自社株投資と合理性

2008.05.10

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鳥だ!!

おはようございます、月に一度、横須賀方面にお仕事で出かけます。
海が近いのですが、トンビが上空を飛び交っています。


少し前に、曖昧性回避の傾向について触れました
前回は「知らないことを避けたがる」というニュアンスで書きましたが、
この傾向を裏返すと「知っていることは過度に信頼する」ということになります。


最もわかり易い例を呈示します。
多くの上場企業では、社員により持ち株組合のようなものが組成され、毎月
幾ら天引きで自社株を少しずつ買い増す、という制度があります。
さて、この制度、皆様はどう思われるでしょうか?

おそらく自社株購入制度のメリットとして挙げられるのは
・自社株の購入は、愛社精神の育成に役立つ
・自社の事は、業界動向も含め情報に精通しているから、投資判断がし易い
・会社の成長し株価が上がれば、社員の財産も増えるのだから、社員の
 勤労意欲を向上させることができる
こんなところでしょうか。

上記の二つは、曖昧性回避の傾向に見事に合致します。
「知っている = 自分は有利・(投資)相手も信頼できる」という偏向がみられます。


ただ、合理性の観点からすると、この自社株購入制度はかなりいい加減です。

まず、各企業の成績は、業界動向に7割程度依存する、という経済の傾向があります。
つまり、個別企業がどれだけ努力しても、業界が駄目な時にはやっぱり駄目な
可能性が高い、ということです。

仮に「業界落ち目 → 個別企業落ち目 → 社員給与減額 → リストラ」なんて
スパイラルに落ち込めば、各社員は給与は下がるは、保有する自社株の価値は
下がるはで、ダブルで痛手を被ることになります。
投資の鉄則といわれる「分散投資」の原則から、大きく逸脱しています。
(給与のみならともかく、株式まで自社に依存するのですから)


それに、仮に社員が「社内の情報を利用」して有利に株式売買を行ってしまえば、
所謂インサイダー取引につながるおそれが高いでしょう。
(もちろん、そうならないような各種制度は敷かれているとは思いますが)
つまり「知っている = 投資判断上有利」とは一概に言えないわけです。


また、社員の頑張りで個別企業の成績が上がる=株価が上昇するという
保証は、案外と低いのです。
現在の株式市場で起こっている「過去最高益なのに株価は下落」という状況は、
規模の大小はあれ、幾らでも起こりうることなのです。


つまり、合理的な投資家なら、例えば自分がサービス業の会社に勤めて
いるのならば、株式投資は製造業にするなど、経済動向による各種影響を
なるべく個人アセットアロケーションの中で平準化できるような投資を
心がけるべき、ということです。
ところが、やっぱり「従事している業界=より深く知っている業界」の方が
自分が有利に立ち振る舞える、と勘違いしてしまうのです。
せめて同じ業界でも、同業他社の株式を買う位の方が、間違いは少ないと
思うのですが…。

投資手法として空売りでも駆使できるならともかく、投資姿勢としては案外と
リスクが高いということは、各上場企業社員の皆様はご承知おきください。


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