決算上は黒字なのに、納税額ゼロ?
2009.05.29

決算書上の利益は黒字でも、納税はゼロという事態が、大手生保4社で
起きている。
生保危機といわれた2000年代始め以来だという。
27日4時2分asahi.com記事はこう報じた。

国内大手生保4社の09年3月期決算での法人税の納税額が、ゼロになる
見通しになった。
内部に積んだ金を取り崩して決算上は黒字を保つが、課税の対象になる
「その期にあげた損益」は、金融危機の影響で赤字になるため。
大手が軒並み「納税ゼロ」になるのは、生保危機といわれた00年代初め以来という。
大手生保は日本生命保険、第一生命保険、明治安田生命保険、住友生命保険の4社。
08年3月期決算では、4千億円を超える法人税や法人住民税などを納めた。
20日に決算発表した第一生命は、保有株式などの値下がりで6196億円の
損失を計上。
一方、株安などに備えた「価格変動準備金」と大規模災害などに備えた
「危険準備金」を計5980億円取り崩し、純損益では868億円の黒字を保った。
29日に決算を発表する他3社も同様の手法で、黒字化する見込みだ。
ただ、準備金はあくまで過去に稼いだ利益の「貯金」で、その分の税金は
計上した期に払っている。
このため、取り崩すときには法人税がかかる「所得」にも入らない。
こうしたことから、各社の09年3月期は決算上は黒字でも課税所得は
マイナスで、納税は発生しない。
準備金を取り崩して黒字化を図る背景には、契約者への配当を続けたいとの
考えがある。
決算上も赤字になれば、配当もしにくく、保険商品の販売で不利になる。
今回、第一生命は個人向け保険の配当を6年ぶりに減らすが、他3社は
前年度並みを保つ方針。
ただ、その分、財務上の余力は奪われる。
法人税では、3メガバンクも前回の金融危機下の00年前後から「納税ゼロ」
が続く。
単年度の赤字を繰り越して、翌年以降の黒字と相殺できるルールがあり、
過去の巨額の不良債権処理などの影響で、今も課税所得がプラスにならないためだ。


決算書上の黒字を計上していても、単年度決算の実態では赤字であれば
法人所得はマイナスになるため、法人税の納税は発生しない。
そのからくりを用いた利益創出方法は、従来からいわゆる税法基準といわれ
金融機関対策として従来採られてきた伝統的な手法であるといえる。

今回の大手生保4社のケースでは、過去に積み立ててきた準備金を取り崩す
ことによって特別利益を得て黒字決算を見せかけるものであるが、
これは申告書別表4で益金不算入と扱われるため、課税所得を構成しない。

このような課税所得を構成しない準備金の取り崩しが残っているということは
それだけ過去期の利益を配当せず社内留保していた証左であるが、わが国の
会計処理では伝統的に行われてきた。
わが国企業の配当性向が安定配当を志向するためであり、安定配当を旨と
するならば、利益が大きくなっても大きく配当するのではなく、社内に
準備金や積立金の形で残しておき、今期のように利益が少なくなった時に
取り崩して配当するという戦略となる。

ただ、わが国の法人税法が確定決算主義を採る以上は、このような
会計処理基準のルールと税法による基準とが異なることはできるだけ
避けるべきであろう。
会計ビッグバン以前はよく税法基準による逆基準性を批判されていたもので
あったが、現在では会計サイドが、会計基準がすべての規範になるとでも
言いたげな方向に変わっている。
しかし、強行法規性をもたない会計基準は裁判規範足りえず、会計基準の
不備が原因となる投資家への不当な損害が発生したとしても、これを
監査した公認会計士には法的責任はないのである。
会計基準が強行法である税法や商法、会社法を無視して規範性を持たせようにも、
不文法主義の英米ならいざ知らず、成文法主義のそれも後生大事に先例を
踏襲したがるわが国の法曹界の常識には相容れない。
だからこそ、かつては強行法である税法の基準が会計理論を犯してまで影響を
及ぼしていたのである。

しかし、会計ビッグバン以降、会計規範の国際的統一化を旨とする金融庁の
方針に従い、法制度自体が異なるアメリカの経済システムを安易に
取り込んできたわが国では、専門職業人としての高度な倫理規範を持つべき
公認会計士による不祥事が多発している。(税理士も同様であるが)

私は、商法学者と税法学者、会計学者の各々が知恵を出し合って、わが国の
実情に沿った企業会計法を策定すべきであると考えている。

現状では、税法による基準は場当たり的で、会計理論とは相容れないものも
多く、法律がもつべき規範の首尾一貫性を保持できていないと考えている。
この点は、会計学者側から、法理論上にも合致する会計規範のあるべき姿を
示して頂き、議論の俎上に乗せるべきではないかと思う。

残念であるが、わが国の法理論をキチンと理解した上で会計側から提示できる
方が少ないのではないかと危惧している。
アメリカ的な会計規範は不文法主義のアメリカの法規範に合致するものであり、
国会による議決がなければ制度自体が改正できない使い勝手の悪い成文法主義
の上に立脚して会計規範を論じている論文を見つけられていないだけかも
しれないが、戦後間もなくの大家の議論と比べて、わが国の実情を無視した
議論が余りにも多いように感じる。

会計サイドの国際会計畑ではない実務研究者が少ないせいもあるのだろう。

そもそも通達を法律と同じレベルで議論しようとする時点で、
法律学者からは何も知らない素人の戯言にしか聞こえなくなるのだ。

税務会計を専門とされる方や国際課税を専門とされる方に多い傾向だが、
実務家からしてみれば、明確に基準が統一されれば、事務負担の軽減になり、
判りやすい制度となる。

特にわが国の一般投資家は会計に詳しくない方が圧倒的に多いだけに、
基準の違いによる決算数字の見せ掛けは許されている範囲とはいえ、
誤解を与えやすい。

実務研究者として、何とかできないものかと苦慮しているところである。


租税教育委員会
2009.05.28

昨日27日、東京税理士会葛飾支部広報部の引継ぎがありました。
今期の制度部から次期は広報部に異動しましたので、参加してきました。

私にとっては久しぶりの広報部です。
税理士登録後に支部の仕事を手伝ったのが広報部の委員としてでしたので、
4年ぶりの復帰ということになります。

昨日は、新旧広報部だけではなく、広報部の所掌となる租税教育委員会の
メンバーも参加して頂きました。
私が前回広報部を手伝っていたときには、租税教育委員会は立ち上げて
いなかったので、今回はじめてお手伝いさせて頂くことになります。

というよりも、東京会が開催している租税教育講師の指定研修を受講済みで、
本来、租税教育委員会のメンバーに入っていなければならなかったのですが、
忙しさにかまけて、参加を怠っておりましたので、関本委員長をはじめとする
5人のメンバーには、申し訳なく思っております。

広報部に異動になったことを機に、少しでもお手伝いできればと思います。

昨日の引継ぎ会の中で関本委員長をはじめとする租税教育委員会のメンバーの
子どもたちへの税金教室への強い想いと使命感を感じました。
私も大学で講師をしておりますので、教育現場の難しさは肌で感じている
ところですが、人格形成がある程度完成の域にある大学生と、
これから情操教育を含め人格形成をしていく小学生とでは、対処の仕方に
大きな違いがあるでしょう。

おそらく私が大学で行っている講義形式では、小学生には厳しいでしょう。
私は学生に対してかなりの暴言を吐いていますが、学生を大人として
扱えてこそ。
小学生中心の税理士会による租税教育(対象は小学生~高校生)は、
税のあり方を教え、適正な納税者に育ってもらうことを旨とするからです。
私が大学生にやっているように、法のあるべき姿を考えさせ、その上で、
自己の権利を守るための法解釈のあり方を考えさせようとする姿勢とは
一線を画す必要があるでしょう。

ただ、小学生に対して租税教室を我々実務家が行うことには、小学生のうち
から税のあり方という国の根幹を下支えする問題を考えてもらうきっかけ
になるし、なによりもズルをしない適正な納税者意識を持ってもらうために
非常に重要なボランティア活動だと思います。

わが葛飾支部の租税教育は委員5名を中心にまだ細々とした活動ですが、
委員の熱い思いが伝わってきたのでしょう。
昨年にも増して多くの学校から租税教室の依頼が来ているようです。

これから大きくなっていくことと確信しておりますが、私としても
できる限りのバックアップをしていかなければならないと考えています。


アコード租税総合研究所、設立
2009.05.27

先週の22日金曜日8時半過ぎから、
アコード租税総合研究所の設立総会が開催されました。

日本税制研究所が主催して開催されてきた
国税通則法研究会(主査:酒井克彦国士舘大学教授)を
発展させる形で新たに立ち上げることになった研究所ですが、
酒井先生から手伝ってくれないかとのオファーを頂き、
私も設立時から監事として参加させて頂くこととなりました。

酒井先生を所長として立ち上げる研究所ですが、
品川芳宣早稲田大学教授を顧問に、今村隆駿河台大学法科大学院教授、
吉村典久慶應義塾大学教授らに理事として参加頂いており、
新進気鋭の秋山税理士(本所支部)にも事務局をお手伝い頂くことになりました。

設立後の連絡先として、秋山税理士の事務所と私の事務所が連絡先になるため、
私のほうもスタッフに事務連絡のお願いをしているところです。

今週に入り、所長たる酒井先生自ら関係各位に働きかけをされておりますので、
業界関係者にも近いうちにご案内があるかと思います。

アコード租税総合研究所の設立を記念して、
来る8月3日月曜日18時より、東京税理士会館において、
シンポジウムを開催することが決まっております。

随分先の話ですが、まずは宣伝まで。

詳しい内容まで私が把握していないため、やりますよ、としかまだ言えませんが、
酒井先生、今村先生らにご登壇頂き、
「研究者と実務家、そして課税当局との橋渡し」としての役割を果たすべく、
新しい研究所のコンセプトに沿ったシンポジウムを開催する予定です。

スタッフからは「また余計なお金にならない仕事を・・・」と非難されそうですが、
税理士業界全体のレベルアップ、そして、税理士という職業専門家の
社会に対して果たすべき役割の明確化のためにも、
私ができる範囲のご協力をしたいと思っています。

設立メンバーを見る限り、何か私だけ場違いな気がしないでもないんですけどね。
どちらかというと通説的見解で課税当局寄りの見解をお持ちの方が多く、
「売られたケンカは買いまっせ」的な私の立ち位置とは異なる先生方
(それも大家といわれる先生方)が多いので、
監事を受けるのが私で良いのかなという感がしないではないのですが、
私も何でもケンカを打っているわけではないし、師匠は国税OBですからね。
ただ、理屈に合わない課税処分に対してはトコトン闘うというだけなので、
この研究会の設立に参加される多くの先生方と立ち位置が全く異なる
というわけではありません。

それにこの研究会も「研究者と実務家、課税当局との橋渡し」としての役割を
担おうというコンセプトは私の研究スタンスとも合いますしね。

酒井先生からは、さしあたり月2回くらいのペースで研究会を開催し、
その成果を皆様に還元できるようにしましょうと言われております。

私も実務研究者として頑張っていきたいと思います。
そういう意味では、日税研論文賞を税理士の部で受賞した秋山税理士が
参加していることは心強いですね。


会計士によるインサイダー疑惑、258万円の課徴金
2009.05.24

高度な専門家としての職業倫理が踏みにじられる事件がまた発生した。
今度は、会計士によるインサイダー取引である。
23日5時5分asahi.com記事はこう報じた。

30代の公認会計士が、証券最大手の野村証券の社員から入手した
上場企業の合併・買収(M&A)に関する未公表情報をもとに不正な
株取引を繰り返したとして、証券取引等監視委員会は22日、金融商品取引法
違反(インサイダー取引)の疑いで会計士に課徴金258万円の納付を
命じるよう、金融庁に勧告した。
監視委によると、野村の社員は会計士の中学・高校時代の先輩で、
M&Aの仲介や助言を担当する「企業情報部」に在籍していた。
監視委の調査に対し、社員は「情報を漏らしたことはない」と関与を
否定している模様だが、会計士が社員から情報を聞いたと話している
ことなどから、監視委は情報の入手先は野村社員だったと認定した。
一方、社員自身は株取引をしたり会計士から謝礼を受け取ったりしていない
ため、「インサイダー取引の構成要件を満たさない」として処分対象には
しなかった。
監視委の調べによると、会計士は07年4~11月、野村とM&Aの仲介・
助言契約を結んでいた上場企業の株式公開買い付け(TOB)に関する
情報を社員から電話などで伝え聞き、情報の公表前に、自分名義の口座で
情報システム会社「アルゴ21」など5社の株式計7800株を
計683万3900円で買い付けた疑い。
公表後の株価上昇時に売却するなどして、約200万円の利益を得たとされる。

今回摘発されることになった会計士は村上ファンド事件をどういう思いで
みていたのだろうか。
村上氏は「聞いちゃった」からインサイダーと認定されているんですよね。
電話で聞いている以上、インサイダー取引に当たることは明らかで、
違法行為に関与したとして刑事告発にまで至るとすれば、会計士としての
処分も考えられよう。

高度なプロフェッショナルとしての意識を欠如した軽はずみな行動により、
人生を棒に振りかねない。
先般の会計士主導の循環取引ではないですが、職業倫理を蔑ろにした
とんでもないヤツが職業専門家の信用を貶めるのであれば、厳正なる
処分をもって対処せざるを得ないですね。

偏差値秀才に対しては、社会常識というところから再教育をしないと、
とんでもないことになりそうです。

学校歴の高いものほど、俺は頭がいい、などと勘違いしたバカですから、
知識と知恵の違いをしっかりと教えていかなければならないのかもしれません。

「無知の知」

判らないことがあるから勉強するのであって、知識競争するのであれば、
コンピュータと競争してくださいな。

勉強=暗記、ではなく、勉強したことをどのように社会に還元できるかが
本当の学問ではないのですか。

記事を見る限り中高一貫の名門校を卒業した会計士であるようですから、
後輩ではないのことを祈るばかりです。


河村名古屋市政改革、市民税減税規模250億円か
2009.05.23

大規模減税の公約で圧勝した河村名古屋市長は、250億円規模の市民税
減税を実施する方向で市議会に臨むという。
22日13時31分asahi.com記事はこう報じた。

名古屋市は21日、河村たかし市長が国内初の政策として掲げる市民税減税
について、所得に関係なく一律に税率を下げる「定率減税方式」を採用する
方針を固めた。
22日に開かれる担当者会議に示され、6月定例市議会での条例改正を目指す。
個人と法人の市民税が対象で、減税の総額が年間約250億円程度になるよう
税率を調整する。
河村市長は市民税減税を公約の筆頭に掲げて4月の市長選で当選した。
就任後すぐに減税の制度設計をするプロジェクトチーム(PT)を発足させた。
市長は、低所得者層や子育て家庭への減税を手厚くする案などに言及
していたため、PTは、減税の方法について、所得に応じて減税幅を
変える方式など複数案の中から検討していた。
しかし、総務省自治税務局の担当者によると、課税は公平性を重視する
ことから、例えば「子どもが多い家庭への減税幅を広げる」など不均一の
減税とする場合は「公平性を上回る公益性」の証明が必要になる。
市長は6月議会での成立を目指しており、必要な手続きに時間的な制約も
あることから、PTは制度改正がスムーズに行く定率方式を提案。
市長も了承した。
定率減税については、「高所得者層がより高い恩恵を受ける」との批判も
出ていた。
今回の市民税減税は、生活支援の目的もあることから、市長は低所得者層に
対しては減税以外の手当の充実などを図るほか、年収2千万円以上の
高額所得者に対し、減税分に寄付を求めるなどの対策も検討する。
減税のための条例改正には議会の議決が必要となる。
市民税収の10%相当の減税による収入減を補うための財源の問題も
未解決のままだ。
市長は「減税で収入が減ることにより、必然的に無駄遣いが減る」と
説明しているが、現時点では具体的な財源確保策は見えていない。

河村名古屋市長は減税を選挙公約にして当選しただけに、いち早く減税を
実現したいという思いが強かったのであろう。
しかし、具体的な財源確保策を検討していかなければ、結果として画餅と化す。
河村市長は収入が減れば無駄遣いも減るという考えかもしれませんが、
サラリーマンに経営感覚を持てといっても一朝一夕にできることではない。

無駄遣いは是正すべき問題であるが、何が無駄で何が必要なのかを明確に
示してあげるのが政治家の役目。
サラリーマンに過ぎない一官僚に自分で考えて無駄遣いするなといわれても、
彼らは自分がやっていることを無駄遣いと感じていないのだから、経費削減を
実現できるはずがない。

国政においてあれだけ切れ味鋭い論客であった河村氏だけに、具体策を
もっていないとは思わないが、もし持っていないのであれば、反対のための
反対しかせず、具体的な政策論議ができなかったために政権担当能力さえ
疑われていたかつての左派政党と同じではないか。

河村氏は市長に就任したばかりであるため、スリム化すべき具体的な施策を
模索中なのであろうが、それならば、拙速に減税を実現するより、
まずスリム化すべき政策を打ち出した上での減税でも遅くないではないか。
それとも、今の経済情勢から、とにかく減税を急いだのか。

後者の可能性がかなり高いのではと思うが、河村氏には、対案としての
行政スリム化の適切な施策が早急にまとめられることを期待したいところです。

河村氏は、自分でできるスリム化の第一歩として、市長報酬の大幅カットを
打ち出し、年収800万以上になる分の給与を受け取っていないというが、
これはなかなかできることではない。

この施策も厳密には市長報酬の改訂条例が議会で承認されるまでは、
市としては報酬として支払うべき金額として、市長が受け取らない以上、
未払金処理するしかないのであるが、自分から痛みを伴わなければ、
ドラスティックな改革はできるはずもない。

国政の場において行動の方であった河村氏が名古屋でどのような手腕を
発揮するか、期待して見ていきたいところです。


少子化対策を重点施策に、経済財政諮問会議
2009.05.22

経済財政諮問会議が19日に続き、21日にも開催された。
今回の会議は提出資料こそ少ないものの、麻生首相から今後の方向性を
確立する発言があり、注目されるところです。

与謝野財務相による会議後の記者会見の要旨(経済財政諮問会議HPより
入手)によると、
「総理からは、これまで高齢者中心の社会保障の問題ばかりに脚光が
当たってきたが、若年子育て世代への支援は、官民問わず国を挙げて
取り組むべき、もう一つの最重要課題である。
若者への投資を拡大し持てる能力を発揮できるよう、また、子育て家庭に
おいて、子育てと就労が両立できるよう、全力を尽くしたい。
そのためには、景気対策に勝るとも劣らぬ大胆さで取り組まなければならない。
関係閣僚もその覚悟で取り組み、基本方針に反映してほしい、とのご発言が
ございました。」
として、高齢者対策に終始してきた感のある社会保障問題の重点を、
少子化対策にシフトしていく方向性を示した。

わが国が将来にもわたって繁栄し続けるためには、最重要課題であったはずの
少子化問題、子育て・教育問題について、前回の会議では、塩谷文科相・
小渕少子化相によるプレゼンを求め、今回の麻生首相の発言に繋がるのだろう。

財政再建のためには、税収の確保は最重要の問題であるが、現役労働人口が
減少し始めれば、必然的に所得税収は減少する。
それだけではなく、地方においては個人住民税収が減少するだけではなく、
社会保障財源である社会保障負担額も当然に減少せざるを得ないんですね。

税収構造を直接税中心主義から消費税をはじめとする間接税中心にシフトする
必然性があるんです。

法人税を強化すれば、グローバル化した企業から日本離れを引き起こし、
その結果として、法人税収の減少だけではなく、わが国の雇用環境の悪化を
招きかねない事態を引き起こす。
生産拠点や本社機能を日本に残す意味がなくなるからです。
所得税の累進構造を強めれば、金持ちほど資産構築を海外に求め、
それどころか、日本国籍を捨ててしまう方さえ出てくることになる。

多くの日本人にとっては、日本で働き、日本で生活し、日本で老後を暮らす
わけですから、わが国の行く末が暗いものになってしまうことは困るんです。

だからこそ、麻生首相がこれからは少子化対策についても最重要課題として
取り組むという姿勢を明確にしたことは、非常に評価できる。

また、岩田、張、三村、吉川、民間4氏の連名による
「安心保障政策の具体化と安定財源の確保に向けて」
においても、少子化対策を重点施策とする傾向が明らかになっている。

その内容は、以下の通りである。

1.安心保障政策の具体化に向けて
(1)中期プログラムの別添工程表の具体化に向けて、機能強化する
社会保障の全体像を国民にわかりやすく提示し、必要となる負担について
国民の納得を得る必要がある。
具体的には、2015年までの医療、介護、少子化対策のサービス整備の
具体案について、税制抜本改革を実施する前に国民に明らかにすべきである。

(2)社会保障の機能強化の基礎インフラである安心保障番号・カードの
導入については、2011年度までに実現すべき。
そのためには、省庁横断的に検討すべきであることから、内閣で責任を
もって検討体制を構築すべきである。

(3)今回の経済危機対策及び関連補正予算においては、工程表に掲げられた
社会保障の機能強化の前倒し的な措置が盛り込まれている。
(地域医療再生基金、介護従事者の処遇改善のための基金等)
今回の対応が時限措置であることを中期プログラムにおいて明確化すると
ともに、その後の対応については、財源確保と併せて検討すべきである。

(4)雇用を軸とした安心保障政策群のうち、子育て・低所得就業者への
給付付き税額控除については、税制抜本改革に向け、年度内に具体的制度設計
の論点・方向性を提示すべきである。

(5)幼児教育については、「幼保制度の一体化」さらには「厚労省と文科省
の関連組織の一本化」とあわせて、何よりもサービスの質の向上・効率化・
総合化を目指すべきである。
幼児教育の無償化については、これらとともに「必要となる財源の確保方策」
もあわせて総合的に検討すべきである。

(6)就学困難な高校生・大学生への公平な教育機会の確保やすまい・
まちづくりに連動した単身高齢者支援についても、税制抜本改革にあわせて、
歳出歳入両面の改革により必要な財源を確保した上で実現すべきである。

2.施策の裏付けとなる安定的財源の確保
「雇用」を軸とした安心保障政策の構築や社会保障のほころびの是正に向け、
「中期プログラム」を維持しつつ、以下の考え方に沿って、税制抜本改革に
併せて財源を確保し、施策を具体化すべきである。

(1)中期プログラムの別添工程表で示された改革の諸問題(社会保障の
機能強化)については、改正の時期も踏まえて検討を進め、確立・制度化する。

(2)持続可能な社会保障の構築に向け、中期プログラムに則って、
将来世代への責任を果たす観点から現世代の安心確保とバランスをとって
安定財源を確保する。

(3)安心と活力を両立する観点から、これまでの安心実現集中審議を踏まえ、
・格差の是正・固定化の防止の政策で、少子化対策に含まれる重要政策に
ついては、財源のあり方を含め、中期プログラムの枠内での確立・制度化を
検討する。
・その他の雇用を軸とした安心保障政策等については、税制抜本改革や
歳入歳出改革の中で、そのための所要財源を確保する。


以上のような内容の検討をしているとすれば、少子化対策、少子化時代を
前提とした安定財源確保を図るための検討をしているところであろう。

注目されるのは、(5)であろうか。
幼稚園と保育園とでは、主管官庁も異なり、全く違った対応になっているのが
現状であるが、これを一体化するとなれば、省庁再編の引き金にもなりうる。

抜本的な行政改革をするためには、更なる省庁再編が必要ではないかと考える
ところであるが、先般の消費者庁の設置などによる対応も評価されるところです。

この民間議員による提案では、社会保障財源の次世代への負担先送り解消が
検討されている。

これこそが本来の政治の役割で、民間議員による提案ではなく、閣僚提案で
出てきて欲しかった論点ですね。


プライマリーバランスの黒字化は7-10年先送り
2009.05.21

財政再建計画について、平成23年までにプライマリーバランスを黒字化する
という政府公約が7~10年遅れる見通しであることが明らかになった。
21日8時5分産経新聞記事はこう報じた。

与謝野馨財務・金融・経済財政担当相は20日の参院予算委員会で、
国と地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)を平成23年度
までに黒字化する政府の財政健全化目標について「もはや到達できない」
と明言した。
世界同時不況による税収の落ち込みと度重なる景気対策に伴う財政支出が主因だ。
与謝野氏が目標達成を断念する考えを明確化したことで、6月にもまとめられる
政府の経済財政指針「骨太の方針2009」には、新たな財政健全化目標が
盛り込まれることが濃厚となった。
与謝野氏は黒字化の時期について、現状の試算では「7~10年遅れる可能性が
出ている」と述べた。
そのうえで新目標として、国内総生産(GDP)に対する債務残高比率を
一定にする時期を設定することなどを検討していると説明した。

プライマリーバランスの黒字化は、小泉内閣時代の「骨太の方針2006」
で掲げられた目標で、歳出削減を重視した財政再建を目指していた。
しかし、景気の急速な悪化を受けて財政出動を増やす一方で、税収は
伸び悩んでおり、与謝野氏は3月以降、「客観的にみて達成は困難」
「財政再建の絶対的概念ではない。借金を増やさないという概念の方が
分かりやすい」などと強調。
日本経済が大幅なマイナス成長となっている現状を踏まえて、新たな
財政再建目標を示す必要があるとの認識を示していた。


わが国の税制構造が景気変動の影響を受けやすい直接税中心であることから、
景気が悪く政府の積極的な財政出動が求められる時期には、税収が落ち込み、
結果として赤字国債の発行に頼らざるを得ないことから、与謝野氏は
消費税増税の時期まで明示することに拘ってきたのであろう。
消費税重視へのシフトは、景気変動の影響を受けにくい間接税中心の税制構造を
構築することを意味するから、長期的に安定した税収の確保ができることになる。

今後の少子高齢化社会への対応を考える上で、直接税中心から間接税中心への
パラダイム転換が必要になっていることは確かである。

高齢者を中心に福祉政策に関わる歳出は、ますます拡大化していく中で、
景気変動によって福祉財源に変動があることはマイナス要因の方が大きい。

しかし、税制改革はタイムリーに行うことは難しく、法の予測可能性を
確保するためには、どうしてもタイムラグが存在する。
そのため、税制改正による財源確保だけでは賄い切ることはできず、
一時的には赤字国債の発行に踏み切らざるをえないのである。

特に今回の場合、世界的な金融不況からわが国の産業を守るためには、
早急な大規模経済対策を打ち出す必要に迫られており、財政均衡を旨とする
与謝野財務相とはいえ、赤字国債の大量発行に踏み切らざるを得なかった。
ここ10年来の努力の結果、せっかく減らしてきた財政赤字をまたもとの
水準に戻してしまうことになってしまうが、それは致し方ないことであろう。

ただ、これを常態化するのではなく、景気回復を待ってできる限り早く
財政均衡を取り戻す努力は続けなければならない。

少子化のため、これからのわが国は現役労働人口が減少し始め、必然的に
所得税収は減少していく。
わが国の産業をリードしてきた大企業は、グローバル化し、日本法人の
利益が必ずしも大きくなっているわけではないため、法人税収の拡大にも
それほど多くを望むことはできない。
それどころか、日本に本社機能を残す必要さえなくなっているところも
出始めているのだ。

できるだけ早急に赤字国債の返済を終えないと、人数の少ない将来世代に
過重な負担を先送りしただけのことになってしまうので、そのためには、
行政改革の徹底とともに、増税の選択肢も考えざるを得ない。

それは直接税による増税ではなく、消費税を中心とした間接税の増税で
対応するべきところであろう。

これは国民1人1人が、今の自分の負担と将来の自分の子どもたちの負担
とをきちんと考えた上で、議論すべき問題なんですね。

財政赤字をバブル時代に解消することなく、ここまで引っ張ってきた
ツケを払わなければならないわけですが、労働人口が増え続けた
ベビーブーマー世代(いわゆる団塊ジュニア世代)以降に社会人になる
若者は、すでに自分たちよりも人数の多いリタイア組の社会保険負担を
求められており、その上に、赤字国債の返済負担を課されているわけです。

財政赤字の解消まで7~10年先送りになるとの見通しであるが、
景気が悪いときには赤字国債を発行して景気を刺激し、景気がいいときには
できるだけ赤字国債を繰り上げ返済して、再度景気が悪くなったときに
また赤字国債を発行しても負担が増えないようにしておくことが肝要です。

これまでのツケがなかなか返せないでいますが、財政均衡派の出番は多い。

アゲアゲもいいでしょうが、足元を固めてこそのアゲアゲ。

上げ潮路線の出番はしばらくお預けなんでしょうね。


安心と活力を両立させる生活安全保障の確立に向けて
2009.05.20

昨日の19日、約1ヶ月ぶりに経済財政諮問会議が開催された。
安心実現集中審議中にもかかわらず1ヶ月もの間開催が見送られていた
だけあって、提出された資料は膨大で多岐にわたっている。

今回の特長として挙げられるのは、外国高度人材受け入れ政策の本格化、
教育の充実(塩谷文科相)、少子化対策(小渕少子化相)といった政府提案
とともに、
有識者(岩田一政元日銀副総裁、張富士夫日本経団連副会長(トヨタ自動車)、
三村明夫日本経団連副会長(新日鉄)、吉川洋東京大学教授)による提案の
「「安心」と「活力」を両立させる生活安全保障の確立に向けて」
という提言が挙げられる。

この提言は
1.雇用を軸とした「安心保証政策群」の再構築
2.すまい・まちづくりに連動した「単身高齢者支援」
3.安心インフラとしての「安心保障番号・カード」の導入加速化
という3本の柱を軸にした提言である。

1.については、さらに4つの項目に分かれ、
(1)経済危機の荒波を最も受けている「非正規等の失業者」
(2)働けど働けど暮らしが楽に成らない「子育て・低所得の就業者」
(3)子育てと就業が両立しない「子育て家庭」
(4)「就学困難な高校生・大学生」
について、それぞれ具体策を提言している。

その具体策は
1.(1)経済危機の荒波を最も受けている「非正規等の失業者」
・雇用保険を受給していない離職者に対する、職業訓練中の生活支援給付
については、今後3年間の手当てを行うこととなっているが、こうした対応
(「雇用・生活保障セーフティネット」)の整備・改善について、財源の
あり方を含め今後検討する。
・業種ごとの職業能力評価と実践的な職業訓練支援の強化(ジョブカードの拡充等)

1.(2)働けど働けど暮らしが楽に成らない「子育て・低所得の就業者」
子育て・低所得就業者など、ターゲットを絞った負担軽減の仕組の検討
(税制抜本改革の中で検討することとなっている給付付き税額控除等を含む)

1.(3)子育てと就業が両立しない「子育て家庭」
育児休業の拡充(特にゼロ歳児育児のため)、保育サービス整備

1.(4)「就学困難な高校生・大学生」
親の所得の関係で就学困難なものの、勤勉な学生を支援する観点から、
授業料免除や奨学金制度の質的充実及び拡大

2.すまい・まちづくりに連動した「単身高齢者支援」
・今後高齢化が急激に進む都市部を中心とする介護施設・拠点の整備
・地域の人的資源を活用した日常生活・見守り支援充実
・高齢者の資産を活用した住み替え(リバースモーゲージ)

3.安心インフラとしての「安心保障番号・カード」の導入加速化
2011年度までの安心保障番号・カードの導入、これを活用した「利用者負担
総合キャップ制」導入の検討等利用者本位の取組を進める。

特に注目すべきは3.の「安心保障番号・カード」である。

昨日、ここでも書きましたが、リスクと隣り合わせの施策であるだけに
慎重を期す必要があろう。

有識者提案では、「社会保障には、医療・介護・年金等多くの分野があり、
各制度の運営主体も多数にのぼる。社会保障全体に横串を入れたきめ細やかな
制度設計を行うためには、「安心保障番号・カード」は必要不可欠なインフラ
である。早急な導入に向けて、国・地方、保険者・医療機関等の関係機関が
一体となって取組を加速化すべきである。さらに、税と社会保障を一体的に
設計し、「給付付き税額控除」などを効果的に導入できるよう、「安心保障番号・
カード」は拡張可能なものとすべきである。」としている。

確かに行政コストの削減と効率的な運営のためには、納税者番号制度や
今回の言い方では「安心保障番号」制度は不可欠な要素である。
しかし、これを導入することによるプライバシー権の侵害のリスクについて、
きちんとした議論がなされた上でのことである必要はあろう。

消えた年金問題も市町村が管理すべきであったのか、社会保険庁が管理すべき
であったのか、という所轄の問題もあるし、そもそもの問題は、保管されていて
しかるべきであった書類をすでに廃棄処分にしてしまっていたこの管理体制の
不備がそもそもの問題であろう。

社会保険庁の職員のモラルハザードの問題は年金未納問題で明らかにされていた
わけであったが、その時点で年金処理問題が明らかにならなかったことが、
今回の問題を大きくしている部分も多大にある。

国民に実態を隠し続けてきたからこそ、ここまで問題が大きくしてしまったのだ。

税金問題であれば、国民は取られる側なので、税務調査等に不備があり、
過去のデータが消えてしまっていたということになれば、死活問題である。

相続時精算課税が導入されたとき、私は税理士会支部と税務署との懇談会の
席上で、相続時精算課税の届出が出されているかどうか、提出した税理士から
切り替わった税理士は把握することが困難であり、「きんさんぎんさん」や
「泉重千代さん」レベルのケースでも確認することが税務署で出来るのか
確認したことがありました。
担当官には国税局に報告を上げた上で報告致しますとお答え頂きましたが、
その際、50年、100年は確認できないと困りますので、くれぐれも
お願いしますと追加で要請致しました。
その時の解答が支部に届いていたのか、私は確認しておりませんので
わかりませんが、少なくとも、税務署・国税庁であれば、そういう対応を
しているわけで、社会保険庁のような杜撰な管理体制はありえないでしょう。

社会保険庁と国税庁を統合し、徴収も税金化した方が効率的かつ確実な
徴収が図れると思うのですが、いかがなものでしょう。

「給付付き税額控除」制度を導入するとなれば、税と社会保険の一体化は
加速することになりますから、社会保険庁と国税庁の統合問題は必ず
行政改革の俎上に上るはずです。

社会保障費負担を含めた税制の抜本改革の議論はまだ始まったばかりですが、
これからの動向には注視する必要がありますね。


給付付き税額控除制度、導入に向け具体的検討始まる
2009.05.19

わが国にもいわゆる負の所得税が導入されることになりそうだ。
今日19日18時から経済財政諮問会議が約1ヶ月ぶりに開催されるが、
安心できる社会の構築に向けた集中審議が行われているところであり、
その動向が注目されている。
19日4時30分時事通信社記事はこう報じた。

政府は18日、減税と低所得層への給付金を組み合わせた「給付付き
税額控除」制度の導入を検討する方針を固めた。
子育て世帯やワーキングプア(働く貧困層)にターゲットを絞った
負担軽減策と位置付ける。
社会保障番号と納税者番号の機能を併せた「安心保障番号」創設も検討し、
6月に決定する「経済財政改革の基本方針(骨太の方針)2009」に反映させる。
給付付き税額控除は、納税額が少なく、減税の恩恵が少ない低所得層や
子育て世帯に減税の代わりに給付金を支給する制度。
生活支援に加え、低所得者ほど税負担が重くなる消費税の「逆進性」を
緩和する役目も果たす。
給付の対象は年収約250万円以下の低所得層となる見通しだ。

ここでも何度か書いてきたが、いよいよ給付付き税額控除制度の導入が
具体的検討の段階に入ってきた。
森信茂樹中央大学教授が編集した「給付付き税額控除」(中央経済社2008)
によると、平成20年度の税制改正において、「低所得者支援、子育て支援、
就労支援、消費税逆進性対策」を目的に、議論することの意義が示されている。
(10ページ)

その原点は、英米で実施されたいわゆる負の所得税にあるわけですが、
この利点について、森信教授は、
「第1に、歳出行為である給付(社会保障支出)と税額控除を組み合わせる
ことにより、税制と社会保障との一体運営が可能となり、政策が効率的・
効果的に行われることになる。」
「第2の利点は、労働による稼得行為(労働所得)と控除額をリンクさせる
ことにより、労働インセンティブを高め、就業率の拡大につなげる効果をもつ。
他方で、働かなくても給付が受けられるというモラルハザードを減少させ、
「勤労を通じて所得を得る」というワークフェア思想のもとで、勤労する
低所得者層への支援策を確立することができる。
さらに、子どもの数に応じた経済支援が可能となり、これまで高齢者に
かたよっていた財政支援を現役世代に再分配する機能をもたせることができる。」
と指摘したうえで、OECDの2008年版対日審査報告書が以下のように
給付付き税額控除制度の導入を推奨していると指摘している。
「勤労税額控除制度は管理が難しく、不正行為を生む可能性があるものの、
低所得世帯を支援しつつ、勤労意欲の強化を促す制度である。
所得分配の裾野が比較的広い点、勤労所得に対する低い税率、ならびに
非雇用者に対する低い社会保障給付水準といった日本の特徴にかんがみれば、
こうしたアプローチは効果的であろう。」(43~45ページ)

ただし、導入するためのハードルは高く、森信教授は以下の6点を指摘する。
「第1に、何を政策目標に掲げ、誰をターゲットにするのか、明確にする
必要がある。
当面、若年層を中心としたワーキングプアと呼ばれる人たちや、母子家庭に
対する就労を通じた貧困対策を念頭において検討していくことが必要と
思われる。」
「第2に、政策効果を十分につめ、ばらまき型の政策にならない工夫が必要である。
就労インセンティブの拡大策は、所得アプローチであり、財源の使い方として
効率的・有効的であるか十分検証する必要がある。
低所得就労者の給与に連動して給付することがかえって低所得への依存を
招かないか、企業側がその分の賃金引下げを行うことはないか等々つめるべき
点がある。」
「第3に、不正給付をどのように防止するかという点である。
この制度を導入している米国では、20%を超える不正給付が問題となり、
IRS(内国歳入庁)によるさまざまな改善が行われた。
20%という過小報告割合については、個人事業者の過少申告割合と比べると、
決して多いとはいえないことや、フードスタンプ制度よりは執行コストが
小さく効率的であるとの評価も行われている。
いずれにしても、制度の複雑性が過大申告・給付の最大原因とされ、制度の
簡素化が提案されている。」
「第4に、本制度は、税務当局が給付を行うことになるので、その体制作りが
必要となる。
税当局は、課税最低限以下の人についての所得情報を持っておらず、
社会保険事務所や地方自治体から情報提供を受ける必要がある。
また、本制度の趣旨からして、家族全体の所得をベースに設計しており、
その限りにおいて、世帯単位の所得を前提とした仕組みにする必要がある。
個人単位のもとで厳格な定義が行われている配偶者、扶養家族と、社会保障
制度との整合性を保つ必要性もある。
また、金融所得が一定以上ある者には、制度の適用を制限する必要もあるので、
分離課税となっている金融所得をどう補足するかという問題もある。
おりしも、社会保険庁と国税庁の間での年金未納者についての協力が検討
されており、さらなる協力を進める必要があるが、最終的には、現在の
霞ヶ関の縦割り行政を見直すことが必要となる。」
「第5に、児童手当、児童扶養手当、生活保護等の現行社会保障給付、
配偶者控除をはじめとする各種所得控除、最低賃金制度のあり方を根本的・
総合的に見直すことにより制度設計することが必要である。
ちなみに米国では、「最低賃金でフルタイムで働いた者がEITCを受ければ、
社会保障税引き後所得が貧困ラインを超えること」が目標とされた。」
「最後に、現在行われている「歳出・歳入一体改革」と整合性をとる形で、
つまり所得控除の削減等による財源を確保しつつ、税収中立、さらには歳出面
も含めた「財政中立」という考え方のもとで制度設計をする必要がある。」
(44~47ページ)


こうやってみると、導入に向けたハードルがかなり高い。
しかし、やってみる価値は高い。
ただ、根本的な問題があわせて議論されなければならない。
税額控除制度の抜本的見直しというだけではなく、抱き合わせの形で
納税者番号制度を導入する方向でもあるのだ。

社会保険番号と統合すべきという見解は、我が師匠西野敞雄教授が
10年以上前から主張していた見解であるが、私は納税者番号制度を
入れるのであれば、このやり方しかあり得ないだろうと思います。
もっと言えば、住基カード番号とも統合して、システムの統合を図るべき
であると思います。

納税者番号制度導入論議はプライバシー権の問題とリンクしてきますので、
非常に難しい課題です。
ただ、税務行政の効率化のためには、必要不可欠の問題であり、統一された
番号管理を行うことができれば、課税逃れの防止に寄与することは間違いない。
国民背番号制によりお金の流れを全て確認できるようになれば、不正な
マネーロンダリングの全貌が明らかにされるとともに、借名口座の効果も
薄れていく。

ただし、すべてを国家が確認できるようになる分、プライバシー権の保護が
必要不可欠になる。
だからこそ、納税者番号制度が国民背番号制の恐怖と同じ文脈で語られる。

この問題を乗り越えることができなければ、絵空事になるのだろうが、
やってみる価値はありそうである。


鳩山代表の消費税4年間議論停止発言はどうにも・・・
2009.05.18

鳩山由紀夫氏が民主党の新しい代表に返り咲いた。
ただ、代表を退いたはずの小沢氏が選挙担当の副代表に就任し、他の
ポストもほぼ留任するという看板のすげ替えで、福田前首相が政権を
引き継いだ時の状況と非常に近しい状況であることに若干の不安が...

厳しい船出であるが、その政策課題も難題が山積である。
17日8時5分産経新聞記事が鳩山民主党の課題をよく整理している。
その中から消費税問題と公務員改革についての言及を紹介しよう。


■消費税
鳩山氏は消費税問題について、「4年間は議論する必要がない」と主張
していることから、同党は、マニフェストで盛り込む予定の「子ども手当」
などの財源問題で、政府・与党の攻撃にさらされそうだ。
岡田克也副代表は税率引き上げに前向きなため、執行部入りした場合には、
消費税をめぐり、執行部の温度差が増幅する可能性もある。
鳩山氏自身、財源問題の難しさは自覚しており、代表選後の記者会見では
「政権を取ったとき、財源問題がシビアに待ち受けている。自民党政権が
あまりにも無駄遣い、官僚任せの政治の中で予算をデタラメに使いすぎ、
それをただすには時間がかかる」と、予防線を張っている。
ただ、岡田氏が年金制度改革のため、消費税率引き上げをセットで議論する
考えを示し続けていたのに対し、鳩山氏は議論自体を避けようとした。
投票前の討論会でも「経済が疲弊している中で、消費税の議論は必要ない」
と強調した。
行政の無駄遣いの排除で増大する社会保障財源を捻出する鳩山氏の考え方に
対し、政府・与党内には「おとぎ話」(与謝野馨財務・経済財政・金融担当相)
との批判が根強い。
麻生太郎首相との党首討論や党内論議で鳩山氏が苦慮する事態もありそうだ。

■公務員改革
民主党が昨秋、取りまとめた「政策INDEX2008」では、公務員制度改革
に関し、「国家公務員総人件費を3年間で2割以上削減する」方針を明記
しているが、地方公務員には触れていない。
同党は、日本労働組合総連合会(連合)を有力支援団体とし、地方公務員ら
で構成する自治労の影響力は大きい。
鳩山氏は16日の両院議員総会で、地方分権の推進過程で「地方公務員も
大丈夫だ」と明言した。
党内で分権論議が本格化すると、連合との関係に亀裂が入る可能性がある。


昨日はVoice誌での批判記事を紹介したが、今日は産経新聞の懸念記事。
民主党支持者には、ケンカ売ってるのか、といわれそうですが、致し方ない。
政権交代を本気で実現したいのであれば、結果的に国民負担を先送りする
ことは、税の専門家の視点からは許されないと信じるからだ。

民主党はこれまで民主党の経済政策のために必要な財源は行革によって
無駄遣いを減らし、まだ使われていない埋蔵金を吐き出すことによって
賄うと主張してきた。
しかし、埋蔵金が本当に使える状況にするためには、それ相応の準備が
必要なわけですし、無駄遣いの是正は官僚からの抵抗は計り知れない。
そういう意味では、時間がかかる問題である。

ところが、民主党は赤字国債の発行にも、近い将来の消費税率の引き上げにも
その他の増税策にも、否定的な見解を示している。
特に消費税については、今回の代表戦でも岡田氏が消費税論議を検討する一方、
鳩山氏は消費税への言及を避け続けていた。

確かに経済停滞時の今、消費税率アップを検討する時期ではないのかも
しれないが、国家100年の計を常に考え、世代間の負担が偏らないように
考慮しなければならないのが、責任政党の政治家の責務であろう。

そうでなければ、政権を預けて財政が破綻した場合には、次の世代が苦労する。

私は、自分の子どもに、我々の時代の負担を肩代わりさせることを選択
させられる可能性は否定できないのである。

学生にありがとうと話していることをここでも何度か書いているが、
ベビーブーマー世代を扶養することを、少子化の時代の子どもたちは既に
要求されているわけですから、ただでさえ負担が大きい子供たちに対して、
税負担、社会保障負担さえ肩代わりさせてしまうことを、親は望むのでしょうか。

鳩山氏には、消費税を上げないというのであれば、行政改革に時間が
かかり過ぎた場合でも、財政が破綻しない、負担の先送りにしない根拠を
我々懸念を表明する層にも、根拠を持って示して欲しいものです。

行政改革をドラスティックに断行しなければならないことは当然のことでしょう。
しかし、旧来の政権が結果として問題を先送りし続け、とうとう限界まで
来てしまったわけですが、それもこのタイミングで世界的な経済不況が
襲ってきたのですから、まずは財源のあるなしにかかわらず経済対策を
すべきですね。
ただ、不況のために税収が減っているわけですから、その財源は当面、
赤字国債になることは当然です。
だからこそ、与謝野氏は標榜する緊縮財政を棚上げしてまで財政均衡を先送り
する決断をするわけですよね。
それが麻生政権の方向性になっているわけです。

鳩山民主党に求められるのは、麻生政権とは違う形での説得力ある政策です。

反対のための反対では、いつまでも政権担当能力を疑われ続けるだけです。

嫌がられるテーマであっても常に正面から取り組んでいかないと、反対派が
期待も信頼も見せないですよ。

岡田氏を幹事長に起用したというのも、挙党体制の確立という視点から
でしょうが、ぜひ消費税論争を含めて、自民党と真剣な政策論議を闘って
政権担当能力があることを存分に示していただきたいものである。


民主党の経済政策に懸念、新たなマニフェストを求める
2009.05.17

Voice誌において、エコノミストの安達誠司氏が民主党の経済政策について
痛烈な批判をしている。
鳩山新代表の下、再出発を図る民主党に対して厳しい意見を突きつけた
格好だが、これからの日本経済の舵取りを見定める上で
考えさせられるその一部を紹介しよう。


「小沢一郎代表の政治献金問題に揺れる民主党だが、日本に二大政党制に
基づく政権交代を根付かせる原動力としての国民の期待は依然として高い。
その政権担当能力を試すという意味で、「100年に一度の経済危機」に
対する経済政策構想の評価はきわめて重要だと思われる。
だが、筆者がエコノミストの立場で民主党の経済対策案を見るかぎり、
その効果については疑問符が付く。」

「筆者は、以上のような経済政策のメニューが通常の経済状況の下、
もしくは「循環的な」景気後退局面で策定される経済対策であれば、
十分評価に値すると考える。
しかし、1930年代の世界大恐慌に匹敵するともいわれている今回の経済危機
を克服するための「緊急経済対策」としては、問題が多いと考える。
その理由として筆者が指摘したいのが、(1)緊急経済対策の財源が、「税金の
無駄遣い」の見直しによるコスト削減であること、(2)「非伝統的な金融政策」
の実施に否定的であること、(3)底流に政府主導の「産業合理化」という
発想があると思われること、の3点である。」

「マクロ経済的には、公務員も、非効率な公共投資の恩恵に与っていた
建設業者も、消費者の一部を形成しており、公務員の給与や公共投資から
低所得者層に対する扶助に変わっても、お金の流れは変わらない。
もし、後者の効果のほうが大きいとすれば、低所得者層の限界消費性向が
公務員の限界消費性向よりも高い場合である。
しかし、かつての地域振興券の経済効果の追跡結果(内閣府が発表)で
みられたように、多くの低所得者層は政府による扶助をもらったとしても、
それがそのまま消費の拡大につながるとはかぎらない(つまり扶助が増えた
分は、貯蓄をして将来不安に備える)。」
「重要なのは、「新規に需要を付ける」ことであり、そのためには、新規財源
(国債発行)による財政支出拡大が必要であると考える。
政府支出の無駄を強調し、公務員を仮想敵と見立てることによって、
大部分の国民は溜飲を下げるかもしれない。
しかしそれが、必ずしも日本経済を回復軌道に乗せるとはかぎらないのである。」

「今回の民主党案では、サプライサイド政策的なものが含まれている。」
「多くの企業が過剰在庫を抱えている局面で、あえてリスクを取って新規の
設備投資を促進させようとするサプライサイド政策を打ち出しても、効果は
疑問である。
まずは、過剰在庫の削減を促すディマンドサイドの政策が必要であると考える。」

「筆者は民主党の経済政策構想の最大の問題点は、金融政策に対する無理解
であると考える。」
「民主党の資金繰り対策の目玉は、政府保証を付けた(つまり元本保証の)
日銀保有国債を事業会社に貸し出し、それを担保として民間金融機関からの
融資を促す「政府保証付国債賃借レポ」のようである。
だが、これは政府与党がすでに実施している中小企業に対する信用保証
(大企業に対しては、日銀による社債、CPや政策投資銀行を通じた融資
スキームがある)と比較して、何の利点があるかが筆者には理解不能である。
金融機関が事業会社に対する融資をためらっているのは、マクロでみた
事業環境の悪化が止まらず、新規融資が不良債権化する恐れがあるため
であって、それを阻止するための金融政策は積極的な金融緩和、そして
伝統的な金利政策が限界点に到達したあとは、非伝統的な金融緩和政策以外に
ないはずである。」

「2008年前半の景気後退初期には、内需不振の理由は、長年の低金利政策
による利子所得の減少であるとして、消費拡大のための利上げ政策を提唱
していたのも民主党の有力議員であった。
さすがにこの局面で利上げを主張する議員はいなくなったが、民主党の
金融政策の考え方は、これまで政策の失敗を繰り返してきた日本銀行の
スタンスを無批判に追随したものだと思われる。
これはなぜだろうか。筆者にはその理由はわからない。」

「筆者は、「恐慌」ともいえる景気悪化局面で同様の政策を採用した事例
として、昭和恐慌期の民政党との類似性を想定せずにはいられない。」

「この民政党の経済政策には3つの特徴があった。
第1点は緊縮財政である。」
「第2点は産業合理化であった。」
「第3点は、金融引き締めと円高志向であった。」
「民政党の外交姿勢は、「幣原外交」として名高い、欧米列強諸国との
協調外交であり、当時の通貨システムのグローバルスタンダードであった
再建金本位制への復帰が民政党の最大の政策目標であり、経済政策は
これに「拘束」された。
そしてその結果は、米国での株価暴落に端を発する世界大恐慌という暴風雨
のなかで、日本の政策当局は引き締め政策というポリシーミックス
(緊縮財政・円高誘導のための金融引き締め・円高水準での為替レート固定・
セーフティネットの不在〈清算主義〉)を選択してしまい、日本経済を崩壊
させてしまった。」

「緊縮財政・金融引き締めというポリシーミックスの根底には、「日本経済は
すでに低成長局面に入っており、名目成長率はせいぜい2%程度にすぎない」
という発想がビルトインされている。
これは、かつて中川秀直氏の「上げ潮政策」に対する批判として、与謝野馨
現財務・経済財政・金融相が発言したものである。
正直なところ、現在の民主党の政策構想は、この考えとほぼ同じ構想の下に
作成されているとしか思えない。
しかしこれでは、政権交代によって、日本経済が回復するとはとても思えない。
むしろ対立軸としては、より高い名目経済成長率を明示し、それを実現
させるためのポリシーミックスを掲げるべきではないか。
経済危機で各国の名目経済成長率は軒並み低下しているが、日本のそれは
長期にわたって低位に位置している。
この長期的な低成長から脱しないかぎり、民主党が与党の対立軸となる
意味はないというのが筆者の正直な感想である。」

民主党の経済政策に対する一定の理解の上で、今の時代に自民党の経済政策
との対比の上で、民主党が政権を担う上で採るべき経済政策の本質をついた
この安達の見解は、実に趣き深いものである。

昭和恐慌の際の原民政党の政策に近いことを危惧しながら、民主党の
経済政策が与党との対立軸の意味を果たせていないことを指摘する内容だ。

私は昨年末の税制改正大綱にしろ、今回の緊急経済対策にしろ、民主党の
見解が自民党の見解が発表されるのを待って発表されていることを疑問視し、
それもその内容の大半が自民党のものと大差なく、一部の特徴的な部分が
自民党案よりも庶民への保護をより重視した内容になっているにすぎない
ことに懸念を持っています。

民主党に期待されているのは、政権可能な政権担当能力を持った対立軸であり、
具体的な政権構想のはずである。

しかし、「現在の民主党の政策構想は、この考え(上げ潮派の中川氏との
対立軸としての自民党総裁選における与謝野氏の政権構想)とほぼ同じ
構想の下に作成されているとしか思えない」(カッコ内、平)のであって、
これでは麻生政権における財政政策の責任者である与謝野氏との対立軸に
なりようがない。

鳩山新代表の下で新たなマニフェストが策定されることを期待したい。


不良債権救済プログラムの適用を保険会社に拡大
2009.05.16

アメリカ財務省は、不良債権救済プログラムの適用について、生命保険会社
への適用を決めた。
15日12時28分トムソン・ロイター記事はこう報じた。

米財務省は14日、ハートフォード・ファイナンシャルなど保険4社を
不良資産救済プログラム(TARP)の適用対象として承認したと発表した。
承認されたのは、ハートフォード、プリンシパル・ファイナンシャル・
グループ、リンカーン・ナショナル、プルデンシャル・ファイナンシャル。
ハートフォードはTARPを通じて34億ドルを調達する計画について
仮承認を得た。
財務省報道官は、4社が銀行持ち株会社であり、2008年11月14日の
期限前にTARP適用申請をしたため、承認されたとしている。
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、オ-ルステートと
アメリプライズ・ファイナンシャルも適用対象として承認されたと報じた。
プルデンシャルの広報担当はコメントを拒否。
オールステート、アメリプライズ、リンカーン、プリンシパルのコメントも
現段階で得られていない。
ハートフォードは声明で、資本注入について仮承認を取得したことを
明らかにした上で、詰めの協議を経て最終承認を得る必要があるとした。

公的資金を生命保険会社に投入するという決断を下したということは、
アメリカは支援の幅を広げたと見るべきだろう。

これを好意的に見れば、金融危機以降の対策が功を奏し、銀行・証券の
下支えに一段落をつけ、自動車業界の問題にも一応の決着を見たのだから、
今度は保険業界の建て直しに入るんだ、という意思表示に見える。
それも、公的資金の投入という政策に効果があることを確認できたとしての
支援の幅の拡大と見れるだろう。

しかし、懸念を持って考えると、アメリカ経済の脆弱性の表れではという
おそれを感じずにはいられない。
生命保険会社の破綻は、契約者各人のライフプランの破綻に繋がりかねない
だけに、注意が必要である。
日本の場合には、保険会社が破綻しても保険契約を保護する仕組みが
ありますが、アメリカではどうなのだろうか。
自由経済を標榜し、国家による管理を拒否してきた国だけに、心配です。

わが国における公的資金投入による支援効果は確かにあった。
公的資金が投入されることによってある程度自由を制限されるにしても、
わが国の悪しき伝統でもある天下りが機能し、民間に優秀な頭脳が提供
されるだけではなく、情報の伝達が早くなるという利点もあったのでしょう。
しかし、不公平な情報提供があるのであれば、これはインサイダーであり、
村上ファンドの「聞いちゃった」と同じ論理である。

不正の温床になりかねない公的資金投入が機能することを願うばかりである。

ただ、支援の幅が広がったということも事実であり、これによって
世界経済が最悪の事態から脱していくきっかけになる可能性も高い。

アメリカ経済の建て直しは外需主導型の日本経済の本格的な回復にとって
必須の条件であるだけに、アメリカ経済の復活の可能性が高まることは
歓迎すべきですね。


租税訴訟学会の国際租税法研究会に参加してきました
2009.05.15

租税訴訟学会の中で立ち上げた国際租税法研究会の第1回研究会に
参加してきました。

昨日14日18時から国連大学レセプションホールで開催された研究会は
租税訴訟学会理事である志賀櫻弁護士により
「国際租税法の概要と今日的課題」と題して講演されました。

志賀先生は、大蔵省勤務時代に国際租税畑を歩まれた方ですが、
昨日の講演内容は面白かったですね。
私は師匠である西野先生と参加したのですが、国税OBである西野先生は、
「あそこまで言ったら過去の自分の仕事を否定することになる」と
仰っていましたね。
懇親会の席で志賀先生にこの話をしましたら、国税の方であればそう言われる
かもしれないが、私は自分たちの時代にはこんなおかしな課税をすることは
なかったと後輩たちに言っているつもりだ、と仰っていました。
確かに志賀先生のお話は一本筋が通っていると感じましたし、志賀先生が
これまで書かれた論文を拝見しても、筋が通っているので、信念を持って
取り組まれていることを感じます。
師匠と対立したくはありませんので、あまり深く言及できませんが、
少なくとも強い信念に基づく深い研究の一端を見てきました。

参考資料としてお配りになられた英文資料を読みますと、昨日の講演内容が
国際課税における現在の取り組みの問題がよく整理されていることに
気付きます。
OECDの取り組みに対して、いかにわが国の税制が遅れているのか。
そもそもわが国の税法の規定が、特に国際租税の分野においては、
精緻化されておらず、租税法律主義の見地から見て問題が多いのですね。
この点をどのように直させていくのか、我々実務家からも積極的な提言が
求められているのかもしれません。

また、提言ということについては、租税訴訟学会として9月に行う予定の
シンポジウムでは、不利益遡及立法に関する研究提言を行うことを目標に、
パネルディスカッション形式のシンポジウムを行うことを計画しています。
私自身も今月発売の税法学に論文を書いたテーマですから、非常に関心が
高いテーマで、実務家にとってとんでもない結果を引き起こしかねない
問題を孕んでいますので、何としても提言にまで結び付けたいところです。

昨日の研究会の後の懇親会では、ストックオプション事件の補佐人税理士
として13件の訴訟に関わってきた志岐昭敏税理士がご挨拶をされました。
ここでも確定申告時期に書評を書いたところですが、志岐先生は
「ストックオプション判決にみる課税事実の捏造と税法適用の偽装」
という本を自費出版され、ストックオプション事件における裁判の不当性を
強烈に批判された方です。

昨日の研究会でも
「租税法律主義実現のための原則試案
―課税事実の捏造と法適用の偽装を防止するために―」
というリーフレットをレジュメとして配布され、
山下副会長が配布した
「納税者の権利と公正な三権の確立 租税法制定・運用者の良心の確保」
(公正基準制定第三者委員会)というリーフレットとともに、
納税者の権利を保護し、租税法律主義を徹底させていくための活動として
壱岐先生、弓削教授(九州共立大学)らにより、納税者支援組織を作っていく
方向性が確認されました。

懇親会の席で壱岐先生とお話させて頂く機会がありましたが、信念の人ですね。
考え方や、特にストックオプション事件に対する捉え方など、私とは
相容れないところも多いのですが、納税者に対する熱い想いを行動に
移せる方はなかなかいらっしゃいませんし、
私も微力ながら、できる限りのご協力はさせて頂きたいと思います。

壱岐先生の本やご意見は表現が過激で、そのために誤解を受けている
ように思います。
表現を注意し、専門家以外にもわかるようなやり方にできれば、賛同者は
増えてくるのではないでしょうか。
補佐人税理士を考える上で、志岐先生の書籍は是非一読願いたいものです。


前払い要求の注文住宅メーカーの破綻
2009.05.13

注文住宅メーカーの相次ぐ破綻により、建設資金を前払いしているにも
かかわらず、家が完成できないという事態が生じている。
13日6時31分asahi.com記事はこう報じた。

注文住宅の建築を請け負っていた中堅ハウスメーカーの倒産が相次ぎ、
多額の「前払い金」を支払いながら着工されなかったり、家が完成
しなかったりするケースが続出していることが分かった。

宅地建物取引業法(宅建法)が適用される建売住宅やマンションの場合
には、メーカー側が倒産しても前払い金(手付金)を救済する仕組みが
あるが、同法の対象外である注文住宅にはこうした仕組みが十分に
整っていないためとみられる。
顧客側はほとんど救済されないという。
注文住宅は約2万5千社の業者が年に約30万戸建築しており、被害の
拡大が懸念される。

被害が出ているのは、いずれも破産した富士ハウス(浜松市)や
アーバンエステート(埼玉県川口市)の顧客だ。

富士ハウスは、関東や関西で注文住宅の請負を展開。
08年3月期の売上高は418億円だったが今年1月末に破産、グループの
負債総額は638億円。
破産管財人によると、顧客が前払い金を支払い済みなのに着工にも
至っていない分が1438件、未完成の分が420件あり、被害総額は55億円に
上る見通しだ。
注文住宅では一般的に、契約時に総工費の1割、着工時3割などと
仕上がりに合わせて支払いが進むが、同社は「工事代金を全額払うと
数%割り引く」などと営業。
このため、実際の工事の進み具合よりも1千万円以上多く払っていた顧客が
少なくとも約180人いるという。
一方、同社に残った資産は10億円足らず。
全額が債権者に分配されるが1千万円払った人で170万円の見通しだ。

アーバンエステートは4月初めに負債54億円を抱えて破産。
富士ハウスと同じように、前払い金を支払い済みなのに未完成の物件が
550件あり、苦情が続出。
国土交通省が確認を急いでいるが、仕上がり具合より数百万~1千万円以上
も多く払った顧客が現時点でも100人近くいる。

被害が一気に発覚したのは突然の破産だったためだ。
通常、一定レベルの規模のハウスメーカーが破綻した場合、建築中の物件が
多く将来的な利益が見込めるため、金融機関などの支援の下で再生を前提
にした民事再生法が使われることが多い。
しかし、富士ハウスは再生でなく会社整理を選択、3月以降に完成する
契約はすべて解除される。
また、アーバン社は当初、民事再生法を申請したが債権者の支援を得られなかった。

「前払い金の問題を含め、富士ハウスの規模で、突然の整理は例がない」
と困惑する国交省は2月末、前払い金の受け取り方を「適切」にするよう
業界団体の住宅生産団体連合会(住団連)に要請。
これを受けて住団連も「完成前に過度な前受けをしない」などとする
ガイドラインを作ったが、効果は未知数だ。(座小田英史、小川弘平)

やはりというか、中小が前払いをお願いし始めるときは、資金繰りが
苦しいときという意味だったわけですね。
それも、破綻した両社は、かなり悪質なケースである。

会計的に見えてくるところでも、注文住宅であれば、一件当たりの単価が
低いため、国際的に批判を浴び原則廃止の方向に進んでいる工事完成基準で
売上計算を行っている。
わが国固有の商慣習になりつつあるのですが、工事代金の請求は工事が
完成してクライアントに請求するという流れが一般的ですよね。
中小企業の場合には、資金の流れが工事完成基準に則っているのだから、
完成基準に合理性があると言えるのですね。

しかし、今回のケースのように、工事代金の前払いを行っている場合には、
お金の流れと売上計算の流れがズレてしまうんですね。
そうであれば、国際的な潮流と同じく、工事の進行度合いに合わせて
請求を行い、売上計算も行う方法として工事進行基準を使う方が合理的
となるのですね。

ただ、今回のケースでは、工事の進行度合いとも異なり、代金を受け取り
ながら工事自体が未着工であったり、進行度合い以上に受け取っていたり
という状況なので、会計が解決の糸口にはなりにくいですが。

上場企業であれば、一応財務状況は公開されていますから、決算時点での
数字による評価は可能です。
未確認で書きますが、おそらく前受金が前年比で相当増えているはずです。
それにもかかわらず、現預金はそれほど増えていなかったのでしょう。
そうすれば、売上が向上してもキャッシュフローが改善されませんので、
(先に貰っているから現金が増えるはずありませんよね)
利益が上昇したとしても、財務内容が向上したと評価できないですね。

今回の破綻劇も経済状況が悪化した場合のシナリオとして予想できたことです。
小泉改革によってもたらされた自己責任社会にもかかわらず、自己責任を
果たす準備をされていなかったとしか思えません。

特に不動産取引は多くの方にとって一生を左右する一生に数回あるかどうかの
重要な決断です。
相手は不動産取引のプロですから、素人考えで対抗できるはずないんですが、
合見積を取るなり、なぜ考えないのでしょうか。
プロフェッショナルが素人を騙そうと思えば、簡単なんですよ。

これは我々税理士にも言えることです。
クライアントが税理士に不満を持つことも多いようですが、
医者の世界と同じく、若手の中には、セカンドオピニオンを売り物にしている
方も出てきているのです。

安心のためには比較されてみることも面白いと思いますよ。
やっぱりウチの先生がいい、と言って貰える仕事をすればいいのですから。

今回のケースでは営業マンのセールストークに乗ってしまった方が多かった
のではないかと思いますが、売らんかなの営業をしているのであれば、
センセーショナルなコピーやその気にさせる武器を用意するのですね。

とにかく自分の売上が欲しい方であれば、値下げするでしょうね。
しかし、安かろう悪かろう、であることも多いんです。

それは自己責任の範囲ですね。
判断ミスをしたわけですから。

業界のガイドラインがあいまいな状況が今回のケースでは被害者を生んだ
原因の1つにあるとは思いますが、悪質な業者に騙されていることに
業者が破綻するまで気付かないのも、甘いと言われても仕方がないでしょう。

前払いをお願いしている業者の中には、規模が小さいがために資金繰りが
苦しく、仕入もママならないので前払いをお願いしているケースもあります。
いい仕事をしてくれる業者もいるだけに、今回の悪質なケース(彼らも
最初に手を染めたときは悪質にやるつもりはなかったんでしょうが)は
加害者だけではなく、被害者に対しても、残念でなりませんね。


小沢氏、民主党代表を辞任
2009.05.12

昨日11日、小沢民主党代表が代表を辞任しました。
都議選、衆院選の想定される日程を考えれば、間に合った、と思いますが、
党内に燻る辞任要求や、西松建設不正献金疑惑に対する説明責任を求められ、
政権交代を担うべき次期総理の座を投げ出したといわれても仕方あるまい。

続投宣言した西松疑惑への釈明会見のタイミングでの辞任ということであれば、
投げ出したと言われる筋合いはなかったはずである。

しかし、自民党が安倍、福田と二代続いて総理を投げ出している状況で、
説明責任を果たさないまま辞任するとなれば、結局民主党も同じ批判を
浴びることになる。
このままの状況で、もし起訴されている元秘書の大久保氏の有罪が確定すれば、
小沢氏の政治生命が絶たれることになりかねない。

小沢氏の辞任会見の際、読み上げたメモは民主党HPよりダウンロードできる。
以下でその全文を紹介したい。

挙党一致をより強固にするために
衆議院議員 小沢一郎

 来る衆議院総選挙での必勝と、政権交代の実現に向け、挙党一致の態勢を
より強固にするために、あえてこの身を擲(なげう)ち、民主党代表の職を
辞することを決意致しました。
 国民の皆様、支持者の皆様にご心配をおかけして参りましたことをお詫び
申し上げるとともに、特に、この3年間、至らぬ私を支えて下さいました
同僚議員の方々、党員・サポーターの皆様に、心より御礼を申し上げます。
 もとより、今度の総選挙は、国民自身が政権を選択して、自らこの国と
国民生活を救う、又とない機会であります。
民主党にとっては、悲願の政権交代を実現する最大のチャンスであります。
 民主党を中心とする新しい政権をつくり、「国民の生活が第一。」の政治を
実現して、日本の経済、社会を根本から立て直すこと。
そして、政権交代によって、日本に議会制民主主義を定着させること。
その2つが、民主党に課せられた歴史的使命であり、私自身の政治家
としての最終目標にほかなりません。
 日本のために、また国民にとって、民主党にとって、そして私自身に
とっても、何が何でも、ここで勝たなければならないのであります。
 それを達成するためには、党内の結束・団結が絶対不可欠の条件であります。
党内が乱れていたのでは、総選挙に勝利することはできません。
逆に、挙党一致で臨みさえすれば、必ず勝利することができると確信しております。
 私が代表の職にとどまることにより、挙党一致の態勢を強固にする上で
少しでも差し障りがあるとするならば、それは決して私の本意ではありません。
政権交代という大目標を達成するために、自ら身を引くことで、民主党の
団結を強め、挙党一致をより強固なものにしたいと判断した次第であります。
 正に、身を捨て、必ず勝利する。私の覚悟、私の決断は、その一点にあります。
 連休中、熟慮を重ねて、その結論に達し、決断した以上、党内の混乱を
回避するためにも、直ちに連休明けの本日、辞意を表明することに致しました。
ただし、国民生活への影響を最小限に抑えるために、平成21年度補正予算案
の衆議院での審議が終わるのを待ったうえで、速やかに代表選挙を実施
していただきたいと思います。
 重ねて申し上げます。新代表の下で挙党態勢を確立して総選挙に臨む
ことが、何よりも重要であります。
もちろん、私もその挙党態勢の一員として新代表を支え、総選挙必勝の
ために最前線で戦い続けたいと思います。
 国民の皆様、引き続き民主党をご支持下さいますよう、心よりお願い申し上げます。

これを読むと、小沢氏は、政権交代を実現するために自分が代表の座に
留まっていては、挙党体制が作れないので、降りますとしか言っていない。
ナゼ辞任せざるを得ないのか、責任を取るためではなく、選挙に勝つため。
これでは、福田さんと変わらないですよね。

もともと多くを語りたがらないために誤解されてきたタイプの政治家だけに、
辞任に当たって、追求が厳しくて逃げ出した、と誤解されることがないよう、
キチンと説明して頂きたかった。

未曾有の経済不況の中、小沢氏の政治手腕が必要とされる場面が近々に
あると思われるだけに、実に残念である。

民主党としては、財界からも要求されている通り、政策本位の政治が
実現できる体制を一刻も早く立て直して、国会審議に臨む必要があろう。

補正予算審議中の代表投げ出しによる政治空白の被害者は、我々国民です。
タイミング的には、安倍、福田両氏よりもかなり悪いといわざるを得ない。
国民に迷惑をかける最悪のタイミングといっても良いかもしれない。

そういう意味では、代表不在でも補正予算審議に応じるくらいの覚悟で、
ただそれでも自民党の言いなりに押し切られるのではなく、
政策本位に国会で論戦を張りつつ、新代表を速やかに決めなければなるまい。


郵便局による消えた年金探し
2009.05.11

消えた年金を探す手助けに郵便局が動くことになるようだ。
10日19時41分KYODO NEWS記事はこう報じた。

全国郵便局長会(全特、浦野修会長)は10日までに、高齢者に多い年金の
支給漏れに関する相談活動に取り組む方針を固めた。
各局の利用者に年金記録の見直しを呼び掛け、年金捜し専門の
社会保険労務士を紹介する。
17日に千葉市で開く通常総会で正式決定する。
いわゆる「宙に浮いた年金」だけでも3月末現在、約1700万件の加入者が
特定できない状態。
地方の高齢者らにとって、身近な相談窓口に。


小泉改革の結果として分割民営化されてしまった郵便局であるが、
地方都市を中心に、郵便局が地域コミュニティーの中心となる実情があり、
このコミュニティーを消えた年金の捜索に生かそうというのである。

都心の郵便局では、郵便局の数がある程度減ったとしても、郵便事業が
機能しているのであるが、地方に行くと、郵便局員が地域のネットワークや
コミュニティーを維持するための機能を担っているケースも多かった。
特に、島しょ部に至っては、郵便局が命綱。
小泉改革の結果、不便になったと実感している方が多いと聞く。

私のルーツは島(奄美大島)で、郵便事情の悪化は実感するところです。

ところが今回、批判の槍玉に挙げられていた全国郵便局長会が自ら提案する
新たなサービスの試みは、社会保険庁や各市町村だけでは遅々として
進まない消えた年金を探すために専門家を紹介するという。

私のクライアントでも、消えた年金が見つからず、年金受給額が少なくなって
しまっている方がおり、苦慮していたところですが、社会保険のプロたる
社会保険労務士が動くという。

どこまで機能するかは判らないが、市町村合併の反動で、役所が遠くなり、
とてもではないけれども、消えた年金の行方を追うために役所にまで
通いきれない高齢者の方にとって、身近な郵便局が仲介してくれる
というのは、朗報である。

この点は、郵便事業の効率化と逆行する動きであるが、郵便局が地域の
中心にあることを端的に示すことにもなりそうだ。


新型インフルエンザへの対応の甘さ
2009.05.10

水際対策が功を奏しているとはいえ、とうとう日本人の感染者が発生した
新型インフルエンザであるが、どうにもその危険性に対する認識の甘さが
気になるところである。
感染者が府立高校生から出た大阪府の橋本知事も、指摘するところだ。
10日11時56分YOMIURI ONLINE記事はこう報じた。

大阪府立高校生ら3人が新型インフルエンザに感染したことについて、
橋下徹府知事は9日、府教委や学校側が、滞在先のカナダでマスクの着用を
徹底させなかった点に触れ、「結果的には少し認識の甘い対応だった」と述べた。
同府松原市内で報道陣に答えた。
教員がカナダ滞在中に体調不良を起こしたという報告を、校長が府教委に
伝えていなかったことも、「報告、連絡、相談が重要な時期において、
行き違いがあったのは不適切」と指摘した。

新型インフルエンザの感染力や毒性は従来型に比べると弱いようだが、
世界的に猛威を振るう可能性が出てきているだけに、
自分の身は自分で守るよう、予防を図ることが肝要ではないのか。

私が非常勤で教えている国士舘大学では、4月27日付で、
新型インフルエンザ感染拡大予防について、として、注意を促す文書を
HP上にアップし、学内にも掲示している。
詳細は以下の通り。(ただし、不適切表現は訂正した)


既に多くの報道にて周知の通り、メキシコを中心とした海外にて
新型インフルエンザ感染の拡大を認めております。
まだ、新型インフルエンザについての詳細は解明できてはいませんが、
さらなる感染流行も危惧されております。
本学の学生および教職員も、これからの時期に多数の海外渡航があると思われます。
したがって、学内はもとより、国内の感染拡大予防の一助として、
当面の間、以下に示す内容をご理解の上、ご協力を願いたいと思います。
【新型インフルエンザ感染予防のための注意事項】
1.不要不急の海外渡航は避ける。
2.感染地域の滞在者は、可能な限り早期帰国を検討する。
3.感染地域帰国者は、可能な限り帰国後3~10日間の自宅待機とし、
その間の外出はなるべく控える。
4.海外旅行帰国後10日以内に38.0度以上の発熱・持続性咳などの体調不良が
認められた場合は、最寄りの保健所・病院等の医療機関に電話相談をする。
(4月25日より厚労省が開設した電話相談窓口 03-3501-9031もあります)
5.公的機関広報・メディア報道・本学の掲示板やホームページなどの通信や
案内を随時確認する。
【日常における各個人の予防対策】
○マスク(咳・くしゃみにはマスクをつけましょう)
○手洗い(石鹸でこまめに手洗いを行いましょう)
○うがい(日常的にうがいを行いましょう)


国士舘の場合は、一昨年の麻疹騒動で懲りたのか、昨年は学内に麻疹感染者
が確認できた時点で、2週間の全学閉鎖。
予定されていた学外活動についても自粛要請があり、昨年同時期に予定
していた私のゼミのゼミ旅行もキャンセル料学校持ちで10月に延期しました。

おそらく、今回も感染者が確認された場合には、2週間の全学閉鎖になる
のではないかと思っています。

少なくとも、一昨年のような後手後手の対応になることは考えにくいですね。

院生の中にも該当地域への渡航者がおり、その者が登録している講義を
担当している教授や大学院事務室からは、来週の登校を禁止する旨を
伝えるよう、同期生に指示が出ています。(本人は今日帰国します)

情報を吟味して冷静な対応を取ることも必要ですが、
自分の身を守るための予防と同時に、万が一感染してしまった場合には、
他人に感染さないよう心がけることも、忘れてはならない。

私は、GW前から風邪気味でたまに咳が出るんですが、今の時期は
咳き込んでしまうと、疑いの目を向けられてしまいますね。
だからこそ、マスクをしておくことも必要なのですが、普通の風邪でも、
他人に感染さないようにする必要があるわけですね。

自分の身を守るためだけではなく、他人の身も守るよう、心がけたいものですね。


平沼赳夫「七人の政治家の七つの大罪」、渡辺喜美「絶対の決断」
2009.05.09

今日は、今後の政治問題を考えて頂く上で、是非一読をオススメする
2冊を紹介したい。

平沼赳夫「七人の政治家の七つの大罪」(講談社2009年4月)
渡辺喜美「絶対の決断」(PHP研究所2009年5月)

2冊とも、自民党を離党し、無所属議員として、自己の主義主張を貫こうと
している議員の書籍であるが、両書から感じられるのは、政治家として
貫こうとしている熱い想いである。

平沼氏は、小泉改革を止められなかったことへの自己批判をした上で、
次の時代に来るべき政権の枠組みとして、
両党ともに過半数を得られない場合には、「国民が自民党も民主党も完全には
信頼していないことの証左でもあろう。一方で公明党が連立のパートナー
として、いつまでもキャスティングボードを握るのは好ましくない。」
(256ページ)として、「三年間という明確な区切りを設けた上で、
自民党と民主党をまたぐ形での大連立政権、すなわち「救国大連合」
を作り、難局を乗り切る体制を構築できないか」(257ページ)という
政権構想を提言する。

「次の総選挙、あるいはその次の総選挙は、おそらく日本の歴史上、
最も重要な選挙になるのではないか。
その一票は重く、国民の期待が込められている。
だからこそ、政治家は小異を捨て、大同につくべきだ。
政治の空白を作るべきではない。
二六五年続いた幕藩体制を倒すため、坂本龍馬は反目し合っていた
薩摩と長州が手を結ぶ橋渡しをした。
これからの私がするべきことは、坂本龍馬のように自民、民主の二大政党の
橋渡しをすることだ。
国のため、国民のため、平成の坂本龍馬として全力で、命がけで働かせて
いただきたい。」(260ページ)
と締め括った平沼氏の想いは、
「七人の政治家の七つの大罪――。
その中には、私自身と、その罪も含まれている。
政治家として、他人を批判するばかりでは許されないのだ。
返り血を浴び、自ら血を流してでも日本の政治をよい方向に導く指針を
示さなければならない。」(6ページ)という言葉に端的に表れている。

先人達が血のにじむような努力をして作り上げてきた日本社会を守るためには、
身体を張って闘える人間が必要なんだと思います。
選挙にも行かず、ただ批判だけをしている卑怯者にはわからないだろうが、
基本的人権を与えられた権利だと思うのであれば、取り上げられることも
想定してしかるべきではないのだろうか。
血の代償を払って勝ち取ってきた自由で平等な社会を放棄するなら
勝手にして頂きたいものだが、政治家は、そういう人をも救済する方法を
考える義務があろう。
何でも自己責任というのは、責任放棄としか思えない。

そういう意味では、平沼氏に身体を張って闘える気力が戻ってきたことは、
非常に嬉しいニュースでもあった。
経済通のベテランの手腕が発揮できる場を勝ち取る意欲を
本書で示してくれている。


また、行政改革に情熱を燃やし、安倍内閣、福田内閣では行政改革特命大臣
であった渡辺氏は、麻生政権が行革に逆行していることへの義憤を
本書の上程という形で表現したのかもしれない。

「麻生政権下においては、他にも首をかしげたくなるようなことが頻繁に
起こりました。
例えば、独立行政法人の雇用・能力開発機構については、福田内閣のときに
すでに決まった案件でした。
当時、霞ヶ関の裏シナリオでは、「雇用・能力開発機構は手直しして温存」
というものでしたが、私がそれを押し返したのです。
町村信孝官房長官の部屋で、私と舛添要一厚生労働大臣が話をしたとき、
町村官房長官が「雇用・能力開発機構は存続し、個別事業をスリム化」
すなわち、「手直しして温存」というプランを出してきたことがあったのですが、
これに徹底反論して、「1年かけて、組織の存続を含めて結論を出す」という
延長戦に持ち込みました。
(略)結論として、雇用・能力開発機構については、福田総理のトップダウン
の決断で、「組織は廃止、機構は解体、機能は整理」ということが決まったのです。
ところが、12月になって雇用・能力開発機構についての議論が蒸し返されたとき、
私は福田総理の示した方針が追認されると思いきや、甘利明行革大臣が
出してきた案は、「高齢・障害者雇用支援機構」という別の小さな独立行政法人
とくっつけて温存するという、とんでもない案だったのです。
私は「これでは、看板の掛け替えにすらなっていない」と猛反発しました。
自民党の行政改革本部の場では、徹底的に甘利大臣と議論しました。
そのうちに、みんな席を立ち、最後まで抵抗したのは私一人だけでした。」
(34~36ページ)という件も、渡辺氏が命懸けで取り組んできた行革が
無駄になってしまう想いからの行動であり、最終的に離党を決断せざるを得ない
状況に至った経緯が見えてくる。

渡辺氏は本書においても、麻生政権への恨み節というよりも、なお一層の
公務員改革を推進し、行政改革を断行するという強い決意を示している。
それを端的に示すのが、本書の最後に掲げた
「国民運動(「脱官僚」「地域主権」)のための10の問題提起(たたき台)」
(233~235ページ)である。

このたたき台には、
「増税の前にやるべきことがある!(まず国会議員や官僚が身を切るべき)」
というサブタイトルが付けられている。
まさにその通りであろう。

最終的には財政健全化のために増税は避けて通れないであろうが、
国民に負担を強いる前に、負担を求める議員や原案を作成するであろう官僚
自らがまず身を正して、自分たちが先に身を削ってから負担を求めるべきと
いうのは、行政改革が言われ始めた80年代から言われ尽くされている。
別に渡辺氏の独創でもなんでもない。

土光氏が中曽根政権下で行政改革の方針を明確にした当時、その食卓が
注目されたことがありましたよね。
土光氏の好物であったとはいえ、一汁一菜にメザシが付くだけ。
ただし、土光氏の食べていたメザシは高級品でしたが...

ただ、当時は行革を推進するために、トップ自ら贅沢をせず身を削っている
ように見せたかっただけのように感じなくもないですが、あのインパクトが
官僚の抵抗を弱めた部分もあったのではないかと思います。

せめてポーズだけでも自ら身を削っているように見せなければ、国民は
納得しませんよね。
麻生首相のバー通いが問題視されたこともありました。
麻生さんなりの合理性を結果だったとは思いますが、国民感情を逆なで
したことは確かでしたね。

増税という負担を課されるのであれば、それだけのことを示してくれなければ
国民は納得しませんね。

だからこそ、国民に身体を張って説明できる方が求められるのだと思います。

説明責任を果たせない小沢さんをいつまでも担いでいたら、
時を逃しかねないんではないですかね。

平沼氏、渡辺氏の本を読んで、政治家としての矜持、闘う姿勢を改めて
見た思いがしています。


粉飾決算に基づいた投資判断に対する株主代表訴訟
2009.05.08

粉飾決算の影響で上場廃止となった会社の増資により受けた損害に対して、
株主が出資した投資会社の社長らを相手取り、株主代表訴訟を提起した。
8日8時5分産経新聞ネット記事はこう報じた。

粉飾決算で上場廃止となった企業の増資をめぐり、上場廃止を予測できた
のに出資に応じて会社に損害を与えたとして、出資した投資会社、
ユニオンホールディングスの女性株主が、ユニオン社の社長らを相手取り、
出資した44億9000万円をユニオン社に弁済するよう求める
株主代表訴訟を起こしていたことが7日、関係者の話で分かった。

訴状によると、ユニオン社は平成17年3月から3回に分けて、電気通信
工事業、TTGの第三者割当増資を引き受けて、計44億9000万円を
出資した。
その後、TTGが17年3月期の有価証券報告書で、実際は約18億
5000万円の債務超過だったのに約3000万円の純資産があるように
みせかけるなどの粉飾決算をしていたことが発覚。
19年1月、ジャスダック市場を上場廃止となった。

株主側は、増資を引き受けるにあたり調査会社から提出された資料で、
TTGが粉飾決算をしていることが指摘されていたと主張。
ユニオン社の経営陣は、粉飾決算を原因とするTTGの上場廃止を予測できた
のに、出資した後にTTGの株が無価値となって社に損害を与えたとしている。

TTGへの増資をめぐってはユニオン社が「TTGが違法行為をしていないか
調査する義務があった」として増資の仲介をした三井住友銀行と大和証券
SMBCに対し、計44億9000万円の賠償を求めた訴訟を起こしている。


44億9000万円の出資が悪質な粉飾決算の結果、紙切れになってしまった
事件について、株主から株主代表訴訟を提起されるまでに至った。
出資した投資会社が増資の仲介をした銀行と証券会社を相手に出資額の
全額の賠償を求めて提訴している事件でもあり、投資した責任がいずれに
あるのか、裁判所の対応が注目されるところである。

小泉改革の中で主張されていたキーワードとして「自己責任」があった
ことを覚えているだろうか。

小泉さんは、あらゆることを自己責任の下で行う社会を目指していたわけで、
投資に対する自己責任は、その中でも最たるものの1つであろう。

しかし、自己責任社会というのは、情報の不均衡が是正されない限り、
達成することが不可能である。
少なくとも、情報の不均衡を是正するための措置が機能しないことには
自己責任を取りようがないのである。

本件は、まさにそこが焦点である。

自己責任であるならば、株主が投資に踏み切った経営陣に損害賠償を
求めたとしても、経営陣の投資判断の誤りの責任は、クビにすることは
あっても、損害賠償を求めるのは、利益供与の強要にあたることになろう。
また、会社が銀行や証券会社を訴えたとしても、投資判断を誤った会社の
判断ミスになるのだから、損害賠償を求めることは筋違いということになろう。

しかし、自己責任がとれるためには、正しい判断材料が提供されてこその
ことであり、そもそも増資の仲介をする際に、対象会社の実態調査が
徹底されていないのであれば、不良投資案件の販売ということですから、
詐欺にあたることにあろう。
少なくとも、銀行や証券会社が詐欺の共犯ではないことを証明する責任は
あるのではないだろうか。
詐欺に基づいた情報により投資の自己判断が誤っていたとして、投資した
側が自己責任を問われるのであれば、投資情報の信頼性が損なわれるどころか、
誰も信用しなくなるのではないのか。

それを防ぐために、アメリカでは、公認会計士による監査が保証となり、
公認会計士もプロフェッショナルの矜持を持って、自己責任社会の要請に
応えてきたのである。

本件においては、TTGの粉飾の事実を調査する義務があったのか、
ということになろうが、それは銀行や証券会社ではなく、監査証明をした
公認会計士の責任ではないだろうか。

その意味では、ユニオン社は被告適格を失した訴訟を提起しているような
気がする。

近年は、公認会計士による不正行為がかつてないほど摘発されている。

金融庁が公認会計士の増員を求める背景にも理解できる面はあるけれども、
私が受験勉強していた当時から考えると、受験生の質の低下が感じられて
仕方がない。
それだけではなく、監査人員の確保という観点が重視されすぎて、
監査法人内でも行われていたはずの初期研修、公認会計士としてのあるべき姿を
プロフェッショナルとしての矜持として持たせるための職業倫理教育が
おざなりにされてきた感がある。

税理士の質という部分では言うまでもないことであるが、研修の質の向上が
求められるだけではなく、税理士に至っては、研修制度自体が努力目標に
過ぎず、継続研修を受けていないとしても罰則すらない。

税理士にしろ、公認会計士にしろ、試験合格して数年はかなり高いレベルに
あると考えられるが、もし継続研修を10年受けてこないとすれば、レベルを
維持できる者は少数派になってしまう。
私のような試験免除にさえ、歯が立たないレベルまで落ち込んでしまうのだ。

私はダブルマスターであることを公言していますし、
「ダブルがお嫌いなら結構です。ダブルから学ぶことはないんでしょ。
だったら私がやる研修には来てくれなくて結構です」と発言して、
無茶苦茶怒られたこともありました。

しかし、国家資格というものは、スタートラインに過ぎず、継続研修こそが
プロフェッショナルであり続けるために必要なことなのだ。

本件のような事件が報道されるたびに、小泉さんの功罪を考えてしまうのだが、
その根底にあることは、自己責任の問題というよりも、プロフェッショナルの
専門家としての責任が果たされていないことではないのかと感じている。

税理士という専門職業をプライドを持って行っていくためにも、
プロフェッショナルとしての矜持を忘れてはならない。


消費税は社会保障目的税化できるのか?
2009.05.08

衆議院予算委員会で15兆円の追加経済対策を盛り込んだ予算委員会が
スタートした。
麻生首相からは消費税の増税分を社会保障目的税化する提案が出てきたり、
与謝野財務相から今後の財政健全化方針が明言されたりと、初日から
積極的な主張が展開されたようだ。
時事通信社7日の記事から、10時30分記事と20時30分記事を紹介しよう。

衆院予算委員会は7日午前、麻生太郎首相と全閣僚が出席し、追加経済対策の
裏付けとなる2009年度補正予算案の実質審議に入った。
首相は、消費税率を引き上げた場合の使途について「社会保障関係(予算)の
漸増は長期的に間違いないという前提で考えなければならない」と述べ、
全額社会保障費に充てる必要性を重ねて強調した。
これに関連し、与謝野馨財務・金融・経済財政相は「一銭たりとも行政の
肥大化に使わせない。それなら国民に理解されるのではないか」との
認識を示した。
自民党の園田博之政調会長代理への答弁。
また、首相は補正予算案に関し「景気の底割れ防止、安心・安全、
活力の実現、未来の成長力強化につながる施策を織り込んでいる。
一刻も早い成立が極めて重要だ」と述べ、野党に協力を要請。
(略)自民党の町村信孝前官房長官への答弁。
(時事通信社7日10時30分記事)


与謝野馨財務・金融・経済財政相は7日午後の衆院予算委員会で、
2011年度にプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化する
政府目標について「達成は困難になりつつある。旗は相当傷んでいる」
との厳しい認識を表明した。
その上で「景気回復を最優先としつつ、財政健全化に取り組んでいる」と述べ、
新たな財政健全化目標の設定に向けて議論を加速させる考えを示した。
民主党の菅直人代表代行への答弁。
菅氏は、麻生政権が発足以来約半年で、09年度補正まで予算編成を計4回
行ったことを取り上げ、「先行きを見通した対策が遅れた結果だ。
08年度第1次補正成立後に衆院を解散していれば本格的な対応ができた」
と批判した。
麻生太郎首相は「解散しても、同じことになり得た可能性は十分ある」
と反論、景気対策上必要な措置との認識を示した。
(時事通信社7日20時30分記事)


本格的な補正予算審議が始まったが、未曾有の景気後退期に早急な審議が
できていない、と批判されても仕方がない状況である。
菅氏の指摘するところであるが、半年で4回目の予算の審議というのは、
異常事態と言わざるを得ない。
生きている経済に喫緊に対処する必要があっただけに、やむを得ない
と考えるのか、それとも、緊急対策に対する見通しの甘さが招いた
と見るべきかは、判断の分かれるところであろう。

判断の甘さがあったとしても、そんな議員しか選んでいない我々にも
責任はありますが、選挙がなければ選択できないんですね。
この状況は、政治に常日頃から関心を持たずに、難しい問題から逃げてきた
結果なので、我々自身が変わらなければ、状況は改善されませんね。

それはさておき、麻生さんは注目すべき発言をしましたね。
これを与謝野さんが否定しないということは、閣内での一致を見ている
のかもしれません。

つまり、「消費税の福祉目的税化」。

与謝野さんの政治における師匠筋に当たる中曽根元首相の首相在任時の
主張そのものですよね。
消費税導入論議の中で、中曽根さんが売上税構想を成立させるために
持ち出してきた福祉目的税構想でしたが、25年を経てようやく本格的に
日の目を見ることになりそうですね。

財政健全化のためには、行政改革を推進しながら、景気に左右されない
徴税体制を確保することが必要であるが、所得課税中心のわが国の税体系は、
景気が悪くなれば、税収が激減することは火を見るより明らかである。
だからこそ、消費税の役割が重要視されることになるのだ。

20年前の消費税選挙では、「国家100年の計のために今、消費税が必要だ」
と大阪のおばちゃんに向かって叫んだために、大敗した大物議員も
いたんですよね。
消費税の増税は、末端まで税負担を直接感じられる増税ですから、
有権者の関心も高いのですが、その結果として、将来世代、つまり
自分の子どもに自分たちが負担すべきだったはずの税負担が先送りされて
課されることは、直接的な痛みを伴わないためにピンとこないんですね。

消費税の増税を前提にはしたくありませんが、景気が悪くなれば税収が減る
一方で、景気対策のための財政出動の拡大が求められるために、財政収支が
マイナスに振れ、その負担は先送りになっている悪循環をどこかで
断ち切らなければ、少子化により元々一人当たりの負担が増えることが
確定的である将来世代に、過度な負担が先送りされて積まれていく状況は
何も変わらないんですね。

ここでも何度か書いていますが、だから私は学生たちに「ありがとう」と
言っているのです。
私はベビーブーマーですからやたらと同級生がいます。
しかし、私たちが引退するときには、どう考えても私たちの世代よりも少ない
人数の若者たちが負担する税金で、私たちの社会保障費は賄われるのですから。

景気が良かった時に抜本的な財政健全化対策を怠ってきたツケが今出ている
のですね。

消費税を福祉目的化することで問題が解決できるわけではありませんが、
福祉や社会保障の充実を図るための財源として消費税の増税を図るという
理由付けを行うのであれば、福祉目的税化することは理にかなっています。
(一般財源のままで福祉の充実を謳い文句に消費税増税を図ったら、橋本内閣
による消費税5%と同じ徹を踏みかねませんし、今の時代から見た判断では、
あのタイミングでの消費税アップは失政だったとの謗りは免れないと思います)

そうなるとタイミングをいつとみるのか。

与謝野さんは、2012年からの増税に拘りがあるようですが、麻生さんは
景気回復を待っての判断との姿勢を崩していません。
翻って民主党でも小沢代表は、消費税率アップの可能性を全面的に否定しては
いませんが、(ただ将来的な税体系の改革の結果としてのものとしての判断と
考えているものと思います。小沢氏は自民党幹事長時代に消費税率20%を
主張していたわけですし、これを現在でも完全否定していないのですから。)
近々の増税には反対の立場であるだけですね。
その意味では、判断基準の違いこそあれ、麻生さんと主張の隔たりは余り
感じられないですね。
民主党には、消費税自体の存在を問題視するグループもあるようですが。

いずれにせよ、まずはこの補正予算。
補正予算審議の方向性がはっきりしてこないと、選挙後の次の政権の方向性が
見えてこないような気がするので、ここをしっかりと判断していきたいですね。


人生の師と呼べる方と出会えた方は幸せですね
2009.05.07

人生の師と呼べる方と出会えた方は幸せですよね。
先日がんで他界されたミュージシャン、忌野清志郎さんの場合は、
初期のヒット曲「ぼくの好きな先生」のモデルとされる小林先生だった。
5日3時1分asahi.com記事はこう紹介している。


♪劣等生のこのぼくに すてきな話をしてくれた
2日に58歳で亡くなったロックシンガー、忌野清志郎さんには終生慕う先生がいた。
東京都立日野高校で担任だった小林晴雄さん(77)。
初期のヒット曲「ぼくの好きな先生」のモデルになった。
必ず闘病生活を乗り越える。
先生と級友はそう信じてきた。

3日、都内で営まれた清志郎さんの通夜に、小林先生は参列した。
ひつぎの中の教え子は穏やかな顔をしていた。
「十分がんばってきたんだ。ゆっくり休め」。
心の中で声をかけ、花を手向けた。

《十八になる私の子供はギターのプロになるのだと申します。
私どもには何が何だかわからなくなりました》

69年11月、朝日新聞にこんな身の上相談が載った。
清志郎さんの母からだった。

「大学に行っても4年遊ぶんだから、4年は好きなことをやらせてあげましょう」。
気をもむ母を説得したのが、小林先生だった。

清志郎さんは67年に高校に入学した。
俳優の三浦友和さんも同じ学年だった。

同級生の斎藤園子さん(57)によると、校内では物静かだった。
小柄できゃしゃ。マッシュルームカットでひょうひょうと廊下を歩いた。

高校時代にバンド「RCサクセション」を結成。
活動にのめり込み、欠席や遅刻が相次いだ。
ただ、美術部顧問で、生徒の話にじっくり耳を傾ける小林先生にひかれ、
絵画制作に熱中した。

「勉強が嫌いだから絵描きになった」という先生は、職員室が嫌いで、
美術準備室でいつも一人でたばこを吸っていた。
後輩の芝田勝美さん(56)は、部員でもない清志郎さんがショッキングピンク
に染め上げた白衣を着て、放課後の美術室で黙々と絵筆を動かしていたのを
覚えている。
「本当に小林先生を慕っていました」

高校を卒業した70年にプロデビュー。
2年後、「ぼくの好きな先生」が入った初アルバムを携えて美術室を訪れた。
「先生のことを歌にしたんだ。迷惑でしたか」。
先生は「照れくさかったけれど、やっぱりうれしかった」。

ステージでは、派手な衣装やメークに身を包んだ。
でも同級生の岡田重子さん(57)は「普段は静かな人。
あのお化粧は照れ隠しでしているんだなと思っていた」。
清志郎さんの本名は栗原清志。
先生や級友はずっと「栗原くん」と呼び続けてきた。

10年ほど前から、小林先生を慕う卒業生が開くOB展に清志郎さんも
出品するようになった。
06年にがんの闘病生活に入っても出品は続いた。

昨年2月。武道館で「完全復活祭」と銘打ったライブがあった。
招待された小林先生は、同窓生6人と客席で見守った。
終演後に楽屋を訪れてビールで乾杯し、「無理しちゃだめだよ」と皆で声を掛けた。
清志郎さんは高校の頃と同じように「うん、うん」と照れくさそうにうなずいた。

だが、がんは転移した。

先生と清志郎さんが最後に会ったのは今年2月、OB展の会場だ。
三浦さんと共に訪れた清志郎さんは、1時間近く思い出話に花を咲かせた。

まとめ役には「先生にどうしても会いたいんだ」と電話してきたのに、
先生には、安心させようとしてか「もう大丈夫です」と笑ってみせた。

清志郎さんが逝った夜。
同級生の坂崎隆義さん(57)はOB展のブログに追悼の文章を書き込んだ。
「一緒に生きた幸せな時代。しんどい時代だけれど、なんとかしのいで
生きていく。みんな。忘れないよ。合掌」(小島寛明、市川美亜子、鈴木暁子)

朝日新聞の記事を見て判るように、忌野さんがミュージシャン忌野清志郎
ではなく、素の自分に帰れる場所の象徴だったのかもしれません。

小林先生との出会いが偉大なミュージシャン忌野清志郎を形作ったのかもしれません。

人生の師との出会いって、それほど大きいものなんですね。

私は行く先々で必ず師と呼べる方と出会えてきた。
これは実に幸せなことだと思う。

小学校時代の古矢先生、麻布では近藤先生、法政では大下、神谷両教授、
国士舘では西野教授、渡辺教授等、税理士になってからも支部長を始め、
私には、数多くの師と呼べる存在がいる。

人生を豊かにしてくれる、また心の支えとなる言葉を送ってくれた師匠です。

教育の現場は、未完成な生徒、学生の成長過程を支援する場所ですから、
もっともデリケートで、難しい。

私が本業とする税理士の場合には、経営者教育を求められる場面もあります。
教育に携わってきた経験が活きることもありますが、人格的に完成された
大人に対するものだけに、教育現場とは違った難しさがある。

完成されているだけに、軌道修正が難しいのですね。
自分の選択に対するプライドも子どもと比べて非常に強いのです。

ただ、教育という世界は、難しいから面白い。

こういう時代ですから、社長に会うと愚痴を聞くことが多くなりますが、
これをチャンスと捉えて、前向きに動かれる方と、今は守りを固める時と
じっと我慢される方とわかれます。
動く勇気と動かない勇気。

攻めるのか守るのか、社長の性格にも違いが出てきますが、その見極めに
対するアドバイスが求められる時代だけに、私も腹を決めて社長とともに
この荒波を乗り越えて行きたいと考えています。

師と呼ばれるような存在に早く追いつき、成長せねば。


遺産再分割における更正の請求の可否
2009.05.06

今日は、一度相続税の申告をした後、当初の申告は税理士が配当還元方式を
適用できるものと誤認したために誤っており、誤った指導の下に合意された
遺産分割決議が取り消され、配当還元方式が適用できる形での再度の
遺産分割の合意の下に更正の請求又は修正申告をした場合に、更正の請求が
認められるかどうかが争われた、東京地裁平成21年2月27日判決
(TAINSコードZ888-1414)を紹介する。

本件は、以下のように判示され、遺産分割協議自体の無効を主張することは
できないが、約19億円もの税額の差異は遺産分割協議の要素の錯誤に当たり、
株式の配分の変更に関する更正の請求が認められている。

以下では、判決の要旨を見ていこう。

1 本件は、被相続人の妻(原告乙)が取得する本件同族会社の株式の価額
につき、配当還元方式による評価を前提として第一次遺産分割をし相続税
の申告をした後に、配当還元方式の適用を受けられず、類似業種比準方式
による高額の租税負担となることが確認されたため、配当還元方式の適用を
受けられるように各相続人が取得する株式数を調整した上で新たな遺産分割
の合意(以下「第2次遺産分割」という。)に基づき、更正の請求期間内に
原告らが更正の請求又は修正申告をした事案である。

2 原告乙が遺産分割により取得する株式について、配当還元方式による
評価によることが、第1次遺産分割に当たっての重要な動機として明示的に
表示され、かつ、その評価方法についての動機の錯誤がなかったならば
相続人らはその意思表示をしなかったであろうと認められるから、
第1次遺産分割のうち株式の配分に係る部分は要素の錯誤があったと
認めるのが相当である。

3 分割内容自体の錯誤と異なり、課税負担の錯誤に関しては、それが
要素の錯誤に該当する場合であっても、申告納税制度の趣旨・構造及び
税法上の信義則に照らすと、申告者は、法定申告期限後は、課税庁に対し、
原則として、課税負担またはその前提事項の錯誤を理由として当該
遺産分割が無効であることを主張することはできず、例外的にその主張が
許されるのは、分割内容自体の錯誤との権衡等にも照らし、(1)申告者が、
更正請求期間内に、かつ、課税庁の調査時の指摘、修正申告の勧奨、
更正処分等を受ける前に、自ら誤信に気付いて、更正の請求をし、
(2)更正請求期間内に、新たな遺産分割の合意による分割内容の変更をして、
当初の遺産分割の経済的成果を完全に消失させており、かつ、(3)その
分割内容の変更がやむを得ない事情により誤信の内容を是正する一回的な
ものであると認められる場合のように、更正請求期間内にされた更正の請求
においてその主張を認めても弊害が生ずるおそれがなく、申告納税制度の
趣旨・構造及び租税法上の信義則に反するとはいえないと認めるべき
特段の事情がある場合に限られるものと解するのが相当である。

4 認定事実によれば、本件会社の株式の評価に係る配当還元方式の適用は、
その適用の有無により評価額に合計約19億円の差異が生じることから、
遺産分割における重要な条件として当初から相続人らの間で明示的に
協議されていた事項であり、相続人らが当該株式の評価方法を誤信して
第1次遺産分割の合意に至ったのは、本件税理士の誤った助言に起因する
ものであり、事柄の内容も税務の専門家でない相続人らにとって同税理士の
助言の誤りに直ちに気付くのが容易なものとはいえないことであったこと、
遺産分割の協議に際して、相続人らは、第1次遺産分割に基づく当初の
申告を経て、自らその誤信に気付いた後、速やかに、配当還元方式の適用を
受けられる内容に当該株式の配分方法を変更した第2次遺産分割の合意に
至っていることが認められ、これらの経緯に照らすと、第1次遺産分割から
第2次遺産分割への分割内容の変更は、やむを得ない事情により誤信の内容
を是正する一回的なものであったと認められ、本件上記3(3)に該当するものと
認められる。

5 認定の事実関係の下では、本件は、上記3①ないし③のいずれにも
該当し、更正の請求において課税負担の前提事項の錯誤を理由とする
遺産分割の無効の主張を認めても弊害が生ずるおそれがなく、申告納税制度
の趣旨・構造及び租税法上の信義則に反するとはいえないと認めるべき
特段の事情がある場合に該当するものというべきである。

6 原告乙が更正請求期間内にした国税通則法23条1項1号の規定による
更正の請求により、処分行政庁は、第1次遺産分割のうち本件会社の株式の
配分に係る部分が無効であり、当該株式の配分については第2次遺産分割の
内容に従って計算がされるべきことを前提として相続税額の減額更正に
応ずべき義務を負うに至ったものと解するのが相当である。


判決によれば、税理士が誤った指導をしたことにより、株価評価を誤った
相続人たちがなした遺産分割協議のうち、株式の配分についてのみ
更正の請求が認められたのである。

これは事業承継対策等において注意しなければならない点であろう。

中小企業のオーナーの相続において、多くの場合、事業用資産は事業継承者が
引き継ぐものの、それ以外の財産については、事業継承者以外の相続人が
引き継ぐことになることも多い。
それでも相続される財産の価額に開きがあり、円満な相続にならず、
将来に禍根を残すケースが後を絶たない。

それだけに、遺産分割協議において、株価評価は重要なファクターになる。

株価評価が間違っていれば、遺産分割の合意内容に大きな変更が加えられる
可能性が避けられないのである。

しかし、判決によれば、株価評価のミスによる遺産分割のやり直しであれば、
株式の配分に関してしか更正の請求が認められない。

そうすると、株価評価のミスのために、相続税を二重に支払わざるを得ない
ケースも考えられることになってしまうのだ。

この場合、納税者の権利を保障する手段はなく、誤指導をした税理士に対する
損害賠償請求しか救済の手段が残されていないことになるのだ。

最高裁平成16年7月20日判決、いわゆる平和事件最高裁判決では、
税務担当者に対して、学説や判例に照らして総合的に判断することを
要求したが、まさにこの事例も、税理士が判例を研究しなければ、
専門家としての説明責任を果たせないことを示した事例の1つである。

我々税理士はこのことを重く受け止めなければならない。

理論武装は納税者のためだけではなく、自己防衛のためにも必要なのだ。


ヒトラーの経済政策
2009.05.05

今日は、600万人の失業問題を解決し、大恐慌で崩壊した経済を短期間で
再建した実績を研究した本を紹介します。

ヒトラーの経済政策―世界恐慌からの奇跡的な復興―
武田知弘著、祥伝社新書2009年4月

私も本書を読み、ナチスに対する思い込みがナチスの評価を不当に
貶めていたことに気付かされました。

ナチスの行った残虐行為は許されるものではありませんが、
こと開戦以前の経済政策に関しては、現在にも応用できるものが多く、
疲弊したわが国の経済構造の建て直しに役立てるヒントが満載されている
ことに驚かされました。

武田氏もまえがきの中で、

筆者は、ナチスの残虐行為について、擁護したり肯定したりするつもりは
毛頭ない。
しかし、だからといって彼らの行為がすべて否定されていいということ
ではないだろう。
アドルフ・ヒトラーやナチスという存在は、後世において「全否定」に
近い評価をされてきた。
が、彼らは、一時的にせよ、ドイツ経済を崩壊から救い、ドイツ国民の
圧倒的な支持を受けていたこともあるのだ。
彼らの行為の中には、後世の経済政策のヒントになるようなこともたくさん
あるのではないだろうか。

ヒトラーが政権を取ったとき、ドイツは疲弊しつくしていた。
第一次世界大戦で国力を使い果たした上に、多額の賠償金を課せられた。
ようやく復興しようとした矢先に世界大恐慌に襲われた。
ドイツという国はボロボロの状態になっていたのだ。
しかし、ヒトラーが政権を取るや否や、経済は見る間に回復し、2年後には
先進国のどこよりも早く失業問題を解消していたのである。
ヒトラーの経済政策は失業解消だけにとどまらない。
ナチス・ドイツでは、労働者の環境が整えられ、医療、厚生、娯楽などは、
当時の先進国の水準をはるかに超えていた。
国民には敵的にがん検診が行われ、一定規模の企業には、医者の常駐が
義務づけられた。
禁煙運動や、メタボリック対策、有害食品の制限などもすでに始められていた。
労働者は、休日には観劇や乗馬などを楽しむことができた。
また毎月わずかな積み立てをしていれば、バカンスには豪華客船で
海外旅行をすることもできた。
思想的な是非はともかく、経済政策面だけに焦点を当てた場合、ヒトラーは
類まれなる手腕の持ち主ということになるだろう。
(3-4ページ)

と記し、ヒトラーの経済政策という視点からの再評価をすべきことを指摘する。

また、あとがきでは

ヒトラーの経済政策の基本原理は非常に単純である。
「生活に困っているものをまず助ける」
ということだ。
これは経済の理にかなっているものでもある。
生活に困っているものは、もしお金が入ったらそのほとんどを生活費として使う。
それは消費を喚起することになる。
つまり生活に困っているものを助ければ、消費が増え、社会全体が
活性化するのだ。
景気を喚起するために財政出動するとき、もっとも効果があるのは、
低所得者層に向けて支出をすることだ。
それを明確に実証したのが、ヒトラーだといえるだろう。
これは太古から善政の見本のようにいわれてきた政策である。
しかし、ほとんどの政治家はいろんなしがらみがあって、
なかなかこれができない。
それをヒトラーはやってのけたのである。
この点については、現代の政治家もぜひ見習ってもらいたいと思う。
(246ページ)

と記す。
ヒトラーが大衆に支持されて武力によってではなく、民主的に選ばれた
国家元首であったからこそ、政権奪取当初の政策が機能したのである。

ただ、ナチスの場合、戦争に突入してからは、思想的なこともあって、
迷走してしまったのだが。

こと経済政策だけに絞ってみると、戦争前の財政を取り仕切ったシャハト氏の
手腕によるものが大きいとはいえ、見るべきことの多い政策であった。

今の疲弊したわが国経済を立て直すためにも、ナチスによるドイツ経済の
復興計画は、大変参考になるのではないか。

ただ、それがばら撒きになりそうで怖いところでもあるのだが...


アメリカが国際会計基準への移行を検討
2009.05.04

アメリカの会計基準が独自の路線ではなく、国際会計基準との協調路線を
模索し始めたらしい。
1日13時54分トムソンロイター記事はこう報じた。

米財務会計基準審議会(FASB)のハーツ会長は30日、米会計基準と
国際会計基準が完全に統合していなくても、今後3─5年の間に米国は
国際会計基準の導入を検討すべきとの見解を示した。
同会長は、米国の会計基準と国際会計基準を一致させるプロセスは今後
3─5年の間継続されるが、完全な導入についての決定はそれ以降に
されるべきとの見方を示した。
国際会計基準審議会(IASB)が設定する国際財務報告基準(IFRS)
は現在、100カ国以上で導入されており、米国の一般会計原則(GAAP)
よりも簡素でより原則に基づいているとされている。
米証券取引委員会(SEC)のコックス前委員長の下では、米国が
最終的にIFRSを導入することは必至とみられていたが、
シャピロ委員長は早期のIFRS導入に消極的で、2014年までに
米企業がIFRSを使うという計画を再検討している。
FASBのハーツ会長は、FASBとIASBは会計基準統合に向け
引き続き取り組んでいるが、いつになるかは公からどれだけ支持が
得られるかに左右されるの見方を示した。

従来、アメリカは、自国の会計基準の方が先進的で優れているから、
遅れている国際会計基準に同調させる必要がないという姿勢であった。
しかし、今回の不況を引き起こした原因を考えてみるに、アメリカ型の
時価評価に特化した未実現利益でさえ配当原資にできるような現実から
乖離した基準も遠因の1つであろう。
それに、エンロン事件やワールドコム事件により、当時の世界最大の
会計コンサルタントファームであったアンダーセンが解散したように、
会計専門家による不正経理事件もあり、アメリカの会計プロフェッションの
信頼性が揺らいでいることも、アメリカの正義を疑わなかったはずの
当人たちが、国際会計基準に擦り寄ろうとする理由になったのであろうか。

しかし、世界経済が連動している近年では、会計基準の比較可能性が高まる
ことの有用性は否定できない。

私自身は、国際会計基準への盲従は、わが国固有の商慣習を破壊する
暴挙である、との考えから、全面的な一元化には反対である。

例えば、工事完成基準が否定され、工事進行基準が原則となることには、
わが国固有の商慣習であるゼネコン方式を否定することであるから、
公共工事の発注がゼネコン方式を廃止しない限り、わが国には妥当ではないと
考えている。

この4月から規模の大きなソフトウェア開発に関しては、会計基準上では
工事進行基準が強制されることになった。
税法上は、会計処理が進行基準であることを要件とした規定ですので、
会計と税法とでは考え方が異なりますが、徐々に全面的な工事進行基準への
移行が図られていることは間違いない。

しかし、進行基準による売上計上の妥当性、客観性を確保するためには、
工程表管理の段階から売上と経費を紐付けする必要があり、
現場が混乱することは必死である。

世界的な流れとして、国際会計基準を導入すべきことは、市場がグローバル化
している以上、当然のことであろう。
しかし、国際的な常識とわが国の商慣習とにズレが生じている分野については、
国内でしか活動をしていない中小企業については、例外的に従来どおりの
処理方法が維持されるべきではないのか。
その上で、徐々に国際会計基準に移行させていくべきではないのか。

正直なところ、国際会計基準をほぼ完璧に理解している税理士は皆無に等しい。

国際会計基準への統合の流れは、すでに会計士だけの問題ではなく、
中小企業を主として対象としている税理士にも及んできているのだ。

中小会社会計基準でさえ意味を理解できている方がどれだけいるのか
疑問を呈さざるを得ない状況であるが、アメリカが自国の基準に拘らず、
3~5年後に完全統合を視野に検討することとなると、もはやわが国でも
対岸の火事では済まされまい。

我々税理士も会計業務における黒船襲来は近づいていることを意識すべきだ。


母親の旧姓を名乗る子どもに対するとんでもない仕打ち
2009.05.03

教育の現場において、生徒の人格権を侵害する暴言を吐き、それも
その事実を当初認めようとしなかった、人間として許すことのできない
事件がおきてしまった。
3日10時40分asahi.com記事はこう報じた。

茨城県ひたちなか市立中学校で今年1月、事情があって母親の旧姓を
使っていた生徒1人が、クラス全員の前で3年の学年主任教諭(54)から、
内緒だった戸籍名を大声で呼ばれていたことが分かった。
保護者が「子供が深く傷ついている」と何度か抗議したが、学校側は当初、
事実を否定していた。
4月下旬、朝日新聞の取材に対して認め、保護者に「誠意と配慮が足りなかった」
と謝罪した。(吉村成夫)

保護者や複数の級友らによると、1月21日、自習中の教室に学年主任が入り、
2人の生徒に対して「前日に遅くまで残っていた」などと注意を始めた。
そのうち1人の胸に付いていた名札を見て、「何で名前が違うの」
「あなた、この名前じゃないよね」などと言い、名札に書かれた生徒の
戸籍名を何度も呼んだ。

学校で使う氏名と戸籍名が違う事情については、生徒と親しい数人しか
知らず、学年主任の指摘でクラス中がどよめいたという。

生徒は当時、高校受験のため普段使わない戸籍名で名札を作り、
受験が終わった後も、うっかりそのままにしていたという。
生徒と保護者は入学時から毎年、母親の旧姓使用を学校側と確認し、
受験の際も担任らに依頼して名札を作っていた。

保護者は1月に担任との面談で抗議し、3月にも教頭が同席した学年主任との
面談で抗議した。
しかし、学年主任は「身に覚えがない」などと否定していた。
しかし取材に対しては、事実関係を全面的に認めた。
教頭は「名前は子供にとってデリケートで大切なこと。配慮不足で
傷つけてしまい申し訳なかった。学年主任には、きついことをしたと
いう認識が薄かったようだ」と説明している。

県教委高校教育課によると、高校入試では、離婚して名前が変わった生徒など
については、会場で名前を呼ばないといった配慮をするのが通例だという。
「高校側に配慮を依頼する立場」(同課)にある中学校側のずさんな対応は、
今後問題になりそうだ。


こう言っては失礼かもしれないが、この学年主任は、教育者としての適正が
そもそもないとしか言いようがありません。
教師になってはいけない人格の人間が、教育現場で、しかも学年主任という
教育者を指導していく立場に立っていたことに憤りを感じる。

教育の相手は、ブツではなく、生きた人間、それもこれから社会性を
身につけていかなければならない未完成な人間です。
イジメの対象になりかねないデリケートな問題を起こしておきながら、
当初、認めようとしなかったというのは、言語道断である。
人間である以上、ミスはあるわけだが、ミスはミス。
潔く認め、謝罪することが教育者としてのあるべき立場であろう。

それすらもできない大バカが教育の現場にいることが僕には許せない。

教師本人による謝罪会見と、名前が変わったことによるイジメを経験
したことのことのある全ての方の前にでて、謝罪し頂きたいものである。

私自身も、今年は、国士舘大学と専修大学で、合計で300人程度の学生
に対して講義をする立場にあり、元来の口の悪さもあるため、しばしば
暴言を吐いているところであるが、社会人になる前の学生だからこそ、
考えてもらいたいことが多く、そのための発言としてしている。

言い方は改める必要があるかもしれないことは判っている。
しかし、それがクレームになる場合には、私の授業をとっていない
学生を含め、謝罪が必要であれば、当然謝罪するつもりだし、
私は自分の首をかけて発言している。

自分の首をかけられなければ、本気の指導はできないと思うからだ。

生徒から逃げるまねをするのであれば、教師失格。
即刻教育現場から去って頂きたいものである。


究極のサービス
2009.05.03

今日は心配りが奇跡を生み続けているサービスを紹介します。

「究極のサービス」林田正光(あさ出版2009年4月)

総合葬祭業のセレモアつくばのサービスの真髄を紹介した本書は、
リッツ・カールトン元支配人が書いたCS・ホスピタリティーの
シリーズの1冊に数えられます。

林田氏は、「はじめに」の中で、こう書いています。

ホテルという仕事は、しばしば「サービス業の王様」と評されます。
これは、サービス業で求められるあらゆる要素が、ホテルというものに
集約されていることを意味します。
さらに、私は、そのホテル業界のなかでも、トップクラスの評価を獲得
している、ザ・リッツ・カールトン大阪での支配人の経験を積ませて
いただきました。
その結果、規模、業態を問わない、さまざまな企業、団体などから、
CS(顧客満足)やホスピタリティ(心のこもったおもてなし)に関する
コンサルティングのご依頼をいただいてまいりました。
そのような経験から、私自身、これまでどこか心のなかで、「やはりホテル業
こそ究極のサービスを提供できる仕事だ」と思っていたところがありました。
ですが、私は、ある会社との出会いを通じて、その考えを改めるにいたりました。
それが、本書で紹介させていただく、株式会社セレモアつくば、です。
セレモアつくばは、東京・立川市に総本社を置く、葬儀社です。
葬祭業は、先にふれたように、悲しみにくれている「マイナスの状態の
お客様」のお相手をする業種です。
一方で、ホテル、とりわけラグジュアリー(高級)ホテルにいらっしゃる
お客様というのは、前向きな気持ちでお越しになる方がほとんどです。
その意味で、葬祭業は、スタートラインからして非常に難しい仕事だといえます。
ですから、葬祭業には、ホテル業とはまた別種の、ある面ではホテル業を
上回る、非常に質の高いサービスが求められるといっても過言ではありません。
まさに"究極のサービス業"です。 (8-9ページ)


求められるサービスを提供することはどんな商売でも同じことですが、
顧客満足度の高いサービスを提供しなければ、なかなか事業として成功
することは難しい時代です。

ただ、何が顧客満足度の高いサービスになるのか、見極めることは難しい。
葬祭業においては、明るい接客はかえって逆効果になるだろうし、
積極的な営業は、「早く死ね」と言われている気がして気分が悪い。
そういう意味では、非常に難しい事業ですね。
この難しい業界でのリーディングカンパニーとなったセレモアつくばの
成功事例は、多くの企業に参考になる話が多い。


「現状のサービスのレベルに安住せず、より高いレベルのサービスを
実現したい、そしてそのために、一流ホテルのサービスも積極的に
取り入れていきたい」
辻社長のお話をうかがって、私は非常に感銘を受けました。
そこには、これからの時代、サービスが、企業の差別化の最大の要因になり、
しかも、そのサービス向上の取り組みにはゴールはない、という私の考えと、
相通ずるものがあったからです。
もちろん、このサービスとは、ハードのサービスを意味するものではありません。
葬儀社にとって、立派なハード、つまり式場を備えることは、
とても大切なことです。
ですが、亡くなった方の人生に想いをはせ、自分の身内のように接する、
ホスピタリティ・マインド(まごころ)を伴った、人の手による、
ソフト面のサービスは、それと同じくらい、いや、それ以上に大切です。
ソフトのサービスは、ハードのサービスをカバーすることはできます。
しかし、ハードのサービスは、ソフトのサービスをカバーすることは
できません。
葬儀でいえば、いくら、立派な式場で式が営まれても、担当するスタッフの
"心"の部分が不十分であれば、それは、所作などにあらわれ、すぐに
喪主様をはじめとするご遺族様に伝わってしまうものです。
そうするとクレームになるどころか、ご遺族様にさらに深い悲しみや失望を
与えてしまいます。(23-24ページ)


我々税理士の仕事も同じではないでしょうか。
コンピュータ会計を掲げ、きれいに製本された申告書・元帳をお届けしても、
お客様のニーズを反映されていない仕事であれば、喜ばれません。

お客様のニーズがどこにあるのかをきちんと汲み取り、その想いを
会社経営にどのように反映すべきなのかを示してあげることが、
我々にできる最高のサービスではないでしょうか。

税理士に不満を持っている会社の社長さんは多いそうです。
その不満を解消させてあげるべきではないのでしょうか。
そこまでは我々の範疇ではないのかもしれませんが、少なくない報酬を
頂戴して、税務代理だけではなく、税務相談をしているのですから、
税務の範疇だけでも、お客様のニーズを汲み取る努力は必要だと思います。

また、セレモアつくばでは、クレドという「その組織のスタッフ全員が心に
刻み込み、行動の拠り所とするバイブル」を従業員たちによる議論から
策定し、それを効果的に生かすことによって数々の奇跡を起こしています。

本書のテーマである"究極のサービス"は、個人の力だけをあてにする
ことはできません。
なぜなら、その個人が他の会社にヘッドハンティングされれば、
終わりだからです。
"究極のサービス"のエネルギーの源泉は、あくまでも組織の力に求められます。
すると、"究極のサービス"が人に頼ることなく、偶発性に左右される
こともなく、継続的にお客様に提供できるようになります。
ここでいう、組織の力とは、チームワークです。
全員がチームの向かうべき方向、哲学を共有し、行動することです。
これを可能にするのが、クレドなのです。
セレモアつくばの辻社長は、創業から数年間、たった一人で営業から
葬儀の現場まですべての仕事を行ってきました。
「私と同じ考えで同じように行動してくれる人がいたら、どれだけいいか」
と何度も思ったことでしょう。
そして、このような経験が、個人の力の限界を悟る契機となり、組織の力を、
チームワークを向上させようとする原動力になっているのかもしれません。
(166ページ)

心からのサービスをスタッフ全員が同じ方向で考えているからこそ、
数々の奇跡を起こせるのですね。

失敗を重ねながらも前向きに仕事を続け、努力を重ね、工夫をし、そして
徐々に高まった心からあるとき生まれたサービスが、お客様の心の琴線にふれる。
それが"究極のサービス"を達成できた瞬間ではないか、と私は思うのです。
(176ページ)

これは私も同感です。
努力も工夫もなしに、奇跡が起きるはずがない。
できる限りのことをしているからこそ、人を感動させることができる。
それが"究極のサービス"なんではないでしょうか。


ベストセラーが盗作で回収へ
2009.05.02

ベストセラーが盗作騒動により回収へ
2日3時9分YOMIURI ONLINE記事はこう報じた。

約23万部を売り上げたベストセラー「最後のパレード ディズニーランドで
本当にあった心温まる話」の盗用疑惑で、発行元の「サンクチュアリ・
パブリッシング」(東京都新宿区)は1日、同書に収録の33話中、
少なくとも7話で「著作権侵害の可能性が高い」とする社内調査結果を
公表し、鶴巻謙介社長が「関係者、読者におわびする」と謝罪した。
同日から書店などに出回っている16万部の回収を始め、全国紙に
謝罪広告を出す方針を明らかにした。
同社によると、問題の7話は、社団法人「『小さな親切』運動本部」が
主催したキャンペーン入賞作品や、東京ディズニーランドを運営する
「オリエンタルランド」(OLC、千葉県浦安市)の社内教育用文集に
掲載された6作品と内容や文章の表現が酷似していた。


すでにネット上で炎上中という感がある中村氏による盗作騒動であるが、
引用と盗作とは異なるものの、引用しているのであれば、
どの部分が引用であるのかを明示しなければ盗作と呼ばれても仕方あるまい。

私もブログを書くために、ネット上の新聞記事を引用しているだけに、
注意しなければならない。
もっとも、私の引用の仕方が、ネット記事の全文に近い形の記載が多く、
著作権法上、問題があることは承知しているのだが。

我々税理士業界でも、税理士資格獲得のために大学院進学が悪用されていた
いわゆるダブルマスターについても、某B大学でS大学の優秀論文集に
掲載された論文を盗作したことが、税理士登録後に発覚して、
税理士登録を解除される事態に発展したことがあった。

当然のように、この税理士を指導した教授は退職しているが、指導能力が
なかったからなのか、めくら判(すいません、差別用語ですね)を
押していたのか、詳細はわかりませんが、社会的制裁を受けたわけですね。

残念ながら、書籍自体を手に入れる前に回収になってしまったので、
読めなくなってしまいましたが、内容自体はベストセラーに値するもの
であったようです。
しかし、出版社がかわいそうですね。
誠実に良書を世に送り出してきた出版社なだけに、改宗せざるを得なくなった
ことは残念です。

ただ、プロの作家ではない方による本が増えてくる中、こうした事態は
想定されていたことだと思います。

プロの作家は、ネタ切れの恐怖と戦いながら、必死に取材をして、
盗作という甘い誘惑に対して、それだけはやってはいけないことだと
理解をしているから、矜持を守れるんですね。
それでも、直木賞作家でさえ、ネタ元が特定できるとして出版差し止めを
最高裁に判示されているケースもあるのです。

ましてやネタ元からクレームがでたら、相手を訴えるそぶりを見せる逆ギレは
言語道断としか言いようがありませんね。

最初から、参考文献としてネタ元を挙げていれば、少しは違う状況になった
のでは、と思うのですが、実際はどうだったのでしょうか?

参考文献としてまったく挙げていなかったとすれば、著作権法違反は
免れないものと思います。

出版して知名度を上げたい方や、営業ツールに使おうと考えている方は
ご注意くださいね。


鳩山総務相、河村名古屋市長の減税提案に理解示す
2009.05.01

河村たかし新名古屋市長が掲げる市民税10%減税について、鳩山総務相は、
いいか悪いかは兎も角、法的には可能であることを示唆した。
1日11時53分asahi.com記事はこう報じた。

鳩山総務相は1日の閣議後記者会見で、名古屋市の河村たかし新市長が
市長選で公約した「市民税10%減税」について「法的には可能」と理解を示した。
減税に伴う税収不足を補うため、市債発行の許可を求められた場合の対応
については「今いいとか悪いとか言えることではない」と語るにとどめた。

個人市民税には、年3千円の定額均等割と、所得の6%という標準税率が
定められている。
鳩山氏は「(地方税法に)何らかの必要があったり、財政上事情があったり
すれば標準税率じゃなくてもいいと書いてある。法律に適合される状況で
適切に判断されればいい」と指摘。
市債発行には「減税の内容とか今後の市財政の見通しなどを十分に踏まえ、
私は適切に判断しなければならない」と述べた。

鳩山大臣は何かと問題発言の多い方であるが、今回の発言は評価されるべき
であろう。
党利にとらわれず、民主党側の政策であっても、いいものはいいのであって、
それぞれがいい政策を出し合って、議論してこそ、本当の民主主義であろう。

ただ、財政再建を行いながら、地方自治体が大規模な減税を行うことは
非常に難しい選択だと思います。
小泉改革の負の側面として、地方交付金を大幅にカットされているため、
地方の財源が先細りしているんですね。
その中での減税公約。

河村氏は減税の財源として行政改革を訴えているが、官僚の反発を
招くことは必死であり、河村氏の政治手腕が問われる問題である。

河村氏が市政改革に政治生命の全てを賭けるつもりで取り組まなければ、
公約は絵に描いた餅。
小泉改革の是否は兎も角、彼は失敗すれば政治生命を失いかねない中、
小泉劇場を演出することに成功した。
果たして河村氏はどうか。
ドンキホーテのごとく政界を駆けてきた河村氏には期待したいところだ。


新型インフルエンザ、世界的大流行の虞れ
2009.05.01

新型のインフルエンザAが世界的大流行の兆しを見せている。
わが国でも6段階の警戒レベルを2番目に高いフェーズ5まで引上げた。
成田ではA型陽性反応の女性が緊急隔離され、横浜でもカナダに
修学旅行に行った高校生に感染の疑いがかけられた。
幸いにして成田のケースは従来型のA香港型ウィルスであることが
判明したが、GW明けには国内進入を防ぐことは困難であろう。
1日2時4分YOMIURI ONLINE記事はこう報じた。


猛烈な感染力だ。
メキシコ起源の新型インフルエンザは、日を追うごとに、世界への感染範囲を
広げている。
この事態に、世界保健機関(WHO)は、6段階の警戒レベルを
「パンデミック」(世界的大流行)の一歩手前となる「フェーズ5」に引き上げた。
同時に、すべての国に、最悪の事態に備えた対応措置を発動するよう求めている。
どの国も無縁でいられない。そう警鐘を鳴らしたことになる。
日本でも30日午後、成田空港に到着した旅客機の乗客の1人が機内検疫で
感染を疑われ、詳しい検査に入った。政府は、国内侵入を前提に対応の
状況を点検して、足りない部分を手当てする作業を急がねばならない。
政府が今、力を入れているのは水際対策だ。国際空港などで検疫を強化し、
上陸を阻止しようとしている。
ただ、100%の阻止はできない、と心得るべきだ。
例えば、感染していても潜伏期だったり、症状の極めて軽い不顕性
だったら検疫にかからない。
欧米の症状は軽い例が圧倒的だ。
不顕性は十分にあり得る。
感染国が拡大すれば、対象とする旅客機も増えるが、対応は可能か。
自衛隊なども応援に出動したが、検疫官は足りない。
発熱など感染が疑われる乗客が多ければ検疫に要する時間は長くなる。
事態の推移によっては今後、優先順位を付けたり、簡素化したりする
必要が出てくる。
検疫をすり抜けた感染者に、入国後に異常が出た場合の自己申告を
呼びかけることは有効な方策だ。
ゴールデンウイークの終盤が近づけば、数十万人もの海外旅行客が
帰国してくる。ますます国内侵入の可能性は高まるはずだ。
WHOは、水際対策より、むしろ、患者発生の監視体制や早期の治療、
病院での感染防止の3点が対策の本質と指摘している。
日本でも欧米のように新型の症状が軽ければ、発症者が通常の生活をして、
感染を広げる恐れがある。
微熱のある人が、「心配だから」と病院に行けば、他の病気の患者にも
病原体をまき散らす。
政府は、感染が疑われたら、まず自治体などの電話相談窓口を優先するよう
呼びかけている。
各地の病院に専門の「発熱外来」を整えることも促している。
ただ、病院などの対応は遅れている。
世界を席巻する新型の感染力を考えれば、一歩先をにらんで手を
打っておくことが重要だ。


政府の対応は後手後手に回ってしまった以上、ある程度の自己防衛が必要だ。
従来型のインフルエンザとどう異なるのか、毒性はどうなのか、
よくわからないところが多いが、インフルエンザであることには違いがない。
とりあえずは従来のインフルエンザ対策と同様の対策をするしかないだろう。

特に事業者にとっては、今回のインフルエンザAのパンデミックに、
早急に対応しなければ、信用問題にも繋がりかねない。

インフルエンザに感染して、納品ができないといえば、このご時勢です、
契約は打ち切られ、仕事をもらえなくなることは必死です。

私たち税理士も同じこと。

特に、繁忙期である3月決算5月申告を控え、職員を含めた健康管理は
危機管理にも繋がります。

確定期に向けて、予防接種される方は多いと思いますが、ワクチンがない以上、
予防接種以外の対策を図るしかないんですね。

風邪気味の私は電車内では疑いの目を向けられるのでしょうね・・・