今晩のワールドビジネスサテライトに出ます
2009.08.31

投票率も上がり、大きな変革の波が嵐となって吹き荒れた総選挙。
民主党の記録的圧勝に終わり、マニフェストに書かれている内容を
どのように実現していくかが、これからの課題となるであろう。
これからの4年間で概ね実現していかなければ、国民の大きな期待は
失望に変わり、次回の選挙では、壊滅的な大打撃を受けかねない。
それだけに、マニフェストの実現に邁進していかねばなるまい。
ただ、国民の期待が4年間を待ってくれるのだろうか。
年内にもそれなりの成果を見せていかなければ、早くも失望感に変わり、
鳩山政権の支持率が低下しかねない。

この状況に合わせて、今日23時からのワールドビジネスサテライト
(テレビ東京系)では、その見どころとして、以下のように取り上げる。

"政権選択選挙"を経て、日本の政策や制度はどのように変わるのか。
雇用や税金、高速道路料金など行方を徹低検証する。
ほかに、蛍光灯の形や色を、設置する場所などに合わせて自在に加工する
独自の技術を取り上げる。

なぜ、ここでワールドビジネスサテライトのネタを紹介するのか。
私が取材を受けてテレビデビューするからに他ならない。
私が頼まれた内容は、民主党マニフェストによれば、酒税の改正が行われ、
現在酒類によって異なる税率の酒税をアルコール度数に応じたものに
改正されることになるが、その影響がどうなのか、というものです。

現行の税額を確保することを前提とした私の試算によれば、
(データは国税庁から発表されている平成19年度の酒税の統計表から試算)
1度あたりの1キロリットルの酒税は2万円になりますので、
下がるのは、ビール、発泡酒くらいですね。
(詳しい数字はネタバレになるので、具体的な数字は放送後に書きます)

ビールの酒税が高いのは、日本では作れない舶来物の高級品だったからで、
同様に舶来物の高級品であったウィスキーやブランデーのように、日本への
輸出を狙った外国からの圧力による減税(焼酎との税率格差が批判されて
同程度まで引き下げられています)が行われた酒類ではないために、
他の酒類の酒税よりも高い税率のまま維持されてきたからなんですよね。

酒税法から見ると、ビールは庶民の酒ではないんですよ。

それを見直そうというのが民主党の狙いなんでしょうが、政策的に低い
税率が維持されてきた日本酒や焼酎にとっては、大増税なんですよね。
ビール党には嬉しい話ですが、焼酎党の私としては実に悲しい気分です。

放送ではどこまでオンエアされるのでしょうかね。
今晩の放送が楽しみです。


政府税調SG報告ー海外調査報告
2009.08.30

いよいよ今日は、運命の日、衆議院総選挙の投票日です。
皆さんには、投票に忘れずに行って頂きたいものです。

政権交代が実現した場合に、組織が一新されることが企図されているだけに、
現体制における最後の報告になってしまう可能性もある政府税制調査会の
スタディーグループ報告が8月6日にあったんですね。

その内容を見ていると、来年度の税制改正の方向性として自民党および
財務省が考えていたことがよくわかる。

このスタディーグループ報告は、政府税調の海外調査報告で、6月上旬に
政府税調委員がアメリカ、カナダ、ドイツ、イギリス、オランダの各国に
出張して、各国の税制改正の概要や税制を活用した給付措置、納税者番号制度
等について、超際してきた内容を報告したものであった。

その内容を表題だけ紹介すると以下の通りである。
(1)経済危機への対応と近年における税制改革
(2)税制を活用した給付措置(いわゆる「給付付き税額控除」等)
(3)納税者番号制度
(4)その他
欧州報告において、金融所得課税、環境関連税制について言及あり

この報告内容は、自民党の税制改正大綱で指摘した項目そのものである。

麻生内閣が強調する経済対策の実績も、世界との協調路線によって採られた
政策が一定の効果を見せ始めていることを示唆するところであるが、
報告によれば、オランダは2011年から、カナダは2013年からの経済回復を
見込んでおり、わが国の試算が甘いのでは?と思わせるところだ。

また、給付付き税額控除と納税者番号制度が連動する制度として詳細に検討
されており、財務省サイドが導入に向けて本腰を入れていることが予想される。

納税者番号制度の利用状況は、アメリカ、カナダ、イギリスは社会保障番号を
税務へ転用し、オランダは全行政機関共通の番号を利用している。
一方、ドイツは税務独自の識別番号を利用しているが、「国民のプライバシー
懸念を配慮して、税務識別番号は、法律上は、国民IDではなく、税務手続の
際に利用するだけの納税者IDとして位置づけられ、利用は税務に限定」
されているという。

わが国に納税者番号を導入するに当たり、民主党が主張する国税庁、
社会保険庁を解体して、歳入庁を創設するとすれば、現行の社会保険番号を
納税者番号に割り当てることが現実的な対応と言えよう。
ただ、この番号と住民基本台帳番号とを連動させるのは、プライバシーの
問題から避けるべきではなかろうか。
もし連動するとすれば、以前の年金記録閲覧事件どころの騒ぎではない。
警察と税務署には厳しい守秘義務を課しているところであるが、一般公務員
にも告発義務に優先する守秘義務を課すべきかどうかの議論を経てからで
なければ、連動させるべきではない。
番号管理は納税者の利便性の向上と徴収事務の効率性の向上に資するのは
確かだが、プライバシーの保護が確保されるまでは、利便性の向上を
犠牲にしてでも、保護を図るべきであろう。

報告を見る限り、給付付き税額控除には乗り越えなければならないハードルが
多々あり、わが国での即時導入は難しいのではないかと思われる。
ただ、外国ですでに導入済みの制度であり、乗り越えられないハードルでは
ないであろう。
ただし、立証責任を課税庁から納税者に戻す必要がある制度だけに、わが国の
商慣習に馴染むのか、非常に心配するところですね。
ドイツやフランスのように、法律上で、記録を残していない人間が悪いと
言い切れるのかどうか。
記帳代行が税理士の仕事だと考えている方が未だに多い現実を考えると、
高すぎるハードルに思えてならない。

また、欧州報告では、金融所得課税や環境関連税制についての言及がなされ、
近年検討され続けてきた金融所得課税が日の目を見ることもありそうだ。

環境関連税制も自民党の税制改正対抗が税制のグリーン化を掲げており、
昨日のコラムでも紹介した長期優良住宅等の税額控除のように、環境問題対策
として一部には導入されつつあるところだ。

今回の報告内容は、政権交代が実現しても非常に参考になる報告だっただけに、
組織再編後の政府税調においても尊重して頂きたいものである。


長期優良住宅認定は一戸建てで順調ですが・・・
2009.08.29

長期優良住宅の認定について、一戸建て住宅では順調に認定数が増えている
一方で、マンション等の共同住宅では、認定数が逆に減ってしまっている。
26日19時2分asahi.com記事はこう報じた。

欧米並みの寿命を持つ住宅に地方自治体がお墨付きを与える「長期優良住宅
制度」で、マンションなどの共同住宅の認定戸数が低迷している。
制度を始めた6月以降、一戸建ては順調に増えているものの、共同住宅は
一戸建てのわずか3%。
顧客のニーズと認定基準にずれがあるとみられ、国土交通省は「共同住宅対策」
を検討する方針だ。
長期優良住宅は劣化対策や維持管理など九つの基準を満たし、100年以上
持つと見込まれる住宅。
長持ちさせて、住居費の負担を軽くしたり、廃材の削減で省資源化を進めたり
することが目的だ。
住宅購入者が申請し、認められると所得税控除など税制優遇が受けられる。
国交省によると、7月の認定数は一戸建てが4629戸に対し、共同住宅は12戸。
一戸建ては6月(2181戸)から2倍以上になったが、共同住宅は6月
(187戸)の10分の1以下だ。
国は制度開始後2~3年をめどに一戸建て、共同住宅とも新築の10%が
長期優良住宅になると見込むが、共同住宅は申請が少なく新築に占める
認定物件の割合(6月)は0.56%と、一戸建ての6.27%に大きく水を
あけられている。
国交省住宅局は「認定基準か、認知不足か原因を調べ、住宅メーカーへの
補助制度の拡充なども考えたい」としている。
不動産協会によると、共同住宅の認定が少ない原因として考えられるのはコストだ。
共同住宅の場合、天井の高さや耐震性など基準を満たそうとすると、
1~2割ほど販売価格が上がるという。
協会関係者は「今のマンションはほとんどが長持ちし、コストをかけてまで、
認定を取ろうと思わないところも多いのではないか」と話す。
「ライオンズマンション」で知られるマンション分譲最大手の大京は
「客のニーズが高まっていない」と指摘。
同社は基準を満たすマンションを横浜市に建設中だが、客が契約した最大の
理由は「立地」で、長期優良住宅制度への関心は低いという。
一方、一戸建ては好調だ。
木造戸建て大手のエス・バイ・エルが4月から「長期優良」を売りにした
住宅販売を始めたところ、3カ月で目標の約1.3倍の100戸の注文があった
という。
同社は「長く住むことを考え、安全や質を保証するという点を重視している
のではないか」とみている。


長期優良住宅制度に関する税制については、税務弘報の8月号で原稿を
書かせて頂きましたが、調べれば調べるほど建設コスト増の要因になる
と感じていたところです。
いわゆるこだわりの住宅として、念願の一戸建てを新築する方にとっては、
終の棲家として、子どもや孫の代までもつ家を建てるニーズはあるでしょう。
また、手続が大変であっても、税額控除の効果を考えれば、長期優良住宅の
認定を受けるニーズはあるんですね。
しかし、建設済みの物件を販売するマンションや建売住宅においては、
長期優良住宅を建設した反面としての販売価格の高騰を吸収しきれない
のではあるまいか。

建設済みの物件を購入する方と建設前の物件を購入される方とでは、
住宅に対するニーズが違うように思う。

都心のマンションに住んでいる方の意識として、終の棲家としてマンションを
選択されている方はどれだけいるのか。
購入される方の中には、終の棲家としての意識がある方もいるだろうが、
マンション住民の多くは、通勤等への利便性を意識しており、将来的には
売却して住環境の良いところへの引越しを考えている方が多いのでは
ないだろうか。
そうすると、マンション購入者のニーズは、将来の売却時に残債が残らず、
代替物件の購入資金の負担にならないような物件、つまり、高くない物件に
集中するのではないだろうか。

したがって、長期優良住宅へのニーズはマンション購入層には浸透しにくい。
その一方、注文住宅で一戸建て住宅を購入する方からすれば、こだわりを
もって住宅を購入する方だからこそ注文住宅を選択するのですから、
長期優良住宅へのニーズは喚起されやすいと言えよう。
記事にあるエス・バイ・エルは建売住宅ではなく、注文住宅の大手である。

注文住宅については、近年トラブルも増えているようであるが、
(5月13日コラム「前払い要求の注文住宅メーカーの破綻」を参照)
健全な経営をしている優良建設会社を選んでいけば、いいものが作れる
はずです。
また、建築士が主導しているケースも増えているのではないでしょうか。

要件が厳しく、手続き上も煩雑ではありますが、近年に無く効果がある
税制改正であるだけに、長期優良住宅の認定件数が増えてもらいたいものだ。
それに、長期優良住宅は、建設廃材が少なくなると言う意味でも、エコ
なのだから、地球にも優しい制度なんですよ。


賃貸マンションの更新料は違法?-大阪高裁判決
2009.08.28

業界を震撼させる判決が下された。
賃貸マンションの契約更新時に更新料を徴収する契約は消費者契約法に
照らして無効とする判決が27日、大阪高裁で下されたのだ。
27日15時asahi.com記事はこう報じた。

賃貸マンションの契約更新時に借り手から「更新料」を徴収する契約条項は
消費者契約法に照らして無効だとして、京都市の男性が家主に支払い済みの
更新料など約55万円の返還を求めた訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。
成田喜達裁判長(亀田広美裁判長代読)は、男性の訴えを退けた昨年1月の
一審・京都地裁判決を変更し、敷金を含む計約45万円の支払いを家主に
命じる逆転判決を言い渡した。
更新料を違法とする司法判断は7月にあった同種訴訟の京都地裁判決で
初めて示され、高裁レベルでは今回が初めて。
京都や首都圏などで長年続いてきた不動産業界の慣習に影響を与える可能性がある。


7月の京都地裁の事例は明らかに事例判決と言う感じでしたので、高裁で
ひっくり返るなあと考えていましたが、別件とはいえ、大阪高裁で似た
事例でしかも逆転判決となると話は別。
業界の商慣習を裁判所が否定したとなると、従来の商慣習を変更しなくては
ならず、全国の不動産業者、大家さんの貴重な収入源が絶たれることになる。

ひいては、優良な賃貸物件を売却してしまうケースも出てくる懸念が生じ、
不動産市場に悪影響を与えかねない事例である。

7月の事例は、更新料を支払った2ヵ月後に退去する事例で、敷引き特約も
付いていましたので、特約の違法を問われるケースとして捉えていましたが、
更新料自体を違法と捉えた画期的な判決で、今回の高裁判決も同じ流れに
属すことになろう。

更新料の性格を考えると、これが違法ということになると、大家さんへの
礼金の性格が問題になるのではないだろうか。
仲介をしてくれた不動産屋に対しての礼金とは異なり、大家さんへの礼金は
大切な不動産を借りるための契約一時金の性格があるわけで、これは更新料の
性格と何ら変わりがない。

そうすると、更新料が違法なら、礼金も違法になり、保証金の償却についても
異論が出てきかねないところだ。
ならば、従来の不動産取引における商慣習は、その性格からすれば、現在の
消費者契約法からすれば、違法行為満載ということになるのか。

最高裁の判断を待ちたいところではあるが、このまま判例として確定して
しまうと、不動産業界は大混乱に陥ってしまうことになろう。


従業員積立金の不正流用で実刑判決
2009.08.27

従業員の積立金を受講生への返還金に流用したことで、業務上横領の罪に
問われた猿橋元NOVA社長に実刑判決が下された。
26日14時55分asahi.com記事はこう報じた。

経営破綻した英会話学校「NOVA」(大阪市、破産手続き中)の社員らの
積立金3億2千万円を受講生への返還金に流用したとして、業務上横領の
罪に問われた元社長猿橋望被告(57)に対し、大阪地裁は26日、
懲役3年6カ月(求刑懲役5年)の判決を言い渡した。
樋口裕晃裁判長は「福利厚生のために積み立てられてきた資金を目的外に
使い、経営の行き詰まりを切り抜けようとした犯行に酌量すべき点は
見いだしがたい」と述べた。
倒産を防ぐためで違法性はないと無罪を主張していた被告・弁護側は
控訴する方針。
判決によると、猿橋元社長は07年7月、自らが会長を務めていた社員らの
互助組織「社友会」の銀行口座にあった3億2千万円を、実質支配していた
関連会社「ノヴァ企画」の口座に無断で移して横領。
解約した受講生への返還金の一部にあてた。
判決は、犯行当時、NOVAは解約時の清算方法などをめぐって受講生との
トラブルが相次ぎ、経済産業省による一部業務停止命令を機に資金繰りが
極度に悪化していたと指摘。
猿橋元社長は経営トップとして窮状を知り尽くすとともに、社友会の
会長を長く務めた経緯から、社員らの積立金を返還金に流用することが
目的外使用にあたるという認識を持っていたと述べた。
そのうえで「流用した資金を活用しても経営が大幅に改善する可能性は
乏しく、元社長には返済のめどがないという認識もあった」と認定。
弁護側の「会社の倒産を防ぐためで、返還金にあてた後には返済する
つもりだった」とする無罪主張を退けた。


経営破たん寸前の会社が、従業員の財産である積立金を流用して事業資金に
使ってしまう事例は多々あるのではなかろうか。
しかし、従業員積立金は、あくまで労働者たる従業員の財産であって、
会社の財産ではない以上、不正流用であれば、流用した経営者の横領
ということになってしかるべきであろう。

会社が管理している資金を全て被害者救済に当てるべきだという考え方も
あり得ようが、会社の全財産を被害者救済に当てるのは分かるが、
従業員もある日突然、仕事を失うことになるわけで、被害者でもあるのだ。
それに、被害者の会の皆様には理解されないかもしれないが、
会社を清算して残された残余財産の配当は、税金が最優先され、
その後に労働債権としての従業員給与が配当されて、その後の残りが
被害者救済に当てられるというのが、現行法なのだ。

従業員の救済が優先されると言うことを念頭に置けば、会社が管理している
財産であっても、従業員のものが保護されて当然なのだ。

これをマンション管理会社の破綻事件に置き換えてみれば理解されやすい
のではないか。
マンション管理会社が徴収する修繕積立金は、あくまでそのマンションの
住民の財産である。
会社が管理しているものを全て被害者救済に当てるということになれば、
会社が管理していた修繕積立金はマンション固有の財産ではなく、被害者
救済のために当てられることになり、マンションの修繕が不可能になって
しまうではないか。
あくまで、修繕積立金はマンション管理会社のものではないのだ。

コレと同じことで、従業員積立金は、会社のものではない。
したがって、猿橋元社長が不正流用したことは横領に当たることになる。
もし猿橋元社長が主張するように、借りただけというのであれば、従業員
全員がNOVAへの債権者ということになろうが、従業員は猿橋元社長に
貸付けを行った意識のある従業員は皆無であり、また、裁判で主張するなら、
印紙を貼った借用書が提出されてしかるべきではないのか。

それも契約当時の印紙が貼られていなければならない。
印紙は毎年微妙にデザインが変わるため、例えば、税務調査の事前準備で
印紙を貼ればいい、では済まないんですね。
当然、税務調査官は、印紙のデザインの違いに気付くわけで、懈怠税を
追徴されるのがオチである。

裁判で認めて欲しいのであれば、証拠を揃えるべきであろう。
状況証拠だけでも認められるケースもあろうが、本件は、裁判長の言うように、
本件借り入れで経営状況が好転する見込みが無いのだから、状況証拠として
認められるケースではない。

横領は完全に犯罪ですから、実刑判決も当然ではないかと思いますね。


政権交代による景気への影響予測
2009.08.26

政権交代が現実味を帯びている状況下で、民間シンクタンク各社が
政権交代による景気への影響を予測しているが、いずれも今年度の
マイナス効果と来年度のプラス効果を予想しているという。
26日3時2分asahi.com記事はこう報じた。

政権交代がかかる総選挙で民主党政権が誕生し、新たな経済対策を実施した
場合の景気への影響を、民間シンクタンクが予測した。
09年度は公共事業減額の影響でマイナスの経済効果となるが、子ども手当
の支給や高速道路の無料化の効果で10年度はプラスの効果が出そうだ。
予測を示したのは、野村証券金融経済研究所、大和総研、明治安田生命。
いずれも自民党・公明党の連立政権が現在の景気対策を続けた場合と、
民主党政権が誕生し、新たな景気対策を行った場合を比較した。
まず、現政権の景気対策効果は、野村の試算では09年度の国内総生産
(GDP)の実質成長率を1.5ポイント押し上げる。
だが公共事業の反動減などで息切れし、10年度の押し上げは0.5ポイント
にとどまる。
一方、政権交代が実現して民主党政権となった場合の景気対策はどうか。
09年度の実質成長率の押し上げ効果は1.1ポイントと、現政権より目減りし、
逆に10年度の効果は0.7ポイントとやや高い。
他の2社の予測もほぼ同様の傾向だ。
内閣府が現政権の景気対策も踏まえて7月にまとめた試算では、09年度の
実質GDPは前年度比3.3%減、10年度は同0.6%増の見通し。
民間予測通りなら、09年度は減少傾向、10年度は増加傾向になりそうだ。
民主党の政策で09年度の実質GDPが低下するとみられるのは、
マニフェスト(政権公約)で公共事業の削減を打ち出しているためだ。
無駄が指摘される公共事業だが、短期的には経済成長を下支えする側面が
あり、急激な削減は一時的に景気を冷やす恐れもある。
一方、10年度から段階的に実施が始まる子ども手当や高速道路無料化は
個人消費を刺激するため、実質GDPを上昇させる効果が見込まれる。
「バラマキ」との批判はあるが、欧米の景気回復はまだ先で、輸出の本格的な
持ち直しが見通せないなかでは、子ども手当などによる消費刺激が景気を
支える可能性はある。
もっとも、民主党は公共事業の削減などで財源をつくるとしており、野村の
木内登英・チーフエコノミストは「景気を減速させる政策(公共事業削減)
でお金を確保して景気を良くするという、やや矛盾した政策だ」と指摘。
公共事業減と消費刺激の効果が、それぞれプラスとマイナスに作用しかねないとみる。
また、子ども手当などで消費が一時的に刺激されても、日本の経済力が
一気に底上げされるわけではない。
明治安田生命の小玉祐一・チーフエコノミストは「手当で出生率が
上がっても経済に大きな効果が出るには時間がかかる。規制緩和などで
民間が活動できる分野を増やすことも同時に必要だ」と言う。

民間のシンクタンクの景気予測の結果は、民主党政権が誕生すると、
短期的には景気回復を鈍化させる可能性が高いことを示唆させる。
これをどう読むべきか。

私の予測は、欧米の経済力の回復が遅れているだけに、今動いている
公共事業を即時凍結することは、特に地方を中心に、マイナス効果が大きく、
年内一杯で回復する可能性が出ているわが国経済を後退させかねないと
評価している。

確かに欧米の経済回復は遅れているが、先日講演を聞かせて頂いた北畑
前経済産業事務次官の見解では、アジア(特に中国)や中東(特にクウェート)
を中心に、内需による経済成長を果たしている国が世界経済を牽引して、
世界経済の回復基調に入るとのコトでした。
私も中国やインドの成長力には従来から注目しており、また、湾岸戦争の
痛手から回復しつつあるクウェートには、北畑氏に指摘されるまで意識して
いなかったが、確かにドバイの蒙った影響は大きいだろうが、オイルマネー
の威力は未だ健在であり、中東の動向にも目を離せない。

世界経済の動向を考えると、公共事業の即時削減をしても、アジア発の
世界経済の復興の好影響を受け、景気後退局面を迎えない可能性も
十分にあるとはいえ、年内は厳しい状況は続くと考えている。
そうすると、やはり、年内は景気の下支え効果を持つ公共事業を効果的に
行っていくことの方が重要ではなかろうか。
どの公共事業が効果的で、どの公共事業がムダなのか、を判断するには、
日本全体を考えて判断するのか、その地域の実情を考えて判断するのかで
大きく変わってくる。

日本全体の経済効果を考えれば、地方へのインフラ投資は効果は小さいだけに、
結果として地方の切り捨てに繋がりかねない。
小泉改革により疲弊した地方経済に壊滅的なダメージを与えかねないのだ。
特に地方の建設業界は公共事業が無くなれば、たちまち企業は倒産し、
従事している労働者は路頭に迷うことになる。
この労働者たちは概して高齢化が進んでおり、これから職業訓練をして
他業種でも使える人材に転用していける状況にはないだけに、地方建設業の
崩壊は、地域の崩壊に繋がりかねない。
地方に基盤の小さい民主党がどこまで過疎化が進みつつある地方都市の
現状を把握しているのか、正直、疑問があるだけに、公共事業の即時凍結
という政策には、問題が多いと言わざるを得ない。

短期的な景気へのマイナス効果がどうでるのか、来るべき民主党政権の
命運を担う可能性を孕むだけに、大きく危惧するところである。


期日前投票  そして、若者の投票行動に喝!
2009.08.25

期日前投票の出足が好調なようだ。
投票日1週間前の23日の時点で、すでに300万人以上の有権者が、
期日前投票制度を使って、投票を済ませたという。
24日20時3分時事通信社記事はこう報じた。

総務省は24日、衆院選の期日前投票の中間状況を発表した。
公示翌日の19日から23日までに期日前投票を行った人は305万5634人
で、2005年衆院選の投票日1週間前の時点(201万4072人)と比べて
51.7%増加した。
有権者全体の2.9%が既に投票を済ませたことになる。
前回より大幅に増えた背景には、制度が定着してきたことに加え、
政権選択が焦点となった今回選挙への関心の高さがあるとみられる。
中間状況では全47都道府県で前回より増えており、増加率が最も高かった
のは沖縄県の149.2%増。
以下、山梨県85.9%増、長野県81.1%増と続いた。
最も低かったのは宮崎県で7.1%増だった。
期日前投票制度は03年12月に施行された。
衆院選で実施されるのは2回目。
前回の期日前投票者数は最終的に896万2847人で、今のペースで進むと、
今回は最終的に約1360万人が足を運ぶ計算だ。


有権者の利便性を考慮して投票率の向上を目指した期日前投票制度が
今回の衆院選では効果を発揮しているようだ。
一部には混乱もあったようだが(複数選挙区がある市で選挙区を誤った
ために無効票になってしまった方が出たようですが・・・)、駅前に投票所を
設置した選挙区もあり、好評を博しているようだ。

私も先日、期日前投票を済ませてきました。
私は投票日が仕事なので期日前投票を選択致しましたが、一緒に投票した
義理の祖母は2日続けて外出すると体力的に厳しいので、期日前投票を
選択しました。
改正前の制度では投票時以外に投票することが認められる理由が限定的で
利便性が悪いものでしたが、現行制度は、レジャーでも期日前OKなので、
投票率の向上に効果を発揮することが大いに期待されるところです。

今日の産経新聞に、早稲田の教授が試算した、投票に行かない若者は
投票に行く年寄りよりも政策への影響が少ないために、4000万円以上の
負担格差が生じているという記事も掲載されています。

確かにそうであろう。
政治家からすれば、自分に投票してくれる方に有利な政策を実行した方が、
投票しない方向けの政策よりも、自分の当選可能性を引き上げるのだから、
少子化対策や若年者雇用対策よりも、高齢者福祉に目が向きがちなのは、
当然のことだ。

投票行動を起こさない若者が投票によって、自己の意思を明示しなければ、
欧米と比べて高齢化が進んでいるわが国の政治家の皆様の下に、
若者の声が届かなくても当然なのだ。
親に子どもの本音が分かるはずがないでしょう?

私の場合、居住する東京15区(みんなの党柿沢未途候補)、事務所のある
東京17区(民主党早川久美子候補)とも、同学年の方が立候補されている
ので、自分達の年代の声が比較的届きやすい環境にあるかもしれない。
しかし、20代の立候補は長崎2区民主党福田衣里子候補(28)のほかに、
あと何人いらっしゃるんですかね?

だからこそ、余計に自分たちの意思を明確に示すべきなんです。

私は学生に対し、必ず選挙に行くよう呼びかけています。
それも、支持できる方がいないなら、白票を投じに行け、と。

従来の自民党中心の政治というよりも、高齢者中心の政治では、
少子化対策が遅れるのは当然なのだ。
政治家に当事者意識や危機意識が薄いのだから。
だから、現実に子育てに直面している小渕優子議員を少子化担当大臣に
据えた麻生内閣の人選はスマッシュヒットだったと思っている。
彼女だけでなく、地方議員を含めて若くして政治にデビューした方が、
もっと中央で活躍できる場が与えられないか、と期待したいところです。
来るべき政権では、期待される若手(4~50代ですがねえ)が多く登用
されることを期待したいですし、高齢者社会を支える年代の減少を
食い止めるためにも、子育て支援だけではなく、子どもを産みやすい
環境整備を期待したいところですね。


税理士による脱税指南事件、告発される-千葉地検
2009.08.24

税理士が脱税指南したとされる悪質な脱税事件が告発された。
23日8時5分産経新聞記事はこう報じた。

税金の支払いを滞納し、税務署による差し押さえを免れるため資産を
別法人に移して隠したとして、東京国税局が千葉県の土木工事会社を
国税徴収法違反(滞納処分免脱)の罪で千葉地検に告発していたことが
22日、分かった。
告発されたのは、土木建設業「山賀興業」(佐倉市小竹)と山崎重雄前社長(64)。
関係者によると、山賀興業は法人税などを数千万円滞納。
東京国税局が差し押さえに向けて同社の資産を調査したところ、同社の
資産約3500万円が別法人に移され、財産が隠蔽されていた。
この別法人は業務に実態がなく、架空の法人だったとみられる。
同局は差し押さえを免れるための悪質な行為と判断し、告発に踏み切った。
登記簿などによると、山賀興業は昭和53年設立で、資本金1千万円。
佐倉市周辺で土木、解体工事業などを営む。
関係者によると、景気低迷や同業他社との競争激化に伴い、税の滞納が
目立つようになったという。
山賀興業は産経新聞の取材に「責任者がいないので答えられない」と話している。
■悪質滞納者へ牽制
長引く景気低迷の影響で、平成20年度の法人税や消費税など国税の新規滞納
発生額は3年ぶりに増加に転じた。
国税庁は財産の差し押さえを免れる悪質滞納者への対策を強化、昨年度の
告発件数は過去最多の5件にのぼり、今後も厳正に対処する方針だ。
ただ、告発が専門の査察部門と異なり、滞納整理が主業務の徴収部門は
「告発には限界がある」(同庁)ため、狙いは悪質な滞納者への牽制効果と
みられる。
国税徴収法違反(滞納処分免脱)罪は昭和35年に施行されたが、平成8年度
まで告発はゼロ。
国税庁は「立件可能な証拠収集などについてのノウハウの蓄積がなく、
告発より増加する滞納の整理に追われていた」と話すが、滞納残高は
10年度に2兆8149億円にまで達した。
同庁は10年度ごろから告発を含む厳正な対応に転換。
これが功を奏し、滞納残高は10年連続で減少した。
20年度は前年度比3.8%減の1兆5538億円となり、ピークだった10年度の
6割程度まで減った。
しかし、不況のため新規滞納発生額は増加に転じており、20年度は
前年度比1.8%増の8988億円となっている。
こうした状況に国税庁は、これまでにない強い姿勢で臨んでいる。
昨年度の告発では、関東信越国税局から売掛金の差し押さえを受けた
人材派遣業者が、事業が継続中なのに解散登記を行い、架空法人への
事業譲渡を仮装。
その上で取引相手に売掛金計8400万円を架空法人の口座に振り込ませ、
財産を隠蔽したケースがあった。
国税庁は「告発が増えるに従ってノウハウも蓄積されている。悪質滞納者
には厳正に対処する」としている。


さらに23日3時5分のasahi.comの記事も紹介したい。

税金滞納による国の差し押さえを免れようと財産を隠したとして、千葉県
佐倉市の産業廃棄物処理業者の社長(64)と税理士事務所の元所長(78)が、
東京国税局から国税徴収法違反(滞納処分免脱)の疑いで千葉地検に
告発されていたことが分かった。
同地検は近く、2人を同容疑で立件する方針とみられる。
税理士事務所の元所長は12年前にも複数の顧客に脱税を指南したとして
法人税法違反や税理士法違反の疑いで強制捜査を受けた。
産廃処理業者は当時の顧客の一人だった。


脱税事件が後を絶たないが、今日紹介した事件は、更に根が深い。
専門家として適正な納税を指導すべき税理士がこともあろうに脱税指南を
していたというのだ。
それも初犯の出来心や間が差したというものではなく、12年前にも
強制捜査を受けていた税理士だという。

なんともあきれ果てた事件である。

本件の税理士は税理士法違反による税理士資格剥奪ではなく、脱税の
共犯として告発すべきではないだろうか。

実務においては、クライアントからの無理な要求に対応せざるを得ない
ケースもないではないが、プロフェッショナルの専門家が脱税に協力して
しまえば、税務行政に対する信頼は揺らぎかねない。
ひいては税理士の判断の拠り所も揺らぎかねなくなるところだ。

特に脱税に関しては、税理士の大半が法学部以外の学部を卒業した
法の素人であるがゆえに、刑法犯における共犯を甘く考えがちだ。

しかし、脱税指南をしてしまえば、立件可能性はともかく、教唆犯として
犯罪の構成要件を満たすことになることを肝に命じるべきであろう。
税理士は、主犯ではないにしても、「聞かなかったこと」では済まされない
共犯者になりかねないのだ。

職員が勝手にやったこと、も税理士法上、アウト。
税務判断を職員がやること自体、ニセ税理士行為に当たり、雇用主である
税理士が名義貸し又は、管理監督責任が問われることになる。
それでも、共犯にされてしまうよりましであるが、税理士資格の停止要件
には該当しよう。

近い事例で、私が院生時代から非常に可愛がっていた後輩(税理士会で
私の舎弟だと公言していますが、私も容認しています)が、助成金の
不正受給事件を伴う企業犯罪に巻き込まれ、彼の解雇の不当性も含めてで、
現在裁判所にまでもつれ込んでしまっている事例も発生している。
この事例では、広域通報者保護法の関係もあるのだけれども、ニセ税理士
行為や従犯扱いにされかねない状況から、自分の身を守るために事務所内で
起こした運動が、所長の息子さん(無資格)の逆鱗に触れてしまったよう
ですが、プロフェッショナルの矜持を守るためには致し方ないことだと思う。

税の専門家ではあっても法の専門家ではない税理士に法律家としての
自覚を持てと言っても難しいかもしれないが、少なくとも、税法に関しては
間違いなく専門家なのだから、一般の方よりも重い責任を果たして当然である。
本件のような税理士による脱税指南を根絶するためにも、脱税の共犯を
立件して頂きたいと思います。
近年では、脱税犯に対しても罰金刑ではなく、収監がなされるケースも
増えてきているのですから、共犯者に対する収監の可能性も含めて、
検察当局に検討して頂きたいと思います。

税理士による脱税指南・・・  なんとかせねば。


生茶や伊右衛門など、ブランドの統合はあるのか?
2009.08.23

生き残りをかけた企業戦略に基づいてM&Aが盛んになっているが、
M&Aが先への展望を描けないまま実行された場合には、弊害も出てくる。
特にブランドイメージが確立されている競合商品メーカーのM&Aは、
ブランドの統合が弊害になるケースも出てくるようだ。
19日1時23分asahi.com記事はこう報じた。

「のどごし生」と「金麦」。「生茶」と「伊右衛門」。
経営統合に向けて交渉中のキリンホールディングスとサントリー
ホールディングスには、同じ分野にそれぞれ知名度の高い商品がある。
統合後もブランドを併存させるのか。一本にまとめて効率化を図るのか。
「統合しても、キリンの味やブランドは変えないで」
「毎日飲んでいるサントリーの天然水。これからもちゃんと、飲めますよね」
キリンとサントリーの統合交渉が表面化した7月中旬以降、両社には
愛着のあるブランドや商品が消えることを心配する客の声が多数、
寄せられているという。
両社には「一番搾り」と「モルツ」といったビールのほか、缶コーヒーの
「ボス」と「ファイア」など、これまで店頭で競い合ってきた商品が
たくさんあるからだ。
いまのところ両社とも、既存ブランドの強化を掲げる。
統合する場合でも「競争と協調」という考えをとり、ブランドは維持して
市場での販売競争を続けるのが基本的な考え方という。
長年の顧客の声を顧みなければ、統合する新会社がいきなり「顧客離れ」に
見舞われかねない。
だが、両社の経営統合のねらいは、「海外進出に向けた国内基盤の強化」
(加藤壹康・キリンHD社長)。
物流や営業体制を再編して規模拡大による経営の効率化を高めるために、
「将来的には(ブランドが)収斂していくだろう」(サントリー首脳)との
見方も出ている。
商品統合の目安の一つは販売量だ。
「淡麗」で知られるキリンの発泡酒、「山崎」に代表されるサントリーの
ウイスキーのように、どちらかが市場の半数以上を押さえて優劣が明確な
分野では、商品の統廃合も、比較的スムーズに進むと見られる。
問題は、両社の商品力に大差がない分野だ。
「顧客の愛着」と「効率」のバランスをどうとるか。判断が迫られる。
キリンの古元良治常務は6日の09年6月中間決算の発表会見で「ブランドは
極めて重要な資産だ。(商品の統廃合を)どう顧客に訴えるかは今後の
交渉課題となる」と、慎重に言葉を選んだ。
両社の悩みは、業界他社にとっては攻めどころになる。
スーパーやコンビニエンスストアの店頭では、小売り主導のPB商品が
存在感を増し、値段が高めのメーカー商品は、ただでさえ売れ筋への
絞り込みが欠かせない時代だ。
ライバルの飲料会社幹部は「統合会社が競合商品をいくつも背負い込む
なら、我々にはむしろチャンスだ」と話す。


ブランドイメージが確立された商品については、コアなファンが付いている
ため、ブランドの統合は、そのコアなファンを他の商品へシフトさせてしまう
危険性を孕んでいる行為である。
商品力に大きな差異がない場合であっても、商品(イメージ含む)のタイプが
異なる商品であれば、ブランドの統合はファンの失望を呼び、同タイプの
他社製品へのシフトが行われるのが必定である。

キリンとサントリーの統合には、そういう困難な選択が多々あるだけに、
M&Aを成功への足がかりにできるか、非常に微妙なものを感じる。
戦略的に同じような多角化を担ってきたライバル同士のM&Aは、
規模の利益を得られる業界ならば兎も角、ブランドの統合が必要な業界では
難しいのではなかろうか。

それよりも、外国企業との統合を図り、日本の拠点と外国の拠点の市場の
違いを活かした規模の利益を図ることの方がいいのではないかと思う。

私どもの事務所でもM&A仲介会社との取引があり、クライアントにも
話ができる状況にはありますが、M&Aは企業文化の違いが障害になることも
多く、安易に生き残りのためだけにM&Aを利用することには疑問がある。

結果としてM&Aが企業の発展に寄与した例も多いのですが、例えば、
被合併会社の代表者が引退することを契機に、M&Aで合併会社と統合する
ケースでは、非合併法人の代表者が新会社に引継ぎをきっちりすることで、
無用なトラブルを避けることができることが多いようです。
(私が関与したM&Aは全てこのパターンですが)

大手法人でも企業文化の違いがトラブルの元になるケースが多く、
たすきがけ人事が行われることも多いようですが、代表者のキャラクターが
表に出がちな中小企業では、ブランドイメージが代表者のイメージそのもの
なんですね。
だからこそ、ブランドの統合はより一層難しくなるんです。
2人の人間を1人に統合できませんから。

ここにM&Aの難しさがあるのだと思います。
大手企業同士のM&Aが盛んな時代ですが、その難しさばかりが表に出て
しまうと、M&A市場の活性化に繋がりません。
市場が活性化されて、情報が密になってくれば、中小企業の事業承継の
有効な対策としてM&Aが活用できる機会も増えてくるだろう。

難しいケースが多いけれども、活用法を間違えなければ、より大きな
果実に結実する可能性もあろう。
キリンとサントリーの統合も、難しい舵取りが必要だろうが、世界戦略の
成功のためにも、M&Aの強みを生かす方向で検討して頂きたいものである。


中国・インドとASEANが世界経済を牽引するか?
2009.08.22

中国とインドの動きでASEANが本格的に世界経済の推進役に
名乗りを挙げようとしている。
時事通信社の記事から14日11時7分記事、15日20時47分記事を紹介したい。

ASEANとインド、FTA調印=17億人の自由貿易圏誕生へ
【バンコク時事】東南アジア諸国連合(ASEAN)とインドは13日、
経済担当相会合が開かれているバンコクで、自由貿易協定(FTA)に
調印した。
これにより、貿易品目の80%超で関税撤廃が実現し、人口17億人の巨大な
自由貿易圏が誕生する。
共同声明によると、協定は2010年1月1日付で発効。
家電製品や、繊維、化学、機械などが対象品目で、16年までに順次関税を
撤廃していく。
一方、ゴムなど一部農産品を中心とする489品目は対象から除外された。
また、ソフトウエアやIT分野は今回の協定に含まれていない。

中国・ASEAN、投資協定に署名=巨大自由貿易圏、来年1月に実現
【北京時事】新華社電によると、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)は
15日、経済担当相会合が開かれているバンコクで、自由貿易協定(FTA)
に基づき交渉中だった投資分野の協定に署名した。
すでにモノやサービス貿易の協定は署名済み。
投資協定の署名で一連のFTA交渉が完了し、2010年1月1日から
人口19億人、総面積1300万平方キロの巨大な自由貿易圏が実現する。
投資協定に基づき、貿易圏内の投資家はそれぞれの国で最恵国待遇を受け、
公正で平等な扱いを保証されるという。


ASEANの自由貿易協定(FTA)に中国とインドが加わったことで、
東南アジアは、東アジアと南アジアにまで影響力を持つ巨大マーケットに
成長した。
インドネシアでの投資の失敗がブラックマンデーを再発させたことがあった
ように、グローバル化した世界経済はアジアの影響力を無視できない状況にある。
しかも、先の北京五輪、今後の上海万博を通じて、中国経済の内需主導による
経済成長力は、現代の世界経済からは強い魅力を放っている。

わが国経済は、今後、中国を中心としたアジア経済の荒波の影響をまともに
受けることになろう。
現在の低迷する日本経済にとっては、アジア経済の活発化は歓迎すべきこと
であろうが、手放しに喜んでいるとすれば、わが国経済は二流へと
落ち込んでいくことであろう。
それほどの勢いと成長力が今の中国にあり、インドにもあるのだ。

近い将来、世界経済のけん引役に、中国やインドが台頭してくるであろう。
わが国は、両国との対等の付き合いを維持しながら、両国に引けをとらない
成長力を創出していく必要があろう。

まずは知的財産。

資源に乏しく、少子化対策の遅れから、近い将来ヒトも減ってくるであろう
わが国には、経済成長力を創出する手段としてのヒトという資源がないのだ。

しからば、アイデア勝負しか残らないではないか。

自由貿易協定によるノーガードの潰しあいの中で人件費の高いわが国経済が
生き残るための唯一の道と言っていいかもしれない。

しかし、それへの対応も時間が残されていない。
ASEAN域内の自由貿易が来年初頭には始まるというのだ。

おそらく、この動きで世界経済は低迷期から脱することになろう。
それまでにわが国はインフラ整備が間に合うのだろうか。

来るべき新政権の最初の大勝負に注目したいところだ。


住宅ローン破綻による競売が急増
2009.08.21

20日、不動産競売流通協会はプレスリリースを発表し、住宅ローン破綻
による競売案件が急増していることを発表しました。
その内容は以下の通りでした。(不動産競売流通協会HPより転載)
http://keibai.or.jp/release/20090820.html

住宅ローン破綻による競売物件が急増しています。
特に、自動車産業の落ち込みが激しい愛知県では、戸建住宅の競売件数が
約7倍に急増するなど、厳しい地域経済を反映した調査結果がでました。

不動産競売が増加している主な要因
1.バブル崩壊後の景気刺激策(住宅政策)の失敗
バブル崩壊後の日本では、景気対策の一貫として「10年間の固定金利型
住宅ローン」(ゆとりローン)を利用した住宅購入促進を、国の政策として
推し進めていきました。
その結果、国の住宅ローン減税や、金融機関の融資姿勢緩和により、
所得の低い人でも簡単に家が持てるようになりました。
1998年、そのゆとりローンの利用がピークを迎え、結果10年後の
2008年にゆとりローンの返済額が増加し、昨今の企業倒産や業績不振
から来る給料、賞与カットにより、多くの人が住宅ローン返済の破綻を
生じました。

2.不動産業者への金融機関による貸し渋り
これまでは通常、債務者の滞納が始まった場合、競売になるまでの間に、
不動産業者による任意売却が行なわれていました。
しかし、昨年のリーマンショック以降、金融機関の不動産業者に対する
融資の締め付けは厳しく、本来任意売却が行なわれていた物件が、
かなりの数そのまま競売で処理されるようになりました。

大きくこれら2つの要因により、現在競売が増加しており、また今後も
更に競売物件は、増えていくものと予測されます。

クライアントに競売を手広く展開している不動産業者がいる関係で、
競売には関心を持っていましたが、競売情報を見ていても、一般住宅が
随分増えてきたなあと感じてはいました。

ただ、給料の自然増や二世帯ローンを前提としているような返済計画が
甘いケースが多いことには懸念をしていたのですが、年功序列が崩れた
今のわが国の給与体系や、ボーナスを当てにした返済方法では、破綻する
のは当然かもしれない。

経営者の皆さんは税金の二重払い(所得税の支払いは当然として、法人税上の
経費にならないので、法人税も負担することになる)をしなければ、役員に
ボーナスを払えないことはご存知のことでしょうが、一般のサラリーマンは、
ボーナスも給与の一環で、利益分配によるものだとの認識がないんですよね。
だから、ローンの支払い方法もボーナス払いにしたがる。
しかし、ボーナスは利益が出たことによる利益分配に過ぎないのだから、
業績の悪い会社がボーナスを出さないのは至極当然の話なんですよね。

サラリーマンが、給与やボーナスを増やしたければ、自分で頑張って
働くことは最低限の前提ですが、利益を生み出せる社員になる必要がある
ということを見落としがちです。

どんなに一生懸命働いていても、売上に見合わない従業員であれば、
会社から見ればいらないんですよ。
売上を上げることに一生懸命で、値引きしてでも売上ノルマをクリアする
ことに汲々としている営業マンなんか最悪の人種なんですね。
売上が上がっても赤字を生み出す社員なら要らないってことを理解
していないから、転職市場で評価されないんですよね。
利益を生み続けている社員であれば、会社側は絶対に慰留するはずです。
形式的な慰留しかないのであれば、実質的には評価されていないのでしょう。

かなり身近なところでも競売案件が増えてきていますが、サラリーマン
家庭の競売案件は、定年退職後もローンを払い続けなければならないような
ローンの借り方であったり、ボーナスがあることを前提にした借り方に
原因があるように感じます。

確かに、会社の倒産、業績不振によるリストラ等によって収入の道が
途絶えてしまった方も多いでしょうが、寄らば大樹の陰を決め込んで、
人材としての能力開発を一切してこなかった方が多いのではないかと思います。
厳しい言い方かもしれませんが、年功序列に甘えて、実力を蓄えていなかった
から、リストラの対象になってしまったケースが多いのではないでしょうか。

真面目に働けばいい時代は終わった。
会社に貢献できるかどうかで評価される時代になったんですね。
工夫次第では、成り上がれる時代とも言えよう。

絶対的な答えなど存在しない激動の時代には、局面局面で対応を変えられる
柔軟性と、新しいことを取り込むだけの度量が必要なのかもしれません。

競売のニュースに、時代の厳しさを感じるとともに、若年層の能力開発の
一端を担う者として、一層の責任の重さを感じています。
気合を入れ直さねば。


保険の見直しや紹介もやっています
2009.08.20

昨日は、地元税理士会葛飾支部で研修講師をしてきました。
テーマは「ソフトウェア業の工事進行基準入門」。
雑駁な話になってしまい、もっと具体的に話すべきだったなと反省。

結局のところ、ソフトウェア業の取引慣行からすると、工事進行基準の
適用にはハードルが多いのですが、経産省が指摘するように、取引慣行が
変わってくれば、その実現性は大きく高まるところでしょう。
ただ、税法基準の工期1年、請負金額10億円は、中小企業にはキビシイ
ハードルですから、会計面のみにおける工事進行基準の適用は、実務家側の
手間を増やすだけですから、会計基準が原則を工事進行基準にしたところで、
どれだけ実効性があるのか。
ただ、私は期間利益の適正性の確保と金融機関対策の視点から、工事進行基準
導入に踏み切れる条件を揃えたクライアントには、工事進行基準適用を
オススメしています。


さて、今日は、保険代理店に同行して頂き、クライアントの損害保険の相談、
及び保険の変更手続をしてきました。
私の事務所では従来保険業務に手を出してこなかったのですが、自己の
ニーズにあっていない保険に加入されているクライアントもいらっしゃる
ようなので、私の方でも、その是正をご提案し始めました。
(保険料の是正提案をしていなかったわけではありませんが・・・)

保険の一元管理を行っていない方の保険を精査してみると、同じ種類の
保障に金額をかけすぎていたり、その反面、ニーズを確認してみると
保障額がニーズに対応していなかったり、と適切に保険を利用されていない
ケースも目立ちます。

私も生命保険の代理店をやっておりますが(自分では売っていませんが、
情報を得るためや、コンプライアンスの問題に対処するために代理店に
なっています)、お付き合いで保険に入っているものの、自分が加入している
保険の種類やその補償額、条件等を全体として把握されていないと、
今、自分が必要な保険がどういうもので、逆に解約しても問題の無い保険が
あるのかどうかを把握できないんですね。

厳しい社会情勢の下で、無駄な資金を使えない事業者が多くなっている
だけに、将来のリスクに備えつつ、経費を削減するポイントとして、
保険が活用できるところなんです。
保険商品は常に新たな商品が開発されていますから、他社を含めると
同じ条件で保険料が安くなる商品が開発されていたり、パッケージ商品
ではなくて、必要な保険商品を組み合わせて複数に加入した方が、
よりいい保障を保険料を抑えて加入することができるケースも増えています。

私は総合代理店ではないので、代理店契約をしている保険会社以外の
保険商品をオススメすると私の手数料報酬は発生しませんが、少なくとも
友人の保険の成績にはなりますし、なによりもクライアントにとってより良い
保障が得られることになるので、クライアントとの信頼関係が密になります。

また、私は税理士という税のプロに過ぎず、保険のプロではないので、
保険の相談がありました場合には、保険屋さんに同行してもらうのです。
餅は餅屋ですし、私は生命保険の一般販売員の資格しか持っていませんから、
いくらいい商品を知っていても、私には販売資格がないんですね。

ただ、情報を知っていれば、クライアントにご提案することはクライアントの
利益に繋がるものと思います。

保険の販売を始めたというと、ノルマを気にして、とにかく売らんかなの
営業になってしまうことも多いでしょう。
だから、私は「自分では売らない」代理店なんです。
私の本業は税理士ですから、保険でミスして、全ての信用を失っては
意味が無いですから。


皆さんも、自分が加入している保険の内容を一度確認してみませんか?


再審決定の菅谷さんには選挙権はないのか?
2009.08.19

非常に気になるニュースを見つけた。
冤罪の疑いで再審開始が決定した菅谷さんの選挙権が回復していないという。
18日21時11分YOMIURI ONLINE記事はこう報じた。

栃木県足利市で1990年に4歳の女児が誘拐・殺害された足利事件で、
再審開始決定の出た菅家利和さん(62)の弁護団は18日、いまだに
菅家さんに選挙権がないのは不当だとして、足利市選挙管理委員会に
異議を申し出た。
公職選挙法は、禁固以上の刑に処せられ、その執行を終えるまでの者は
選挙権を有しないと規定している。
弁護団は今月12日、同市選管に選挙権の復権を求めたが、「まだ再審で
無罪が確定していない」と拒否されたという。
18日午後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見した菅家さんは
「事件前はよく投票に行った。今回の衆院選も投票したい」と語った。
同市選管は「どう対応すべきか県に照会中で、その回答を待って判断したい」
とコメントしている。
また、会見に同席した佐藤博史弁護士は、宇都宮地検から同日午後に
電話があり、「検事正が菅家さんに直接会い、謝罪したい」と伝えてきた
ことも明かした。


確かに言われてみるとその通りなのだが、容疑者に対しては無罪推定が
働くにもかかわらず、再審が決定した服役囚には有罪推定が働くことには
どこか釈然としないものを感じる。
菅谷さんの場合には、冤罪の可能性が高いことを地検も認め、再審決定と
なったのであるから、容疑者扱いの無罪推定が働いてもいいのではないのか。
国の行く末を選択する大事な選挙となるであろう今回の衆院選に、国民として
投票したいという菅谷さんの気持ちは、社会復帰の実感を取り戻す第一歩では
なかろうか。
県の選挙管理委員会で判断できないのであれば、政府が特赦を出せない
ものだろうか。

冤罪が引き起こす悲惨さを理解してもらいたいとの思いもあるが、
何よりも政治参加の第一歩としての投票行動を大切に考えて頂きたく、
菅谷さんの記事を知ったとき、何としても選挙権の回復を願いたいと
強く思ったんです。

そして、何よりも、菅谷さんのような思いをする冤罪被害者が2度と
出ないような社会の実現に向けて、菅谷さんのような方の声が上に届く
社会であってもらいたいと強く願うところですね。


総選挙公示
2009.08.18

いよいよ総選挙が公示され、衆院選がスタートする。
これに先駆け、昨日17日、主要6党による党首討論が開催された。
政権交代を意識したのか、民主党鳩山代表に質問が集中したようだ。
17日21時19分asahi.com記事はこう報じた。

主要6政党の党首討論会が17日、東京・内幸町の日本記者クラブで開かれた。
各党首からの質問は、政権交代を意識して民主党の鳩山代表に集中した。
麻生首相は景気対策を最優先する姿勢を強調したうえで、民主党の政策を
「戦略なきばらまきでは経済は成長しない」と批判。
鳩山氏は与党の政策を「官僚任せだ」として、国民に政権交代の実現を訴えた。
国政選挙前の討論会では通常、各党党首は首相に質問を集中させる。
だが、今回は与野党を問わず多くの党首が鳩山氏にまず見解をただすという
異例の内容となった。
鳩山氏は民主党が政権を取った場合の組閣について「官房長官、財務大臣、
外務大臣は政治家を起用したい」と述べ、重要閣僚は民間人でなく、
国会議員を起用する考えを表明した。
小沢一郎前代表の処遇については「選挙に大変精通しているのは間違いない。
枢要なポジションの中でがんばってもらいたい」とし、党幹部などを
担ってもらう考えを示した。
首相は討論の冒頭で、この日発表された実質国内総生産(GDP)が
5期ぶりにプラス成長になったことを挙げ、「経済対策に全力をあげた結果、
景気の先行きに明るい兆しが見えてきたが、いまだ道半ばだ」とし、
引き続き景気回復を最優先に取り組む姿勢を強調した。
鳩山氏は「国民の皆さんが選挙によって自民党の長期政権、特にこの4年間の
自公連立政権の総括を行っていただきたい」と述べ、政権交代の必要性を訴えた。
さらに、秘書が虚偽記載をした場合、監督責任のある国会議員も公民権停止
とする与党の共通政権公約については、「基本的にこの方向で民主党としても
対処すべきではないかと考える」と積極的な姿勢を示した。
外国人の地方参政権にも前向きな姿勢を示した。
公明党の太田代表は「政権選択の中身を問いかけることが大事な選挙だ。
一貫性、整合性、ぶれない政策であるかどうか、実行する力が大事だ」と強調。
鳩山氏の虚偽献金問題を批判した上で、「景気対策を続け、生活を守り抜く」と訴えた。
共産党の志位委員長は「まず自民、公明の政権を退場させる。消費税増税
には絶対反対を貫き、憲法9条を生かした平和外交への転換だ」と述べた。
社民党の福島党首は「国民の生活が壊れていっている。労働者派遣法を
抜本改正し、生活を再建する。非核三原則の法制化が必要だ」と訴えた。
国民新党の綿貫代表は「小泉郵政民営化問題を総括すべきだ」として
民営化の見直しを重ねて主張した。


自公が景気対策の継続性を前面に掲げるのは、政権与党としての実績を
協調するためにも当然のことであろう。
これまでやってきたことがようやく実になりつつあるときだけに、
どうしても協調しておきたかったのだろう。

逆に民主党は自公政権での景気回復の遅れを批判することで、政権交代の
必要性を訴えていくことになる。
そういう意味では、自公が協調したいところを立場の違いから、お互い
業績と見るか、失政と見るか、判断が分かれるところだ。

ただ、主要6党の党首討論といっても、共産、社民、国民の3党の印象が
ますます薄れてくることに危機感を感じますね。
共産、社民が強調する平和外交への転換は、国連主導のPKO活動が
常態化している国際社会に対する批判に過ぎず、国民の関心が薄い論点と
言わざるを得まい。
国民の小泉郵政改革の見直しも、既に解体され分割民営化された郵政組織に
対して王政復古を求めている印象が強い。
いずれにしても、今、国民が政治に求めているものを感じ取れていないと
思わせる主張である。

共産は消費税増税に絶対反対の立場を強調しているが、そもそも消費税法
自体を否定的に捉えてきた党だけに、当然のことであろう。
しかし、消費税法施行から20年以上が過ぎ、未だに消費税法の存在を
否定し続ける立場に、理想主義の片鱗が見え隠れしているのではないか。
財源問題から国民の関心に上ることになった消費税問題を注視している
姿勢はいいのだが、野党でい続ける強烈な批判者としての立場でしかない。
ただ、制度の矛盾を指摘し続ける有力な少数者が存在しなくては、
制度改正は実現しないであろう。
そういう意味では、貴重な存在であるのは間違いあるまい。

ただ、少数野党は自公との違いをアピールするには、消費税増税に反対の
立場をとることは当然予想されたことであって、何の不思議もない。
「国家百年の計のために消費税導入」を叫んで大物議員さえ次々と落選した
20年前の消費税選挙の再現になってしまうのか?注目したいところだ。

ともかく、衆院選が幕を切った。
わが国では55年体制確立以前以来となる本格的な政権選択選挙になろう。
新党ブームに乗った非自民連立政権のときは、自民か非自民かであったが、
今回は衆院選の結果でどちらが首相になるのかを決めるのだ。

自公vs.民主の構図が浮き彫りにされた党首討論であったが、国民の関心は
冷めていないと信じたい。
総選挙の結果がどうなるのか、この国の行く末を見極めるためにも、慎重に
考え、絶対に投票に行ってもらいたいものである。


税務当局との判断の違いだけで178億追徴、アリコ
2009.08.17

アリコジャパンがサブプライムローン問題後の急激な円高の影響として
外貨建て資産の評価損を計上したところ、国税当局はこれを利益調整として
認めず、178億円もの追徴処分を行ったという。
16日3時4分asahi.com記事はこう報じた。

外資系生命保険大手「アリコジャパン」(東京)が東京国税局から約178億円
を追徴課税される見込みとなったことが分かった。
同社はサブプライムローン問題後の急激な円高に伴い、価値が大きく
減少した外貨建て資産の評価損を08年3月期に申告。
だが国税局はこれを認めず、利益調整だとして三百数十億円の申告漏れを
指摘したという。
約178億円の追徴税額は過少申告加算税や地方税、延滞税を含む。
同社は「当局とは見解の相違があり、異議申し立てを含めて対応を検討中」
としている。
同社の説明によると、同社は顧客が払い込んだ保険料などの多くを、
米国の社債など外貨建て有価証券で資産運用していた。
しかし07年夏にサブプライムローン問題が表面化し、ドル円相場は同年6月の
124円台から大きく円高が進行。
期末直前の08年3月中旬には、一時95円台まで進んだ。
そのため、外貨建て資産の価値も急減した。
同社は、期末の資産の時価に対する含み損の割合がおおむね15%以上に
拡大すると実際の損失とみなして計上できる税法上の規定「15%ルール」
を用いて、評価損を08年3月期に申告した。
ところが、これらの外貨建て資産に、同社は為替変動リスクを回避するため、
相場に関係なく一定のレートで取引できる「通貨オプション」などの
デリバティブ(金融派生商品)取引を利用していた。
税法上、こうしたデリバティブを利用した外貨建て資産は15%ルールの
適用対象外とされる。
このため国税局は、同社の法令の適用に誤りがあり、評価損を計上したのは
認められないと判断。
結果的に、同期の申告所得を低く抑えるための利益調整だったとみている模様だ。
同社は他の経理ミスを含め、同期までの3年間で三百数十億円の申告漏れを
指摘されたという。
同社は「為替相場の大幅な変動で、デリバティブ取引による損失回避が
期待した通りには行われず、実際に損失を被った。当社が利用した
デリバティブの内容は複雑。現実の取引はどんどん進んでおり、15%ルール
に当てはめるのは難しい。意図的に利益を減らそうとしたのではない」
などと主張している。


今回のアリコのケースは重加算税は課されていない単なる法令の適用ミス
と扱われたようだが、外資のタックス・ポリシーを考えれば、15%ルールの
適用ミスとは考えにくいのではないだろうか。
法規の網の目を縫った租税回避商品の開発がアメリカの金融商品の特徴
であり、金融商品設計の最先端を行く企業が法規をきちんと読んでいない
ためのミスが生じるとは到底思えないからだ。

ただ、アリコは異議申立を含めて対応を検討中だという。
当然異議申立を行い、国税当局もこれは跳ねるだろうから、法解釈を巡る
舞台は、当然に審判所であり、裁判所になるものと考えられる。

我が国の税法は残念なことに網羅的に整備された税法体系になっていないのが
実情で、判断基準が不明確になっているものも多いため、このような外資系
企業の対応は、我が国税法の近代化のために貢献して頂いているのが現状だ。

良くも悪くも、最先端の租税回避商品が開発されて、はじめて法の不備に
気が付くケースも多く、租税法律主義が完全に機能しているとは言い難いのだ。
特にその機能の1つである法の予測可能性の確保という側面においては、
今回のケースもそうであろうが、ムリな節税を企図しても租税回避として
否認されるのは兎も角、ムリな節税策ではなかったつもりが、国税当局から
租税回避として否認されるケースも少なくないのではないだろうか。

租税回避の否認を裁判で争って納税者が勝つというケースも増えているのは、
法の不備が原因の1つにあると考えても良いであろう。
納税者にとっても法に書いてある通りには判断できない以上に、税務職員も
法による解釈ではなく、国民を拘束できない税務署内部の業務命令でしかない
通達や情報等を使っても判断に苦しむケースも多いのではないだろうか。

これは究極的には、そのような法律を改正すらしない議員を選び続けてきた
我々国民の側にも責任があろうが、少なくとも、現場の声として法解釈で
判断できないような法については、即刻改正法案を出して頂けるよう、
今度の総選挙で選ばれる議員たちには、勉強して頂きたいものである。

ただ、いつも思うのは、不正行為による追徴事件と、今回のような
ケースとが、一般の読者からは同じ内容であるかのようにしか写らない
報道のあり方には苦言を呈したい。
少なくとも、今回のアリコのケースは悪質なものではないと国税当局が
判断しているのだから、さも悪さをしたかのような報道は避けて頂きたい
ものである。


ソフトウェア業の工事進行基準入門
2009.08.16

レジュメ作りにここまで嵌ったのははじめてだ・・・
19日水曜日に我が地元、東京税理士会葛飾支部で研修講師をさせて頂く
のですが、まだレジュメが完成していない・・・
ヤバイ・・・

こんなこと書いている余裕は無いのですが、どうしても進まない。

テーマは「ソフトウェア業における工事進行基準入門」

学問チックに作れば簡単なんでしょうが、実務で実際に使っている話なので、
文章に残せないものが多く、レジュメ自体は非常に堅苦しいものになって・・・

話す内容は頭の中でとっくにまとまっているのに、文章が出てこないなんて
経験は生まれてはじめて。
期日が迫ってきて、焦りばかりが・・・。

修論の〆切りに追われていた頃以来のプレッシャーを感じています。

話自体は簡単なもので、平成19年12月に公表された工事契約に関する
会計基準が、工事進行基準を原則としながら、進行基準の適用が困難な
場合には、工事完成基準を認めるという方向に変更され、長期請負工事の
対象に受注製作のソフトウェアが追加されたことを受けて、平成20年度
税制改正で、法人税法が工事進行基準の適用要件を大幅に緩和する一方、
消費税法では任意規定として工事進行基準を適用した場合の取扱いも
明らかになったので、それを解説しようという趣旨。

すでに昨年来行われてきたセミナー内容でしょうが、平成21年4月1日
以降開始事業年度から適用される工事進行基準への移行に踏み切った
税理士は少ないのが現状で、工事進行基準への移行のポイントと、それによる
金融機関対策の打開を話すつもりです。

実際、大手の下請のような形で受注製作しているケースでは、元請先に日報を
提出しており、提出する日報や工程表、管理表を用いることで、税理士が
関わっている一般的な中小企業でも工事進行基準への移行は十分に可能です。

私がクライアントに提案している話は金融機関対策の一環と業務管理の
有効性の向上を目的に導入可能な会社に対して導入を進めています。

現状では、中小企業会計基準チェックリストが真の意味では機能しておらず、
今年4月以降開始事業年度からは、工事進行基準を適用していなければ、
会計基準への準拠をNOにしなければならないはずです。
そこを金融機関も税理士もあまり気付いていない気がします。

ここで書いてしまったので、ネタバレしてしまいましたが。

ただ、税法は請負期間1年以上の10億円以上のプロジェクトについて、
工事進行基準の適用ができる場合に強制適用を求めるのみですので、
多くの税理士は従来どおりの税法基準に従いたいのでしょう。

しかし、すでに会計基準は1年半以上前に変わっているんですね。

中小企業会計基準のチェックリストが機能するためには、多くの税理士が
積極的に新しい制度の効果的な利用法を研究するとともに、金融機関も
新しい会計基準がどう変わっているのか、少なくとも、融資課に配属された
銀行員だけでも、しっかり勉強して頂きたいものです。

私は大学の後輩の銀行員に「税理士に騙されるな」と言い続けています。
会計手法を駆使して、合法な金融機関対策をしているのならばまだ分かります。
ただ、金融機関対策と称して、怪しげな方法を使っている方も見受けられる
ようです。
節税対策も然りで、怪しげな方法を使うから、税務調査で否認されるのでは
ないですか?
税務署が無理難題を言ってくることもあるでしょうが、自信があるなら
処分できるだろうし、こちらも修正に応じる必要はないはずでしょう。

工事進行基準も客観性の無いヌエ的な会計手法で、国際的潮流も理解できるが、
我が国の取引慣行に則った工事完成基準の有効性も感じている。
特に世界に類を見ないゼネコン方式が確立している我が国の実情に合わない
工事進行基準を原則的な方法とした会計基準には素直に納得している
わけではないが、基準が変わった以上、それに対応する方法を考えるのが、
プロフェッショナルとしての専門家の役割であると考えるところだ。


朝鮮中央会館事件最高裁判決を受け思うこと
2009.08.15

東京都が、平成14年度まで課税していなかった朝鮮中央会館の土地建物に
対する固定資産税を平成15年度より課税処分をしたことの是否を争った
調整中央会館事件の最高裁判決が8月12日に下された。
判決は、地裁から一貫して都側の全面勝訴。
挑戦中央会館の建物のうち、ビザ発給業務に関する部分を除き、固定資産税の
減免自由となる公益のための施設としてではなく、在日朝鮮人の権利擁護団体
としての活動のために使用されている施設と認定された。
判決の内容は地裁から変わりがないので、東京地裁平成19年7月20日判決
(TAINZコードZ999-8184)の判示を紹介しよう。

1 都税条例134条1項2号は、固定資産税の減免ができる固定資産の
1つとして「公益のために直接専用する固定資産」を掲げている。
「公益のために直接専用する固定資産」とは「公益のため」すなわち、
不特定多数の者の利益のため、「直接」「専用する」固定資産、すなわち、
不特定多数の者の「直接の使用又は利用に専ら供されている」固定資産を指し、
そのような固定資産については、公益性が明白であるから、減免の対象
とするという趣旨であり、たとえば公益性のある団体の所有する固定資産で
あっても、それが特定の者によってのみ使用されているようなものは
公益性の有無や程度が明白とはいえないので、これには含まないと解する
のが相当である。
2 本件各不動産が不特定多数の者の直接の使用又は利用に専ら供されている
ということは到底できず、他に、本件各不動産が、不特定多数の者の利益の
ため、不特定多数の者の直接の使用又は利用に専ら供されている固定資産
であると認めるに足りる証拠はないから、本件各不動産は、都税条例
134条1項2号の「公益のために直接専用する固定資産」に該当しない
から、同号該当を理由に本件各減免不許可処分の違法をいう原告の主張は
理由がない。
3 都税条例134条1項4号は、公益上の理由により固定資産税の減免を
行う固定資産については、同項2号に掲げるものを除き、知事が公益上の
理由の有無や程度を判断して規則に定めるべきことを委任した規定と
解されるところ、これを受けた本件規則31条は、1項において「特別の
事情があると認められる固定資産」を掲げるとともに、2項において、
当該固定資産に対する固定資産税の減免は、「当該事情を考慮して知事の
認めるところにより減免する。」と定めている。
そして、何が1項にいう「特別の事情」に当たるかは本件規則に定めて
いないところ、そもそも公益上の理由は、その性質上、一般的な類型化は
困難であり、その有無や程度の判断は、最終的には固定資産税の減免によって
その時々における一定の行政上の目的を達成しようとする課税庁の合理的な
裁量によらざるを得ないことから、本件規則は、あらかじめこれに該当する
固定資産を類型的に列挙するのではなく、個々具体の減免申請に対する
知事による個別の合理的な裁量判断に委ねたものと解される。
4 本件基準は、このような課税庁の裁量権行使の基準を行政の内部において
定めたものと位置付けることができるものであり、その内容自体に格別
不合理な点は認められないから、課税庁が、本件基準〔(ア)課税することが
建前であるが、社会通念上、課税することが明らかに不合理であり、かつ、
近い将来において、非課税の立法措置がとられる可能性の強いもの、
(イ)固定資産の使用実体等が、都の行政に著しく寄与すると認められ、
減免措置に対して、都民の合意が容易に得られるもの〕のいずれの事情も
認められない固定資産について、本件規則31条1項の「特別の事情があると
認められる固定資産」に該当しないと判断することは、上記裁量権の行使
として是認することができ、裁量権の逸脱濫用に当たらないというべきである。
5 被告らの主張では、旅券発給業務の用に直接供している部分について
「特別の事情」を認めた理由は必ずしも判然としないが、平成15年度
減免処分に係る東京都主税局長のりん議回答書に添付された「りん議回答の
起案理由(乙12)」には、旅券発給業務について都民の合意が容易に得られる
ものと判断される旨の記載があることからすると、本件基準 の(イ)の
事情に該当することを理由とするものと解される。
6 本件各不動産のうち旅券発給業務の用に直接供している部分以外の
部分について、本件基準の(ア)及び(イ)のいずれの事情も認められず、
本件規則31条1項の「特別の事情があると認められる固定資産」に該当
しないとした処分行政庁の判断に裁量権を逸脱濫用した違法は認められない
から、本件各不動産が全体として同条項に該当することを理由に本件
各減免不許可処分の違法をいう原告の主張は理由がない。


本件は、東京地裁平成19年7月20日判決を経て、東京高裁平成20年
4月23日判決で控訴棄却、最高裁平成21年8月12日判決で上告不受理
で東京都全面勝訴が確定した。

それまで課税が減免されていた施設に大きな変更が加えられていないにも
かかわらず、突然課税されたことから起きたこの事件を他人事と考える
ことはできない。
このようなケースは多々あり、古くは最高裁昭和33年3月28日判決
(パチンコ球遊器事件)、近年でも固定資産税の土地の評価額がそれまでの
地価の2~3割で評価されていたものが、平成6年の評価替えにおいて
突然7割評価とされたことを巡る最高裁平成15年6月26日判決、
それまで一時所得であるとされていた課税実務を通達の変更のみで
給与所得とすることとされたことを巡る最高裁平成17年1月25日判決
(ストックオプション事件)など、枚挙に暇がない。

共通するのは、法律ではなく、通達や課税実務が変更されたことによる
突然の課税処分である。
ただ、最高裁平成15年6月26日判決以外の多くの判決が、当該変更が、
法が求める趣旨への正しい是正であることを理由に課税庁勝訴判決である。
確かに、今日紹介した朝鮮中央会館事件についても、それまでの課税実務が
課税の減免対象ではない施設を誤って減免対象としてきたことを是正した
ケースであり、判決を支持するところであるが、突然の課税処分についての
課税当局の説明不足が訴訟にまで至る原因ではないのかと考えるところだ。

租税法律主義の重要な機能として予測可能性の確保が挙げられる。
特に、国民に不利な取扱いの変更については、十分に説明責任を果たした上で、
適正な処理を行うことが要求されるところである。

裁判所がパンクするほどの訴訟の嵐を課税庁側の恣意によって引き起こされて
しまっては大問題だ。
近年の税務訴訟の勝訴率の急騰も、課税庁側のムリな課税の結果ではないかと
考えているところである。
かつては、「税法も法ではないのか」と疑いたくなるほど、法曹界の人間は
税法を知らなかったが、税法がロースクールで選択必修科目に採用され、
司法試験の選択科目にも採用された現在では、弁護士も裁判官も税法を
きっちり理解している方が増えつつある。
今後は間違いなく増加してくるであろう。
そうなれば、課税庁がムリな課税をすればするほど、税務訴訟の勝訴率は
不幸なことに高まっていくことになろう。
予測可能性が確保できなければ、必然的に訴訟が増加し、その勝訴率の
上昇も容易に予想できてしまうのだ。

税務訴訟の勝訴率が高まることは実に不幸なことだ。
税務署では解決できず、審判所でも解決できず、裁判所でようやく不当な
課税から開放されるということは、税理士や弁護士に支払う無駄な経費と
貴重な時間が無駄に浪費されてしまうことになるからだ。
この労力を事業に投資することができれば、どれだけ社会貢献できるのか。

勝って嬉しいのではなく、虚しいのだ。
なぜそんな無駄な訴訟をしなければならないのか。
なぜ、異議申し立ての時点で是正できないのか。
そんなに処分した者のメンツが大切なのか。

ひとえに課税庁側の説明の不備に原因があると思う。
納得できないから訴訟にまで至るわけでしょう。
納税者が納得できる説明ができないなら課税するべきではない。
少なくとも最高裁まで全面的に課税処分維持ができる処分ならまだ納得できる。
だから私は修正申告には原則的に応じないのだ。

本当に自分の処分に根拠があるなら、堂々と処分するべきではないのか。
失敗したときには処分した者の責任が追及されようとも、理由があるなら
何を恐れるのか。

裁判員制度が導入され、裁判制度が注目される中、税務訴訟に潜む問題の
根の深さを改めて感じているところです。


ばらまかないみんなの党?
2009.08.14

「みんなの党」が発足して1週間、自民対民主の構図が鮮明になる中、
自民とも民主とも異なる政策を打ち出し、国民に浸透させなければ、
埋没してしまう危機に直面している。
この構図は、無所属で闘うことが決まった平沼グループどころか、
国民新党や社民党、共産党さえ巻き込まれる形になっている。
13日16時3分時事通信社記事はこう報じた。

みんなの党の渡辺喜美代表は13日午後、都内の日本外国特派員協会で講演し、
衆院選への取り組みに関し「民主党が大量に票を取ると、キャスチングボート
の(役割を果たす)可能性がなくなる」と懸念を示した上で、「ばらまきの
民主党か、ばらまかないみんなの党かという選択を提示する」と述べ、
民主党との違いを訴えていく考えを強調した。
目標議席については「少なくとも(五つの)現有議席は上回らないといけない」
と語った。


「ばらまかないみんなの党」とは良く言ったものだ。
自民党が民主党を批判するのに用いるバラマキを逆手にとって、改革を
標榜する方向性を示しながら、民主党との違いを鮮明にできる点で、
ウマいコピーだと思う。
ただ、国民に理解されるかはビミョーですね。

私は今回の選挙では、こういったミニ政党がどう闘うかに注目している。
民主党の圧勝に終わり、民主党単独政権が誕生することを恐れるからだ。
来るべき民主党政権が上手くいき、4年間鳩山政権がもってくれれば
杞憂に過ぎないであろう懸念であるが、万が一上手くいかずに崩壊した場合、
連立政権であれば、連立の組みなおしということも考えられようが、
単独政権であれば、今回の自民党の安倍、福田、麻生の首相たらい回しと
同じ様相を呈する危険があるからだ。
今回の選挙に向けて盛り上がりを見せる政治参加の動きにブレーキをかけ、
最悪のケースでは、民主党に致命的なダメージを与えかねないからだ。
ようやく可能性として見えてきた政権交代可能な2大政党プラスαの構図が
崩壊してしまえば、日本新党ブーム後の混迷の二の舞になる。
それだけに、民主党単独過半数ではなく、国民新党、みんなの党、新党大地、
新党日本、平沼グループといった保守系野党との連立政権になることを
期待している。
自民・公明の巻き返しによる政権維持であれば、それもありでしょうが、
いずれにしても、衆議院第1党と少数政党との連立政権が望ましいと思う。

「みんなの党」に注目するのは、個人的な理由もある。

女性初の官房長官として女性議員をリードしてきた森山元官房長官が、
栃木3区(渡辺喜美みんなの党代表の選挙区)から公認候補で立候補する
のではないか、とのニュース後、地元の反発を受け、公認辞退に発展。
結局、昨日13日、森山氏は政界引退を表明した。
高齢という理由もあるが、政界に長く貢献し、女性の社会進出の象徴の
1人であった森山氏の引退表明にしてはあまりに寂しい気がする。
森山氏の意思を受け継ぐためにも、渡辺氏には改革の火を燃やし続けて
頂くのは当然として、各地の女性候補たちには健闘を祈るとともに、
当選直後からイバラの道が待っていることの覚悟を決めて、国民のために
一生懸命勉強して頂きたいと思う。

また、高校時代の同級生が、不祥事による都議辞任後1年半を経て、
再起をかけてみんなの党の公認候補として立候補する。
托鉢修行で生まれ変わった彼の姿を有権者にどう評価されるのか、
注目して見ていきたい。
他の人が気付かないところに気が付く稀有な才能とNHK特派員時代に
揉まれたフットワークの良さを活かした行動力に期待したいところだ。
私は、妻の父が私の支持政党の公認候補である対抗候補の熱心な支持者
である関係で、彼に投票することができないが、今回の選挙でどれだけの
票を集められるかで、彼の将来も変わってくるであろう。

いろんな意味で、みんなの党には注目していきたい。


麻生・鳩山党首討論を受けて、消費税問題を考える
2009.08.13

麻生首相と鳩山代表の党首討論が昨日12日開催された。
これまでの攻防とは異なり、攻められっぱなしだった麻生首相が、
民主党のマニュフェストの内容に対して財源問題を強く印象付けるよう
攻めに転じていたことが特長だったようだ。
12日23時24分asahi.com記事はこう報じた。

麻生首相と民主党の鳩山代表による党首討論が12日、東京都内のホテルで
開かれ、マニフェスト(政権公約)で掲げた政策を実現する財源や
外交・安全保障政策などが主な論点になった。
首相は「財源なきばらまきは無責任」と民主党を批判。
鳩山氏は「(政府・与党は)無駄遣いを放置してきた」とし、予算組み替えで
捻出できると反論した。
討論は学者や財界人らでつくる「新しい日本をつくる国民会議」
(21世紀臨調)の主催。
約1時間半行われた。衆院解散後、両氏が一対一で討論するのは初めて。
討論前の冒頭発言で首相は「民主党との一番の違いは責任力だ」と強調。
「これ以上、借金を子や孫の代に先送りするわけにはいかない」として
4年間消費税を引き上げないとしている民主党を批判した。
鳩山氏は「今回初めて政権を選べる選挙になる。国民が総参加して
政権選択をしてもらいたい」と訴えた。
討論で首相は、民主党の主要政策の子ども手当や高速道路無料化、
農家戸別所得補償の財源のあいまいさを追及。
鳩山氏は「財源は心配していない」と述べ、ダム事業などの中止や延期、
無駄遣い廃止、官僚の天下り先の予算削減で9.1兆円を確保できると反論した。
全額消費税で賄う民主党の最低保障年金に関連し、首相は現行の基礎年金
給付20兆円に対し、消費税収が13兆円しかない現状を指摘。
「年金給付を大幅にカットするか、消費税率をよほど上げないと、
全額税方式は実現できない」と迫った。
鳩山氏は将来の消費税引き上げの必要性を認め、「20年かけて徐々に
移行させる。1年1年における消費税負担がぐっと増えるわけではない」
と説明した。
外交・安保で首相は、北朝鮮制裁の貨物検査法案の廃案について、民主党が
審議に協力しなかったためと批判。
鳩山氏は与党の国会提出が遅かったためと反論し、「政権をとっても進めたい」
と民主党政権下で成立をめざす方針を明らかにした。
インド洋での補給支援は「アフガンの平和に資するか疑問」と単純延長は
否定しつつ、外交の継続性は重視する考えを示した。
鳩山氏は、自民党がマニフェストに(1)10年度後半の年率2%の経済成長
(2)消費税率引き上げを含む税制改革を経済状況の好転後遅滞なく実施
と明記したことの論理的結果として「11年には消費税を増税すると解釈
してよいか」とただした。
首相は「景気対策をやり遂げ、そのうえで消費税を上げられる環境を
作り上げなければならない」と時期は明言しなかった。


今回の党首討論における秀逸の攻めは、年金制度の全額税方式への移行を
巡る消費税財源の必要性であろう。
生活者保護を最優先政策に掲げる民主党の財源政策の矛盾を突いた点で、
現行の基礎年金給付が20兆円あるところ、現行の消費税歳入がわずかに
13兆円しかないことから、民主党の主張する全額消費税を財源とする
最低保障年金をカバーできない点を指摘し、4年間消費税を増税しなくても
財源が確保できるとする民主党の主張の矛盾を指摘したのだ。

とすると、民主党政権が誕生すると、自動的に年金給付額が35%カット
されるということになるのだろうか。
財源問題を俎上にのせず耳障りのいい政策を主張することはまさにバラマキ。
麻生首相のブレどころの騒ぎではない。
生活維新を主張した小沢体制のときからの主張の改悪を一切の説明もなく
変えてしまったとしたら、これ以上のブレはないのではないのか。
それとも、鳩山氏は党の政調会から何も聞かされていない裸の王様なのか?

私は、税の研究者の端くれとして、所得課税の景気変動に対する脆弱性を
カバーするためにも、消費課税を強化すべきだと考えているし、何よりも
長期的に安定した財源の確保が絶対的に必要な社会保障費や医療関係費の
財源については、景気変動の影響を受けにくい消費課税、特に消費税を
強化すべきだと考えている。

経済成長を続けている若い社会なら、高齢者が増加してもその負担を
カバーできるほどの所得税や法人税による歳入が確保できるはずだが、
(中川氏や小池氏が目指す、いわゆる上げ潮派の財源はココ)
経済成長の原動力である若年層が急激に減少しつつある我が国に、
その原動力となる若年層の労働力はない。
したがって、高所得者層が減少していく一方で、必然的に低所得者層となる
若年労働者が高所得者層にシフトしていく時期でも、高所得者層の減少の
スピードの方が速くなるであろう。
所得課税による税収の伸びは短期的にはあり得ようが、中長期的には
必然的に税収の減少を招くことになる。
しかし、高所得者層から年金収入等のみになり低所得者層にシフトする
退職サラリーマン層が増加するのだから、年金給付を含む社会保障費と
医療関係費の財政負担が増加することは必然的なのだ。

制度設計を含めた抜本的な税制改革を4年間凍結するということは、
所得課税に頼る税制構造を4年間維持し、問題解決を先送りすることであり、
既に遅きに失している我が国の抜本的税制改革を先送りすることは、
致命的になりかねない大問題ではないだろうか。

消費税を必ず増税しろと言う気はない。
来るべき民主党政権下の4年間においても抜本的な税制改革の議論を
着実に推し進め、もし本当に必要であれば、鳩山政権下においてでも
消費税増税を決断すべき場合もあり得るとなぜ言えないのか。
民主党に期待しつつも、鳩山氏に若干の不安を隠せないのは、この点にある。

理想主義者の鳩山氏に対して、本当に厳しい現実が突きつけられたときに
どう対処していくのか。
現実路線を受け入れるだけの度量を感じられないのは私だけではあるまい。

しかし、もし鳩山政権が倒れてしまったときに、解散総選挙を選択せずに、
総辞職のみで次の内閣が誕生した場合には、小泉元首相辞任後の安倍、福田、
麻生と三代続いた選挙を経ない内閣を批判し続けた民主党も同じ道を歩む
ことになり、我が国国民の政治不信はますます酷くなろう。

特に問題が起こらずに無事に次の選挙まで鳩山民主党政権が維持されれば
良いのであるが、我が国国民は期待を裏切られたときの過剰反応が大きい
だけに(私はその原因が発言に責任を持つ気のないテレビキャスターの
不必要で不用意な発言にあると考えている)、民主党が壊滅的なダメージを
受けてしまうことを心配する。
野合により政権を引き受けてしまったばかりに内部分裂を起こし、崩壊した
社会党の二の舞にならないことを切に願うばかりだ。


静岡沖地震で、高速崩落、その影響は?
2009.08.12

静岡沖地震の影響が夏の帰省ラッシュを直撃することになった。

東名高速の崩落事故の影響で静岡IC以西は通行止めが続き、ETC割引が
再開される13日0時には復旧しない見通しだと言う。
復旧見通しは13日午後になるとのことで、当初予想されていた渋滞のピーク
13日午前3時にも間に合わない公算が高いという。
そうなると、予想されるのは名古屋から中央高速へ迂回するルートであり、
中央高速の記録的な大渋滞の危険性を孕んでいる。

東名高速はまさに日本の大動脈である。
しかし、下り線の崩落はかなり大きく、その被害は甚大である。
上り線だけでも早急の復旧が求められるところであるが、上り線を双方向に
しての1車線での復旧も視野に入れているものと考えられる。

下り線側に盛り土を入れ、斜面に土止めのコンクリート土台を構築する
必要がありそうな画面での様子からすると、完全復旧するには、少なくとも
2-3ヶ月はかかりそうな感じですね。

正直、あの状態で重機を入れて大丈夫なのか、という心配さえせざるを得ない
崩落現場である。

観光への影響もさることながら、週明けからの日常業務における物資運送にも
影響は避けられないであろうから、全ての公共事業を止めてでも、大至急の
復旧が、我が国経済の活性化のためにも必要だと考えられよう。

しかし、こう言ってしまうと他人の不幸に便乗してしまうようで、非常に
心苦しいが、復旧工事という大規模の公共事業が、一時的にせよ、日本経済
復活への起爆剤として機能するのではないかと、期待したい気もしている。


ところで、私たち親子はETC割引に沸く遠くの観光地ではなく、近場の
海辺として真鶴の岩海岸に行ってきましたが、台風の影響を受けつつあった
ため、けっこう波が高かったですね。
それなりに楽しめましたが。
宿泊は真鶴の料理民宿ともみ。
民宿ですからアメニティは期待できませんでしたが、期待していた料理は最高。
地付きの魚を堪能してきました。アジ刺しが最高でしたね。

金曜日でも予約できましたので、結構近場は空いているなあと実感。
当日の宿泊も、私たち親子ともう1組だけでした。
日曜の宿泊でしたので少ないことを想定していましたが、ここまでとは。

まだ週末の予定が決まっていない方には、近場の小旅行もいいものだと、
オススメしたいところですね。


21世紀の幸せ、夢、お金の考え方
2009.08.09

週末15日土曜日に、注目のセミナーが開催される。

「21世紀の幸せ、夢、お金の考え方―大不況時代でも成功する方法―」
講師に本田健氏、澤上篤人氏、早川周作氏にて、東商ホールで開催されます。
詳細は以下のHPにアクセスして頂きたい。
http://www.seminars.jp/user/seminar_d.php?sCD=28460

「ユダヤ人大富豪の教え」等の著書で知られる本田健氏、
当代きっての投資ファンドマネージャー澤上篤人氏、
ベンチャー支援で活躍する行政書士の早川周作先生。

この3人がコラボするセミナーというのは、実に貴重な機会だ。

私自身は参加できない可能性が高いセミナーをご紹介するのも変な話ですが、
皆様の成功のきっかけになって頂ければ幸いです。

早川先生とは、ある異業種交流会がきっかけで知り合い、早川先生が主催する
ベンチャーマッチング交流会には時間があう限りできるだけ参加させて
頂いています。
また、経済産業省が後援するNICeにも、早川先生のご紹介で参加する
ようになりました。
それぞれについては、以下のHPをご参考にして下さい。

ベンチャーマッチング交流会は早川先生の事務所のHPから入って下さい。
 http://www.jlh.jp/
企業支援ネットワーク NICe http://www.nice-vec.jp/

私の考えでは、この夏が転機になって、時間がかかるだろうけれども
どん底から抜け出してくると考えていますが、このセミナーを含め、
後ろ髪のないチャンスを掴み取って頂きたく思います。

暑い夏に仕込んだ汗の量が意味を持つことを願って。


学生の就活支援に大手予備校が参入、で思うこと
2009.08.08

学生の就職支援にとうとう大手予備校が算入してくるようです。
7日21時28分asahi.com記事はこう報じた。

進学予備校の河合塾(本部・名古屋市)は、大学や専門学校などの
学生向けの就職支援講座を民間調査会社の矢野経済研究所(東京都)と
共同で8日に始める。
就職活動で複数の企業から内定を得る学生がいる一方で、不況の影響で
全く得られない学生もいて、「内定格差」が広がっていることから、
希望する業界の研究を通して「就職力」を身につけてもらうのが狙い。
講座は業界ごとに開かれ、第1弾として8、29の両日は河合塾KALS
新宿校でファッション業界を取り上げる。
講座は1回3時間で3千円。
同研究所が持っているデータを生かして、業界の構造や注目企業を学ぶ。
漠然とした業界のイメージで就職活動に臨むのではなく、学生に目指す
企業と仕事内容のターゲットを絞ってもらうのが狙いだ。
河合塾の担当者は「小手先のテクニックでは就職できない時代。
自分がやりたい仕事は何か、講座を通じて徹底的に考え、本物の『就職力』
を身につけてほしい」と話す。
今後は商社やIT業界など学生の人気業界をテーマに講座を開いていくという。
問い合わせは河合塾ALUMNI事務局(03・6811・5543)。


大手予備校河合塾が就職支援に乗り出すという。
その目的には、自分がやりたい仕事は何かを考えさせることにもあるようだ。
しかし、自分のやりたいことを自分で見つけられないことが根本の問題で、
受身型の学生に講座を通じて何がやりたいのか、何ができるのかを
考えてもらうのは、本末転倒のような気がする。

ただ、今の大学教育の現状では、学生が自分のやりたいことを見つけるための
支援をしていくのは困難であろう。
私はかなり説教じみた話を講義の最初の1/3くらいを使って話しているが、
どこの学校でも化けるヤツはいるものです。

特に私が教えている国士館大学や専修大学は、大学受験で第一志望校
として入学してきた学生が少ない、受験の負け組が多いわけです。
学校というブランドが就活に活かせる大学ではないんですね。
それであれば、人間力を磨いて、大学時代に磨いた力を就活で示せなければ、
大学受験のリベンジなど果たせるはずがないんですがね。

残念ながらそこに気付いて意識を変える学生は僅かしかいないようです。
負け組からの脱却を図ってもらいたいから暴言も吐くんですがね。

私のゼミでも今年も春先早々に内定を採って公務員試験に集中した者がいた
ように、今年は自己認識ができていて意識が高い者は内定が早く、逆に、
痛い目を見ても自己分析さえしていない者は、長引く傾向にあるように思います。

リクルートの就活セカンドステージに人が殺到しているにもかかわらず、
今年は人材難の中小企業からも内定がもらえない学生が多いようです。

企業はボランティアではないですし、人を育てている余裕がない現状で、
即戦力を期待できない新卒の学生はいらないんですよね。

それも、この時期まで就活をしてきたにもかかわらず、自分が見えていない
学生なら余計そうですね。
なかには、就活で痛い目を見て、劇的に変われる学生もいますが、多くは、
どうせ国士館だから・・・とわけに分からない理由を口実に逃げてしまう。

どうせバカだから・・・のままで、ビッグになれるはずがないでしょう。
一生人にこき使われて、一生年収300万円以下で人生を終えて下さい。

変わる気がないヤツに何を提供してもムダ。

私のゼミにもまだ就活で苦戦している学生は確かにいる。
しかし、彼らは少なくとも役員面接まで辿り着いて、最後の篩で落ちている。
苦戦はしているが、中小を含めて就活に積極的に取り組みだしている。
自覚するのが遅すぎた感はあるが、夏休み中に決めてくれるだろう。

私も偉そうなことを言える立場にないことは百も承知の上だ。
私より大学時代の成績が悪かった大学教員を探すことは至難の業であろう。
正直な話、まともに勉強を始めたのが大学3年からなのだから仕方がない。

要は自覚するのが遅かっただけなのだ。

勉強しようと思えば、何歳からでも始められる。
私の教え子には60歳を機に勉強を始め、大学院に進学した猛者もいる。

変わろうと自覚したときがスタートなのだ。

学生にとっての最大の転機となる就活の苦戦を見るにつけ、変わるチャンス
だと思うのだが、皆様はどう思われるのだろうか?


裁判員裁判、判決下る
2009.08.07

裁判員制度を適用した最初の判決が6日、東京地裁で下された。
初めての裁判員を経験した7名のコメントを見ると、無事に終えて
ほっとした様子が見て取れる。
7日1時28分YOMIURI ONLINE記事はこう報じた。

全国第1号の裁判員裁判となった東京都足立区の路上殺人事件で、殺人罪に
問われた無職藤井勝吉被告(72)の判決公判が6日、東京地裁で開かれた。
秋葉康弘裁判長は懲役15年(求刑・懲役16年)を言い渡した。
判決後、最後まで審理に立ち会った裁判員6人と、補充裁判員1人の全員が
記者会見し、「大役を終えてほっとしている。次の人も嫌がらずにやって
ほしい」などと語った。
判決は、争点になっていた殺意の強さについて、藤井被告がサバイバル
ナイフを被害者の上半身に3回にわたって深く突き刺したことなどから、
「被害者を死亡させると分かりながら、強い攻撃意思を持っていたと
認められる」と強い殺意があったと認定。
「結果は重大で、動機は身勝手。刑事責任は重い」と述べた。
判決後、7人が約1時間、同地裁で記者会見に臨んだ。
7人は、いずれも氏名は明かさなかったが、職業、年齢を明らかにした。
職業は会社員が3人いたほか、ピアノ教師、栄養士、契約社員などで、
年齢は38歳から61歳だった。
裁判員を務め終えた感想については、契約社員の女性(38)が、「私のような
一般の女性が参加できるか不安だったが、裁判官やほかの人たちと一つの
ことを成し遂げて、一段落ついた気持ち」と語った。
裁判手続きや検察、弁護側双方の立証に対しては、全員が「分かりやすかった」
などと回答。
特に、モニターを使ったり、冒頭陳述の内容を1枚の紙にまとめたメモを
提供したりした点は好評で、女性栄養士(41)は、「学校の授業で配られる
ような資料で、分からないことはなかった」と述べた。
今回の審理期間については、今回の事件に限れば4日間が適切という声が
大勢を占めた。
刑を言い渡す負担については、「最後までこれで良かったのかは分からないが、
決めなければならない。つらい部分も感じている」(50歳の女性会社員)、
「色々と話し合う中で気持ちが揺れる。心が揺れて大変だったなと思う」
(51歳の女性ピアノ教師)と、多くの人が裁くことの重圧を訴え、中には
「昨晩は判決や評議のことを考えて午前3時ぐらいまで眠れなかった」と
話す人もいた。
これから裁判員になる人に対しては、アルバイト男性(61)が、「裁判所に
対して市民の声が反映される制度。個人個人が声を上げていかないと
社会は変わらない。嫌がらずにどんどんやってほしい」、補充裁判員だった
会社員男性(38)が「自分自身の成長の場になると思う」と呼びかけるなど、
全員が今回の経験を肯定的に受け止めていた。
秋葉裁判長は判決後、「裁判員、補充裁判員の方々には熱心に審理や評議に
参加いただき、大変感謝している。裁判官と裁判員とが一つになって
裁判を行うという裁判員制度の目的にかなった、充実した裁判であったと
考えている」とするコメントを出した。


これまで法曹資格者に独占されてきた司法が、規制緩和の一環でもあろうが、
裁判員制度の導入を機に、一気に開放されることになった。

一昨日の裁判員からの質問について、被告弁護人から、法曹の常識からは
考えられなかった質問との趣旨のコメントがあったが、良くも悪くも
市民感覚が法廷の場に持ち込まれたことは評価されよう。

ただ、裁判員制度が本当に機能するかは、今後の課題になろう。

今回の審理は、事実関係に争いがなく、量刑のみを判断すればよいもので
あったが、多くの裁判は、事実認定の時点から争いがあり、何が事実なのか、
地裁と高裁の判断が異なるケースも多々見受けられるのが実情である。

そうなると、法律の知識の無い一市民が事実を誤認した場合に、冤罪を
産んでしまうケースが想定される。

ニュースで容疑者として報道された場合、容疑者=犯人と誤認して、
悪いヤツとの先入観を持ってしまうのが、一般市民の感覚であろう。
しかし、容疑者はあくまで容疑者であって、犯人ではない。
犯人であるかどうかの判定が裁判所の役割である。

ここに市民感覚が持ち込まれることは果たしていいことなのだろうか。
私は若干の危惧を感じている。

それに証拠調べに相当の時間が必要な事件もあろう。
裁判員が拘束される日数は今回は4日間の集中審議だったから短かったが、
重大事件であれば、それこそ数ヶ月に及ぶことも想定されるのではないか?
裁判員は専門の裁判官と違い仕事を休んで法廷に出ているのだ。
裁判の長期化は裁判員制度の根幹を揺るがしかねない事態である。

しかし、裁判員制度を維持するために、集中審議を強行することに
適さない性質の事件も多い。
むりに強行すれば、それこそ冤罪を産みかねない。
そこにジレンマがある。

裁判員制度の導入には一定の評価をするところであるが、それは量刑の
判定に限られるべきではないか、と私は思う。

そして、開かれた裁判所に対して、国民の目がキチンと向けられ、
おかしな判決を下す市民感覚からかけ離れた裁判官を駆逐できれば
いいのでは、と思うのだ。

私自身は思想的な理由と守秘義務から裁判員要請は辞退するつもりだが、
司法が開かれたものになること自体は否定するつもりは無い。
むしろ歓迎すべきことだと思う。

とりあえず無難にスタートした裁判員制度の今後に注目したいところである。


西松建設不正献金の原資に使途秘匿金課税
2009.08.06

小沢前民主党代表の第1公設秘書であった大久保氏の逮捕にまで発展した
西松建設不正献金事件の原資を巡り、国税当局は約5億円の所得隠しを
指摘、うち半分に当たる2.6億円を使途秘匿金として認定したという。
6日3時asahi.com記事はこう報じた。

準大手ゼネコン「西松建設」(東京)が東京国税局から約5億円の所得隠し
を指摘され、うち約2億6千万円を「使途秘匿金」と認定されたことが
分かった。
大半は海外事業でつくった裏金をめぐるもので、国内外での工事受注の
工作費に充てられていた模様だ。
同社は「当局の指摘を受け入れることにした」としている。
同社は既に重加算税や地方税などを含む追徴税額が約6億3700万円に
上る見通しだと明らかにしている。
同社が5月に公表した調査報告書などによると、同社は香港などに設立した
複数のペーパーカンパニーを通じて工事費を水増しするなどして約9億円の
裏金を捻出した。
国税局はこのうち時効にかからない08年3月期までの7年分を調査。
東南アジアの工事で架空外注費を計上したり日本に持ち込まれた裏金が
本社の収益に計上されなかったりしたとして、悪質な所得隠しだと
指摘した模様だ。
同社関係者によると、裏金の大半は国内での工事受注のための工作費や
地元対策費などとして、政治家関係者などに渡されたという。
しかし同社は支払先を明かさなかったため、国税局は使途秘匿金として
通常の法人税に加えて40%の制裁課税をしたとみられる。
裏金のうち約8千万円は使われず、プールされていたという。


この記事で注目したいのは、一番最後の文章の、国税当局に悪質な所得隠しと
指摘されながら、支払先を明かさない使途秘匿金として認定されたことである。

西松事件における国澤被告の証言からすれば、使途秘匿金課税はないかなと
思っていたので、ちょっと意外な感じがしました。
ひょっとすると、大久保氏ルートや二階氏ルート以外にも不正献金が
あったのかと疑いたくなる結果ですね。

ただ、現経営陣からすれば、不正献金を行っていた旧経営陣から具体的な
話を聞かされておらず、資料も与えられていなければ、支払先を明かさない
ではなく、明かしたくても分からない、が実態だったのかもしれません。
そうであれば、使途秘匿金課税されたことは旧経営陣の背任に当たる
可能性は否定できませんね。
資料を現経営陣に示してあれば、使途秘匿金の認定かつ重加算税を免れた
可能性が否定できないからです。

現在進行形でご相談された事例においても、旧経営陣の不正のために
税務調査で苦境に立たされている経営者がいらっしゃいます。
実際、旧経営陣の不正行為について背任罪での刑事告訴を検討されている
とのことでした。
不正行為に基づく取引を税務調査で否認をチラつかされているらしく、
法人の取引ではなく、法人格を悪用した個人の取引が実態だったならば、
何も聞かされていなかった現経営陣と会社は救われるのですが・・・。
これが使途秘匿金認定を受けるとすれば、ヘッドハントされた現代取は
どこまでの責任を負わされるのだろうか。
実に不合理な釈然としない話です。

使途秘匿金課税は多くの場合、制裁課税に適した制度とは言えるのですが、
場合によっては不合理なことも併せ持っているキケンな制度であることを
国税当局にも認識してもらいたいところである。


米国に陳情に行く市長の航空券はエコノミー?
2009.08.05

改革を迫る市長に対する役人の前例主義の最たるものがこれだとは・・・
河村名古屋市長のアメリカ出張に際して、エコノミークラスでの出張を
主張する河村市長に対し、市側はせめてビジネスクラスでと争っているという。
3日23時38分asahi.com記事はこう報じた。

11日から米国出張に出かける名古屋市の河村たかし市長の飛行機の座席を、
エコノミーにするのか、ビジネスクラスにするかで、市長と担当部署の
市長室がもめている。
出張では米航空会社を訪れ、市長が中部空港発着の便数を減らさないよう
要請することから、市長室は「一番安いエコノミーで乗り付けるのは
好ましくない」とビジネスクラスの利用を迫る。
これに対し、市長も「安い方がええ」と譲らなかったが、出発を翌週に
控えたことから、市長室側はビジネスクラスでの航空券を発券した。
市条例では、他の指定市にならい、局長級以上はビジネスクラス、副市長、
市長ら特別職はファーストクラスが利用可能。
愛知県でも知事はファーストクラス利用が認められている。
3日の定例会見で河村市長は「一つの(政治姿勢の)シンボルとして
エコノミークラスで行くつもりです」と主張。
市長室側も、正規の航空券で比較した出張の全行程の航空運賃はビジネス
クラスが100万円なのに対し、エコノミーは46万円との試算を公表した後、
「健康面を考えても、ぜひ、ビジネスでお願いしたい」と呼びかけた。
出張で市長は米・アトランタのデルタ航空本社を訪れるが、同社傘下の
ノースウエスト航空は利用客の減少から、中部空港発着便の縮小が懸念
されている。
担当者は「同行する中部空港会社関係者もビジネスクラスを利用する。
横並びの観点からも市長には理解していただいた」としてビジネスで確定
したが、河村市長は朝日新聞の取材に対し、「自分はビジネスクラスを了解
していないし、発券したのも知らなかった。今後どうするかは分からない」
と反発したままだ。
出張は19日まで。
姉妹都市提携から50周年を迎えるロサンゼルス市も訪問する。
市長を含め5人が参加し、予算総額は約2千万円。


名古屋市側の説明が空港側関係者と横並びのビジネスということであるが、
本音のところは、市長がエコノミーを使ったとなると、少なくとも河村市政の
うちは全ての出張がエコノミーになることを恐れた市職員側の反発にある
ように感じるのは私だけではあるまい。

ただ、私は、防犯上の観点と、国際的な常識から、ファーストクラスでの
出張を市長にはオススメさせて頂きたいところだ。

機内に持ち込める危険物は限定されているので、機内での刺殺事件が起きる
とは考えにくいが、河村氏の改革姿勢に反発を感じる右翼勢力が手を出せる
環境に市長の身を置くことには、反対である。
市長という重職を担う上で、自身の主義主張の前に、公人だという自覚を
お持ち頂きたい。
その身に万が一のことがあれば、名古屋市政改革は潰えてしまうかもしれないのだ。
その意味では、緊縮財政の折、エコノミーにしたいという気持ちは嬉しいが、
ご自身の使命を大事にして頂きたいものである。

また、特に海外出張ということなので気になるところだが、外国の要人に
招かれてのものであれば、こちらの主義主張を貫くのは構わないのだが、
外国にモノを頼みに行く陳情の意味を含んだ出張だけに、受け入れ側の
常識にも配慮して頂きたいのだ。

オバマ大統領が、服を持っていないから、とジョークめかした弁明をせざるを
得なくなった、米大リーグオールスター戦始球式でのジーンズ姿さえ、
あれだけの騒ぎになるのである。
外国からエコノミーに乗って陳情に来たという報道がなされてしまえば、
完全アウェーを自ら作り出すことになるのだ。
名古屋便を捨てに行くような行動を阻止しなければ嘘であろう。

そういう意味では、体裁を整えているだけ、外面だけ、と批判されても、
ファーストクラスでの渡米が名古屋市民のために資することだと私は思う。

河村市長にしてみれば、市民向けのパフォーマンスの意味もあったのかもしれない。
しかし、それはあくまで改革に資する場合にすべきではないのか。

何もファーストクラスの利用が体裁だけの問題ではないのだと思うが、
いかがだろうか。
受け入れ側の感情を最優先に、バカにしたと誤解されない真摯な対応を求めたいところだ。


アコードシンポジウムご参加ありがとうございました
2009.08.04

アコード租税総合研究所の設立記念シンポジウムに参加して頂いた皆様、
シンポジウムの内容はご満足頂けましたでしょうか。
短い時間の中に色々と詰め込みすぎた感がありましたが、酒井所長をはじめ、
品川顧問、今村、玉国、吉村各研究主幹の皆様にご登壇頂き、
租税回避および納税者の権利保護に関する学者側の現状をご理解頂ければ
幸いに存じます。
正直なところ、各先生方のご意見がかなり異なるため、まとめようがない
シンポジウムでしたが、来春(できれば今年中)に向けて創刊を予定
している機関紙に、昨日のパネルディスカッションの内容も含めて、
ご紹介させて頂く予定でおります。
私は殆どの時間、受付におりましたので、間接的な形でしか聞くことが
できませんでしたが、機関紙のためのテープ起こしでもう一度確認しながら
聞かせて頂きます。

さて、アコードの今後の予定ですが、昨日と同様東京税理士会の認定研修を
予定しているものが年内に2回、認定研修を申請しないセミナーが2回
決まっており、国税通則法検討委員会と所得課税検討委員会は9月から
月1回のペースでスタートいたします。
詳しくは、アコードのHP
http://www.at-i.info/
を参考にして頂ければと思います。

スポンサーがいないお陰で自由な研究ができるのはありがたいですが、
その分、会員を増やしていかないと財政基盤が整いませんので、
(昨日も登壇者はそれぞれロハでご登壇して頂きました。感謝です。)
税理士や弁護士が実務に役立てられる実践的な研究を進め、セミナーを
開催することで、会員の増強を図って行きたいところです。

まずは、
9月14日月曜日18時30分~20時30分東京税理士会館2階会議室
「税務調査の法律問題―税務調査における具体的法律問題とその対処策―」
酒井克彦所長
(東京税理士会認定研修、会員無料、一般1000円)

10月19日月曜日18時30分~20時30分東京税理士会館2階会議室
「重要租税判例解析講座(導入編)―税理士業務に必須の重要租税判例の
解説及び分析―」酒井克彦所長
(東京税理士会認定研修申請予定、会員無料、一般1000円)

の2つの研修会が予定されています。
この研修については、当日での受付も可能です。

以下の基礎セミナーについては、先着50名様限定とさせて頂きます。
10月25日日曜日10時30分~13時スター会議室飯田橋
「加算税制度を理解する(1)―過少申告加算税等が問題とされる
典型例と限界事例―」酒井克彦所長
11月8日日曜日10時30分~13時スター会議室飯田橋
「加算税制度を理解する(2)―重加算税が問題とされる典型例と
限界事例―」酒井克彦所長
(資料代として、会員5000円、一般1万円、事前申込をお願いします)

各検討委員会についても、会員含め先着20名に限定させて頂きます。
国税通則法検討委員会 9月11日金曜日18時~20時
           10月9日金曜日18時~20時
           11月13日金曜日18時~20時(合同開催)
           12月11日金曜日18時~20時
所得課税検討委員会  9月28日月曜日18時~20時
           10月23日金曜日18時~20時
           11月13日金曜日18時~20時(合同開催)
           12月25日金曜日18時~20時
(会員無料、一般3000円、市ヶ谷の某社会議室、要事前申込)

アコードは来年、重要判例解析講座を全5回で開催を予定し、
この内容を元に、テキストを作成する予定でございます。
テキストについては販売する予定ですが、詳細は聞いておりません。

昨日司会を担当した秋山上席研究員(税理士・本所支部)とともに
事務局を担当している関係で、アコード中心で少し動いていました。


さて、私のほうも再来週、8月19日(水)には地元葛飾支部での
支部研修で講師をさせて頂くことになっております。
この時期でまだレジュメが完成していないのは問題ですが、
「ソフトウェア業における工事進行基準」について、クライアントが
取引先から要求されている仕様書に基づいて会計処理をすれば
自動的に工事進行基準の適用が求められるようになっていることを
踏まえて、できるだけ実務チックにお話させて頂くつもりです。

また、私自身はまだ日程調整中なので、参加できるか未定なのですが、
来週8月15日土曜日には、日本リーディング総合法務事務所の
早川先生が、「21世紀の幸せ、夢、お金の考え方」と題して、
本田健氏・澤上篤人氏とともに講演をされます。
8月15日(土)13時~16時東商ホールです。
詳しくは以下のHPにアクセスしてください。
http://www.seminars.jp/user/seminar_d.php?sCD=28460
この記事については、また後日ご紹介するつもりです。
まずは、ご紹介まで。

今月は、アコードにはじまり、今日はスタッフ全員が税理士試験に臨み、
明日は葛飾区役所で無料税金相談と、何かと予定が入っている8月です。

暑いですが、夏バテせずに、頑張っていきましょう!


アコード租税総合研究所創立記念シンポジウム本日開催
2009.08.03

いよいよ本日18時より、東京税理士会館にて、
アコード租税総合研究所の創立記念シンポジウムが開催されます。

すでに入会手続をお取り頂いた会員の皆様には、我々の設立趣旨に
ご賛同下さり、感謝致します。
また、入会手続はされないまでも、シンポジウムに参加希望でご連絡
下さいました税理士の皆様にも、感謝したいと思います。

私は、酒井所長が国士舘大学で教鞭を取られていることが縁となり、
何かとご指導頂いております。
アコード租税総合研究所の設立に至る発端は、日本税制研究所において
酒井先生を中心に行われた国税通則法検討委員会が、報告書をまとめ、
解散することにありました。

この検討会のメンバーを中心に、積み残した研究テーマや議論の俎上に
上った様々な論点を、何とか継続して検討できないものか、ということから、
自分たちで新しい研究会を立ち上げようという機運が高まったんですね。

私は国税通則法検討委員会のメンバーではなく(メンバーの先生方との
面識はありますが)、どちらかというと当局寄りに見られがちな方が多い
中では、異質な存在かもしれませんが、酒井先生から直接、手伝って
もらえないかとのお話を頂き、本所支部の秋山税理士とともに、事務局を
手伝わせて頂いております。

本日のシンポジウムでは、酒井所長の挨拶のあと、
品川顧問による基調講演「租税が抱える課題」、
今村研究主幹による講演「納税義務の履行に関する問題」、
吉村研究主幹による講演「納税者の保護に関する問題」とともに、
それぞれのテーマにおいて、玉国研究主幹を加えた5名による
パネルディスカッションを予定しております。
150分という短い時間の中に、詰め込みすぎた感もありますが、
今後、どういう方向で研究をし、実務家の皆様を啓蒙していくのかを
示せればいいなと考えています。
今村先生からは一般否認規定に関して、吉村先生からは不服申し立てや
徴収を含まない租税行政手続に関して検討したい意向を聞いております。

私は、受付におります関係で中での白熱した議論の全てを聞けない
かもしれませんが、機関紙創刊号の記事にするためのテープ起こしで
再確認できる機会があると思います。

皆様には、本日18時よりのシンポジウムをライブで体感して頂きたいと存じます。

多くの皆様のご来場を期待しております。


各党のマニフェスト出揃う
2009.08.02

31日夕方、自民党からもマニフェストが公表され、民主党のマニフェストも
27日のものを正式なものと考えれば、これで各党のマニフェストが出揃った。

今回のマニフェストの発表については、ドタバタがあったとはいえ、
自民党に先駆けること4日間早く民主党が発表したことをまずは評価したい。
私は、ここで年末の税制改正大綱の民主党側の発表の遅さを酷評してきたが、
自民党よりも早く発表したことに大きな意義を認めるべきであろう。
そして何よりも、自民党のマニフェストを見ると、民主党のマニフェストを
意識した公約が散見できることがはっきりしている。
それだけ、自民党と民主党のマニフェストは、細部の違いはあるものの、
大半のものについては、非常に近いものであることが理解できよう。

それであれば、リーマンショック以降の金融不況に対して、自民と民主が
挙党一致体制で急場を凌ぐための政策論議がなぜできなかったのだろう。

政策よりも政局に拘りながら、解散まで追い込めなかった小沢前民主党代表の
失態であるかもしれない。
早期解散に追い込めないのであれば、麻生政権の付け焼刃的な経済対策を
より真剣な政策論議で論破するべきではなかったのか。
その方が国民に、民主党の政権担当能力をより現実的にアピールできた
のではないだろうか。

さらに、世襲政治を批判するチャンスでありながら、民主党の一部でも
世襲が行われている現実を整合性を取れる形で国民に説明しなかったことが、
絶好のチャンスを失わせたのかもしれない。
それも、前回まで2度の選挙に刺客として立候補してきた菅直人代表代行の
長男が今回は立候補しないと言うではないか。

内部に対しても徹底して正論を貫かなければ、魑魅魍魎が跋扈する官僚政治を
打破することも困難ではないのか。

ただ、自民党マニフェストに議員定数の削減と世襲候補の非公認を明記
させたことは大いなる評価と言えよう。(次の次の選挙までにではあるが)

また、来るべき民主党政権で最優先の課題となるであろう社会保障問題
について、自民党マニフェストは2011年度までに、納税者番号制度と
連動する番号管理体制の完成を明言した。
失われた年金が二度と発生させないためには、税と社会保障の二重管理では
無駄が多く、また、従来、プライバシーの問題から批判的に捉えられてきた
納税者番号制を導入しなければ、人為的なミスを見抜けないだけに、
納税者番号制を導入し、社会保障番号との連動を前提に、議論されるべきであろう。
私はこれに、住民基本台帳番号も連動させるべきであると考えている。
ただ、国と地方の主管の問題にも発展するだけに、拙速な結論を出すべき
ではなく、時間をかけて議論をすべきであろう。
これは鳩山氏の次の内閣に課せられる課題となると考えている。

双方のマニフェストの比較をするつもりであったが、鳩山氏のマニフェスト
発言でやる気をなくしてしまったものの、自民党マニフェストがあまりに
民主党マニフェストを意識した内容であっただけに、4日間も空けたことに
憤りを感じる。
自民党は自らの寄って立つマニフェストを他人と比較して考える反対のための
反対を終始したかつての野党と同じスタンスに立って考えたのか。
現在の政権与党でありながら、既に負けを覚悟して、大敗しないための
政策を打ち出したように感じてしまうのは私だけではあるまい。

私も来るべき鳩山政権と書くが、このままならおそらくそうなるであろう。
それは、そうなるべく自民党が動いている結果である。

政権与党ならば、なぜ堂々とこれまで行ってきた政策を全面に出さないのか。
それとも、その政策を全面に出せないからこうなったのか?

自民党の執行部にも猛省を求めたいところだ。

それにしてもそういう政治家しかいなくなってしまったのか?

そうでないことを信じたいものである。


鳩山マニフェスト発言のその後
2009.08.01

一昨日に書いた鳩山民主党代表のマニフェスト発言について、
民主党幹部はその火消しに追われているが、その対応は、意思疎通が
図れているのか、疑問を呈さざるを得ない状況を垣間見せてしまった。
31日8時5分産経新聞記事、および同日18時3分時事通信社記事を紹介したい。

民主政権公約 バラバラ...意思の疎通大丈夫?(産経新聞)
 ■鳩山氏「正式なものでない」
 ■岡田氏「必要があれば訂正」
 ■小沢氏「追加の必要はない」
民主党の鳩山由紀夫代表が、27日に発表したばかりの衆院選マニフェスト
(政権公約)について「正式なマニフェストではない」と発言したことが
波紋を広げている。
与党側は、さきのマニフェストについて「政治的責任を負う」と断言した
鳩山氏を批判。
民主党の小沢一郎代表代行も鳩山氏にかみつくなど、党首脳間の意思疎通が
十分でない実態が浮き彫りになった。
鳩山氏は29日、遊説先の熊本県菊陽町で記者団に対し、「この間(27日)
出したのは正式なマニフェストではない。正式なマニフェストは公示日
からしか配れない」と述べた。
大阪府の橋下徹知事が民主党のマニフェストを批判し、追加するよう
求めていた「国と地方の協議機関の法制化」を明記するよう軌道修正を
図ったものだ。
マニフェスト作成を主導した岡田克也幹事長も30日の記者会見で「必要が
あれば(マニフェストを)訂正することは、やぶさかではない」と述べた。
だが、小沢氏は同日、岐阜県可児(かに)市で記者団に対し、協議機関の
法制化について「盛り込んで悪いわけではないが、わたしたちは今の行政の
仕組みを根本的に変えようと言っている。今の仕組みを前提にした議論を
する必要はない」と追加の必要はないとの考えを表明した。
一方、公明党の北側一雄幹事長は30日、「(鳩山氏は)実現できなかったら
辞めますと言った。本当にぶれている」と批判。
政府筋も同日、「鳩山氏がそう言うのだから自民党もマニフェストを
出してからどんどん修正していけばいい」と皮肉った。

「あれは正式な公約」=鳩山発言を訂正-岡田幹事長(時事通信社)
「正式なマニフェスト(政権公約)だ。ただ、最終版ではない」。
民主党の岡田克也幹事長は31日の記者会見で、鳩山由紀夫代表が既に
発表済みの同党の衆院選政権公約を「正式ではない」と発言し、与党から
批判が出ていることを踏まえ、同氏の発言をこう「訂正」した。
鳩山氏の発言は、公約に「国と地方の協議機関の法制化」を追加する
考えを示した際のもの。
岡田氏は「公示日までは最終版ではないということだが、ほぼ最終版だと
考えてもらっていい」と強調した。


この2つの記事は非常に興味深いものだ。
現実路線の岡田幹事長は、単に追加する政策もありうると言う意味で
最終版ではない正式なマニフェストであると言う点では、私の主張と
近しい関係にあると思う。
経済にしろ政治にしろ生き物だから、突然の変化に対応させるべく、
ある程度のブレは仕方がないものである。
その点では、麻生首相のブレは大きすぎるように思うが、ある程度のブレは
当然だと考えるべきで、僅かなブレでも徹底的に叩こうとした小沢氏や
鳩山氏のこれまでの闘い方は、政策よりも政局と言われても仕方あるまい。
しかし、現実に政権担当能力を担う政権政党となるためには、岡田氏のような
多少ブレても現実に直面し続けようとする姿勢は重要であろう。

鳩山氏はマニフェストを本当に真剣に受け止めているのだろうか。
一度出したマニフェストを正式のものではないと言ってみたり、実現
できなければ辞めると言ってみたり、どうやっても時間が必要な改革が
盛り込まれているにも関わらず、できなければ辞めるとはいつまでに
できなければなのか、私には理解できない。
いみじくも北側公明党幹事長が言うように、正式ではないマニフェスト
であれば、いつでも大規模な修正ができるわけで、マニフェストとして
思い切った意見を出しておいて、マスコミ等の反応を見てから変更することも
可能になるわけですね。

マニフェストを明確にしないから鳩山民主党の進む道が見えてこない。
小沢氏が追加を必要としないと言うのも分かる。
知事会が要求する「国と地方の協議機関の法制化」は、現行制度を前提と
しているから、現行制度の抜本改正を財源捻出のためも含めて断行することを
宣言している民主党にとって、マニフェストに直接の文言に書く必要が無い
論点だからではないだろうか。
民主党政権の改革によって国と地方との関係も全面的に見直していく中で、
当然議論すべき論点であるからだ。

麻生首相以上にブレている印象を与えてしまった鳩山代表。
1ヶ月先の総選挙への追い風を止めなければ良いのだが。
政権奪取後のブレを心配せずにはいられないのは、私だけだろうか。