社民党マニフェスト(大企業・金持ち優遇の不公平税制をただす)
2010.06.30

連立を離脱した社民党のマニフェストは、連立に参加して実現させてきた
政策実績を強調しつつ、コンパクトながら分かりやすいものですね。

社民党は財政政策を次のようにまとめています。
1 無駄遣いをやめて、使い道を変える
不要不急の大規模公共事業の中止、天下りの禁止、随意契約の見直し、
防衛予算の見直し、米軍への思いやり予算の廃止、原子力関係予算の精査等
2 特別会計の総点検
特別会計(「霞が関の埋蔵金」、特に財投・外為特会)の積立金・剰余金の
活用、独立行政法人、公益法人の見直し
3 不公平をただす
高額所得者の税率引上げ、租税特別措置の見直し等法人税課税ベース拡大、
証券優遇税制の廃止、相続税や資産課税の強化
4 経済や金融のあり方を変える
景気をよくして税収増、環境税の導入、国際連帯税の検討
5 政府資産の活用

そして「もっと生活再建10の約束」で、次のような税制改正を提言する。
9 もっと公平な税制  大企業・金持ち優遇の不公平税制をただす
・国民生活の現実を踏まえ、可処分所得を減らす消費税率の引き上げは
しません。飲食料品分は実質非課税とします。
・低所得者、子育て世帯に対する給付付き税額控除制度(所得税の減額と
給付金の支給を組み合わせて生活を支援するしくみ)を検討します。
・法人税については、租税特別措置の縮小など課税ベースを拡大します。
・高額所得者の最高税率を50%に戻し、基礎控除は現行38万円から
76万円にします。公的年金の老年者控除等を復活します。
・富の再分配や所得再分配の観点から、相続税や贈与税などの資産課税を
強化します。
・不要不急の事業や特別会計の見直し・ムダの排除に全力で取り組み、
公共サービスの充実や国民生活向上に活用します。
・ガソリン税の暫定税率を廃止し、環境税に組み替えます。

非常に社民党らしい社会保障の充実、資本家に厳しく、労働者に優しい
社会保障政策が税・財政面においても明確なんですね。
どこまで現実性があるのか、危惧せざるをえないけれども、その内容は
厳しい状況にある弱者にとっては非常に魅力的なのも事実ですね。


公明党マニフェスト2010(新しい福祉を提案)
2010.06.29

公明党は伝統的に医療・介護・年金・福祉・教育の各分野に特徴があり、
今回のマニフェストも、かなりのボリュームを割いていますね。

公明党は、
1 「新しい福祉」を提案します
2 景気対策・成長戦略
3 クリーンな政治の実現
4 国民のための行政の実現
を掲げ、教育安心社会の実現、魅力ある農林水産業の再生、世界ナンバーワン
環境国家・日本の実現、行動する国際平和主義にも言及した上で、
当面する重要政治課題について、社会保障にかかる財源の確保と税制改革
の2点を提示している点に特徴があります。

財源確保のためには、消費税を含む税制の抜本改革が必要だとの立場ですが、

消費税を含む税制の抜本改革について、実行に移せる環境の整備を図ります。
具体的には、1 着実な景気回復およびデフレからの脱却、2 行政改革・
行政のムダ排除の徹底、3 社会保障の機能強化の具体化 を進め、
消費税収の使途は、年金、医療、介護の社会保障給付および子育て支援の
ための費用に限定します。消費税率の見直しに際しては、給付付き税額控除
制度や複数税率など、低所得者への配慮措置を講じます。
とし、
1 税制全般の一体的改革
2 格差の是正、所得再分配機能の強化
3 給付付き税額控除制度の導入
4 消費税の社会保障目的税化
5 税制のグリーン化、自動車関係諸税の見直し
6 NPO支援
7 法人税率の引き下げ
8 地方の税財源の充実
の8点の基本的な視点による税制改革を掲げています。

自民党の政策と似通ったところが多いのですが、昨年のマニフェストで
脚光を浴びた「給付付き税額控除」については、自民・民主とも今回は
言及していないところ、公明党は税制抜本改革の根幹と捉えています。
消費税の社会保障目的税化とともに、公明党らしさを感じますね。


自民党政策集2010(4、税制抜本改革(消費税以外))
2010.06.28

自民党の税制抜本改革案は消費税だけを言及しているのではない。
ここでそれぞれを確認しておこう。

個人所得課税については、格差の是正や所得再分配機能の回復の観点から、
各種控除や税率構造を見直します。最高税率や給与所得控除の上限の
調整等により高所得者の税負担を引き上げるとともに歳出面も合わせた
総合的取組みの中で子育て等に配慮して中低所得者世帯の負担の軽減を
図ります。金融所得課税の一体化を更に推進します。

資産課税については、格差の固定化防止、老後扶養の社会化の進展への
対処等の観点から、相続税の課税ベースや税率構造を見直し、負担の
適正化を図ります。

自動車関連諸税については、税制の簡素化を図るとともに、厳しい財政事情、
環境に与える影響等を踏まえつつ、税制のあり方及び暫定税率を含む
税率のあり方を総合的に見直し、その負担を軽減する方向で検討します。

地方税制については、地方分権を推進するとともに、税収が景気変動による
影響を受けにくく安定的で、かつ、税源の偏在性が小さい仕組みとするため、
消費税を含む税制抜本改革の一環として、地方消費税の充実を検討すると
ともに、地方法人2税のあり方を見直すこととし、もって国と地方を通じた
社会保障制度の安定的な財源の確保を目指します。

低炭素化を促進する観点から、税制全体のグリーン化を推進します。
環境税については、税制全体のグリーン化を図る観点から、様々な
政策的手法全体の中での位置づけ、課税の効果、国民経済や産業の
国際競争力に与える影響、既存の税制との関係等に考慮を払いながら、
納税者の理解と協力を得つつ、総合的に検討します。

麻生さんの時から代わり映えのしない税制抜本改革の方向性ですが、
より精緻化してきた感じがしますね。
消費税の地方へのシフトも考慮されているようです。
民主党の政策と対比させても、あまり変わらなくなってきているのは
何故でしょうか?


自民党政策集2010(3、社会保障財源に消費税10%)
2010.06.27

昨日論じた自民党の法人減税をテコにした経済成長は実現できれば
非常に魅力的ですが、増大する社会保障費に対する財源確保は
消費増税のようですね。

「恒久政策には恒久財源原則を貫き、財政規律を確立します」では、
わが国財政に責任を持つ観点から財政構造改革を断行するとともに、
将来の社会保障費の増大に対応するため、消費税率引き上げなどを
含めた税制の抜本的改革を行います。
として、次の3つの施策を提言しています。

36 次代を見据えた財政構造改革
国・地方の債務残高対GDP比を2010年代半ばにかけて安定させ、
2020年代初めには安定的に引き下げます。このため、今後10年以内に
国・地方のプライマリー・バランス黒字化の確実な達成を目指します。
まずは景気を回復させ、5年を待たずに国・地方のプライマリー・バランス
赤字の対GDP比の半減を目指します。また、財政健全化目標の実現と
新たな施策実現の両立を図るため、新たな施策には、そのための
恒久的な財源を確保する原則を徹底します。・・・

37 適切な国債管理政策の実行
国債に対する信認を確保していくことの重要性を認識しつつ、
財政健全化に資する節度ある国債発行に努めます。・・・

38 安心社会実現に向けた税制抜本改革
・・・消費税については、基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げに
要する費用を賄うとともに、これからも増加が見込まれる年金・医療及び
介護の社会保障給付と少子化対策の費用に全額を充てることを
予算・決算において明確にした上で、経済成長戦略とムダ削減の
不断の努力を行いつつ、消費税の税率を引き上げます。
消費税率等については、・・・当面10%とすることとし、政権復帰時点で
国民の理解を得ながら決定するものとします。その際、食料品の複数税率等、
低所得者への配慮も併せて検討します。・・・

と、明確に消費税率10%への増税を公約している一方で、
複数税率制に言及し、諸外国同様の必需品低税率制への移行を示唆する。
消費税増税が避けられないならば、より実現性の高い政策でしょうね。


自民党政策集2010(2、法人減税による経済成長で所得1.5倍増)
2010.06.26

自民党の財政規律政策は成長戦略による税収増と消費増税による税収増が
基本ラインのようですね。まずは、成長戦略を考えてみましょう。

「成長戦略で日本の未来を切り拓きます」では、
この3年間に、金融政策、税・財政政策、成長戦略など、あらゆる政策を
総動員し、早期のデフレ脱却と景気回復を図り、名目4%成長を目指します。
仕事を創り、誰もが働く場を得られる社会を実現します。として、

4 法人税率の思い切った引き下げ等、雇用の拡大につながる企業環境の整備
企業が世界で勝負するためには、国際経済とのイコールフッティングが
必要であり、日本を拠点に海外で活動できるだけでなく、海外の企業が
日本に進出する環境を整える必要があります。そのため、法人税については、
国際的整合性の確保及び国際競争力の観点から、社会保険料を含む企業の
実質的な負担に留意しつつ、課税ベースの拡大とともに、法人税率を
国際標準の20%台に思い切って減税します。なお、中小企業向けの
法人税率については、さらに引き下げることを検討します。
9 イノベーション、ベンチャー事業等の創造・活路支援
産業それ自体を強くする唯一最大の原動力は技術革新(イノベーション)です。
既存企業とベンチャーをイノベーションの両輪ととらえ、日本の強みを
更に活かした挑戦をエンジェル税制等を含めて積極的に支援します。・・・
25 中小企業など既存基幹・在来産業の底上げ
・・・ エンジェル税制(ベンチャー企業投資促進税制)については、
その普及が進んでいない現状を踏まえて抜本的強化が必要ですが、
その際、町おこし・村おこしに向けて取り組む企業等も対象に加える等の
検討を行い、使い勝手の良いものとします。
28 アジアNO.1の金融・資本市場の構築
・・・ 「貯蓄から投資へ」の流れを促進する簡素で分かりやすい証券税制への
見直しや東証「グローバル30社」インデックスの創設、「日本総合取引所」
の創設など、民間金融機関・証券市場の活性化や資産運用マーケットの
強化を行います。・・・

など法人優遇措置に基づいた成長戦略が取り上げられ、
その結果としての経済成長により、「今後10年間で雇用者所得の5割増」
を目指すという。池田派の流れをくむ谷垣さんだけに、かつての
「所得倍増計画」の成功体験を念頭に置いているのだろうか。
その財源を国債ではなく消費増税とするのが国民新党との明確な違いですね。


自民党政策集2010(1、憲法改正へ結びつけられるか?)
2010.06.25

自民党のマニフェストは次の10項目に大別され、271項目にも上る
詳細な政策集になっています。

1 新しい時代にふさわしい国づくりのための自主憲法を制定します
2 成長戦略で日本の未来を切り拓きます―内需・外需ともに拡大―
3 「恒久政策には恒久財源」原則を貫き、財政規律を確立します
4 頑張る人、頑張った人が報われる社会を実現します
5 仕事を創り、地域を支え、安全安心な暮らしを守る―「手当より仕事」―
6 緑の地球と豊かな自然を守ります
7 外交を立て直し、世界の平和を築きます
8 世界をリードする「教育立国日本」を創造します
9 政治・行政への信頼を取り戻します
10 わが国のかたちを守ります

谷垣自民党のマニフェストの最大の特徴は憲法改正でしょうね。
1 憲法調査会の始動
「国民投票法」による国会法改正によって、衆参両院に「憲法調査会」が
設置され、本格施行の本年5月までの3年間の準備期間に、
この「憲法調査会」において憲法改正に向けた論点整理を行うべきと
されていました。しかし、「憲法調査会」は、民主党などの反対で
衆参両院において今もって開催されておりません。このような違法状態を
早急に解消し、衆参両院に「憲法調査会」を始動させ、憲法論議を行います。

とした上で、「新憲法草案」の概要として、
(国民の権利・義務)
新たな権利として、いわゆる「環境権」、「犯罪被害者の権利」等を新たに
追加するとともに、「自由及び権利には責任及び義務が伴う」という原則を
掲げています。
(財政健全化条項)
現在及び将来にわたる国の極めて厳しい財政事情にかんがみ、財政の
基本原則として国の財政健全化の確保に関する配慮義務を明記しています。

安倍さんの悲願だった憲法改正へ結びつけられるだろうか。
全国民に憲法改正の必要性を共通認識として喚起できるのか、
注目したいところですね。


国民新党マニフェスト(2、3ヵ年100兆円の経済対策、財源は国債?)
2010.06.24

国民新党の税財政政策を具体的に検討しましょう。
「2 経済成長による財政健全化 景気回復に全力投球」において、
国民新党は次のように主張しています。

1 3ヵ年で総額100兆円の経済対策、5%の経済成長達成
10年以上続いているデフレ不況の下、我が国の経済規模は縮小の一途です。
またデフレを脱出し、経済を成長させる事が我が国の財政環境を健全化
させる唯一の方法です。
国民新党は今後3年間で100兆円規模の財政・金融政策を実現し、
5%以上の名目GDP成長を目安とした経済の活性化と経済成長に基づく
税収増による財政の健全化を図ります。
5 中小企業活性化から日本復活
昨年度成立した中小企業や住宅ローン等の支払猶予制度を経済が本格的な
回復基調に戻るまでの間継続すると共に、貸し渋り・貸し剥し対策を強化します。
中小企業に対する投資減税制度を創設し、我が国の産業、雇用を支える
中小企業全体の活性化を図ります。
7 「いきいき地方復活交付金制度」の新設
地方経済の再生の為、地方交付税を一層充実させ、更に「いきいき地方復活
交付金制度」(年間3兆円程度)の新設を図ります。
本制度により懸案になっている学校・病院など公共施設の耐震化、
電線地中化、上下水道・浄化槽の施設更新、木製ガードレールの設置など、
地域密着型公共事業への転換で地方を元気にします。
8 無利子非課税国債新設と一般会計と特別会計の一体運用による財源確保
以上の経済対策を行うにあたっての当面の財源としても、本質的な経済の
活性化の観点からも、眠れる国内金融資産を掘り起こすことが重要です。
私達は今後三年間の大型景気対策の主力財源として無利子非課税国債の
新設と特別会計の剰余金・積立金の更なる活用・そして郵貯・かんぽ資金の
活用などを通じ、本格的な経済成長を実現します。

利息なしの赤字国債の発行と郵政資金の活用ととを念頭に、
経済成長に必要な公共事業を積極的に行うことを主張しているんですね。
将来世代に借金を更に上乗せしても、経済成長による税収増で返済可能
ということなんですね。
菅・仙谷体制の財政規律路線と対立するだけに、連立継続に???
積極財政論者の亀井さんらしい政策だと思いますが・・・


国民新党マニフェスト(1、郵政見直しの狙いは財政転用?)
2010.06.23

国民新党はミニ政党らしく、自分たちの中心となる政策に絞った
非常にコンパクトかつインパクトのあるマニフェストになっていますね。

1 国土・国益を守り抜く 伝統・誇り・価値の継承
2 経済成長による財政健全化 景気回復に全力投球
3 郵政改革のゴールは本物の地域力 安全・成熟の国土形成
4 小泉・竹中改革の抜本的見直し 格差の解消、地域の再生
5 医療・福祉の政府保証 安心の回復
の5つに大別されるのですが、「本格保守」を標榜する、従来型の
財政出動による景気回復、安全保障を目指すところが特徴です。

例えば、2 経済成長による財政健全化 景気回復に全力投球 では、
4 各地域ブロックにおける大型プロジェクトの策定
「小泉構造改革」の中で、地方交付金・交付税は累計47兆円も削減
されました。またこの間、公共投資も累積13兆円が削減され、じつに
合計60兆円もの巨費が地方から奪われたといえます。
財源を失った地方は急速に活力を失い、経済もまた急速に縮小しました。
地方に元気が戻らなければ、日本全体の元気は望むべくもありません。
国民新党は、日本を地方から元気にするために、全国各地域ブロックごとに
国費と郵貯、かんぽ資金などを中心とした民間資金を財源とした
大型プロジェクトを策定し、今後5ヵ年程度での実現を図ります。

3 郵政改革のゴールは本物の地域力 安全・成熟の国土形成 では、
1 郵貯・かんぽ資金の戦略的運用で大型国家プロジェクトを推進
総額300兆円、文字通り世界最大の金融機関である「郵貯・かんぽ」の
資金運用問題は、正に合衆国政府からの「年次要望書」の中に
郵政民営化が盛り込まれるに至った直接の契機と言え、今後の
「郵政事業の見直し」においても中核を形成するテーマです。
私達は現在の資産構成を今一度評価し、我が国の経済・財政の根幹を
守る事の出来る体制を維持すると共に、国家プロジェクトや
疲弊した地域経済を活性化し得る運用体制を作ってゆきます。

といったように主張しています。
ただ、郵政事業は民営化されたわけですから、従前のような財政投融資への
転換が難しくなっているように思います。郵政事業見直しの肝が、莫大な
郵政資金の財政転用であるとすれば、疑問を呈さざるを得ないですよ。


民主党マニフェスト2010(5、まだ実現できていないこと)
2010.06.22

昨日検討した、民主党政権のこれまでの取り組みに続き、今日は、
「まだ実現できていないこと(引き続き取り組みます)」について。

わずか5項目しか掲げられていない「まだ実現できていないこと」
ですが、税財政については、以下の3点が指摘されました。

<借金が収入を上回った予算>
2010年度の予算は、税収が急落したこと、ムダづかい根絶が途上にある
ことから、昨年度に続き、借金収入が税収を上回る異例の予算となりました。
<暫定税率廃止>
ガソリン価格が比較的低価格で推移していたこと、税収の急落、環境への
配慮などから、ガソリン税などの暫定税率の水準を維持しました。
<高速道路無料化>
高速道路の原則無料化は、温暖化や関係する公共交通機関への影響などを
検証しながら慎重に進めることとしたため、2010年度における無料化の
区間は限定的なものとしました。


自動車関連諸税における暫定税率廃止と高速道路無料化については、
衆院選マニフェストの根幹にかかわる問題でしたので、

できないじゃないか!

と言いたいところですが、マニフェストは4年間の約束ですので、
しっかりと実現に向けて取り組んで頂きたいところです。
暫定税率を環境税へシフトするだけであれば、麻生さんが言っていたことと
同じになってしまいますから、民主党らしい変革を期待したいところですね。

また、ギリシャ危機からもわかるように、赤字国債乱発がまかり通る
時代ではなくなっているだけに、借金が税収を上回る身の丈に合わない
財政は世界から信用されない時代です。
ムダの排除の徹底を図り、埋蔵財源の洗い出しを徹底的に行わなければ、
衆院選の時に、「財源は見つかる」と言い続けたことが嘘になってしまう。
菅首相にはみごとな手腕を発揮して頂かないと国がもたない危険性が
あるだけに、何とかして頂きたいところだ。


民主党マニフェスト2010(4、これまで取り組んできたこと)
2010.06.21

民主党の参院選マニフェストの最大の特徴は、最後に示された
「民主党政権がこれまで取り組んできたことを報告します。」でしょう。
これによると、衆院選時のマニフェストで提示した179の政策のうち、
実施35件、一部実施59件、着手済み70件とし、未着手は15件です。

取り組んできたこととして、具体的には、次のようなものが挙げられます。
6 経済対策の実施
2010年に7兆円規模の補正予算を成立させ、雇用・環境・景気対策に
重点を置いた「明日の安心と成長のための経済対策」を実施しました。
9 予算配分の大幅見直し
凍結・見直しなどで公共事業予算を18%削減する一方で、10年ぶりの
診療報酬の増額、「子ども手当」の創設などにより医療・介護・子育て
などの社会保障予算を9.8%、教育予算を8.2%増額しました。
10 既存予算の見直し
自公政権で行われた2010年度予算概算要求を各府省の政務三役が
政治主導で見直し、1.3兆円の予算を削減しました。
11 事業仕分け
公開の場で一つひとつの事業を外部有識者などが検証する「事業仕分け」
で政策効果の低い事業の凍結や、天下り法人などの「中抜き」を見直した
結果、約2兆円の財源を確保しました。
18 租税特別措置の見直し
税制の特例として税負担を軽減する措置である租税特別措置などのうち、
国税で41項目、地方税で57項目を廃止または縮減し、同時に全ての
租税特別措置を検証するための法律を制定しました。
39 NPO税制の見直し
2010年度税制改正でNPOなどに関する寄付金税制の適用範囲を拡大する
とともに、2011年度税制改正では税額控除方式を導入する方針を決定しました。
40 中小企業の経営者支援
いわゆる「一人オーナー会社(特殊支配同族会社)」の役員給与に対する
損金不算入制度を廃止しました。

取り組んできたことについては、どちらかというと国民にメリットがある
政策が取り上げられている感がありますが、そのために政権交代した
のですから、最初はメリットが先行するのは仕方がないことでしょうね。
ただ、問題は、まだ実現できていないことなので、これは次回に。


民主党マニフェスト2010(3、子ども手当財源、年金一元化等)
2010.06.19

民主党マニフェストが税財政に踏み込んだ表現をしているのは、
1 ムダづかい 行政刷新 → 強い財政
だけなんですが、他の9項目でも注目すべき指摘があります。

4 子育て・教育
・財源を確保しつつ、すでに支給している「子ども手当」を
1万3000円から上積みします。
・上積み分については、地域の実情に応じて、現物サービスにも
代えられるようにします。

一昨日指摘したように、「新たな政策の財源は、既存予算の削減または収入増
によって捻出すること」になっているのですから、財源に根拠のない政策と
言わざるを得ないでしょう。だからこそ、予算措置が必要な支給ではなく、
現物サービスへの転換をも視野に入れたのでしょうね。
ただ、「財源はある」と言い続けてきた昨年の衆議院選挙前の民主党議員の
TVでの数々の発言は、言葉に責任を伴うべき政治家の発言であったとは
言い難かったのでしょうかね。猛省を求めたいところです。

5 年金・医療・介護・障がい者福祉
・年金制度の一元化、月額7万円の最低保障年金を実現するためにも、
税制の抜本改革を実施します。

かつての政府税調の時代から言われ続けてきたことですが、
高齢化社会に対応する景気に左右されない安定財源の確保のためにも、
消費税の抜本改革の必要性が増しています。単一税率による増税か、
複数税率制を導入すべきか、我々国民も当事者として具体的に
考えていかなければならない時期に入ったと言えるでしょう。

10 交通政策・公共事業
・自動車重量税・自動車取得税は簡素化とグリーン化の観点から、
全体として負担を軽減します。

昨年の鳩山マニフェストでは、暫定税率の廃止を謳っていただけに、
政策として後退した感が否めない。鳩山発言により国際公約となった
CO2排出量25%減に向け、税制のグリーン化は急務ですが、
これは福田・麻生路線への回帰では?と訝しく思いますね。


民主党マニフェスト2010(2、強い財政、中長期目標)
2010.06.18

昨日に引き続き、民主党のマニフェストについて検討しましょう。
昨日は、強い財政を目指すにあたり、今すぐやることを検討しましたが、
今日は、それを受けての中期目標と長期目標について検討します。

まず、中期目標としては、1点。
・2015年度までに基礎的財政収支の赤字(対GDP比)を、
2010年度の1/2以下にします。

長期目標としては、2点。
・2020年度までに基礎的財政収支の黒字化を達成します。
・2021年度以降において、長期債務残高の対GDP比を安定的に低下させます。

かなり厳しい目標を設定しているのですが、
平成22年4月6日に国家戦略室から公表された
「中期的な財政運営に関する検討会 論点整理」によると、
「平成22年度予算においては、戦後初めて当初予算で税収が公債発行額を
下回り、平成22年度末において、国及び地方の長期債務残高はGDPの
181%に達する見込」であり、
「新政権の下、政治・行政を含めた現世代の国民全体が、なおも必要な
改革を先送りし続ければ、そのツケは、何ら責任のない将来世代が負う
ことになることを自覚しなければならない」わけですから、
「新政権における財政健全化への取組は、何よりもまず、現実を隠さず、
正直であることを第一に」、「慎重な経済見通しを採用し、「目標」である
新成長戦略の目指す成長率とは区別」した
厳しい財政再建へのロードマップが必要なんですよね。

しかし、中期目標としての平成27年度における基礎的財政収支の赤字を
平成22年度の半分にするというのは、来年から3年間かけての
中期財政フレームの最終年度である平成25年度改正までには
消費税の大増税が行われることの意思表示であると考えてよいでしょうね。

麻生政権時代の政府税調が示したシナリオにおいても、
財政再建には消費税12%が必要だとの指摘がされていただけに、
消費税大増税時代は避けて通れないでしょう。
それだけに、複数税率制の導入を強く訴えたいところですね。


民主党マニフェスト2010(1、強い財政、今すぐやること)
2010.06.17

来るべき参議院選挙に向け、各党が信を問うマニフェストが出揃ってきた。
そこで、税・財政問題に絞って、各党のマニフェストを検証していきたい。

まず最初は、菅新首相の元、出直しを図る民主党です。

非常に細かく、思い切った表現が多用されていた2009年衆議院選挙の
マニフェストと比べると、簡素化され、見やすくなった半面、鳩山政権で
実現できなかった課題にも言及する等、かなり慎重なものになっている。

10項目のうちトップに掲げたのは、
「ムダづかいと天下りを根絶し、財政を健全化させます。」

今すぐやること、として
・2011年以降、3年単位で予算の大枠を定める「中期財政フレーム」
に沿って財政を運営します。
・新たな政策の財源は、既存予算の削減または収入増によって
捻出することを原則とします。
・2011年度の国債発行額は、2010年度発行額を上回らないよう、
全力をあげます。
・事業仕分けなどを活用したムダづかいのさらなる削減、政策の優先順位の
明確化、導入・歳出両面における総予算の見直しに取り組みます。
・早期に結論を得ることをめざして、消費税を含む税制の抜本改革に関する
協議を超党派で開始します。
の5点を掲げています。

予算的裏付けがないままに実行しようとした子ども手当等、
政権を奪取してみたら、赤字国債の大量発行に踏み切らざるを得なかった
鳩山政権の反省を踏まえ、事業仕分けの徹底による予算削減による
財源確保が急がれるところですが、
発掘した埋蔵金を国庫に返納させるために必要な法整備を含め、
野党時代の民主党の準備不足が明らかになってきた点が多々あるだけに、
菅新政権の今後の命運を握りかねない危機的な財政運営が迫られよう。

それだけに、消費税の増税が避けられない状況にあり、
先に公表した自民党が10%と明記したことについて、
参考にする旨を菅新首相が言明したのでしょうね。


財政規律派と目される菅直人氏を首相に選出
2010.06.04

普天間問題に対するブレまくった発言と「政治とカネ」を巡る問題から
鳩山内閣が総辞職し、菅直人氏が新しい首相に選出された。

まずは、鳩山内閣が裏切った国民に対する信頼を回復するところから
始めることになるのだろう。

そういう意味では、鳩山さんが、小沢さんとともに辞任したことは、
小沢シンパからは批判されるだろうが、新党さきがけ時代からの
鳩山さん、菅さんが目指してきた政治の実現に向けて、
期待を持たせる決断だったと評価したい。

ただ、菅さんは、財政規律派と目され、鳩山さんが「私の在任中の
4年間は上げない」と明言してきた消費税の増税が現実のものになる
と考えてよいだろう。

少なくとも税・財政に関しては、鳩山さんが昨年の衆院選で示した
マニフェストは非現実的なものであり、消費増税は避けて通れまい。
公務員制度改革を断行し、わが国経済の在りようを改革することにより、
小さな政府への転換を図ることは不可能ではなかろうが、
そうすると、民主党が重点課題として取り組んできた社会的弱者に対する
より一層の保護は望めない。
民主党の政策を実現するためには、大きな政府を志向する必要があり、
そのためには、「まず増税ありき」でなければ、赤字国債を垂れ流し、
将来世代が背負い込む借金が膨大となりすぎるのだ。
我々の今の生活のために、子どもたちが犠牲になるのでは、
少子高齢化は当然の帰結だ。
誰が好き好んで、不幸な子どもを増やしたいというのか。
将来への不安を取り除くためには、財政規律が必要で、
その意味では、菅さんの首相、官房長官に仙石さんは歓迎だ。

事業仕分けにより明るみに出された埋蔵金や、高級官僚の既得権益を、
「イラ菅」と称されたぶっ壊し屋がどこまで指導力を発揮できるのか、
注目せずにはいられない。