資金調達(セーフティネット貸付)の際の注意点  | 紹介実績NO.1のビスカス 税理士紹介センター

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平成20年分の住宅ローン控除について



先生教えて
Vol.18
2009.6.11
答えていただく専門家:税理士 吉田信康


プロフィール

―― 今回は資金調達の際の注意点について、吉田先生におうかがいします。よろしくお願いします。「100年に一度の大不況」といわれる世界的な金融不安や景気悪化の影響からでしょうか、中小企業から資金調達のご相談が多いそうですね。


本当に多いです。今私の仕事の半分くらいは資金調達のご相談です(笑)。
昨年10月のあのリーマン・ショック以降からですね。確かに売上が極端に減少する企業が増えてきています。それに政府が対応して、緊急的に中小企業の資金繰り対策、いわゆる「セーフティネット貸付」が実施されました。
この貸付は、まず市区町村で認定を受けるということが特徴です。認定後、金融機関に申込みをして、さらに信用保証協会が100%債務保証を実施することで、中小企業へスムーズな融資実行がされるような仕組みとなっています。自治体によっては、合わせて金利減免や補助の制度を打ち出しているところも多くあります。


―― セーフティネット貸付の認定とはどういうことですか?


法人であればその本店の所在する市区町村に、最初に認定を受ける必要があります。その認定を受けた上で、金融機関に融資の申込みをすることになります。
具体的には、「会社はどれくらい状況が悪くなっているか」を市区町村に提示する必要があります。これはいわゆる「5号認定」と呼ばれるものなのですが、直近3ヶ月間の売上が前年同期に比して3%以上減少しているか、利益(売上総利益率または営業利益率)が3%以上減少しているかなどを説明する必要があります。


―― 認定を受けるためにはどのような検討をするのですか?


まず、会社の業種がこの特例を受けることができる特定業種に該当しているか確認します。これは大方の業種は該当するはずです。
やはり、具体的には直近3ヶ月間の売上もしくは利益が減少しているか、これを確認することが大変重要ですね。その確認をするためには、会社の「試算表」が必要なのです。これをご存知ない経営者が本当に多いです。これがなければ、そもそも申請すらできません。認定を受けようとする、前月もしくは前々月くらいまでの試算表が要求されますので、その前提となるきちんとした帳簿ができていないと融資が受けられなくなってしまうのです。


―― ということは、顧問税理士がついていないと認定で困る場合があるということなのでしょうか?


税理士が作成した試算表でなければダメとは、言われないかもしれませんが、少なくとも毎月試算表をキチンと作成している必要があります。客観性に乏しい資料や、具体的にはメモ類や月別売上高のみ記載の資料では認定は受けられないと思います。
実際にあったケースですが、売上高は3%減少していなかったのですが、試算表を作成したら、利益率の方が3%減少して認定を受けることができた会社がありました。こういう会社の申請の場合は顧問税理士がきちんと試算表を作成した方が、より信頼性が高まり、融資審査も早く進むのではないでしょうか。このケースは早期に融資実行されて、本当に感謝されました。


―― なるほど。資金調達を検討する場合は、税理士に相談してから進めた方がいいですね。


吉田信康先生

認定を受ける前のそもそものお話なのですが、ただ、「借りることができればよい」という話でもないのですね。本音を言えば、借りる必要がなければ絶対に借りない方がよいと思います。
でも、たまたまこの不景気の波をもろに受け、一時的に売上が落ち込んだ会社があったとしますね。その先の業績の「V字回復」が見込めるなら、なんとかこの緊急事態をしのいでほしいと本当に思うのです。そのあたり、よく検討をします。
その結果、見通しも立たないのに、一時的に急場をしのぐような借入は反対することもあります。銀行側の本音としても、本当に業績の悪くなったところはやはり貸したくはないのです。貸した資金で会社の業績回復がどう見込めるか、真剣に議論します。
あと、融資を反対するケースとして。特に最近だと「1円起業」など過小資本で開業するケースが多いですよね。最初から資金が足りないのは自分で分かっていながら起業した訳です。こういうケースでは「まず売上を軌道に乗せてから」とか「増資をした方がよいのではないか」とハッキリ申し上げています。
それと特に若い経営者の方には、「おカネを借りること」の意味から説明することもあります。よく言われる言葉ですが、「銀行は晴れたときに傘を貸し、雨の日には貸さない」ということです。後から「借りなければよかった」という後悔も、絶対にして欲しくはないですから。


―― 先生のところでは、融資斡旋相談までされるということですか?


金融機関に「斡旋する」とか「顔が利く」という言い方されると困るのですが(笑)、ぜひ事前に相談して欲しいと必ずお願いしていますね。
当事務所では、各金融機関の融資担当者がよくお見えになり情報も取っています。その際によく聞くお話なのですが、今の若い経営者だと、よく考えもせずにいきなりネットから申し込みなんかされるそうです。確かに時代ですから仕方がないのでしょうけど、一度専門家である税理士のフイルターをかけた上で、税理士からの紹介なり、きちんとしたルートで融資申し込みをした方がやはり良いそうです。
できれば金融機関にある程度お付き合いのある税理士に相談された方がよいと思います。また銀行によっては、税理士からの紹介案件で、日本税理士会連合会の定めるチェックリストを提出することにより、優遇金利を受けられる制度すらあります。
融資の金額や期間の問題、資金使途など、やはり具体的に借入の効果を事前によく検証すべきです。返済原資はどうなるのか、今後の売上や利益の見通しまでよく詰めた上で、申込みをすべきだと思っています。その上で、私も金融機関にご紹介することはよくあります。


―― 最後に、他にお勧めの融資制度があれば教えてください。


政府が政策的に進めている融資制度として、日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付」もあります。前述の信用保証協会が実施する制度と同名にしてしまったため、現場ではかなり混乱しているようですが、まったく別の融資制度なのです。
これは先ほどご説明した「市区町村の認定」を受ける必要もなく、日本政策金融公庫独自の審査基準で判断されます。よって、この融資制度も合わせて検討することもあります。

―― いろいろ活用すべき融資制度があるのですね。税理士を通じて融資の申込みをした方が有利になる場合があることも知っていなければなりませんね。
また、こういう時こそ、確かにまずお金を借りることの意味も、改めて経営者としてもよく考えておくべきかもしれませんね。
この厳しい経営環境を乗り越えるためにも、ぜひ資金調達する時は、経営のアドナイザーとして専門家に相談するべきだと感じました。ありがとうございました。



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