22年改正(6)、非課税口座内株式等の非課税措置の創設
2010.03.31

少額上場株式等について、金融商品取引業者の営業所内に開設した
非課税口座の中で管理されている株式等に係る配当所得、譲渡所得の
非課税措置が平成24年度より創設されます。
これは、平成24年度より実施されることになっている上場株式等の
20%本則税率化に合わせて導入される予定となっているものです。

平成24年から26年までの3年間の間に、非課税口座を開設した場合、
1口座につき投資額100万円を上限として、非課税とするという
特別措置で、特別措置の整理を掲げているはずの民主党政権の政策とは
思えないほど、個人投資家にとって有利な内容の特別措置が導入される。
それも1つの口座で非課税となるのは最長で10年間。

年間で1人1口座しか認められていないため、複数の証券会社等との
取引がある方にとっては、開設時期を考えておかないと痛い目を見る
可能性を秘めている。

非課税口座を開設するためには、基準日(平成23年1月1日)の住所を
証する書類を添付して、非課税口座を開設しようとする前年の10月1日から
翌9月30日までに金融商品取引業者の営業所長に申請書を提出する。
金融商品取引業者の営業所長は、申請書が提出されると、速やかに
営業所の所在地の所轄税務署長に申請書を送付しなければならない。
所轄税務署長は、提出された申請書よりも前に提出された申請書の有無を
確認した上で、非課税口座開設確認書を営業所を通じて交付する。

ですから、その年に開設できる非課税口座は、1か所だけなんですね。
毎年異なる金融商品取引業者に口座を開設することができるので、
3年間で3か所しか作れないことになります。
つまり、平成24年は100万、平成25年は200万、平成26年から
平成33年までは300万、平成34年は200万、平成35年は100万の
投資について、非課税取引となる可能性があるんですね。

使い勝手はあまり良くないようですが、上手く活用できれば、
個人投資家保護に有効な施策になるかもしれませんね。


22年改正(5)、いわゆる一人オーナー会社課税制度の廃止
2010.03.30

22年改正における我々税理士の最大の関心事が
いわゆる一人オーナー会社課税制度の廃止、つまり、
特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度の廃止
ではないでしょうか。

ただ、注意しなければならないのは、22年改正における廃止は
23年改正における見直しを前提とした廃止であるということだ。

特殊支配同族会社(オーナーが90%以上の株を保有する会社)は、
法人税の段階でオーナーの給与が損金となっているだけではなく、
所得税でもオーナーの給与は給与所得控除の対象となる、
いわゆる二重控除の状態にあるのではないか、との批判に対応するために
安倍内閣のときに突然出てきたのが、この特殊支配同族会社における
業務主宰役員給与の損金不算入制度でした。

しかし、制度導入時に突然出てきて不透明な議論のまま導入されたため、
制度趣旨はともかく、なにかと物議を醸し、安倍内閣の辞任後の福田内閣では、
800万を超える役員給与(月給66万円余)で対象となった損金不算入額を
1600万(月給133万円余)まで引き上げたものの、財界や税理士会から
再三、廃止要望が挙げられてきた制度でした。

従来さほど突っ込んだ議論がされてきたとは思えない二重控除是正問題への
問題提起としては非常に大きな役割を果たしたのかもしれませんが、
事前に情報が十分に発信されないままの税制改正では、批判が多くなるのも
無理ありませんね。
これがきっかけになって、二重控除是正に向けた議論が本格的に進んできた
のではないでしょうか。
そういう意味では、いったんリセットして、23年改正に向けて、
賛否両論、喧々諤々の実りある議論が期待されるところですね。


22年改正(4) 清算所得の廃止 清算から譲渡へ
2010.03.29

今回の改正で実務的に結構影響が大きいかも、と考えているのが、
清算所得の廃止に関する改正です。
清算所得の廃止に関しては、税制改正大綱においてわずか4行しか
触れられておらず、その半分は連結の話ですから、わずか2行でした。
これを書くにも、情報がほとんどなくて困ったのですが、
同じ支部のある先生からも「研修でぜひ取り上げて欲しい」と
リクエストがありましたが、やはり似たような問題意識を持っている
先生も多いのではないでしょうか。

まず、清算所得に関しては、これまでは、法人が解散した後、最終的に
残った残余財産の財産価額に対して、課税しようという考え方でした。
つまり、いわゆる期間損益計算ではなくて、最終的に処分する時に
まだ財産が残っているのであれば課税しようというスタンスだったんです。

ところが、最近では、法人の解散手続はするのですが、解散手続において
会社財産を整理していくと、負債しか残らないケースが多いためか、
最終的に会社の清算結了をせず、そのまま放置されるケースが多いようです。
課税上は結局課税できないので、問題がないように思いますが、
法務局では、10年間放置され、職権で清算されるのを待っている法人が
溢れてしまい、法務局本来の仕事に支障が出かねない状況になって
しまっているようです。また、清算されずに放置された法人が悪用される
事例も出てきているようです。

そこで、税制上も清算期間中の会社の取引を規制できるように、清算中の
会社も通常の会社と同じく期間損益計算の対象とすることとしたようです。
ですから、清算中の会社が資産を譲渡すれば、キャピタルゲイン課税の
対象になるのです。

しかし、実務的には欠損金の繰越控除期間である7年間のうちに繰越損失を
使い切れずに期限切れとなってしまっている場合が多く、従来であれば、
残余財産の整理の際、債務免除をした場合には、多額の債務免除益が計上され、
残余財産がないにもかかわらず、多額の法人税を負担しなければならなくなる
ことが考えられます。そこで、残余財産がないと見込まれる場合には、
青色欠損金が苦闘以外の欠損金額を損金に算入できるようになっています。

なお、この改正は平成22年10月1日以後に解散する場合に適用されます。


22年改正(3) いわゆるグループ法人税制の改正
2010.03.28

100%グループ法人間の取引に関する税制(いわゆるグループ法人税制)
が大きく変わります。
私は修士論文で連結納税制度を研究していたこともあり、非常に関心が
高い改正ですが、私のクライアントで関係する可能性は低いですね。
中小でも複数の会社を活用している会社がないわけではありませんが、
大企業が主たる対象とする税制改正であることは否めないですね。

・100%グループ法人間の資産の譲渡については、その資産がグループ外に
移転する時まで譲渡損益の計上を繰り延べることになりました。
・100%グループ法人間の株式交換等にかかる子会社資産の時価評価は、
適用対象から除外する。
・100%グループ法人間の現物分配による資産の移転は帳簿価額でなされた
ものとする。
・100%グループ法人間において、みなし配当が生じる基因となる事由による
資産の交付を受けた場合には、当該事由により生じる譲渡損益を計上しない。
(平成22年10月1日以後の取引に適用)

つまり、100%グループ法人間取引においては、益出し、損出しのための
取引を行っても、課税上は赤字の相殺も黒字も先送りすることになります。

・100%グループ法人間の寄付金は損金不算入、益金不算入とする。
・資本金5億円以上の法人の100%子会社については、中小企業者等の
軽減税率を適用しないとともに、特定同族会社の特別税率の対象とする。

こうした改正は平成22年10月1日以後の取引について適用される。

また、連結納税制度についても改正が行われ、
制度導入が進まない原因と見られてきた連結欠損金の繰越について、
合併前の子会社の未処理欠損金を連結欠損金に持ち込むことが大幅に
認められることになり、制度導入が進むことが期待されるところだ。
この制度は、連結親法人事業年度開始の日が平成22年4月1日以後の
連結親法人及び連結子法人の欠損金等について適用される。


22年改正(2) 医療介護充実へ、生命保険料控除の改組
2010.03.27

平成22年改正により、平成24年1月1日以後に締結される生命保険に
ついて、生命保険料控除の適用が変わります。

平成23年12月31日までに締結された生命保険契約については、
従来通り、一般生命保険料控除(上限5万)と個人年金保険料控除
(上限5万)の2本立てで適用していくのだが、
平成24年1月1日以後に締結される生命保険契約については、
新たに介護医療保険料控除が創設され、従来からの一般生命保険料控除、
個人年金保険料控除と合わせ、それぞれの控除上限を4万円とする
合計12万円の生命保険料控除ができるようになることになった。

ややこしい計算になるのですが、一般生命保険料控除と個人年金保険料控除
については、平成23年12月31日までの旧契約にかかる控除と平成24年
1月1日以後の新契約にかかる控除の双方の適用を受けようとすると、
上限が4万円になる一方で、旧契約のみで控除を受けようとすると
上限が5万円のままという、摩訶不思議な改正となった。

我々税理士は、申告の際、旧契約のみで控除の適用を受けようとすれば
各々5万円を上限とできるだけに、注意が必要だ。
例えば、介護医療保険料控除の対象となる保険契約が少ないクライアント
については、できるだけ旧契約の生命保険料控除証明書を集める必要がある
一方で、総額では12万円が上限になるから、
一般5万、年金5万、介護4万の14万ではなく、その場合には、4万×3
の総額12万となることを見落とすと、無料相談等、手書きでの対応が
迫られる場面で思わぬミスが生じることも考えられよう。

なお、この改正は、苦境にある保険業界には朗報であろう。
しかし、心配の種にもなりかねないのも事実だ。
改正の早い時期から、介護医療保険料控除の対象となることを狙った
新たな保険商品の開発が行われることになろうが、保険代理店は、
この新商品の税制上の適用対象が2年先の平成24年1月1日以後
であることを頭に入れておかないと、保険業法違反を問われかねない
事態を引き起こしかねない。
プロである以上、心してかからねばなるまい。


22年改正(1)、子ども手当に伴う扶養控除の廃止
2010.03.26

今日、参議院本会議で、与党三党と公明共産両党の賛成多数により、
民主党マニフェストの目玉公約である子ども手当の一部支給が決まった。
26日12時3分時事通信社記事はこう報じた。

今回成立の子ども手当法は、2010年度の支給に限った内容。
2、6、10月の年3回に分けて、原則的に4カ月分をまとめて支給するが、
初回となる6月は4、5月分を支給する。所得制限は設けない。
10年度の給付総額は2兆2554億円。
鳩山由紀夫首相は11年度以降、手当の額をマニフェストで打ち出している
月2万6000円に倍増する方針。しかし、満額支給には5兆3000億円が
必要とされているが財源確保のめどは立っていない。今後、政府内
で財源を含む制度設計を検討し、来年の通常国会に11年度以降の支給に
関する法案を提出する。


この子ども手当法に伴い、平成22年度税制改正では、扶養控除の見直し
が実施される。
つまり、
子ども手当が支給される15歳以下の子供に対する扶養控除が廃止され、
高校の実質無償化の対象となる16~18歳の子どもに対する特定扶養控除
の上乗せ分(25万円)も廃止されます。

そうすると、月額1万3千円の子ども手当が支給されることによって、
年額38万円の扶養控除が廃止されるので、給与額年収500万円の
中学生以下の子どもが2人で妻を扶養するサラリーマンの場合、
年間で15万6千円の非課税所得が増加する一方で、何も控除がない
場合には所得税が9万7千円であったところ、17万2500円と
7万5500円増税になるんですね。
さらに、住民税(東京都)は26000円から92000円。
国民健康保険料(東京都葛飾区)は46300円から151900円。
所得税と合わせると合計で247100円の負担増になるので、
子ども手当の半額支給ではマイナスになってしまうんですよね。

このシュミレーションは税率が上がってしまうところでやっていますが、
子ども手当対象年齢の扶養控除の廃止は、あまりに影響が大きいように
思いますね。
付則で23年から適用としたのもそういう意味がありそうですね。

追記3・29
上記計算で、増える非課税所得が間違えていました。
2人分ですから、31万2千円ですよね。
負担増の24万7100円と比べても64900円のプラスでした。
影響が大きいとの見解には違いがないのですが、情報のミスリード
になってしまいました。
申し訳ありませんでした。


平成22年度予算、税制改正、成立
2010.03.25

昨日、税収よりも国債発行額が大きくなるという異例の予算が成立した。
24日18時3分時事通信社記事はこう報じた。

2010年度予算は24日夕の参院本会議で、民主、社民、国民新の与党3党
などの賛成多数で可決、成立した。自民、公明、共産各党は反対した。
成立日は昨年より3日早く戦後5番目。ガソリン税暫定税率の水準維持や
たばこ税率引き上げなどを盛り込んだ税制改正関連法など予算関連法も成立した。
(中略)
10年度予算は、子ども手当などマニフェスト(政権公約)に掲げた
目玉政策を盛り込んだ結果、一般会計総額は過去最大の92兆2992億円。
また、景気低迷による税収不足で新規国債発行も最悪の44兆3030億円
に達した。政府・与党は予算執行により、景気が早期に回復軌道に
乗ることを期待している。 一方、税制改正関連法成立で、たばこは
10月に1本当たり5円(販売価格ベース)値上がりする。 


民主党が政権公約として掲げたマニフェストを実現するため、禁断の
赤字国債増発に踏み切ってまで成立させた大規模予算。
税制抜本改革は来年度以降に先送りすることになったが、国会での
実質的な予算審理が行われないまま成立してしまった点で、自民党への
失望を感じずにはいられないところだ。

今は正に「政局より政策」。
予算案の内容に対する質疑が与党からとみんなの党からしかなかったのは
政治とカネの問題の方が重要だと考えたからなのだろうが、政権与党
だった時代に、自民党が言い続けた「政局より政策」を否定する結果に
なっていることは皮肉だ。

いずれにしても平成22年度予算、税制改正は成立した。
4月16日に地元葛飾支部で平成22年度税制改正を解説する研修を予定
していますが、ここでも明日以降、順次、成立した税制改正を解説
していこうと思います。


防災、地球環境問題への取り組み支援を約束?
2010.03.24

メキシコのカンクンで開催された米州開発銀行(IDB)・米州投資公社の
年次総会で3月22日に日本政府代表が行った演説が公表された。
中南米カリブ(LAC)地域に向けた演説ですが、我が国の方向性を
明示する内容なので、ご紹介します。

LAC地域の防災の取り組みについて、今回のチリ地震では、マグニチュード
の割に被害が比較的限定されていたことに触れ、1960年にM9.5 という
観測史上最大規模の地震を経験したチリが震災への対応力の強化に継続的に
努めてきたことを評価した上で、我が国においても同年の地震の影響による
津波で142名もの犠牲者を出した経験を踏まえ、「日本の高度な災害予防
システムや防災技術をLAC地域の防災対策に活用するため、IDBとの
この分野での協力をさらに拡充していきたい」と明言した。

LAC諸国の今回の経済金融危機の影響が比較的小さかったのは、
「外国銀行の資金調達における国内預金の割合が高かったこと、
貸付も外貨建てではなく自国通貨で行われることが多かったこと」
等の理由であると分析し、世界的な資金収縮が一段落する中、
LAC地域の新興市場国への資本の流入が続いていることを指摘した。
しかし、まだ楽観的になりえず、日本政府としては、IDBに、
「借入国への政策アドバイスや必要となりえる支援を効果的・効率的に
行っていくことを強く期待します」、と要請した。

最後に、最も喫緊な課題が環境面での取り組みの強化であるとし、
「日本は途上国の地球温暖化問題への取り組みに積極的な支援を行うことを
表明していますが、そのための最も重要なパートナーの一つがIDBであると
考えています。地球温暖化対策においては、民間の資金と技術の最大限の
動員が必要であり、我々はその目的に適う公的金融機関であるJBICの機能の
拡充に取り組んでいるところです。」と明言し、地球環境問題への途上国の
取り組みを支援するための、資金的援助の拡充を進めているとした。

多分にリップサービス的な発言もあるだろうが、少なくとも、防災と
地球温暖化問題については、我が国が主体的に支援していく意思がなければ
ありえない発言であり、鳩山首相の国際公約となった国連での温暖化ガス
削減発言とともに、国際公約の具体化のための国内政策の整備が
喫緊の課題であることを思わずにはいられない内容でしたね。


みやぎ環境税
2010.03.19

一昨日、宮城県議会において、県独自課税として「みやぎ環境税」を
導入する条例が可決されたという。
18日9時河北新報社記事はこう報じた。

宮城県議会は17日、2月定例会最終日の本会議で、県独自課税の
「みやぎ環境税」を導入する条例改正案を賛成多数で可決した。
課税期間は2011年4月から5年間。
課税額は、個人が個人県民税の均等割(1人年1000円)に年1200円を
上乗せする。法人は法人県民税均等割(年額2万~80万円)に
10%相当を加算する。
環境税は既に東北のほかの5県を含む30県が導入済み。
宮城の個人課税額は全国最高額となる。
毎年度16億円、計80億円の独自財源を確保できる見通し。村井嘉浩知事は
配分について、(1)森林機能の強化に35億円(2)クリーンエネルギー
普及に35億円(3)環境教育の推進などに10億円―との方針を示している。


いわゆる環境対策税を導入する自治体が増加しているが、その課税の方法は
様々だ。今回の宮城県の場合には、個人及び法人の住民税に加算する形式だが、
全国に先駆けて環境対策税を導入した岐阜県多治見市等の産業廃棄物税のように、
当初は、環境問題を引き起こす原因を作っている者に対する目的税として
導入されるケースが多かったようだ。昨今の環境問題への取り組みに対応して、
地球規模の環境問題への対策として捉えられるようになり、居住者全般に
課税できる住民税への加算方式へとシフトしてきたように感じている。

宮城県の取り組みは、厳しい時代の中、森林機能の強化とクリーンエネルギー
普及に大きな予算を確保するために、県民の皆様に負担を強いる結果となった。
ただ、鳩山首相の国際公約を実現するためには、森林機能の強化は早急に
実行に移す必要があるだけに、この政策を全国に拡大する必要性を感じずには
いられない。ちなみにこの条例案は自民党系が提出したものでしたが、
宮城県議会で民主党系の修正案が規模縮小、負担減を求めていたことには、
非常に疑問を感じましたね。この問題は地方が独自に対応することではなく、
中央が予算化して地方へ下ろすべきと考えたのでしょうかね。


納税者権利憲章、実現へ。納税環境整備小委員会
2010.03.18

3月12日に開催された税制調査会専門家委員会第1回納税環境整備
小委員会で配布された資料が18日開催予定の第2回を前に公開された。
その際、参考資料として配布された国税関係、地方税関係、番号関係
の3つの資料から、納税環境整備の議論の方向性が見えてきた。

国税関係として、4点
納税者権利憲章
更正の請求期間の見直し
不服申立制度の見直し
租税罰則の見直し

地方税関係として、2点
更正の請求
地方税違反に対する刑事罰則

番号関係としては、「社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会」の
第1回(2月8日開催)、第2回(2月22日開催)の資料が配布された。

ここから見えてくることは、納税者番号制度の検討の中心は菅財務相、
平野官房長官、仙石国家戦略相、原口総務相、長妻厚労相らが
メンバーの「社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会」に任せ、
納税者権利憲章の策定や、更正の請求期間の見直し、不服申立制度の
見直しに取り込むということだろう。

平成22年度税制改正大綱では、「国民主権にふさわしい税制を構築していく
ため、納税者の税制上の権利を明確にし、税制への信頼確保に資するもの
として「納税者権利憲章(仮称)」を早急に制定します。」と謳っており、
2003年のOECD報告書が「納税者の税務に関する権利・義務をわかり易い
言葉で要約しかつ説明して、こうした情報をより多くの納税者に周知させ
理解させようとする試み」と定義した納税者権利憲章がいよいよ我が国でも
導入されることになりそうだ。

2009年末現在で、OECD加盟国30カ国中、24カ国が制定し、G7では、
日本とドイツだけが制定していない納税者権利憲章。
更正の請求期間の見直しとともに、是非とも実現していただきたいところですね。


子ども手当実現へ、法案衆院通過
2010.03.16

民主党マニフェストの目玉政策である「子ども手当」が実現する見込みだ。
16日16時3分時事通信社記事はこう報じた。

2010年度に中学卒業までの子ども1人当たり1万3000円を支給する
子ども手当法案が16日の衆院本会議で、与党3党と公明、共産両党の
賛成多数で可決され、参院に送付された。自民、みんなの両党などは
反対した。17日の参院本会議で審議入りする予定で、やはり16日に
衆院通過した高校授業料の実質無償化法案とともに、月内に成立する見通し。
同法案は、10年度の支給に限った内容。民主、社民、公明の3党は12日の
衆院厚生労働委員会で政府提出案を修正し、支給対象になっていない
児童養護施設の入所者らに対する支援の検討などを付則に盛り込んだ。
子ども手当は2、6、10月の年3回、原則的に4カ月分をまとめて支給する。
法案が成立すれば、最初の支給は今年6月になる。小学校卒業までが
対象の現行の児童手当とは異なり、所得制限は設けない。
地方負担分も含む10年度の給付費総額は2兆2554億円。政府・与党は
11年度以降、手当の額を倍増させる方針。今後、政府内で財源を含む
制度設計を検討し、来年の通常国会に改めて法案を提出する。


子ども手当が実現するとなると、巨額のばらまき予算が成立することになるが、
子どものいる家庭に直接支給されることになるため、子育て家庭の負担減に
なることは間違いあるまい。
ただ、今回の法案は今年のみの暫定措置。
税制調査会や国家戦略室等で制度設計を検討して来年の国会で
改めて審議されることになっている。
今回、自民党・みんなの党が反対したことを考えると、夏の参院選の結果が
来年以降の議論にも大きく影響しそうな気がしますね。


確定申告酒場??
2010.03.12

確定申告はいよいよ大詰め。
そんな日に届いたコロンブス3月号に友人が記事になっていた。
http://tohopress.blog62.fc2.com/blog-entry-18.html

高橋創税理士。
MJS租税判例研究会の仲間で、新宿2丁目で開業する税理士だ。
コロンブスの連載記事、トップ会計人のコーナーで紹介されていた。

"夜の新宿二丁目"が仕事場!!
新宿ゴールデン街で「確定申告酒場」を開く!!

気さくな兄ちゃんという雰囲気の高橋さんらしい、
アイデアの詰まった記事でしたね。
外岡弁護士が計画する弁護士バーにヒントを得て、
ゴールデン街のバーを借りて、
夕方~朝方まで無料で税務相談を受け付ける「確定申告酒場」
(ドリンク別料金)を4回行ったというのですね。

正直、やられた!と思いましたね。
アイデア勝負でしてやられた感じです。
バイタリティー溢れる彼らしい、お客様目線のアイデアですね。

友人の活躍は、刺激になりますね。
頑張るぞ!


税調基礎問題検討小委員会、まずは80年代の総括から
2010.03.10

鳩山政権が発足して半年。
改革に向けての動きがようやく活発になってきた。
一昨日3月8日には、税制調査会では第1回の基礎問題検討小委員会が
開催され、国家戦略室では、第1回新年金制度に関する検討会、第3回
中期的な財政運営に関する検討会がそれぞれ開催され、行政刷新会議でも
事業仕分け第2弾に向けたヒアリングが始まったという。

ここでは、税調の動きを紹介したい。
先日の第1回専門家委員会で菅財務相が挨拶で触れたように、税調はまず
80年代以降の内外の税制改革を総括することから始めた。
まずは所得税から総括し、その後他の税目に広げていくようですね。

主要国の改革を総括するとして、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの
80年代以降の財政収支の推移と主な税制改革を比較検討し、実行税率している。
提出されたグラフを見ると興味深い。
夫婦子2人の給与所得者の負担率は、諸外国とそん色ない程度であるのだが、
単身者に関しては、日本の実効税率が低いというデータが示されているのだ。

また、金融所得に対する課税の変遷がそれぞれ検討されている。
我が国の税制改正においても、金融所得に関して大いに検討すべき余地が
あるだけに、次回改正の目玉になる可能性を感じるところだ。

また、相対的な問題意識として、諸外国の財政健全化目標を参考に、
人口減少社会・超高齢化社会を迎える我が国における社会保障給付と負担を
どのように行っていくのか、検討する姿勢がうかがえるところだ。

第1回の資料は諸外国の税制改革の総括に意識があるようであるが、
専門家委員会での菅財務相の挨拶からは、小泉・竹中路線に対する批判的
総括を期待する含みが多分に感じられていただけに、今後の税調が示す
であろう、あるべき税制への道しるべがどのようなものとなるのか、
注目していくべきであろう。


ひとしくんのビジネス日記1-5
2010.03.09

<家を買うとローンの他にも税金の支払いが・・・>


偶然入った不動産屋さんで、商店街の入り口からちょっと入った辺りで
シャッターが閉まっていたお店が売りに出てたんだよね。
1階が店舗の2階建で、見せてもらったけど、悪くないんだよね。
家と店の家賃を考えると、家賃のつもりでローンを払っていくのもありかな。
どうしよう・・・

もう1度不動産屋さんに聞きにいったら、買い取りを勧められたんだ。

でも、家を買うとなると、住宅ローンだけで大丈夫なのかな?
調べてみたら、不動産取得税とか、固定資産税を払わなきゃいけない
っていうんだよね。

不動産取得税って何?
土地や建物を手に入れると、買った金額の4%(東京都)が都道府県に
支払う税金として、後から払わなきゃいけなくなるんだって。
買った日から30日以内に買った市町村に申告しなきゃいけないよ。
平成24年3月31日までは土地の価格は半分で評価してくれるみたいだ。

固定資産税って何?
その年の1月1日に土地・建物、償却資産を持っている人に、
その市町村が評価した金額の1.4%(東京都)を税金として
かけられるんだって。

だから、この支払いも含めてで、ローン負担と家賃負担を考えなきゃ
いけないんだよね。


今日のポイント:不動産を購入する場合には、不動産取得税や固定資産税の
負担を忘れないようにしましょう。


東京税理士界3月号 労働契約に基づく報酬の所得区分
2010.03.05

昨日、東京税理士会の会報である東京税理士界の3月号が届きました。
今回の会報には、昨年12月に東京税理士会館で発表させて頂いた
「労働契約に基づく報酬の所得区分」について、原稿を掲載させて
頂きました。

12月の発表では6論点を用いて発表したのですが、紙面の都合上、
そろそろ公刊されるはずの国士舘法学42号に掲載させて頂きました
「内定を取り消された学生に支給された解決金の所得区分とその損金性
―日本総合地所内定取り消し事件を契機として―」の内容については、
今回の原稿から外し、一人親方に支払う金員、裁判員の日当、
ストックオプション事件の3点について、原稿にまとめました。

近年の判例の動向を分析すると、最高裁昭和53年8月29日判決
(TAINSコードZ102-4240)や最高裁昭和56年4月24日判決
(TAINSコードZ117-4787)が示した給与所得該当要件の範囲が拡大解釈
されているように感じます。
近年の労働環境の流動化の問題は、労働契約の文言のみをもって所得区分
を判断することを困難にしてきているだけに、源泉徴収事務に無用の
混乱をきたしかねない事態を想起させる。
それだけに、一義的で明確な判断基準が求められるところであるが、
移り変わる経済環境の中で画一的な基準を確立することは困難であろう。
したがって、我々税理士が、判例等を分析して、クライアントに対して
「道なき道」を照らしていかなければならない状況なのだ。

心してかからねば。


ホステスの源泉徴収で、最高裁、納税者逆転勝訴判決
2010.03.03

ホステスの所得税を源泉徴収する際に報酬から差し引く控除の対象となる
期間の計算について、2日、最高裁第3小法廷で注目の判決が下された。
2日19時35分共同通信社記事はこう報じた。

ホステスの所得税を源泉徴収する際、報酬から差し引くことができる
控除の対象は実際の勤務日数だけか、出勤しない日も含むのかが争われた
訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は2日、「勤務日数ではなく、
期間中のすべての日数を指すと解釈すべきだ」との初判断を示し、審理を
東京高裁に差し戻した。田原睦夫裁判長は「『期間』とは初日から末日まで
と解釈するのが相当」と指摘した。


ホステスの源泉徴収の計算方法はちょっと特殊で、報酬総額から
「政令で定める金額」を控除した残額の10%が源泉税額になっています。
「政令で定める金額」は、1人に対して1回に支払われる金額に対して、
5000円に「支払い対象期間の日数」を乗じて計算することになっています。
訴訟で問題になったのが「支払い対象期間の日数」の内容でした。

この事件の原告は1~15日、16日~月末の2回に分けてホステスに
報酬を支払っているのですが、最高裁は、「原審のような解釈を採ることは、
...文言上困難であるのみならず、ホステス報酬に係る源泉徴収制度において
基礎控除方式が採られた趣旨は、できる限り源泉所得税額に係る手数を
省くことにあったことが、立法担当者の説明等からうかがわれるところ
であり、この点からみても、原審のような解釈は採用し難い。」と判断して、
納付すべき税額等を算定させるために高裁に差し戻した。

差し戻し高裁では事実認定のやり直しはないことから、原告の逆転勝訴が
確定した。原告の計算方式が正しかったことが、最高裁で確認されたのだ。
条文上「期間の日数」である以上、正当な判断であろう。
課税当局の見解は「期間における実働日数」としなければならず、法改正を
怠ってきたツケを払わされる結果になったと言えると思いますね。