非居住者又は外国法人に支払う所得の源泉徴収事務 Ⅳ源泉徴収の対象となる国内源泉所得の取扱い8 | 紹介実績NO.1のビスカス 税理士紹介センター

税理士 紹介ビスカス > 税金Q&A一覧 > 非居住者又は外国法人に支払う所得の源泉徴収事務 Ⅳ源泉徴収の対象となる国内源泉所得の取扱い8

源泉所得税関係情報

非居住者又は外国法人に支払う所得の源泉徴収事務

Ⅳ源泉徴収の対象となる国内源泉所得の取扱い8

8 使用料等(七号所得)
国内法では、非居住者等が国内において業務を行う者から支払を受ける工業所有権、著作権等の使用料又は譲渡の対価で、その支払者の国内業務に係るものについては、国内源泉所得として所得税の源泉徴収を要することとされており、いわゆる使用地主義を採っています。
これに対し租税条約では、債務者の居住地国を源泉地とする、いわゆる債務者主義を採っているものが一般的です。

国内法による取扱い
租税条約による取扱い

1 使用料等の範囲
非居住者等が国内において業務を行う者から支払を受ける次に掲げる使用料又は譲渡の対価で、その支払者の国内業務に係るものが、源泉徴収の対象とされています(所法161七)。
①工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるものの使用料又はその譲渡の対価
②著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含みます。)の使用料又はその譲渡の対価
③機械、装置、車両、運搬具、工具、器具及び備品の使用料

1 所得源泉地
我が国が締結した租税条約の多くは、使用料については受領者の居住地国において課税することを前提としながら、所得源泉地国においても課税できる旨を規定しています。
なお、日米租税条約、日英租税条約及び日仏租税条約においては、源泉地国免税とされています(その使用料の支払の基因となった権利又は財産が恒久的施設と実質的な関連を有するものを除きます。)。
使用料の所得源泉地に関する規定(ソースルール)は、我が国が締結している租税条約をみると次のように分類することができます。

区分
条約締結国
債務者主義を採っている条約締結国 下記以外の50か国(注)
使用地主義を採っている条約締結国 フィジー
特に規定を置かない条約締結国(国内法による使用地主義) アイルランド、オーストリア、スリランカ、ニュージーランドの4か国

(注) 条約発効後におけるカザフスタン及びブルネイを含みます。また、源泉地国免税となるアメリカ、イギリス及びフランスを除きます。

2 「国内業務に係るもの」の意義
「国内業務に係るもの」とは、国内に おいて業務を行う者に対して提供・供与された工業所有権等のうち、その国内において行う業務の用に供されている部分に対応するものをいいます。
したがって、例えば、日本の企業が提 供を受けた工業所有権等を、国外において業務を行う他の者(再実施権者)のその国外における業務の用に供することにより、外国の企業に対して支払う使用料(再実施権者の使用に係る部分に限ります。)は、国内源泉所得に該当しないことになります(所基通161−21)。
また、日本の企業が外国の企業に支払 う機械、器具等の使用料であっても、その機械、器具等が日本国外においてのみ使用されるときは、国内源泉所得には該当しないことになります。
2 使用料等の範囲
(1)工業所有権等
OECDモデル条約では、工業所有権等の使用料について、「特許権、商標権、意匠、模型、図面、秘密方式若しくは秘密工程の使用若しくは使用の権利の対価として、又は産業上若しくは学術上の経験に関する情報の対価として受領するすべての種類の支払金」と定義しており(同モデル条約第12条第2項)、我が国が締結した租税条約の多くも、同モデル条約の定義を採用しています。
(2)著作権
OECDモデル条約では、「著作権」の範囲を、「文学上、芸術上若しくは学術上の著作物(映画フィルムを含みます。)の著作権」と定義しています(同モデル条約第12条第2項)が、我が国が締結した租税条約の多くも、同モデル条約の定義を採用しています。
なお、映画フィルム(ラジオ放送用・テレビジョン放送用のフィルム又はテープを含みます。以下同じです。)の使用料については、おおむね
①事業所得とするもの
②事業所得の範囲から除外しているもの
③使用料とするもの
④それぞれの国の国内法の取扱いによるものに分かれています。
(3)機械・装置
租税条約において機械・装置の使用料(いわゆるリース料)に対する課税関係は、次の3つに大別されます。
①事業所得とするもの(恒久的施設がなければ課税しない。)
②使用料の範囲から除いているもの
③使用料とするもの
(注)一部の租税条約においては、使用料を文化的使用料と工業的使用料に区分して定義し、文化的使用料について課税を免除しているものがあります。
3 「使用料又は譲渡の対価」の意義
「使用料又は譲渡の対価」とは、技術 等の実施、使用、採用、提供、伝授又は技術等に係る実施権若しくは使用権の設定、許諾若しくはその譲渡の承諾について支払を受ける対価の一切をいいます。また、著作権の使用料とは、著作物の複製、上演、演奏、放送、展示、上映、翻訳、編曲、脚色、映画化その他著作物の利用又は出版権の設定につき支払われる対価及び著作権の譲渡の対価の一切をいいます(所基通161−23)。
つまり、使用料という名目にとらわれず、支払の実質が使用料の性質を持って
いるかどうかによって判断する必要があります。したがって、ランニングロイヤリティはもちろんのこと、頭金(イニシャルペイメント)等もこれに含まれます。

3 譲渡の対価
工業所有権等の譲渡益(キャピタルゲイン)については、国内法では使用料と同様に取り扱われていますが、我が国の締結した租税条約では、キャピタルゲインに関する取扱いはまちまちとなっており、次のように大別することができます。

区分
条約締結国
譲渡収益を使用料と同様に取り扱う条約締結国 シンガポール、大韓民国、デンマーク、ベトナム等
真正(完全)な譲渡以外の譲渡対価を使用料とする条約締結国 オランダ、スイス、スペイン、ドイツ、ベルギー、メキシコ
工業所有権等の譲渡対価についても他の財産(動産)の譲渡対価と同様に取り扱う条約締結国 アイルランド、アメリカ、イタリア、オーストラリア、スウェーデン、中華人民共和国等

(注)源泉地国課税(債務者主義・使用地主義)・居住地国課税のいずれを採っているかは租税条約の規定により異なります。

4  「特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるもの」の意義
「特別の技術による生産方式若しくは これらに準ずるもの」とは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権等の工業所有権等の目的にはなっていないが、生産その他業務に関し繰り返し使用し得るまでに形成された創作、すなわち特別の原料、処方、機械、器具、工程によるなど独自の考案又は方法を用いた生産についての方式、これに準ずる秘けつ、秘伝その他特別な技術的価値を有する知識及び意匠等をいいます。
したがって、いわゆるノウハウはもちろ ん、機械、設備等の設計及び図面等に化体された生産方式、デザインもこれに含まれますが、海外における技術の動向、製品の販路、特定の品目の生産高等の情報又は機械、装置、原材料等の材質等の鑑定若しくは性能の調査、検査等は、これに該当しません(所基通161−22)。
 
5  特許権侵害等により支払われる和解金等
特許権の侵害があった場合に支払わ れる損害賠償金や和解金については、その実質が使用料に代えて支払われるものが多く、そのようなものは使用料として取り扱うことになっています(所基通161−6の2)。
 
6 課税の対象とならないもの
(1)実費程度の場合
支払う対価が、派遣技術者の給料 や作成した図面の紙代等の実費に通常見込まれる利潤を加算した金額に満たないときは、その支払金額が技術の使用回数・期間・生産高等に応じて計算されていない限り、使用料課税の対象とはしないこととされています(所基通161−24)。
(2)使用料のほか技術者の給料等を支 払う場合
イ  技術提供契約に基づき使用料を 支払う場合において、次のような実費を併せて支払うときは、それらが契約書、請求書等において明確に区分されている限りその実費相当部分は課税対象とはなりません(所基通161−25⑴〜⑶)。
これに対して、これらの費用が区 分されることなく一括して支払われるときは、その全額が使用料として課税の対象とされることになります。
①技術提供者が自ら又は技術者を派遣して日本国内において人的役務を提供するために要する費用
②技術習得のために派遣された技術者に対して技術を伝授するために要する費用
③提供する図面、型紙、見本等を作成するための実費相当額
ロ  映画フィルムやテレビ放送用フィル ム、ビデオテープの提供契約に基づいてこれらの物とともに提供されるスチール写真等の広告宣伝材料の代金で、その広告宣伝材料の作成のための実費程度と認められるものについては、それが契約書、請求書等で使用料と明確に区分されていれば課税の対象としないこととされています(所基通161−25⑷)。
 
※2010年1月現在での情報を元に制作しております。最新または正確な情報をお求めの方は、専門家にお問い合わせください。
|
メディア掲載情報
全国の書店にて好評発売中!