認会計士も、会計基準に対する適正性の
監査だけではなく、公的資金の使い道の適正性に対しても、
監視の目を向けていくべきであろう。

我々税理士もその役割の一端を担う必要があり、
その準備が求められるところである。


農水省OB、6団体を渡り、天下り所得3億2000万円
2009.02.04

4日8時5分産経新聞ネット記事はこう報じた。

民主党の細野豪志氏は3日の衆院予算委員会で、水産庁長官を務めた
農水省OBが天下りを繰り返し、少なくとも計3億2000万円の所得を
得ていたことを明らかにした。
このOBの天下り先の前任・後任者も同省幹部経験者で、細野氏は
渡りルートが確立している可能性があるとして、政府側に調査を求めた。

細野氏によると、このOBは地方競馬全国協会など6団体に天下った。
最後の天下りを除く、5団体への「渡り」により得た所得は
少なくとも1億7000万円に上るという。

農水省の佐藤正典官房長は「各団体から「適当な人物はいないか」との
紹介依頼があり、私どもから資料を渡し就職が行われた」と述べ、
このOBへの再就職斡旋を認めたが、前任者、後任者への斡旋の
有無については「把握していない」と答弁した。


昨日の予算委員会における民主党・細野氏の質問から明らかになった
悪質とも取られかねない天下りの渡り問題。
麻生首相は、天下りの省庁斡旋を年内に全廃し、2010年に設立される
「官民人材交流センター」に一元化することを明言した。

また、天下りの渡り問題については、明確な答弁を得られていないが、
何らかの対応がなされるべきであろう。


私は、天下りについて全面的に否定するつもりはない。

税理士会の約半数は23年間の実務による試験免除(ただし、
内部の特別試験・講習が義務)により税理士となった国税OBであることから、
「税理士は税務署の天下り資格なのか?」という疑問をもたないわけではないが、
わが葛飾支部の中には、OBだからこそ誰よりも経験に裏打ちされた
自信をお持ちになっている勉強家の先生方も数多くいらっしゃる。

学生時代の友人にも、教え子にも、国税専門官として税務署で勤務しつつ、
実務経験免除による税理士資格取得を夢見ている者も多い。

また、私の師匠である西野敞雄国士舘大学教授を始め、国士舘大学には
法学部に酒井克彦教授、政経学部に本庄資教授(現名古屋経済大学)、
辻富久教授、石川欣也教授等、キラ星のごとく優秀な国税OBの教授陣を
誇っている。

直接、ご指導を頂いて実感しておりますが、中央官庁には、天下りして
その才能を民間で活かして頂きたい優秀な人材が多いのも事実です。

友人の父親に建設省OBで本人の意思に反してオファーがあり、
断りきれずに天下りを繰り返した方もおりました。

そういう意味では、天下りの全てが悪だとは思わない。


しかし、問題は官庁からの斡旋により、天下りを繰り返す「渡り」である。

天下りを繰り返す渡りが、ヘッドハントとして成立しているのであれば、
その方の実力が民間で評価されてのことですから、天下りも社会のため、
渡りも社会のため、なのでしょう。

今回、細野議員が指摘した農水省OBのケースは、佐藤官房長が
答弁したように、農水省への紹介依頼があったとはいえ、
農水省からの斡旋によるものであった。

農水省から斡旋しないとどういう人がいるのかわからないほど、
民間でも評価されていない方が、農水省幹部だったということで
天下り先で暴利を得るのだととすれば、民間活力をそいでいるだけであろう。

そういう意味では、官庁による斡旋行為の全面禁止は、
不当な天下り防止への一里塚になる可能性を秘めている。

今後、一層の改革を求めたいところですね。


鎌倉市、固定資産税12年間取りすぎ、全額返還へ
2009.02.03

3日0時56分YOMIURI ONLINE 記事は次のように報じた。

神奈川県鎌倉市は2日、1997~2008年度の12年間にわたり、
家屋にかかる固定資産税と都市計画税の計算を誤り、
市民約1万2000人から計約1億6000万円を過大に徴収していた、
と発表した。

取り過ぎた分は、09年度中に全額返還する方針。

市によると、過大徴収のミスがあったのは、建築から20年以上
経過した木造家屋など約1万3500棟に対する課税処理。
評価額を計算する際は、建築材料などの価格変動を反映させるが、
97年度以降、材料価格などが下降していたにもかかわらず、
反映させなかった。

市資産税課で昨年8月、3年に1度行う固定資産の評価額の
見直し作業中、誤りに気付いた。
市の要綱では、過大に徴収した固定資産税の返還は過去10年分
までだが、今回は件数や額が多いことを考慮し、要綱を改正して
期間を延長し、全額返還する方針。


これまでも地方税の誤徴収が問題になったことは多いけれども、
後、断ちませんね。

税務大学校でみっちり仕込まれている税務署の職員と異なり、
地方税を担当する職員は、自治体の職員でしかない分、
税務行政のみを担当するわけではないため、どうしても
エキスパートが育たないのですね。

地方議会の議員たちによる政治主導体制もなかなか見込めず、
地方税におけるミスは今後も出てくることが考えられよう。

ただ、今回の鎌倉市のケースは、ミスがあったことは責められても
仕方がないであろうが、規定を改正してでも、全額を返還するという
その姿勢は評価されてしかるべきであろう。

神ではない以上、人間誰しも、ミスはあるもの。
それをできる限り是正することは、当然のことである。

ましてや、税金は国民から見れば、自分の財産を権力的に奪われるもの
でもあるわけだから、より慎重に、より正確であるべきです。

そういう意味では、全額返還を全ての地域に拡げていきたいですね。


確定申告シーズンを迎え、もう一度、昨年の資料を確認しつつ、
ミスがないように、お客様の利益を損ねることがないように、
頑張ろうと、気を引き締めているところです。


第43回スーパーボール
2009.02.02

日本時間2日(現地時間1日)、米フロリダ州タンパで
第43回スーパーボールが開催された。

今年は強力なディフェンスが売り物のピッツバーク・スティーラーズと
多彩なパスオフェンスのアリゾナ・カージナルスの対戦でした。

過去5回の優勝を誇る名門スティーラーズが、歴史はあるものの、
スーパーボール初出場であったカージナルスを破り、単独最多となる
6度目の優勝を飾った。

私はDEやアウトサイドのLBを中心に見ているので、スティールカーテン
と異名を誇る鉄壁のスティーラーズディフェンスは大好きですね。

ただ、今年に限っては、カージナルスのQBカート・ワーナーを
応援していました。

1日8時スポーツニッポンネット記事はこう伝えていました。

あのオバマ米大統領も“中年の星”であるワーナーに注目する。
相手のス軍ファンであることを明かした前日、
「ワーナーは出場する選手の中でだれよりも自分の年齢に近い。
(今年のカ軍は)シンデレラストーリーのようだ」と、
正確なパスでカ軍をスーパーボール初出場に導いたベテランQBにエール。
ラムズでは28歳だった00年にMVPに輝く活躍で初制覇したワーナー。
05年に移籍したカ軍を“チェンジ”させ、自身7年ぶり3度目の出場を
果たした。

しかし、この記事では私がワーナーを応援したい意味がわかりませんね。

ワーナーは大学時代にはNFLに全く相手にされず、その後3年間ほど、
時給5ドルのアルバイト生活をしながら草フットボールで腕を磨いた。
そこでの活躍が認められてNFLヨーロッパを経て、4番手のQBとして
セントルイス・ラムズに入団。
主力のケガにより得たチャンスをものにして、MVPの活躍で
スーパーボール王者にまで上り詰めた経験を持つ。

言うなれば、地元の高校、大学で、高いレベルでの注目を一切されない
投手が、クラブチームで注目され、育成ドラフトで巨人に入団。
主力のケガでもらった先発のチャンスをものにして、その年のタイトルを
総なめにしたような感覚なのでしょうか。

ただ、ワーナーも、02年シーズンでのケガを期にチャンスを失い、
NYジャイアンツを経て、お荷物に成り下がっていたカージナルスに
移籍して、今年もレギュラーを保証されない中、ベテランの味を発揮してきた。

それだけに、今年はワーナーを応援したかったのである。

試合はリアルタイムで見られませんでしたが、お互いの持ち味がよく出た
好ゲームでしたね。
前半はスティーラーズの鉄壁のディフェンスが機能して、前半終了直前には、
LBハリソン(92番)の100ヤードインターセプトリターンTDもありました。

後半は、ワーナーのパスオフェンスが機能し、前半終了時の13点差
(2TD差)をひっくり返したものの、残り35秒で力尽きた。

結果的には自力に勝るスティーラーズの勝利に終わりましたが、
最後まであきらめない気持ちと勇気を見せてもらいました。

不屈の精神をもって、逆境に立ち向かっていきましょう。


IFRS 国際会計基準で企業経営はこう変わる
2009.02.01

今日は、先日書き込みました国際会計基準の適用を考える上で、
是非読んで頂きたい本を紹介します。

「IFRS 国際会計基準で企業経営はこう変わる」
高浦英夫監修 PwC Japan IFRS プロジェクト室編
(東洋経済新報社、2009年1月)

出たばかりの本ですが、タイミングよく金融庁がIFRSの任意適用を
2010年3月期に前倒しする旨の方針が明らかになりました。

この本は、国際会計基準の適用のマイナス面を踏まえて、
「IFRS適用をチャンスととらえる!
会計処理への影響にとどまらず、ビジネスを変える。」
という視点から書かれています。

本書がIFRSをチャンスと捉えようとするのには理由があります。
本書24ページ以下では
IFRSが世界で受け入れられてきた理由として、
・アメリカ主導の経済支配が終焉したこと、
・エンロン事件、ワールド込む事件などの相次ぐ不祥事により、
アメリカの会計制度・監査制度の信用が失墜したこと
・IFRSが原理原則を示すことによって、固有な風土や慣習をもった
人たちが同じ土俵に上がれるよう、協調や妥協による痛みわけをしながら
作った仕組であること
等を挙げている。

その結果として、EU域内の会計基準がIFRSに統合され、
アメリカもとうとうIFRSの適用に向けて舵を切ったのである。

そして、本書66ページは、IFRS適用の場合の関係者の役割を示す。

「それぞれの関係者は、IFRSの仕組みが効果的に機能するよう
自らのポジションを理解して役割を果たすことが求められる。

企業は、外部専門家の協力を得ながら適正な財務諸表を作成する。
最終的には監査人の監査意見が必要なため、監査人に会計処理の
適正性を確認しながら財務諸表の作成を進めるという
コミュニケーションは不可欠である。
また大手の会計事務所や専門家によるセミナーや研修を受講するなど、
IFRSにかかわる人材育成も行うことになる。

さらに、同じ業種であれば同様の会計処理が行われることから、
同業他社とは、積極的な情報交換を行い、業界としてのあるべき
処理を企業は模索していくことになる。

一方、監査人や外部専門家は、大手の会計事務所が中心となって、
その役割を担っている。
大手の会計事務所では、グローバルベースでIFRSの専門家を
養成し、クライアントへのアドバイスを行っている。
グローバルな視点で統一した見解を構築し、統一したアドバイスを
行うことによって、世界レベルで一貫性をもたせるよう努めている。

欧州の各国規制当局は、財務諸表をレビューする必要があれば
改善指導を行っているが、レビューの質を上げるために、
つねに担当者のスキルアップ研修を行っている。
さらに企業との関係において、特定の会計処理を強要するのではなく、
時間をかけてIFRSへの理解を深めIFRSのもとでの
財務諸表の質を上げるよう指導している。」


企業の経理担当者だけではなく、専門家である税理士・会計士、
規制当局も弛まぬスキルアップが求められるのである。

会計士に関しては継続研修が義務付けられているが、税理士は
研修の努力義務しかなく、財務諸表の質の向上に繋がる研修は
皆無といってもいいかもしれない。
いくら中小相手とはいえ、IFRS適用は中小会社の会計に関する基準
にも影響を与えるのであるから、対岸の火事ではない。

また、規制当局に対するスキルアップの要求はさらに厳しいかもしれません。
わが国の官僚機構は、スペシャリストではなくゼネラリストを
育成することに主眼があるため、IFRS担当になったら、
そこから動けないことを意味しかねない。
金融庁採用の職員からスペシャリストを養成する努力を国にも求めていく
必要がありそうですね。


本書の結論は、第7章「IFRS適用をチャンスととらえる」
にあるわけです。
激変する企業環境に対応し、ルールの変化にも対応していくためには、
変化に対して柔軟に対応することである。
「ダーウィンは、最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が
生き延びるのでもない、唯一生き残るのは変化できる者である、
といったという。
ビジネスの世界も変わりはない。
環境の変化に柔軟に対応し、自らを変化させられる企業が生き残るのである。」
(本書221ページ)

具体的な会計処理の内容や、
リーマンショックの原因分析等を知りたい方は
本書をしっかり読んで頂くとして、
IFRS適用という黒船はもうすぐそこまで来ているわけです。

中小が対象の税理士といえども、その影響は大きいのです。

我々は変わらなければいけないのです。
そして、変わることが出来ると信じています。

って言ってると、どこかの国の演説みたいですが、
大きな変革の波に対応が迫られていることを自覚するべきなんですね。