工事原価の見積計算根拠に?富士電機30億円申告漏れ
2009.06.30

重電大手、富士電機HDが30億円を申告漏れ、うち6億円が悪質な
所得隠しである旨の報道が29日なされた。
これを受け、富士電機は同日、以下のような発表をし、HP上でも公表した。

本日、読売新聞社の報道におきまして、当社が東京国税局の税務調査を
受けた旨の記事掲載がありました。
本記事掲載は当社が発表したものではありませんが、当社グループは、
2005年3月期(平成16年度)から2008年3月期(平成19年度)までの
課税年度について、東京国税局から連結グループ全体の税務調査を受けました。
調査時における主な指摘は、見積原価に関するもので、特定の売上案件の
見積原価について、税務上の見積根拠が明確でないという内容です。
具体的には、プラント案件はPA(プロジェクトアローアンス)を見積り
するのが一般的です。
一部について将来リスクに備えて繰越しましたが、国税局より税務上の
見積根拠が明確でないとみなされました。
所得隠しなど、不正な意図により生じたものではありません。
今回の件について東京国税局より正式に更正通知書を受領していませんが、
当社グループとして改善すべき点もあり、厳粛に受け止め、現状では
更正を受け入れる予定です。
さらに、これまで申し上げた事情及び追徴税額の規模に照らして、法令及び
社内ルールに基づき対応します。
具体的には、プラント見積案件のチェック機能の強化、経理部門による
監視強化、および関係者に対する社内処分を実施するとともに、
再発防止策に努めていきます。
なお、2009年3月期の連結および個別決算に追徴税額相当を法人税などに
含めて計上しており、2009年度の業績に影響を与えることはありません。

不祥事に対する対応については迅速で嘘をつかない姿勢が大切であり、
その意味では、富士電機の対応は適切なものであったと思う。
この件については、プラント見積案件における見積計算根拠が明確にならず、
工事原価に参入すべき期間に対する認識の違いがあったことが更正の理由に
なろうかと考えられる。
しかし、「期ズレ」だけで重課の対象にするとは考えられないので、報道や
コメントからでは明確にならない何かがあるのかもしれない。

報道やコメントから分かる範囲で言えば、工事原価に対する見積計算根拠
をどう明確にするのかが、税務判断におけるポイントになると思われるが、
これが明確にできなければ、今年4月から原則適用とされた長期請負工事
に対する工事進行基準の適用は許されまい。

その意味では、IFRSに対応する公認会計士による監査報告書の内容と
税務調査の内容とに齟齬が生じる可能性があり、大会社にとっては
税務調査を受けたために、株主から責任を追及され、しかもそれが
公認会計士の監査責任にも影響を与える事態を引き起こしかねない。

早急に公認会計士協会は国税庁と意見の調整を図り、富士電機の問題に
留まらせない問題の一般化努力を示して頂きたいものである。

この点を気にするのは、8月19日に地元葛飾支部で予定している税理士会の
支部研修で、工事進行基準への対応策を講演する予定だからかもしれない。

工事の発注元や元請が工事進行基準に対応するためには、下請業者にも
工事進行基準に耐えうる報告書を上げさせる必要があるから、中小企業にも
対岸の火事などと悠長なことを言っていられない状況にあるからだ。
見積計算根拠の脆弱性は工事進行基準の全面適用という国際的潮流に対する
大いなる批判になろうが、日本特有になってしまったゼネコン方式への
批判にも直結しかねない問題を孕んでいる。

じっくり腰を据えて考えてみたいところだ。


岡田氏の現実路線に鳩山氏「待った」
2009.06.29

民主党が財源問題から派生した政策の優先順序で食い違いを見せている。
財源を考えて政策の一部先送りを求める岡田幹事長と、政策の先送りは
認められないとする鳩山代表。
28日2時54分asahi.com記事はこう報じた。

民主党の総選挙マニフェスト(政権公約)をめぐり、鳩山代表と岡田克也
幹事長の食い違いが目立っている。
不況による税収減も考え、公約の一部先送りを求める岡田氏に対し、
鳩山氏は今さら変えられないとの立場。執行部でマニフェストを最終的に
詰める際の焦点になりそうだ。
鳩山、岡田両氏の考えの差が象徴的に表れているのが、ガソリン税などの
暫定税率の撤廃。
政権交代後の初年度から実施し、2.6兆円の減税を掲げていたが、鳩山新体制
でのマニフェスト見直しで岡田氏らの主導で先送りが固まった。
しかし、鳩山氏は26日の記者会見で「即時撤廃は国民の間で既成事実化
している」と先送りに反発した。
岡田氏は27日のテレビ東京の番組で「経済危機で税収が落ち込む中、
先送りする政策も出てこざるを得ない」と指摘。
26日の会見でも、子ども手当や高速道路無料化を初年度から優先的に
始めることを念頭に「暫定税率は財源を見つけ出して(から)廃止する
のも考え方」と述べた。
これに対し、鳩山氏は27日の札幌市での会合で、15兆円超の経済対策を
含む09年度補正予算に触れ、「無駄なものは(執行を)凍結する」。
政権を取れば財源を見いだすことは可能――との考えだ。
政治主導実現のために統治機構を改革する工程表についても、岡田氏は
5月の代表選の際、「政権300日プランの作成と国民への早期説明」を
掲げたが、鳩山氏は27日の会見で、「300日とすると、301日たって
『できていない』と揚げ足を取られる」としてマニフェストに記さない
姿勢を明確にした。


もともとリアリストの岡田氏とロマンチストの鳩山氏では、目の前の
問題に対する取り組み方自体が異なるだけに、2人の動き方が異なることは
想定の範囲内だと思う。
しかし、この時期にそれもお互いにテレビ番組を通じて政策批判とも
見られかねない状況を作ってしまうことはどうかと思う。

私はかねてから鳩山氏の財源問題に対する非現実性を批判してきただけに、
岡田氏の現実路線への転換とも取れる政策の変更は歓迎すべきであるが、
岡田氏の動きは、民主党全体の現実路線への転換の動きとして捉えることが
できるのか、注目したいところだ。

また、鳩山氏が岡田氏の300日プランを否定する発言はどうであろうか。
4年間で抜本的な行財政改革を行うことを念頭においているわけだから、
300日でやることと4年間かけることを明確に分けて考えることも
必要だと思うのですが、どうなのでしょうか。
まさかとは思うが、300日でできないから公約違反の責任を取りたくない
一心で、マニュフェストに記載しないのであれば、4年間での行財政改革
など、官僚の抵抗により一蹴されてしまうであろう。

今後のわが国の行く末を占うことになるであろう総選挙も間近に控え、
それぞれの動向を注視していく必要がありそうですね。


中古ワンルームマンションで収益を上げる!
2009.06.28

先月、行政書士の早川周作先生が主催する異業種交流会で出会いました
不動産仲介業者の営業の方から、「社長が書いた本です」と、
重吉勉「中古ワンルームマンションで収益を上げる!」
(かんき出版2007年7月)を頂きました。

不動産仲介業の方が自分の業務について本を書いた、というので、
営業目的丸出しの本ではないかなとの先入観を持って読み出しましたが、
どうしてどうして、私が普段から考えていた投資や節税に対する考え方に
非常に近かったことに驚きました。

「不動産投資すれば、誰でも最初のある一定期間は成功することはよくある
話ですが、本当の不動産投資の成功のカギは、長期的に安定した収入を
確保していくことです。
不動産を長期的に運用していけばわかりますが、それは建物や立地、
そして管理会社の良し悪しによって、利益の大半が左右されるのです。
「不動産が老朽化したときにどれぐらい修繕費がかかるのか」
「老朽化した時に入居者を決められる自信はあるのか」
「不動産を持ち続けるとどんな事態が待ち受けているのか」。
そこを見誤ってしまうと、せっかくの投資も立ちゆかなくなります。
不動産投資で失敗するケースの多くは短期的収入を期待しすぎ、自分の
不動産物件をきちんと管理できないことに起因している強く感じるのです。」
(本書5-6ページ)と不動産投資の現状を嘆く重吉氏。

そして、不動産投資の「してはいけない!」7つの基本を次のように指摘する。
1 「高利回り物件が成功への近道」と思っていませんか?
2 「郊外や地方アパート経営が一番」と思っていませんか?
3 「新築物件しか興味がない」と思っていませんか?
4 「借りれるだけ借金して買いたい」と思っていませんか?
5 「節税が目的」と思っていませんか?
6 「賃貸管理会社はどこも同じ」と思っていませんか?
7 「実務経験のないコンサルタントの言いなり」になっていませんか?
(本書97ページ)

私は、「節税」対策として不動産投資を考えているケースが多いですね。
ただ、重吉氏が指摘するように、節税を第1に考えると、結果として
可処分所得(つまり手取り額)が減ることにもなりかねないんですね。
そんな節税策には意味がないと私は考えるのですが、こういう節税商品が
溢れていますね。
将来的な手取り額を増やすために不動産投資をしたはずなのに、修繕費や
空き室問題で、結局借金を返せず、手放さざるを得なくなるという
失敗事例に繋がりやすいんです。

経営計画を入念に作らないから、セールストークに謀れるんです。
入居率100%の収益計画が上手く行くはずないでしょう。
築20年を超えても大規模修繕を行わない住宅に住みたいのでしょうか。
自分が住みたくない家に投資して、どうやって投資効果を得るのでしょう。

未曾有の経済危機に見舞われた我が国経済の現状では、投資リスクで
敬遠されるのかもしれませんが、ニーズのある物件に対する投資であれば、
余裕資金がある方には、今がチャンスだと思います。

その上で、優良な賃貸管理会社との契約を結ぶことで、収益を上げる。

不動産管理会社の中には、管理月報さえまともにオーナーに送付しない
ところもあり、私も、クライアントと相談させて頂いた結果として、
管理会社を変更して頂いたケースがいくつもあります。

オーナーのための危機管理ができるちゃんとした管理会社も少なくない
ですから(少なくとも私のクライアント企業はちゃんとした管理会社
ばかりだと思っています)、しっかり見極めて頂きたいですね。


税務調査官による不正還付事件
2009.06.27

税務行政の正当性を疑われかねない事件が発生した。
税務調査官が虚偽申告による還付金詐欺を働いたのだ。
27日0時14分asahi.com記事はこう報じた。

千葉県内の税務署の調査官(31)が虚偽の還付申告書を作成し、
約112万円をだまし取ったとして、東京国税局は26日、この調査官を
懲戒免職処分としたうえで、国税庁監察官が同日、詐欺、有印私文書偽造・
同行使の疑いで東京地検に送致した。
6月に入って上司に打ち明けた調査官は「消費者金融の返済で、生活費が
不足していた」と容疑を認めているという。
東京国税局によると、この調査官は今年1~4月、「知り合いの中国人6人が
会社を辞めて帰国することになり、代わりに源泉所得税の還付申告の手続き
をして欲しいと頼まれた」と埼玉県や静岡県の6税務署に自ら届け出た。
その上で、6人の所得税確定申告書を各税務署に提出。
還付金計112万円を自分と家族の口座に振り込ませたという。
6人は存在せず、会社勤務も辞職も帰国もすべてでっち上げだった。
国内に住所を置かない納税者は第三者を「納税管理人」として指定し、
納税や還付手続きを委任できる。
誰でも管理人になることができ、税務職員も可能だ。
また、会社を途中で辞めた場合、確定申告でそれまで源泉徴収されていた
所得税を精算すると、還付金が発生することが多いという。
税務署に提出される還付申請件数は多く、すべてをチェックしきれないのが
現状で、制度や税務の実情に詳しい調査官が知識を悪用したとみられる。

税務署の職員が税法の知識を悪用して脱税や不正還付を受けようと思えば、
書類上は簡単なことだ。
それは税理士にも同じことが言えるが、判りにくい法律ほど抜け穴が多い
ですし、違法ではないギリギリの線がプロとしての腕とも言える世界です。

しかし、違法行為に手を染めてしまっては全ての努力が泡と消える。
日本は警察にしろ税務署にしろ、調査・捜索能力に非常に高い能力を持ち、
まれに見逃されてしまうケースもないではないが、検挙率は非常に高い。

この調査官は現場の人間として、見逃される可能性が高いことを企図して
手を染めたのであろうが、報道を見る限り、完全に確信犯ですね。
実刑は免れないものと思われる。

何も無く、23年間勤め上げ、内部の特別試験にさえ合格すれば、過酷な
税理士試験の一発勝負に勝たなくても税理士になれる立場にありながら、
仕事を失い、退職金も退職後の生活も失ったんですね。

目先のことに目がくらみ、将来設計ができなかったんでしょうね。
愚かとしか言いようがない。

官僚の思い上がりの部分もあったのかもしれないが、税務行政に不満を
抱く方が多いだけに、さらには、政府・与党が近い将来の増税を企図
している時期だけに、税務行政への不信感へ転換することがないよう、
課税当局自らの自浄作用に期待したいところだ。

その意味では、懲戒免職の上、刑事告発したことは評価できよう。

出来心を起こすことなく、税理士バッチに誓って、身を正さねば。


M・ジャクソンが死んでしまった・・・
2009.06.26

ビックリなニュースでした。
今朝未明、マイケル・ジャクソンが死亡したというニュースが、
朝のニュースを駆け回っていました。

心配停止状態で病院に搬送されたらしいですね。

整形手術のやりすぎの後遺症で、痛み止めの薬を服用してたそうですが、
薬を乱用してしまうと、キケンなんですよね。

自殺の疑いもあるのでしょうが、詳しいニュースが出てこないと
なんともいえないところです。

しかし、あれだけのスターが、スキャンダルに塗れた晩年になってしまった
ことは残念です。
ロンドンでコンサートが決まっていただけに、彼のステージを楽しみに
していたファンにとって、なんとも残念なことです。

スターであることを最後に見せ付けて散って欲しかったなあ。
もう1度切れ味鋭いダンスを見たかった。

一つの時代が終わった感じもする、象徴的な巨星が墜ちた瞬間でしたね。

天国のステージで歌い踊っていることでしょう。
ご冥福を祈ります。


世界経済の成長見通しを上方修正、OECD
2009.06.25

OECDは世界経済の成長見通しを上方修正し、景気の底入れが近いことを
示唆している。
しかし、我が国の現状にはなお予断を許せる状況に無く、デフレが定着する
危険があることもあわせて警告している。
24日22時38分トムソンロイター記事はこう報じた。

経済協力開発機構(OECD)は24日、最新の経済見通しを発表し、
加盟国全体の成長率予想を2年ぶりに上方修正した。
ただ、失業率の上昇や財政赤字拡大が景気回復を損ねる可能性がある
との見方を示した。
OECDは、加盟30カ国の景気低迷は底入れに近いとし、加盟国全体の
経済成長について、2009年にはマイナス4.1%となるものの、
2010年にはプラス0.7%に回復するとの見通しを示した。
OECDは前回の経済見通しで、2009年の成長率予想をマイナス4.3%、
2010年をマイナス0.1%としていた。
OECDの首席エコノミスト、ヨルゲン・エルメスコフ氏はロイターに
対して「見通しを上方修正したのは2007年以来」と述べ、「ただ、
悪い知らせとしては、われわれは景気底入れに近づいているにすぎず、
その後の回復は非常にゆっくりとしたペースで、恐らくぜい弱なものになる
ということを見通しは示している」と語った。
世界貿易は段階的に安定化し、年末ごろからゆっくりと上向くとの見方を示した。
米国の景気刺激政策については、2009年下半期の回復への道筋を作ったと評価した。
日本のマイナス成長は終わりに近づいている兆しが見られるものの、
回復のペースは遅くなり、経済の緩みがデフレを定着させる可能性がある
と指摘した。
ユーロ圏については、住宅市場のバブルや輸出低迷、金融セクターの問題など
各国特有の状況があり、回復の兆候を特定するのはより困難との見解を示した。
OECDは「失業率の上昇で消費が手控えられるため、ユーロ圏の
最終的な回復はゆっくりとしたペースになる可能性がある」とした。
一方、中国や、OECDに加盟していない主要国の回復ペースは比較的
速くなる見通しとした。
OECDは、見通しに対するリスクは以前よりはバランスがとれていると指摘。
金融市場が2010年までは正常な状態に戻らないとの見通しは慎重過ぎる
かもしれない、とした。
「下振れリスクとしては、財政規律の強化に向けた説得力のある計画に
欠けることや、失業率の一段の上昇が、予想以上に家計支出を圧迫する
ことがある」とした。
OECD加盟国の2009年の平均失業率予想は8.5%、2010年は
9.8%となっている。
下振れを回避するには、財政出動をあまり早期に終了させないことが
重要との認識を示した。
ドイツやカナダ、一部の北欧諸国、スイスなど、比較的財政赤字が
低水準の国は、2010年に一段の緩和政策をとる余地があるとした。
一方、日本、イタリア、ギリシャ、アイスランド、アイルランドは、
金融市場で大規模な副作用を引き起こすことなしに、これ以上の策を
とる余地はないと指摘した。
景気刺激策を終了させることについて正しいシグナルを送らなかった場合、
インフレを引き起こし、債券利回りが一段と上昇し、景気回復に水を差す
可能性があると指摘した。


世界経済の景気回復予想が上方修正されたというニュースは朗報であろうが、
我が国に対してはかなり厳しい見解である。

この原因について、OECDのグリア事務総長は、「円の現在の水準は、
依然として日本の輸出部門の足かせとなっている。円が強い状態で
あることは、輸出により困難な状況をもたらす」と述べたという。
(24日19時19分トムソンロイター記事)

確かにそうであろう。
外需主導により成り立つ我が国経済の輸出依存構造からすれば、円高は
100害あって・・・
膨大な財政赤字を抱え、急増する社会保障費を抱え、内需を喚起する材料にも
事欠いた我が国の社会状況は、国際的に見て危機的な状況を孕んでいると
見られても仕方なかろう。

だからこそ、政治主導で赤字国債を乱発して追加的な経済対策を行う
必要が出てくるのだ。
しかし、遅すぎる少子化対策への取組の結果として、労働者人口は
急速に減少しているということは、赤字国債を解消するための税負担を
負うべき層が減少していることを意味するから、国民負担率の急騰が
懸念されるところである。

財政再建が叫ばれて久しいが、赤字国債による対応は、国民の総所得が
増大し、税収が拡大していく場合のビジネスモデルである。
国民の総所得が減少し、税収が縮小していく時代の財政は、小さな政府を
目指さざるを得ないことを要求することになろう。

それだけに、財源問題に対する民主党案の示唆は重要であるが、財政再建が
叫ばれてから20年以上を経て未だに実現できていないことを僅か4年で
本当に達成できるのか、真価が問われることになろう。

OECDから厳しい目を向けられた日本経済の復活のためにも、
我が国政府のビジネスモデルにおけるパラダイム転換が求められている
ところではないだろうか。


一澤帆布工業お家騒動、長男の遺言偽造を認定、最高裁
2009.06.24

相続関係を明確にしないまま社長がお亡くなりになると、後継者争いが
お家騒動に発展するケースも少なくない。
布製かばんの老舗「一澤帆布工業」のお家騒動は、先代と仕事を共にした
三男が会社を継ぐものだと思われたところ、銀行員だった長男が
父親の遺言を盾に会社を引き継ぎ、兄に解任された三男が別会社を
立ち上げるなど、お家騒動に発展し、最高裁にまで進む泥仕合を演じている。
23日19時3分時事通信社ネット記事は、このお家騒動の最高裁判決を
こう報じている。

布製かばんで知られる京都の老舗「一澤帆布工業」の会長だった
故一澤信夫氏の遺言書について、信夫氏の三男の妻が「偽造された」として
無効確認などを求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(藤田宙靖裁判長)は
23日、同社側の上告を棄却した。
「遺言は信夫氏の自筆とは認められない」とし、妻の逆転勝訴とした二審判決が確定した。
この遺言による同社株の配分に基づき、株主総会で決議した三男の社長解任も無効となった。
三男自身が起こした別の訴訟では、同じ遺言書が有効とされ、
最高裁で確定しており、司法判断が分かれる結果となった。


この最高裁判決は、三男自身が提訴した訴訟を覆す結果となっている。
その結果、一澤帆布工業の取締役は、三男が返り咲くことになり、長男は
会社の経営を行う正当な権利を失ったことになる。

今回の事例では、父親の事業を生前から手伝い、技術的にも後継者として
認知されていた三男を、銀行員であった長男が追い出して会社の実権を
握ろうとした事件である。

今は無き父親の意思がどこにあったのかは、今となっては闇の中であるが、
司法の判断には、無理が感じられず、妥当な判断ではないかと思う。

もし父親の意思が長男に株を引き継がせたいと考えていたとしても、
誰から見ても正当な遺言書として遺言を作成していなかった以上、
このようなお家騒動になってしまうことは仕方がないのかもしれない。

できれば公正証書遺言を作り、少なくとも自筆証書遺言に署名、実印での
押印をしたものがあることを親族に話をしておくべきであろう。

特に中小企業の社長の場合には、将来の禍根を残さないためにも、
社の内外にも、自分が元気なうちに、後継者が誰であるのか、
認知させておくべきでしょう。

今回の事例は、三男が後継者と目されながらも、社外に明示されていた
わけではなく、父親の意思がどうだったのか、傍証すらできなかった。

はっきりと明示し、お子さん方にも事業後継者が誰で、家の後継者は誰で、
と明確にさせておくべきなんですよね。

自分の死後、兄弟ゲンカが始まり、兄弟の縁が壊れてしまう危険を回避
するためにも、遺言で意思を示すのではなく、事前に理解させておくべきです。

少なくとも、遺言書がでてきたときには、兄弟が全員揃ったときに
全員の立会いの下で遺言書を開封しなければなりません。

既に開いている遺言書は、有効性が認められない可能性が出てくるからです。
相続人全員が立ち会って遺言書を開封しないと法的な有効性が完全なものに
ならないからです。

お家騒動のニュースを聞くたびに、税理士が民法、相続法を知っていれば
もっと適切な相続対策をアドバイスできたはずなのに、と思います。
税理士だけでやろうとするからおかしなものになるので、弁護士との
提携関係を強固にする必要性を感じるんですね。

残念なニュースを少しでもなくしていきたいものです。


民主党経済政策の財源が明らかに!?
2009.06.23

民主党の経済対策として打ち出された20兆円の経済対策を行うための
財源の捻出方法がマニフェストにより明らかにされたようだ。
23日3時3分YOMIURI ONLINE記事はこう報じた。

民主党が次期衆院選で掲げる政権公約(マニフェスト)の財源案が
22日、明らかになった。
「税金の無駄遣いの根絶」など歳出削減で9.1兆円、埋蔵金の活用や
租税特別措置見直しなど歳入増で11.4兆円の計20.5兆円を捻出する
としている。
歳入・歳出改革は4年間かけて行い、財源が確保され次第、1人あたり
月額2万6000円の「子ども手当」や高速道路無料化などの政策を順次
実施する計画だ。
政府・与党は「国の一般会計と特別会計を合計した約212兆円の8割を
占める国債費、社会保障関係費、地方交付税の3区分は削減の余地がない」
として、民主党の主張を非現実的だと批判している。
これに対し、民主党は「3区分の中にも削減可能な経費はある」として、
3区分を「人件費」や「施設費」などの細目に分けて試算。
削減困難な予算は〈1〉借金返済88兆円〈2〉年金・医療などの保険給付
47兆円〈3〉財政融資資金へ繰り入れなど10兆円の計145兆円に過ぎず、
残る67兆円のうち9.1兆円は削減可能とした。

ようやく明らかになった民主党の経済対策のための財源の具体案。
今までの常識で考えれば、常識外れの非現実的な議論であろうが、
官僚の頑強な抵抗をものともせずに断固改革を進める決意の鳩山民主党は、
聖域なき財政改革を断行する決意だからこそ示せる具体案であると思う。

しかし、4年で本当に改革できるのであろうか。
この公約を下に政権交代が実現して、実行できなかった場合、
民主党に対する絶望的なまでの不信感が生まれかねないことを懸念する。

与謝野財務相が標榜する「増税ありき」という考え方にも疑問があろうが、
従来的な視点から財政再建を考えたとき、日本経済の完全回復なしに、
景気に左右される所得課税中心の税制から、景気に左右されにくく、また、
労働者人口にも左右されにくい(総人口には左右されますが)間接税中心
(つまり消費税中心)の税制へシフトしていくべきなのは確かである。

しかし、この考え方に国民が納得しているとは到底思えない。

次の政権はどちらがやっても前途多難である。
日本経済がこのままかつてのイギリスのように輝きを失ってしまうのか、
それとも、世界市場を席巻するまでに勢いを取り戻すのか、その舵取りが
求められるだけではなく、日本丸を沈没させないために、財政再建を
達成するための方向性を明確に示さなければならない。

さらにその次を考える上でも、現実を見極める必要があるのではないか。

私は税・財政の立場から見ているに過ぎないが、官僚の抵抗をむやみに
増大させ、逆恨みを生むことは、建設的議論の妨げになるのではないかと
危惧するところである。


男性専用車両導入へ株主提案、西武HD
2009.06.22

今週末に開催が集中する株主総会に向けて、上場企業が準備に追われる中、
面白い記事がありました。
21日8時5分産経新聞ネット記事はこう報じた。

西武鉄道を傘下に持つ西武ホールディングス(HD)の株主総会に、
「男性専用車両」の設置を求める株主提案が提出されている。
株主側は痴漢の冤罪を防ぐという理由で平成19年から提案を続け、
賛同者も増えている。総会は24日。果たして"三度目の正直"となるか。
西武HDの招集通知によると、剰余金の配当や取締役の選任といった
議案に続き第5号議案として「女性専用車両および男性専用車両の設置」
が株主10人からの提案という形で記載されている。
提案理由として「痴漢対策は女性専用車両の設置などにより、一定の成果を
あげているが、痴漢冤罪対策は全くなされていない」と指摘。
「男性専用車両の設置はカメラの設置に比べて費用も安価」などとし、
定款に盛り込むことを求めているという。
株主側によると、昨年の総会では、書面投票した株主の47.5%にあたる
1703人が賛成した。
だが、総会で定款変更が可決されるには、議決権の3分の2以上の賛同が必要。
このため、約32%の株式を保有する米投資ファンド、サーベラスの賛同が
不可欠だ。
一方、西武HDの取締役会は「個別課題を定款に記載することは不適当」
との姿勢だ。
ポスターなどの犯罪防止活動が一定の効果を上げており、「利用者からの
要望も少ない」としている。


女性専用車両の導入が進んでいることは、一定の評価ができよう。
私自身も長年気にしてきたことですが、西武鉄道における株主提案は、
身に覚えのない痴漢の疑惑を向けられて迷惑している男性にとって、
切実なものがある。

私は電車移動する際には、本を読める環境に無いラッシュ時であっても
必ず本を手に持っている。
痴漢の冤罪を予防するためです。

私は普段から大きめのカバンを愛用しており、ラッシュ時には迷惑だよね
と思いながらも、荷物が多いために仕方がないと思っている。

その大きなカバンを片手に、もう一方の手に本を持っていれば、両手が
ふさがっており、痴漢のやりようがないでしょう。

つり革がつかめる位置にいるときはできるだけつり革につかまるのもそう。

移動時間を有効に使いたいという理由もあるけれども、もっとも大きな理由は
痴漢疑惑という冤罪の防止のためなんです。

私は大学生の頃からこういう予防法をもう約20年ほどやっています。

男性専用車両ということになると、ゲイの方が喜びそうですが、呼吸が荒い
男からすれば、痴漢の疑いをかけられやすいだけに、切実なんですね。

女性の後ろに立ってしまうと、呼吸が荒い男は、呼吸が荒いということだけで、
痴漢と疑われかねないんです。
かといってラッシュ時は立ち位置を選べませんからね。

定款に記載すべきかどうかとなると疑問がないではないですが、
鉄道事業者の皆様には、ぜひとも男性専用車両の導入も検討して頂きたい。
昨年は半分近くまで賛成票を伸ばしてきただけに、西武HDの対応には
注目しています。


ジオン軍の失敗(岡嶋裕史、アフタヌーン新書2009年)
2009.06.21

今日は、私の世代には受けるかもしれないが、上の世代の方には
眉をひそめられかねない本を紹介したい。

岡嶋裕史「ジオン軍の失敗」(アフタヌーン新書2009年5月) です。

ファーストガンダムの放映から早30年。
ガンダム世界の奥行きは広がりを見せる一方ですが、リアリティを追求した
アニメは、製品開発の視点からも注目される失敗学が提示されたのである。
それが本書である。

本書をオススメするのは世代的なノスタルジックのためではない。

会社を経営していくうえで必要な知恵や方向性を示してくれるからである。

例えば、第4章「MS-09Rリック・ドム」では、サブタイトルとして、
「あるセグメントで成功した技術が、別のセグメントでも成功するとは限らない」
とする。
地上戦用として開発された名機MS-09ドムは、ホバークラフトを用いた
卓越した地上移動能力が、極めて高い戦果を上げた名機であるが、
宇宙戦用に改修したとしても、推進力を完全に入れ替えるとしても、
地上戦用に開発された基本性能は、宇宙戦用に求められるものとは異なり、
決して高い能力を発揮できたとはいえなかったのである。

また、第8章「MSM-07ズゴック」に至っては、
「仕様はどこかで決断しなくてはいけない」とサブタイトルを付される。
「技術者には、時に決断も必要である。
MSM-03ゴッグを受けて開発されたズゴックは、戦訓のフィードバック
に真摯に対応した設計がなされた。戦場を、つまり現場を見て開発が
行われることは、一般的にものづくりの現場に正に作用するものである。
しかし、それも程度問題であり、現場の声を聞きすぎた開発は、プロジェクト
全体の進捗遅延と、近視眼的な要件定義のリスクを内包する。ズゴックも
また戦機を逃し、量産機でありながら少数生産に終わる道を歩んだ。
高性能機も常に数的劣勢におかれ、不利な戦いを余儀なくされた。」
(148ページ)
と記されたように、タイミングよく現場に整備することができなかったために、
名機でありながら、たいした戦跡を残すことはなかったのである。
ズゴックの場合は、度重なる仕様転換のために完成が遅れたのだ。

ジオン軍の失敗の象徴的な間の悪さが第5章MS-14ゲルググである。
「投入するタイミングを失した技術はどんなに優秀でも成功しない」
というサブタイトルどおり、大量投入できたタイミングが悪すぎたのだ。

と、ガンダム世界におけるジオン軍の失敗を、データ(作品や関連資料)
をもって分析した本書であるが、大真面目に研究している点がいい。

私がガンダム世界に傾倒するきっかけは大学時代の友人J氏の影響であろう。
Z~ZZに続くティターンズ、エウーゴ、アクシズの3つ巴の戦いの中に
世界の冷戦構造の本質を見たという彼は、現在、国際法の研究者として
K大学で国際法を教えている。
本書の著者岡嶋氏もJ氏と同じにおいがする人物だと思われる。

岡嶋氏やJ氏のような存在がガンダム世界のリアリティをさらに
深いものに進化させてくれているのだろう。

原作者である富野氏の想定をはるかに越えてしまったのではないかと
思いますが、アメリカでもスターウォーズの世界がエピソード9を
超え、小説で語り継がれている。

日本も大真面目に架空の世界観を共有する文化が生まれたのだろう。

馬鹿なことほど大真面目が面白い。


8月3日、アコード租税総合研究所、設立シンポジウム
2009.06.20

先月、設立されたアコード租税総合研究所ですが、ようやく事務局の準備も
ほぼまとまり、会員登録事務が始まりました。
現時点では、研究員の方が会員より多いという状況ですが、酒井所長が
色々な会に出席して、参加者や後援を募っています。

また、設立に当たって、シンポジウムを開催することが決まりました。


「納税者の保護と納税義務の履行の確保
  ―租税行政手続の充実と租税回避への対応―」

開催日時:8月3日(月)午後6時~8時40分

場所:東京税理士会館会議室201・201
   (〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-10-6)

基調講演:「納税者の保護と納税義務の履行の確保」
    (研究所顧問 品川芳宣先生(早稲田大学会計研究科教授))

講演:「納税義務の履行に関する問題」
      (研究主幹 今村隆先生(駿河台大学法科大学院教授))

講演:「納税者の保護に関する問題」
      (研究主幹 吉村典久先生(慶應義塾大学法学部教授)

パネルディスカッション(上記3名のほか、研究主幹玉國文敏先生
             (中央大学大学院法学研究科教授)、酒井所長)

資料代等として:一般1,000円(当日徴収) 会員無料


以上のような内容で、税理士試験の真っ最中に東京税理士会館にて行います。

詳しくはアコード租税総合研究所のHP
http://www.at-i.info/
からアクセスして下さい。
活動状況の中の今後の活動予定に、参加フォームが付いています。
参加フォームにしたがってFAXを送って頂くと、私の手元に届きます。
(私も事務局を手伝っているような状況なんですね。)

国税通則検討委員会と所得課税検討委員会はすでに開催日時も決まり、
設立当初から活動することが決まっています。

構想は大きいのですが、組織が小さいので、あとは徐々にということです。

ただ、酒井所長のご挨拶にもありますが、租税法律関係における紛争の
未然防止に向けて、活動するシンクタンクとして設立された研究所です。

「我が国には、納税者と租税行政庁との橋渡しをするべく中立的立場を
堅持する専門家として税理士制度が設けられています。
税理士は納税者のもっとも頼りになる租税専門家ですから、税理士が
租税法の解釈論をしっかりと身に着けることは、コンフリクトの解消や
未然防止に必ずや寄与するはずであると確信いたします。
かような意味では、当研究所は税理士の研鑽への支援活動もいたしてまいります。」
(酒井所長挨拶より)

意識の高い税理士がお互いに研鑽できる場を提供できるよう、頑張りましょう。


脳死は人の死か? 臓器移植法改正案衆議院通過
2009.06.19

注目の臓器移植法改正案は脳死を人の死と認めるA案が衆議院で可決され、
参議院に送致された。
A案がそのまま可決されると、国内での心臓移植が全面的に解禁される
ことになろうが、脳死を人の死とすることを原則とする法案だけに、
予断は許さない。
18日13時25分YOMIURI ONLINE記事はこう報じた。

臓器移植法改正案は18日午後、衆院本会議で採決され、脳死を「人の死」
とすることを前提に、現行では禁止されている15歳未満からの臓器提供を
可能とすることを柱としたA案が賛成多数で可決された。
審議の舞台は参院に移るが、A案の成立に消極的な意見や慎重審議を求める
声が出ており、成立までには曲折も予想される。
採決は記名投票で行われ、投票結果は賛成263、反対167だった。
投票総数は430だった。
共産党は時期尚早との理由で採決を棄権し、そのほかの政党は個人の死生観や
倫理観に基づく問題であるとして、党議拘束をかけず議員個人の判断に委ねた。
A案は脳死が「人の死」であることを前提として、臓器提供の条件について、
書面による生前の意思表示と家族の同意を必要としている現行制度を
大幅に緩和した。
本人意思が不明でも生前の拒否がない限り家族の同意で臓器提供できるよう
改める。
現行では臓器提供の意思表示ができる年齢を15歳以上としているが、
本人意思が不明でも臓器提供が可能になることで年齢制限は撤廃され、
乳幼児からの臓器提供が可能となる。
また親族への臓器の優先提供についても本人の意思表示ができると定めている。
国会に提出された四つの改正案のうち、最も臓器移植の機会を拡大する
可能性があり、患者団体や日本移植学会などが支持していた。
残る3案は、臓器提供可能年齢を現在の「15歳以上」から「12歳以上」
に引き下げるB案、脳死の定義を厳格化するC案、15歳未満について
家族の同意と第三者による審査を条件に可能とするD案だったが、最初に
採決されたA案が過半数の支持を得たため、採決されないまま廃案となった。
A案は同日中に参院に送付され、参院厚生労働委員会で審議が行われる見通しだ。
参院の民主、社民両党の有志議員はC案の考えに近い新案を参院に提出する
構えを見せており、西岡武夫・参院議院運営委員長は「参院でまだ
何の議論もしていない。この問題は慎重にあらゆるケースを考えないと
禍根を残す」として、一定期間の審議が必要との認識を示している。
現行の臓器移植法は1997年6月に成立した。

臓器移植については、学生時代の恩師筋のお嬢様の移植のご支援をしたことが
ありましたので、他人事とは思えない話です。

この話は立場の違いがまともに出てしまう話で、その方の死生観もはっきり
出てくるだけに、難しいところですね。

移植でしか助からない患者さんにとっては、基本的に自国内で臓器移植せよ
という新しい国際ルールは、「死ね」と言われたと同義です。
ですから、今回の改正は何が何でもA案ないしD案の可決が必要なんですね。

しかし、一方で、脳死判定されたものの、ちゃんと生きているお子さんの
親からすれば、「脳死は人の死」を原則とするA案は、自分の子どもへの
死刑宣告に等しいわけです。
この立場からすれば、脳死の厳格解釈を求めるC案であるべきなのでしょう。

双方の立場を踏まえた上で、脳死をどう捉えるべきなのか。
これは我々自身もキチンと理解した上で、議論すべき問題なのでしょう。

この問題を考える上で私が提案したいことは、全ての方がドナーカードを
保有することを目指すことなんです。
私自身は脳死による臓器提供を否定していますので、自己の意思により、
臓器提供をしない旨をドナーカードに託しています。
(財布に入れているのですが、時々行方不明になっていますが・・・)

ドナーカードを持つことで、自分が万が一脳死に至ったときにどうしたいのか、
自分の身をもって考えることが、臓器移植のあるべき姿ではないでしょうか。

お子さんを助けたい一心で臓器移植を海外でというニーズは高いのですが、
日本人が割り込んでしまえば、その国のお子さんを救えないという自己撞着。

私自身も、恩師のお嬢様を救いたいと募金運動に協力していながら、
私自身の問題としては提供を拒否しているという自己矛盾を抱えています。

ただ、他人事ではないだけに、これを機にしっかり考えていきたいですね。


党首会談における財源問題
2009.06.18

昨日17日、麻生・鳩山両氏による党首討論が行われた。
鳩山氏が攻め、麻生氏が防戦に終始する印象でしたが、財源問題については、
ここでも前に書きましたが、鳩山氏の政策に?が拭えませんでしたね。
17日18時17分トムソンロイター記事はこう報じた。

麻生太郎首相(自民党総裁)と鳩山由紀夫民主党代表の2回目の党首討論が
17日午後に行われ、財源問題について互いの主張を展開した。
少子高齢化が進展する中で避けられない社会保障費の増大を賄う財源
について、麻生首相が3年後に経済状況が好転した場合の消費税引き上げに
言及する一方、鳩山代表は無駄の削減が優先と主張し、政権奪取後も
「4年間は消費税を引き上げない」ことを明言した。
(略)
麻生首相は、社会保障費の財源問題に関連し、民主党が当面は消費税を
引き上げない方針を示していることを踏まえ、「消費税の論議を避けて
通るのは、財源を避けて通ることになる。財源をきちんと提示してこそ
初めて政策が実現しうる」と財源論争に持ち込んだ。
財源について麻生首相は「3年後に景気が回復してきた状況において消費税
を含めた税の抜本改正を行い、社会保障関係をきちんと手当てする。
その財源について消費税は避けて通れない」と景気回復後の消費税引き上げ
に言及した。
これに対して鳩山代表は「徹底的に無駄遣いをなくすことからスタート
したい」とし、「本来なら消費税を上げないで済む話なのに、(麻生政権は)
官僚主導なので無駄がない、減らせないという話になる」とこれまでの
主張を展開。
「政権を獲っても4年間は消費税の増税をしないと明言する」と強調した。
財源の捻出方法については、一般会計と特別会計を合わせた210兆円程度
のうち、社会保障費や国債費などを除いた約70兆円が見直し対象になるとし、
「随意契約の見直しや不要不急なものを後に回せば10兆円くらいは
削減できる」と語った。
こうした考えに対して麻生首相は、会計の内訳を示した上で現実的ではない
と述べ、「不安感を持たざるを得ない」と反論した。


小泉元首相が私の在任中は消費税は上げないと明言して先送りしてきた
消費税問題は、安倍、福田、麻生3内閣を苦しめている気がする。
景気回復を図り直接税である所得税、法人税の増収が見込めるのであれば、
消費税の早期増税を検討しなくてもいいのかもしれない。
しかし、少子化が急速に進み、派遣切り問題を始めとする雇用不安を
抱えている現状で、人数の少ない若年層が、圧倒的な人数を誇る団塊世代の
社会保障を抱えなければならないことが明確になっている現在では、
景気減退気の財源を直接税に頼ることの弊害が目立っていることも確かである。

目先の財源に拘りすぎる麻生氏と、選挙を意識して超短期の財源を赤字国債に
頼り、その返済原資を抜本的行政改革によって生み出そうとする鳩山氏の
議論はかみ合うはずがないのだが、人口減少による経済活力の低下も懸念され、
また、グローバル化された経済社会において、ブルーカラー労働の国際化を
考慮すると、労働者報酬の更なる低下が懸念されるだけに、
私としては、問題が明確化され、財政破綻に陥る前に、直接税に偏った
税制構造の見直しが必要ではないかと考えている。

それだけに、鳩山氏が小泉劇場開幕時と同様、消費税論議凍結を打ち出すのは、
いかがなものか、と思うのである。
あげるかどうかではない。
議論を深めた上で、景気回復後に消費税増税への対応になるのか、他の方策で
行くべきなのかを明確にすればいいのではないかと思うのである。
この点、まず増税ありきの麻生(与謝野?)政策にも問題があろう。

自民党内からも16日に経済財政諮問会議で示された「骨太の方針2009」の
原案に対して反発の声があるとの報道もある。
やはり、まず増税ありきではなく、増税シナリオも選択肢の1つとして、
現状のままでは消費税の増税は避けられないというのであれば、それを
避けるための選択肢を考えなければならないのではないだろうか。

党内からの反発の声に対しては、それなりの対案を示してもらいたいものだ。

知恵も出さずに、ただ「反対」では、かつてのどこかと同じではないか。

知恵を絞るために国会議員として国民に選ばれているんではないのですか?
それが鳩山案では抜本的な行政改革なんでしょうね。
難しい課題ではありますが、消費税増税に対する対案として示した以上、
政権奪取の暁には、官僚の抵抗がどれほど強くても、逆恨みを受けてでも、
死んでも実行する気概と実行力を見せて頂きたいものです。
間違っても、誰かのような敵前逃亡をされないことを祈ります。
それをやったら、せっかく実現の一歩手前まで進んできた政権交代可能な
野党が二度と生まれなくなる危険を生み、それこそ、日本の政治は
それで一党独裁への道を歩みかねませんので。


安心と活力の日本へ
2009.06.17

15日に政府の安心社会実現会議が最終報告をまとめた。
「安心と活力の日本へ」と題された本報告は、多くの課題について検討
しているが、注意すべき点は、安心社会実現に向けての道筋であろう。
つまり、次のように提言されたのである。

2 2010年代半ばまでに達成すべきこと
2010年代前半から半ばにかけては、団塊世代が本格的に高齢世代入りし、
就職氷河期の若年世代が社会の中核を担う年齢に到達しはじめる。
こうした現実をふまえて、スピード感のある改革の実施が求められる。
そのための一方策として、雇用、介護、次世代育成、医療についてのサービス
基盤や人材養成に関する数量目標を年次ごとに示した「支援型社会サービス・
人材整備プラン」を国・自治体がそれぞれ策定しなければならない。
また、政治や行政への不信が社会保障強化への合意形成と制度改革を
困難なものにしてきた経緯をふまえて、便益の実感を伴った負担の形を
示すとともに、改革推進の機構整備や「安心保障番号/カード(社会保障
番号/カード)」の導入など、国民の信頼回復につながる様々な措置を実施
することもこの時期の課題である。
加えて、この時期の行財政システムの改革として、負担が確実に国民に
還元されることをはっきり示すため、政府に「社会保障勘定」を創設し、
消費税を社会保障給付のための目的税として、その収入はすべてこの
「社会保障勘定」に入れる、という方法も検討に値する。
税負担が見返りのあるかたちで具体的な給付に使われることが明確になれば、
不信の払拭と社会保障強化への合意形成の大きな助けとなる。

3 2020年代初頭までに達成すべきこと
この期間は、安心社会を確かなものとし、それを次世代へとつなげていく
ための改革を行う期間である。
2で示した諸改革が着実に実行されれば、その成果はこの時期に順次表れる。
全世代・全生涯を通じた切れ目のない安心保障を、国民が実感できる形で
本格的に立ち上げることこそ、この時期の課題である。
そのことによって、不安が経済停滞を招き不安を高めるという悪循環を、
安心が活力を生み安心を強めるという好循環に転換することができる。
日本の政治を萎縮させてきた「不信の連鎖」を、「信頼の連鎖」へと転轍する
ことができる。
また、2020年代は、団塊世代が本格的に高齢世代となり、我が国の高齢者
人口がピークを迎える時期である。
この時期までに出生率の確実な上昇反転を実現することができれば、
2030年代以降の日本社会の持続可能性に確かな見通しが得られる。
安心社会強化のための諸施策、税制改革、経済成長戦略の三位一体で、
この時期までに財政収支の均衡を実現できれば、私たちは胸を張って
この国を次世代に託することができる。


2010年半ばまでに達成すべき、「支援型社会サービス・人材整備プラン」が
達成できないとなると、2020年以降の安心社会実現が難しくなるのか?
ちょっと疑問が残る記載であるが、就職氷河期の若年世代が社会の中核を
担う時代というのは、少ない人数で莫大な人数の団塊世代を支えるという
ことになるだけに、ここで踏み止まらないと大変なことになることは確かだ。

安心社会実現会議は2030年以降の日本社会の持続可能性を視野に入れて
検討していたわけですから、ベビーブーマーである私の年代が引退する
20年後には安心社会を確立していきたいですね。

これまでの年金問題や社会保険問題ではあまり議論がなされてこなかった
長期展望が明らかになったことは評価されようが、これは目を転ずると、
今の高齢者の保護に最重点が置かれていないことでもある。

我が国の年金システム自体が、現役世代が高齢者の皆様の年金を負担しない
限り、破綻することは明らかであるだけに、将来に向けて安心できる
システムをしっかりと構築しなければ、自分の時代には破綻しているかも
しれない年金を粛々と払い続けるはずがないのです。

今の福祉のあり方を論ずるのと同時に、将来に向けた財源の確保を考えて
こなかったこれまでの福祉政策の誤りを早急に是正して、
自転車操業ではない安定した社会福祉政策を打ち出していかなければ、
情報量が多い若者は騙されませんよ。


レッチェ・フレームワーク
2009.06.16

先週末にイタリア・レッチェで開催されたG8財務大臣会合は、世界的な
景気後退が大恐慌以来の大規模なものであったが、国際協調による景気対策
の結果、北米では緩やかな回復の兆しを見せていることを共通認識とした。
その上で、各国の状況を確認し、「レッチェ・フレームワーク」として、
国際的な経済・金融活動の適切性、健全性、透明性に関する基準を公表した。
14日8時26分トムソンロイター記事はこう報じた。

われわれは、大恐慌以来最悪の危機の中にある。
長引く景気後退の広範さと強さにより、適切性、健全性および透明性の
基準に対するわれわれのコミットメントを強化することの重要性が露見した。
過度のリスクテイクおよびこれらの基本的な原則への違背が、国際的な
経済や金融の安定が損なわれる一因となった。
この問題は、自己規制と市場規律に依拠する分野でも、公式のルールや
監督を伴う分野でも、ともに生じたことから、市場機能が欠点を抱えている
ことが明らかになった。
市場経済が持続的な繁栄を生むためには、経済活動における適切性、
健全性および透明性に関する基本的な規範が尊重されなければならない。
今回の危機の規模と広がりは、この観点から緊急に行動する必要がある
ことを示した。
改革のための努力は、国際的な経済・金融システムが抱えるこうした
欠点に決意をもって取り組まなければならない。
このためには、適切な水準の透明性を促進し、規制・監督システムを強化し、
投資家をよりよく保護し、企業倫理を強化することが必要とされる。
本日、われわれG8の財務大臣は、国際的な企業と金融機関の行動に関する
適切性、健全性および透明性に関する共通原則の必要性について議論した。
われわれは、既存のイニシアティブに立脚しつつ、規制上の隙間を検証・
補充し、迅速な実施に必要とされる広範な国際的合意を促進するための
包括的な枠組みを策定するとの戦略「レッチェ・フレームワーク」の
目的について合意した。
レッチェ・フレームワークは、適切性、健全性および透明性に関連して
共通の視点を有する既存の、あるいは作成中の広範なツールがあることを
認識し、これらをコーポレート・ガバナンス、市場の健全性、金融規制・
監督、税に関する協力、およびマクロ政策・データの透明性の5分野に
分類する。
包含される具体的な事項は、特に役員報酬、システム上重要な機関に
対する規制、格付機関、会計基準、国境を越えた情報交換、贈賄、
タックスヘイブン、非協力的国・地域、資金洗浄・テロ資金対策、
経済・金融データの質と分析などがある。
国際的な機関・フォーラムはすでにこれらの分野における多くの重要な
問題について相当規模の作業を行っているが、多くの場合、それらの
イニシアティブは参加国やコミットメントが不十分であるという問題がある。
本日、われわれは、世界的な市場システムを強化するため、IMF、世銀、
OECD、FSB、FATFその他の国際機関によってなされた作業に
立脚するまとまった枠組みを設けることに合意した。
実効性を確保するため、われわれはあらゆる努力を傾注して最大限の
参加国と迅速で決然とした実施を追求する。
われわれは、G20およびそれ以上のより広範なフォーラムに拡大することを
視野に入れて、国際的なパートナーと協働してレッチェ・フレームワークを
進展させていくことにコミットしている。

レッチェ・フレームワークとして公表された内容は、IMF等で近い将来、
まとめられるであろう国際的な枠組みに従って、世界各国が協調して
世界経済へ介入することで、景気後退からの脱却を図り、世界経済の安定を
目指すという方向性を明確にするものであろう。

我が国経済の復活のためには、世界経済のブロック化を阻止し、国際化を
図る方向性が必要であろう。
外需主導の我が国経済の構造転換を図ることも肝要であろうが、国際的な
労働市場に放り込まれた我が国の労働環境からすれば、内需主導型への
転換は非常に困難だと考えている。
それだけに、世界経済の回復が我が国経済の回復への特効薬であり、
命綱であろう。

ただし、我が国経済を国際的に調和化させるいわゆるコンバージェンスを
大規模に行うことは、横並びのぬるま湯に使っていた国内取引のみの
中小企業には、優勝劣敗が顕著になる可能性が高いだけに、負担が大きい。

難しいところですが、成熟化してしまった我が国経済を成長市場へと
転換していくためには、勇気を持って思い切った改革が必要だと思います。


三木義一「給与明細は謎ばかり」(光文社新書2009)
2009.06.14

日本税法学会に参加するために名古屋に来ています。
名古屋での学会となると、2004年に愛知大学で開催されたときに、
「子会社の役員が親会社から付与されたストックオプションの性質」
という論題で学会発表させて頂いたとき以来ですから、
5年ぶりの名古屋です、ということはさておき、
今日は、サラリーマンの皆様に是非読んで頂きたい税金本を紹介したい。

三木義一「給与明細は謎だらけ」(光文社新書2009年4月)です。

帯にはこう記載されている。

「支給額30万、でも手取りは20万 なんでこんなに引かれるの?」

税を仕事にしている者にとっては常識であっても、多くの一般の方には
不思議でならない税の世界。
給与明細の読み方1つ取っても、よくわからない、というのが現実でしょう。

私の講義でも、学生にアルバイトの明細を1年分取っておいて、
12月に源泉徴収票をもらったら、源泉徴収税額と1年間天引きされていた
税金の額の合計が一致しているか確認するよう話をしています。

税理士も社労士もしっかりしている会社であれば、不一致はないはずですが、
ここに不一致があれば、その差額は、社長のポケットに入ってしまっている
可能性は否定できないのです。

本書は、税のことがなにもわからない方を対象に、所得税のポイントを
コンパクトにまとめられています。

プロローグで三木教授は、誤った節税策に踊らないよう警告しておりますが、
巷に溢れる節税策と称されるものの中には、かなり怪しげなものも多いのです。
三木教授は、近年ベストセラーになった本を挙げられ、節税できた気になって
実は手取りを減らすことがないよう、警告するのです。

三木教授が本書を書かれた動機は、最後の言葉に収斂されるのではないだろうか。
「少しずつ変わろうとしているのかもしれない。
いや変えねばいけないのだろう。
そのためにも自分が徴収される税金の仕組みくらいは知っておこう。
そうすることで、遠くに何かが見えてくるはずだ。」(245ページ)

そう。
今の我が国税制は矛盾で満載なのだ。
だからこそ変えなければならないところだが、搾取され生き血を吸われている
肝心の国民が自分の税金がいくらなのか、知らないのに、平気な顔をしている。

声高に悪税を叫ぶグループもあるが、彼らの声も大多数の国民には
理解されない。
そもそもいくら取られているのか知らないのだから。

そんな国民だからこそ、実際に自分の年金が消えるまで、消えた年金を
騒いでこなかったのでしょう。
人の痛みが判るのは、自分が痛い思いをしてからなのか。

税を語る上で、理屈を知らない方に、理屈は通用しません。

だからこそ、私は本書をオススメしたいのである。


国際会計基準、2015-16年には強制適用?
2009.06.13

国際会計基準の適用について、上場企業に対しては2015~16年には
強制適用される見通しとなった。
11日22時5分トムソンロイター記事はこう報じた。

企業会計審議会の企画調整部会は11日、国際会計基準(IFRS)の
上場企業への強制適用を2015年または2016年にも開始することなどを
盛り込んだ中間報告案をまとめた。
2月発表の公開草案を修正した。
上場企業の連結財務諸表を対象とし、2012年をめどに強制適用を判断する。
判断時期から少なくとも3年の準備期間が必要としており、早ければ
2015年にも強制適用される。
ただ、全ての上場企業への一斉適用か段階適用かは、強制適用の是非を
判断する際に改めて検討・決定するとした。
このため、段階適用の可能性を考慮して強制適用の時期は「2015年または
2016年」と幅を持たせた。
一方、任意適用は、2010年3月期から認める。
国際的な財務・事業活動をしている上場企業とその上場子会社を対象とする。
企業会計審議会の総会決議を経て、関連した内閣府令の改正を今秋にも
公布し、来春に施行する。

リーマンショックに端を発した世界同時不況は、会計基準の動向にも
大きな影響を与えた。
かつては、アメリカが先行し、最先端の会計基準であるアメリカ基準は
アメリカに後れを取る国際会計基準への互換性を省みなかった時代もあったが、
今では、アメリカも国際会計基準との整合性を図っており、国際的な
潮流は、ようやく国際会計基準に収斂されてきたと言えよう。

我が国でも、麻生政権が景気回復のデッドラインと見ている2012年をメドに
国際会計基準を2015年ないし16年に強制適用すべきかを判断するという。

11日に公表された中間報告(案)では、「公認会計士試験合格者に対する
実務補修の内容の見直しが必要になるものと考えられる。なお、IFRSの
強制適用が決定された場合には、その段階で公認会計士試験の試験科目や
試験範囲についても見直しが必要となるものと考えられる。」(8-9ページ)
という見解があり、注目したい。

公認会計士監査に求められているものを再認識し、抜本的改革以前の
合格者に対する徹底的な再教育が絶対的に求められるところであり、
税理士制度改革とも相まって、IFRS時代の公認会計士に不適格と
認定された者の税理士のみへの転属を含め、大いに議論されるべきであろう。

私は税法のプロフェッショナルではない会計士が安易に税理士への転属が
許されることは、現在進められている税理士制度改革の理念に反するだけに、
会計士の再教育は会計士協会で責任を持ってやって頂き、不適格者には
業界から締め出す勇気を持って頂きたいと考えている。

同じことは税理士会にも言えることであるが、クライアントである納税者が
期待するプロフェッショナル足りえない方が、継続研修さえ受けていない
現状や、その継続研修のレベルにも問題があるだけに、IFRS強制適用
という黒船が、税理士業界に与える影響も大きかろうと推測している。

会計のグローバルな比較可能性の確保は、グローバル化した世界経済下では
当然のことだと考えるが、我が国の実情はあまりにも寒い。
何とかせねば。


新型インフルエンザはフェーズ6を宣言されましたが
2009.06.12

一旦、収束に向かうような様相を見せていた新型インフルエンザでしたが、
昨日11日、WHOは警戒レベルを最高レベルのフェーズ6に引き上げ、
パンデミックを宣言した。
我が国でも一向に感染者の緩やかな拡大を続けており、まだ警戒をとく
段階にまで来ていないのが実情であろう。
12日2時3分時事通信社ネット記事はこう報じた。

世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長は11日、
メキシコ、米国をはじめ北半球を中心に続いてきた新型インフルエンザの
人から人への感染拡大が、オーストラリアなど南半球でも確認されたとして、
警戒レベルを最高水準の「フェーズ6」に引き上げ、世界的な大流行
(パンデミック)の発生を宣言した。
WHOはこの日、各国の専門家で構成する緊急委員会を開催。
同委での討議結果を踏まえて判断した。
パンデミックの発生は「香港風邪」以来41年ぶり。
チャン事務局長は同日の記者会見で、フェーズ6に引き上げたとはいえ
「現状の深刻度は(高中低の)中程度だ」と述べて、平静を保つよう要請した。
また、今回の引き上げは、国境の封鎖や旅行など人の移動の制限を求める
ものではないと強調した。
WHOは事務局長の記者会見を前に、各国政府に対し警戒レベル引き上げを通知した。

新型インフルエンザに対するワクチンの開発が急がれるところであるが、
世界の趨勢と我が国の動向を同じと見てはいけないだろう。
今回については新型であるために予防が難しい部分があったが、
我が国では、季節性インフルエンザに対する予防接種が進んでおり、
マスクによる予防、感染拡大防止を含めて、諸外国よりも進んでいると
言える状況があるからだ。

WHOがパンデミックを宣言し、フェーズ6まで警戒水準を引き上げても、
我が国では多少の警戒が必要ではあろうが、マスクが入手困難になった
時期に比して警戒レベルが上がったとは思えない状況がある。

私は商売柄、他の人よりも警戒しなければならないのかもしれないが、
早期対応と関係各位のご協力のお陰をもちまして、マスクを切らすことなく、
予防を図ることができました。

今晩から名古屋入りですが、やはり長距離の移動のときには、
マスクが必需品です。
車内の乾燥もありますが、万が一咳き込んでしまったときにも、
マスクをしていれば、周りから嫌な顔をされる危険も少ないですしね。

しっかりとした対応というのは、どんなことにも基本になるんですね。


不良債権を装った脱税事件
2009.06.11

不良債権化を装って関連会社への貸付金を売却したと見せかけた手口で
脱税として告発する事例が摘発された。
10日11時45分asahi.com記事はこう報じた。

貸し付けた約6億4千万円を不良債権に見せかけて1万円で売却したと装い、
脱税したとして、静岡県沼津市の運送会社「大富運輸」と大木理久夫会長
(67)が、名古屋国税局から法人税法違反の疑いで静岡地検に告発された
ことがわかった。
関係者によると、大木会長は、同社が関連会社に貸し付けた約6億4千万円
について、回収が可能なのに、08年3月期に回収の見込みのない不良債権
として関連会社社長に1万円で売却したように仮装。
特別損失が発生したとして、約3億4千万円の赤字と申告し、脱税したとされる。
所得隠しの額は約6億4千万円。
累積赤字があり、脱税額は少なくなると見られる。

会計上は貸し倒れが合理的に見積もられるタイミングで貸し倒れ計上すれば
貸倒損失を計上することができるけれども、税法上は、債務確定主義に
基づくため、法律的にも貸し倒れが確定しないと貸倒損失を計上できない。

本件は、会計的な発想で貸倒損失を税法上でも計上できる方法を考えたの
かもしれませんね。
しかし、関係会社への売却では、租税回避とされても致し方ないですね。
どうしても貸倒処理をしたければ、サービサーへの売却を考えるべき
なんでしょうが、回収可能性がある債権をサービサーに売却すれば、
当然、サービサーが全額回収することになるのですから、
会長の意図とは全く違うものになってしまいますよね。

ずるいことをしようとしても、そうさせないように法が網の目を張っているのです。
決算まで何も対策をせずに儲けが出て税金を払わなければならないことを
嫌がるというのは愚の骨頂です。
なぜ事前の対策を準備しないのですか。
それとも税理士から何のアドバイスも受けていなかったのですか?

継続的なアドバイスを受けられる良好な関係を築かれていれば、稚拙な
課税逃れを考える必要はなかったのではないでしょうかね。

国税当局の調査能力をなめているとしか思えないですね。
実に嘆かわしい事件です。


消費税率は12%へ!?
2009.06.10

昨日、9日に開催された経済財政諮問会議において提出された
財政健全化目標の中長期試算を見ると目を覆いたくなりますね。

皆さんも既にニュース等でお聞きになっていることと思いますが、
消費税率の引き上げ幅を7%、つまり消費税率を12%まで引き上げても、
世界経済順調回復シナリオでも2018年度にならないと財政収支が
黒字化せず、10%では2021年度まで先延ばしになる。
しかも、昨日提出された試算データには、世界経済急速回復シナリオと
世界経済順調回復シナリオしか検討されておらず、経済低迷シナリオでの
試算結果は明らかにされていない。

なぜか。

推測でしかないが、惨憺たる試算結果を国民の目から隠すことによって、
絶望感を与えないためではないだろうか。
かなり厳しい、最悪、日本が破産する危険も孕んでいるのかもしれない。

そうならないためにも、補正予算によってもたらされる経済対策が
効果を発揮してもらわなければ困るんですね。


また、骨太の方針2009の素案では、成長戦略、アジア戦略、生活安心保障の
再構築、のそれぞれが2020年までの10年間を視野に入れた中期計画として
検討されている。
これは、「2010年代前半から半ばにかけて、団塊世代が高齢世代入りし、
就職氷河期の若年世代は社会の中核を担うべき年齢に到達し始めることに
なる」(素案2ページ)からであろう。
つまり、人数も多くない若年層が、人数の多い高齢世代を社会保障費に
おいて、支えなければならないことを意味するだけではなく、
税金についても所得課税中心の税制を変えていかなければ、若年層が
税制面でも高齢者を支えなければならなくなるということを意味する。

これを避けるためにも、所得課税中心から消費税などの間接税をより重視した
税制へシフトしていく必要があるんですね。


さらに、中期プログラムの素案では、平成20年12月24日に閣議決定された
昨年末の中期プログラムに対して、改正部分および追加部分、削除部分が
明示された資料となっていた。

ここで、注目したいのは、昨年末には「成長戦略」とされていた経済政策が
「未来開拓戦略」と銘打たれていることですね。

麻生内閣の経済対策が、今の不況を乗り越えるための場当たり的な政策に
終始することなく、中長期的な視点に立って未来志向の政策を行うという
意思を感じるところです。

政策転換はないものの、未来志向がより鮮明になったことは評価したい。

財政再建への道は険しく、国民の税負担も重くなっていくことが予想されるが、
未来に向けた日本の成長により、負担増を感じなくなるような経済復興を
期待したいところですね。


SFCGの資産隠しにNO(その4)
2009.06.09

SFCGによる資産隠しでは、日本貸金業協会による特別監査の開始直後から
隠蔽工作が行われていたことが明らかになった。
8日3時17分asahi.com記事はこう報じた。

経営破綻した商工ローン最大手SFCG(旧商工ファンド)が、昨年11月に
日本貸金業協会による特別監査が始まった直後、貸金業法違反の恐れのある
グループ会社の書類をひそかに移すなど隠蔽工作をしていたことがわかった。
株や債権など資産を関連会社へ流出させる行為も、特別監査中に行われていた。
協会は長く社内に立ち入っていながら、気づくことができなかった。
貸金業協会などによると、SFCGへの特別監査は、昨年11月下旬から
今年3月下旬まで行われた。
昨年9月以降、一括返済を求められた顧客の苦情が相次いでいたことから、
協会初の実地監査として、約10人が東京都中央区のSFCG本社に立ち入った。
SFCGの社内文書などによると、本社のあるビルの8階には当時、
グループの別の貸金業者なども同居していた。
特別監査の開始直後の昨年11月末、SFCGはこの業者などグループ各社の
全書類を8階から12階へ移させた。
さらに立ち入りが始まった12月中旬、11階へ再移動させたという。
複数の貸金業者の営業所の同居は、貸金業法で定められた貸金業者の
登録要件に反する恐れがある。
12階への移動を指示したSFCGの社内文書は「(貸金)業法違反になるので」
と移動の理由を明記しており、特別監査に対する隠蔽工作だったとみられる。
朝日新聞は、昨年12月12日の再移動作業を撮影した動画を関係者から入手した。
SFCGの破綻前、同社に対して書類隠蔽の事実確認を求めたが、回答は得られなかった。
SFCGの破産管財人によると、同社は昨年9月~今年2月、株や債権など
2670億円相当の資産を大島健伸元社長の親族会社などへ流出させたとされる。
特に2月23日に破綻する直前には、駆け込み的に無償や格安での債権譲渡がなされた。
破綻時には「抜けがらだった」という。
書類の隠蔽や資産隠しは特別監査中に行われたが、貸金業協会はこれらの
行為を未然に防ぐことができなかった。
同協会は、朝日新聞の取材に「資産移転や債権譲渡は、今回の監査目的を
超えるものだった。今回の監査について、どのような問題があり、
どのような改善が可能か検討している」と文書で答えた。
同協会を監督する金融庁は「特別監査中の行動に気づかなかった事実がある
とすれば、反省すべきは反省しなければならない」と話した。
高金利で顧客が払い過ぎた利息の返還に取り組んでいる日栄・商工ファンド
対策全国弁護団は「早く気づいていれば資産流出を食い止めることが
できたはずだ。協会は何を監査していたのか」と憤る。
貸金業協会の特別監査は、SFCGが3月27日に東京都から貸金業登録の
取り消し処分を受けたため、途中で終わったままとなっている。

■「社名シールはがせ」
SFCGのグループ会社の社員だった男性は、昨年11月末からの社内の
異変を今も鮮明に覚えている。
11月29日午後、東京・日本橋のオフィスビル8階にあった会社で、
社員に文書が配られた。
「日本貸金業協会の監査が入っております。(貸金)業法違反になるので、
荷物は全部移動しなくてはならない」。
土曜出勤していた男性は、突然の指示に驚いた。
グループ会社の事務所は、SFCG本社と同じ8階フロアにあった。
指示に従って、書類を段ボール箱に入れて12階へ運ぶと、8階に同居する
グループ各社ごとに箱の置き場所が割り当てられていた。
週明けの12月1日、出社した男性は、会社から「電話がかかってきても
社名を大声で言うな」と指示された。
「備品に張った社名シールをはがせ」とも命じられた。
複数の貸金業者が同一フロアに入居する事実が協会側に発覚しないための
偽装工作だった。
12月12日には、12階の書類を11階へ再移動せよとの指示。
積み上げられた箱の中身を見てみると、顧客に返済を求めるSFCGの
督促状が大量に入っていた。
社員が荷運びに追われる中、貸金業協会の職員らは、8階フロアに
立ち入って特別監査を続けていた。
同じビルで起きていた異変に気づくことはなかった。
「あの特別監査は何だったのか」。男性の疑問は今も消えずにいる。

なんともあきれ果てた話である。
それも荷物運びをしている会社がある中で、貸金業協会の職員は何も
感じなかったというのだ。
協会の特別監査が形式的な緊張感のないものであったかが容易に窺える。
税務調査の現場でもこんな緊張感のない職員が来てくれると怨嗟の声が
相当減るんでしょうねえ。
国税庁の職員研修を見習うべきではないのか。
調査手法の良し悪しは兎も角、彼らはプロですからね。
社会全体がこういう緊張感を持ったプロ集団になれば、閉塞感も変わるような
気もします。

さて、話は戻しますが、SFCGの資産隠しの実態が見えてくると、
いかにも稚拙な資産隠しであったが、会社ぐるみであったことが見えてくる。
大島元社長による会社の私物化という実態が明らかになってくると
言ったほうが適切かもしれない。

昨日8日は、漢検の大久保親子も財団の私物化の実態を摘発され、刑事告発
されておりますが、なぜこうしてまで会社を食い物にするのか。

法が人格を認めて個人とは別個の独立した存在として存在が許された法人
であることを忘れて、実態は個人事業のまま、という会社が多いという
意味でもあるのだろうか。

会社は社会の公器としての社会的地位を確保してきているだけに、
その経営実態との乖離があまりにも大きいのかもしれない。

SFCGの資産隠しの悪質性はますます強まってきている。

一罰百戒ではありませんが、社会に与えるインパクトを考慮した対応を
期待したいものである。


情報発信に伴う税理士の専門家責任
2009.06.08

税法学561号が届きました。
3年半ぶりの税法学への掲載になりましたが、平成16年度税制改正において
抜き打ちで改正された土地建物等の譲渡損失の損益通算廃止が争われた
東京高裁平成21年3月11日判決(TAINSコードZ888-1413)を題材に、
「情報発信に伴う税理士の専門家責任」について論文を書きました。

題材として取り上げた東京事件と同様の事件が、福岡と千葉でも訴訟になり、
千葉事件は、東京事件と同様、現在最高裁で係争中です。
ここでも判例を既に紹介済みですが、東京事件高裁判決についてはまだ
紹介していませんでしたね。

高裁はいずれも納税者敗訴の判決を下しておりますが、平成16年度税制改正
については、不利益遡及立法に当たる違憲改正であった可能性が多分に
残されており、最高裁の判断が待たれるところである。

私がこの事件を取り上げて論文を発表したのも、租税訴訟学会の山田会長が
弁護人を務める最高裁への応援の意味を兼ねています。
ただし、山田会長と意見交換をした上で書いたものではありませんので、
主張としては大分違うことは承知の上ですが。

大学での講義でも憤りを一切隠さずに話しておりますが、この事件では、
平成15年12月15日に公表された政府税調の平成16年度税制改正答申に
おいて一切触れていなかった土地建物等の譲渡損失について、その2日後の
平成15年12月17日に公表された自民党税調(連立与党の承認後は
与党税調となる)による平成16年度税制改正等において、忽然と姿を見せた。

しかし、当時の当税調の議論や答申は、HP等でも全文を確認することが
できず、新聞報道等による要旨の確認ができるに過ぎなかったが、
「翌18日には、新聞各紙において与党大綱に関する記事が1面を飾った
ものの、朝日、読売、毎日、日経の各紙を調べたところ、4紙とも、
記者による記事の中には譲渡損失の損益通算の廃止の文字は1ヶ所もなく、
与党大綱の要旨についても、朝日は「譲渡損失の他所得との損益通算は
廃止する」とのみ掲載し、読売、毎日は「土地、建物等の長期譲渡所得の
金額又は短期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の計算については、
土地、建物等の譲渡による所得以外の所得との通算及び翌年以降の繰越しを
認めない。」との注書きを省略し、注書きまで掲載していたのは、
日経のみであった。
税制改正においては、改正後から適用されることが前提として考えられて
いるからこそ、遡及する場合には注書きするところであるが、遡及立法ないし
遡及適用するための要件として必要となる国民への周知を果たすために
必須であった注書きを主要3紙は掲載していなかったことは明らか」であり、
改正直後に正確な情報を国民が得ていた、周知されていたと考えることが
できるはずがない状況であったのです。
(引用、拙稿「情報発信に伴う税理士の専門家責任」税法学561号136頁)

このような状況に対して、千葉事件地裁判決では、
「与党の「平成16年度税制改正大綱」の内容が報道された直後から、
資産運用コンサルタント、不動産会社、税理士事務所等が開設している
ホームページ上において、次々に値下がり不動産の年内駆け込み売却が
勧められ、また、一部の税理士は、平成15年中にこの事態に対処していた
と報じられていた」という事実認定を根拠の1つとして、本件改正が国民に
周知されていたとする判決が下されている。
同様に、東京事件や福岡事件も国民への周知ができていたとの認定が
なされている。

しかし、「クライアントに対して適切な情報発信を怠った場合には、
少なくともクライアントへの道義的責任は免れず、税理士賠償訴訟の
対象にもなりかねない事態を引き起こす」(拙稿154頁)ことも考えられる。

さらに、特に「原告は、これらの売買の際、不動産仲介業者から、
本件改正の話を聞いたことはなく、翌年の確定申告を行う準備として
諸経費を含む領収書等を保管」しており、「原告は、後に、不動産仲介業者に
苦言を呈したところ、本件改正は耳にしていたが、改正前であったので
言及しなかったとの説明を受けた」とする事実認定がなされた福岡事件では、
不動産仲介業者の説明義務違反が問われかねない事態にもなっている。

「しかし、不動産業者に課せられる説明責任について、本件判決は、租税法の
専門家ではない者に法改正前の段階でその改正内容についてまで専門家責任を
負わす形になり、酷である。
税の問題で、税理士の専門家責任が回避され、他の専門職業人の専門家責任
だけが残るというのは、論理的に矛盾するといわざるを得ない。」
(拙稿156頁)

このような事態を引き起こさないためには、クライアントに税理士が情報発信
することによって、少なくともクライアントである不動産業者に情報提供
することが求められようが、「官職名を付して税務当局担当者が執筆した
実務指南書でさえ私的著作物であるとして、その記述に法的根拠としての
意味を一切否定した最高裁平成16年7月20日判決(いわゆる平和事件)と
相反するものである。」(拙稿157頁)

「本件判決は、実務家が依って立つ判断基準を税制改正大綱という
法的根拠を持たない私的著作物でよいとするものであり、
最高裁平成16年7月20日判決に相反する。
この判決がもしこのまま最高裁で確定するとすれば、一方で私的著作物
ではなく判例等を総合判断しなさいとしながら、他方で私的著作物を
根拠に総合判断しなさいとすることになり、
税理士が税理士賠償訴訟を免れるために依って立つべき判断基準が
なくなってしまうことになる。
また、権威を持った私的著作物に従った判断が間違っていたとしても、
平和事件高裁判決が示したように加算税が課されない正当な理由が
あるものと判断せざるを得ないであろう。」(拙稿157-158頁)
加算税の問題については、一連のストックオプション事件が最高裁で
給与所得と認定された後に提起された訴訟の中で、一時所得として
申告したことに正当な理由を認めて加算税が取り消されていることも、
注意すべきであろう。

いずれにせよ、不利益遡及立法の問題は、税理士に対して情報発信を
半ば義務として要求する結果となっているが、一方で、「税理士等が
HP等により情報発信していた事実が、不利益遡及立法をする具体的
必要性として認定されていることは皮肉なことである」(拙稿158頁)。


SFCGの資産隠しにNO(その3)
2009.06.07

SFCG経営破綻に伴う資産隠し問題は元社長の破産という形で幕を引く
ことになりそうだ。
5日0時10分asahi.com記事はこう報じた。

破産手続き中の商工ローン大手「SFCG」(旧商工ファンド)の創業者
である大島健伸元社長(61)に対し、東京地裁は4日、破産手続きの
開始を決定した。
破産管財人にはSFCGの管財人をしている瀬戸英雄弁護士が就いたが、
元社長の代理人の栃木義宏弁護士は「あり得ないと思っていたので
驚いている」として即時抗告する方針。
元社長の資産は、親族企業や海外法人との取引を通じて複雑な権利関係
にあり、親族企業はSFCGの資産隠しに使われたとされているが、
決定によってこうした実態の把握が可能になる。
元顧客側の弁護団は「今後、破産手続きの中で資産の流れを徹底的に解明し、
被害の回復を求めていく」としている。
破産は、SFCGからの資金の借り入れで「利息を払い過ぎた」として
過払い分の返還を求めている中小事業者らが「元社長には既に資力がない」
として申し立てていた。
「第三者破産」と呼ばれるもので、借金の返済や代金の支払いが滞っている
企業や個人に対し、債権者側から裁判所に申し立てる破産法の仕組みだ。
大島元社長については、同じ東京地裁が2日、SFCGの管財人に対し、
元社長への約717億円の損害賠償請求権があることを認める決定を出したばかり。

破産が許可されるのは、元社長の財産は全て処分された上で、残余財産が
ない場合だから、法律上の名義が元社長になっているものだけではなく、
実質的に元社長の財産と認定できるものにもメスが入ることになろう。
それによって資産隠しの実態が明らかになるものと考えられる。

しかし、昨今話題沸騰の過払い利息返還請求事件が、元社長の第三者破産に
持ち込んだというのも皮肉なものですね。

過払い利息返還請求は、弁護士ではなく、司法書士でできる簡易裁判所での
少額訴訟の対象になったことから、拡がりを見せたもので、小泉内閣による
規制緩和の賜物の1つである。
ただ、過払い利息返還請求事件に絡み、司法書士の脱税事件が摘発
されているように、コンプライアンスを意識した高度な専門職業倫理に
基づかなければ、被害者救済もおぼつかなくなる危険を伴う。

SFCGを巡る一連の事件は、一族経営が破綻したケースでもかなり
悪質なものであるように思える。
そういう意味では、元社長を第三者破産に追い込んだことは評価できるし、
実質的な資産保有を防止するためにも、経営者一族の個人資産についても
できる限りメスを入れていく必要があろう。

税務調査に基づいて、同族会社の行為計算否認、実質帰属者課税の原則、
第二次納税義務など、隠し財産の所在を明らかにできれば、課税関係で
追いかけていくことは可能である。
被害者救済のためには国税当局が最善を尽くして追いかけるよりも、
破産管財人が先に動いて被害者救済資金をかき集める必要があろう。
その意味では、瀬戸弁護士の手腕が問われることになろう。
国税当局は、課税物件を発見してしまえば、租税優先の原則に基づいて
課税する義務があるために、被害者救済資金が税金で削られるからだ。
中坊さんを全国的に有名にしたのは、被害者救済のために国税当局から
課税の減免を勝ち得たことも一因にあったと思う。
オウム事件では、上九一色村がオウム真理教が滞納した固定資産税を
法律どおりに徴収しようとしたらバッシングを浴びたではないか。

被害者救済のためにも本件事件の全貌を明らかにし、隠し財産を速やかに
発見し、少しでも被害者が救済されることを願いたいものだ。


SFCGの資産隠しにNO(その2)
2009.06.06

東京地裁は、SFCGの資産を元社長の関連会社であるMAG社に移転
させたことについて、破産管財人からのMAG社への請求を認めただけ
ではなく、大島元社長個人への損害賞請求権も認める決定を下した。
4日3時1分asahi.com記事はこう報じた。

商工ローン大手「SFCG」(旧商工ファンド、破産手続き中)が経営破綻の
直前に2670億円相当の資産を関連会社へ流出させた問題で、東京地裁は
破産管財人の申し立てに対し、大島健伸元社長個人への損害賠償請求権を
認める決定をした。
「債権者の請求を免れるため会社の財産を移転させた」と指摘、
元社長による損害額は約717億円と査定した。
決定は、企業を破綻させた役員の責任追及と残った財産の分配を迅速化
するため、05年1月施行の改正破産法で導入された「役員責任査定」制度
を使った手続きで、実際に決定が出るのは極めて珍しい。
確定すれば損害賠償請求訴訟の判決と同様の効力を持ち、
支払いに応じない場合、裁判所は財産を差し押さえることもできる。
決定は2日付で、SFCGが昨年9月以降、大島氏の親族が社長を務める
関連会社などへ株や債権を譲渡した行為は、対価がなく無償だったと認定した。
また、SFCGがすでに経営難に陥っていた昨年11月、大島氏の役員報酬は
月額2千万円から9700万円へ引き上げられ、親族会社に支払っていた
自宅と空手道場の家賃も月1525万円から3150万円へ値上げされた。
こうした増額について、決定は「なんらの合理性、必要性も認めることが
できない」とした。
そのうえで、地裁は「SFCGがすでに支払い不能の状態にあると
知りながら、会社の財産を減少させたと評価せざるを得ない」とし、
社長だった大島氏について「取締役としての注意義務違反ないし
忠実義務違反があることは明らか」と指摘。
一連の違反で約717億1583万円の損害が生じたと結論づけた。
大島元社長は5月、自身への破産申し立てに対する答弁書の中で、
資産の無償譲渡について「対価は支払われた」と否定。
役員報酬についても「株式売買でSFCGに多大な利益をもたらしており、
報酬は相応の額だ。株主総会でも決議され、法に抵触しない」と反論していた。
今回の決定は、不服申し立てがなければ約1カ月で確定する。
SFCGの負債総額は約5480億円。
破産手続きをめぐっては、財産の無償譲渡を受けた親族企業に対する
約300億円の支払い請求権を管財人に認める決定も出ている。


当然といえば当然の決定である。
破綻が見えてきた時期に、役員報酬の増額、会社借上げ社宅の賃料増額等、
経済合理性を欠いた取引をしているようでは、業務上横領であるとして
刑事告発されてもおかしくないですね。

自分の築いてきた財産を守りたかったんだろうけれど、あまりにも拙速。
法治国家をなめているとしか言いようがない。

昨日は、事業承継との絡みで書きましたが、彼らが本当にやりたかったことは、
自分の手持ちの金を隠し切ることでしょうね。
それであれば、なぜ日本の銀行にお金を預けるんでしょうね。
なぜマフィアの財産はスイス銀行に多いんですかね。
隠したいのであれば、どの法律でも罰せられないくらいに知恵を絞らないと
ダメですよ。
少なくとも、全ての国会議員よりは知恵を絞らないと。
ただでさえ、日本の官僚は頭脳集団としての優秀性は世界に冠たるものであり、
彼らが作る法律の原案はなかなか優秀なんですからね。

世界のセレブ達の祖先が血の代償を払いつつ、知恵を働かせて現在の
地位を築き上げてきたのです。
そもそも法の近代化の歴史は、法の抜け穴を潜り抜けようとする者と
それを取り締まる者との戦いの歴史でもあるわけです。

知恵を働かせる気もないバカタレには罰が与えられてしかるべきである。

ただ、法を作る者は、法の網の目を抜けようとする不届者を想定して
それに対処できる法を作っておくべきでしょう。

昨日も書きましたが、地裁の決定は至極真っ当な結論であり、
努力をしない者にはそれ相応の罰が加えられたことは評価すべきであろう。
粉飾決算は違法行為であり、粉飾に基づいて自己の利益を図るのは言語道断。
一族経営による不祥事は見るに耐えないところです。


SFCGの資産隠しにNO
2009.06.05

経営破たんする直前に、会社の財産を他に譲渡して財産隠しを図ったとして
その財産を譲り受けた会社に対して破産管財人が申し立てた支配請求が
認められる判断が東京地裁であった。
3日7時3分asahi.com記事はこう報じた。

商工ローン最大手SFCG(旧商工ファンド、破産手続き中)が2月に
経営破たんする直前、株や債権などの同社の財産を無償で子会社に
譲渡したことについて、東京地裁は2日までに、破産管財人が子会社に
申し立てた財産相当額約300億円の支払い請求を認める決定をした。
大島健伸元社長らSFCG経営陣による「不当な資産隠しだ」とする
管財人の主張を認めた。
管財人が支払いを求めた相手は、大島元社長の長男が社長を務める
「MAGねっとホールディングス」(ジャスダック上場)とそのグループ2社。
管財人によると、SFCGは昨年10月、子会社であるMAG社に対し、
所有していた同社の全株1368万余株を無償で譲渡した。
さらに今年1、2月には、SFCGの持っていた子会社の株やローン債権
などをMAG社を含む3社に無償で譲渡していた。
管財人は4月、東京地裁に対し、これらの無償譲渡でSFCGの資産が
失われたとして、3社に対し相当額の支払いを求める「否認の請求」を
申し立てていた。
SFCGをめぐっては、金融危機で経営難に陥った昨年9月ごろから
2月の破綻直前までの間に、約2670億円相当の債権や株などの資産が、
当時社長だった大島氏の親族会社など7社に無償や格安で譲渡されていた
ことが、管財人の調べで明らかになっている。
管財人は、無償や格安での資産の譲渡は会社法違反(特別背任)の疑いが
あるとして、大島元社長ら旧経営陣の刑事告訴を検討している。
今回の地裁の決定について、管財人の瀬戸英雄弁護士は「失われた財産を
取り戻し、債権者への平等な配当に努めたい」とした。
一方、MAG社は「今はコメントできない」としている。
同社が不服を申し立てなければ、地裁決定は約1カ月後に確定する。
MAGねっとホールディングスは、グループ傘下に不動産関連の投資や
金融などの企業10社を持つ持ち株会社。
09年3月期決算短信によると、純資産は約79億円。
約300億円の支払い請求が確定すると、経営に多大な影響を与えそうだ。
大島氏は05年から昨年10月まで会長を務め、昨年10月にSFCGが
MAG社株の無償譲渡をした直後、同氏の長男が社長に就いた。


一族経営による乱脈経営が破綻した結果、それまでの悪行が明るみに
出てくる事例が後を絶たない。

大久保一族による漢検事件に続き、このニュースも大島家による横領としか
言いようがないあきれ果てた事件である。

破産管財人が刑事告訴を検討することは当然のことであろう。
今回請求が認められた300億円を純資産が80億円に満たないMAG社が
払えなければ、SFCGの債権者たちへの配当もそれだけ少なくなるわけで、
被害者救済ができなくなるからである。

しかし、SFCGのやり方というか、MAG社のあり方自体が、旧態依然
とした日本の一族経営を象徴している気もしますね。
MAG社の会長を父親が長く務め、実権を握りつつ、SFCGの破綻により
自分の身が危うくなってきたら、息子に社長の座を譲り、院政を敷く。
老害の兆候を示す創業者社長に多い、晩節の汚し方であろう。

息子も息子で、偉大な父を乗り越えることができずに、形式的には引退した
はずの父親の七光りがご威光としてなければ、古参幹部たちにさえ指示を
出せなかったりもする。

そんな会社はわが国に嫌ってほどある。

私は、一昨日、茅場町でFPさんを対象とした事業承継税制のセミナーで
講師をしましたが、親族内継承のデメリットがもろに出るケースですね。

バカ息子ほどかわいいとよく言われますが、子どもに経営者としての
適性がないのであれば、引導を渡すのも親の大事な務めでしょう。

従業員の人生を背負う覚悟ができないのであれば、背負った当人だけではなく、
そんな背中に乗せられてしまった従業員が不幸ですよ。

特に、新しい事業承継税制は、相続税の80%納税猶予という驚異的な
減税効果の反面、5年間の事業継続要件、80%の雇用の維持が求められて
いることからわかるように、事業承継をきっかけとしたリストラを防止する
ことが趣旨として盛り込まれているのです。

事業継承者の選定をしっかりやっていかないと、事業承継後5年をもたずに
経営破たんしてしまえば、会社を失うだけではなく、相続税の納税猶予が
解除され、その時点で猶予されていた相続税額を延滞税込みで耳揃えて
支払わなければならなくなるのですから。
言うなれば、会社を失うだけではなく、身包み剥がされることになるのです。

資産の移転は拙速に行えば、経済合理性を失うことが圧倒的に多く、
税務署も認めることができないケースが多くなる。
どうしても資産移転を行いたいのであれば、事前にキチンと計画して
ある程度の時間をかけて行う必要があるのですね。

私は事業承継を成功させるためには10年の準備期間が必要だと思います。
社長が元気なうちに帝王学を学ばせて、社長の経営理念を継承させ、
対外的にも(特に従業員と金融機関)後継者が誰であるのか認識させる。
金融機関は会社の借金の連帯保証人である社長から誰に連帯保証を
背負わせることになるのか、早いうちから知っておく必要があるからだ、

その上で、生前贈与を使うのか、売買でやるのか、最終的な税コストを
見極めた上で、税金を払いながら時間をかけて資産移転していくべきなんです。

無償譲渡で拙速に行うなんて、税務署が認めるわけないんです。
社会的にも認められるはずがないんです。

それも今回の事件はSFCGの社長とMAG社の会長が同一人物ですから、
SFCGの資産を破たん前に資産隠しをしたと見える状況証拠が揃っている。
これで税金逃れをしながら資産隠しができると思う神経をどうかと思う。

そういう意味では、東京地裁の判断は至極真っ当な判断だと思う。


平成22年度予算編成の基本的考え方について
2009.06.04

昨日6月3日は、平成22年度税制改革を占う上で、非常に重要な日でした。
午後に財務省において財政制度等審議会が開催され、
「平成22年度予算編成の基本的考え方について」が承認され、
これを受けて、夜には経済財政諮問会議が開催されたからです。
来るべき総選挙で政権が維持された場合には、こういう財政運営になるよ
という方針が固まったと言えるでしょう。

「平成22年度予算編成の基本的考え方について」は112ページにもなる
膨大なものですが、ポイントについては、経済財政諮問会議に
与謝野財務相が提出した資料にコンパクトにまとめられている。
与謝野財務相の提出資料の内容は以下のようなものである。

〔経済危機対策〕
○緊急避難的な一時的な措置と認識すべき。
効果の検証や、適切かつ効率的な執行が必要。
〔財政の持続可能性確保〕
○我が国財政は極めて危機的状況。
2011年度までのプライマリー・バランス黒字化の目標は、達成困難になったと
言わざるを得ない。
○政府においては、このような財政の状況を真正面から受け止め、財政の
持続可能性確保に向けた基本的な考え方を国民に示すべき。
その際、以下の4点に留意すべき。
・プライマリー・バランスの目標達成時期を先送りせざるを得ないのは、
それだけ財政が厳しくなったからであり、新たな決意を持って、財政再建に
取り組まなければならないこと。
・「基本方針2006」の基本的考え方の重要性はいささかも変わらず、むしろ
一層高まっていること。
財政の持続可能性を確保する上で、国・地方の債務残高対GDP比の安定的
引下げが必要不可欠。
そのためには、まずはプライマリー・バランスの黒字化の早期実現を図るべき。
さらに、利払費を含めた財政収支赤字の縮減を図っていく必要。
・持続可能な社会保障制度を構築し、中期的な財政責任を果たす観点から、
「中期プログラム」をしっかりと実行していくことが必要であること。
・「基本方針2006」で示された2011年度までの歳出改革に引き続き取り組む
ことが必要。
現在の経済情勢は依然として不透明であり、幅を持った財政運営を行わざるを
得ないが、景気回復を確認した後は、財政の持続可能性を回復すべく、
厳格な財政規律を確保していくことが必要。
〔平成22年度予算〕
○税収減等から公債依存度が大幅に上昇する見込み。
財政の持続可能性への信認を確保するためにも、経済状況にも対応しつつ、
「基本方針2006」の考え方を踏まえた歳出改革を維持していくことが必要。

以上のような総論の上で、各論として、
・高齢化の下での社会保障制度とその財源
・地方行財政の在り方
・大学予算
・中長期的な防衛力の整備
・農政改革
・地球環境問題
・国家公務員人件費
の問題が取り上げられている。


財政再建に関する問題意識として、我々が注視しなければならない点は、
「我が国においては、65歳以上の人口割合が20%を超えるなど世界的に
最も高齢化が進んでおり、平成24年度(2012年度)には600万人を超える
「団塊の世代」が年金受給者となり始めるなど、経済状況にかかわらず、
今後とも更に加速度的に進展することが見込まれる。
少子高齢化が急速に進む中で、社会保障の安定財源が確保されなければ、
ますます社会保障の財源を公債の発行、すなわち将来世代へのつけまわしに
依存することになりかねず、極めて近い将来、社会保障制度の持続可能性は
失われる。また、平成23年度(2011年度)以降、基礎年金の2分の1を
国庫で負担するための具体的財源は手当てされていない。
このため、一刻も早く社会保障の安定財源を確保していくことが極めて重要
である。財政健全化を図っていく上でも、上述した内容が盛り込まれている
「中期プログラム」をしっかりと実行していくことが不可欠である。「中期
プログラム」の取組の遅れは、現役世代から将来世代へ先送りする負担が
更に大きくなることを意味し、国民の将来に対する不安を助長することになる。」
(「平成22年度予算編成の基本的考え方について」7-8ページ)
という視点である。

私が学生にありがとうと言っている意味と同旨のものであり、現役世代の
負担の軽減または負担の受給がそのまま将来世代への負担を上乗せに
なっている現状を打破しなければ、将来世代における我が国財政の破綻は
火を見るより明らかである。
そもそも現役世代よりも人数の少ない将来世代が現役世代を抱えるだけでも
困難な状況が明らかであるのに、更にその上に先送りしてきた公債の
返済負担が上乗せされるのである。
これを何とかしなければ、外国に逃げ出せるほどの余裕のある富裕層から
日本国籍を捨てることになり、更なる財政の悪化を引き出しかねない。


また、3日の経済財政諮問会議は、この問題と併せて、石破農水相により
農政改革の方向性を打ち出すべく、検討が開始されている。

食の安全性の向上についての基本的考え方は「後始末より未然防止」。

従来の農業行政は問題が発生したときに事後的に対応してきたため、
食の安全を問題視されるような事件が多発したと考えられ、今後の展開は
生産段階から消費段階にわたって安全性の向上を図る方向性である。

ただ、農業所得と農業集落数がここ10年で大幅に縮んでおり、農業経営
自体が危機的な状況にあるのが現実である。
そこで、緑と水の環境技術革命として
・バイオマス新産業創造プロジェクト
・アグリ・ヘルス産業開拓プロジェクト
・未利用エネルギー活用プロジェクト
・耕作放棄地解消プロジェクト
・農山漁村IT活用総合化プロジェクト
・食品産業グリーンプロジェクト
が図られているところである。

我が国の第一次産業が活性化しなければ、食の安全性と食料自給率の確保は
難しい課題となるであろうし、我が国の将来設計のためにも、各種の政策が
機能してもらいたいものである。


GMのブランド「ハマー」、売却先は中国メーカー
2009.06.03

中国企業の成長力が世界経済を救えるのか。
経営破たんし米政府の国有化により経営再建を目指すGMのブランド
「ハマー」を中国の重工メーカーが買収することになるようだ。
3日10時27分asahi.com記事はこう報じた。

米連邦破産法11条の適用を受けて経営再建を目指している米自動車大手
ゼネラル・モーターズ(GM)は2日、スポーツ用多目的車(SUV)の
ブランド「ハマー」の売却で暫定合意した交渉相手は、中国の重工メーカー
「四川騰中重工機械」であると発表した。
GMは同日、この発表より前に、ハマー売却で暫定合意に達したと発表
したが、交渉相手は明かしていなかった。
両社は9月末までに売却手続きを終えることを目指している。
売却の際にはハマーの販売網も引き継がれる見通しという。
ハマーの08年の年間販売台数は全世界で約4万台。
四川騰中重工機械のホームページによると、同社は四川省成都市に本社を
置く民営企業で、従業員約4800人。
建設機械やトラックのほか、石油化工設備や橋梁設備などを生産している。
06年と08年に中国国内の機械メーカーを買収するなどして業容を拡大してきた。
騰中重工は3日発表の声明で「買収を通じ、業務領域は高級オフロード車の
分野に広がる」と期待を表明。
楊毅社長も声明の中で「ハマーは現経営陣の指揮の下で新しさを打ち出して
いくだろう」と述べた。

GMの経営再建に向けて、世界進出を目指す中国企業がその食指を伸ばした。
中国の工業製品の品質は年々素晴らしいものになっており、わが国の技術水準を
超えるのは時間の問題であるように感じている。
そこへ来ての中国企業によるGMブランドの買収劇。
私は中国の自動車メーカーが買収するのではと予想していたが、業種こそ違え、
やはり中国のメーカーであった。

中国式の経営スタイルが合理主義のアメリカ市場に受け入れられるか
疑問がないではないが、ついてこれないのであれば、切り捨てるのが中国。
高いレベルのスピード経営にアメリカのブルーカラーがついていけるのか。

しかし、中国資本が世界へ進出するための足がかりができたといえるだけに、
これが起爆剤となって世界経済のけん引役となることも期待されよう。

北京オリンピック後に若干停滞感が出ていた中国資本が積極策に出てくる
となると、これからの経済は中国抜きには語れないなと感じるところです。

あとはオイルマネーの動きがどう出てくるか。

世界の動向に目が離せないところですね。