個人事業主が支払う税金の時効は何年?
税金を払わないとどうなるの?
個人事業主が支払う税金の時効は何年?  税金を払わないとどうなるの?

2019/3/22

 
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個人事業主は毎年、確定申告を行い、税金を支払う必要があります。しかし、自分で利益や税金を計算するため、納める税金がないと思っていたのに、納める税金があったということもあるでしょう。では、このような場合、何年前までさかのぼって税金を支払うのでしょうか。ここでは、税金の時効について解説します。

そもそも確定申告とは

確定申告をする人としない人

実は、個人事業主には確定申告をする人としなくて良い人がいます。そこで税金の時効について見ていく前に、まずは、確定申告の要件について見ていきましょう。

 

個人事業主は原則、確定申告をする必要があります。では、個人事業主であっても確定申告をしなくて良いのはどのような場合でしょうか。それは、納める税金がない場合です。

納める税金がない場合の代表例は、赤字の場合です。所得税はあくまで利益(所得)に対して課される税金のため、利益がなければ、所得税はかかりません。この場合は、確定申告をする必要はありません。また、利益があっても控除などを使うと税金が出ない場合も、確定申告をする必要がありません(申告が要件の控除もあるので注意が必要です)。

 

このように納める税金がない場合には確定申告をしなくても良いのですが、青色申告で赤字を翌年以降に繰り越したい場合や、住宅ローンや保育園・幼稚園などの申請を行う場合などで所得の証明が必要な場合、税金の還付がある場合などは、確定申告をする必要があるので注意が必要です。

確定申告書の提出期限と納税期限

では、確定申告の提出期限と納税期限はいつでしょうか。実は、この提出期限と納税期限は、税金の時効と大きなかかわりがあります。

 

確定申告の提出期限は翌年の3月15日であり、納税期限も同じ日です。個人事業主は1年間の利益や所得、納める税額を計算し、翌年の2月16日~3月15日までに確定申告をする必要があります。この期限の間に申告することを「期限内申告」といいます。提出期限を1日でも過ぎて申告することを「期限外申告」といいます。期限内申告と期限外申告では時効が異なるため、申告期限を押さえておきましょう。

期限内申告、期限外申告と時効について

時効の年数は、期限内に申告したかどうかで異なる

ここからは、税金の時効について見ていきましょう。そもそも「税金の時効」とは何でしょうか。税金の時効とは、国が、税金を徴収する権利を行使できなくなるまでの期間のことです。つまり、税金の時効を過ぎると、税金を徴収されないことになります。では、税金の時効はいつまでかというと、申告書をいつ提出したのかによって、次の3つに分かれます。

①期限内申告書の場合

確定申告書を申告期限内に提出している場合の時効期間は、申告期限の翌日から3年となります。例えば、2019年の3月15日までに申告書を提出している場合は、2022年の3月15日が時効です。

②期限外申告の場合

申告期限を過ぎてから確定申告書を提出している場合の時効期間は、申告期限の翌日から5年となります。例えば、2019年の4月1日に申告書を提出している場合は、3月15日の申告期限を過ぎてからの申告となるため、時効は2024年の3月15日が時効です。

③脱税の場合

上記で述べた時効は、やむを得ない理由があった場合や単に計算間違いや認識違いなどがあって、税金を少なく納めていた場合のものになります。

 

同じ税金を少なく納めていたものであっても、虚偽によるものや不正行為によるものなど、脱税と認められるものに関しては、別に時効が定められています。脱税の場合の時効期間は、申告期限の翌日から7年です。

督促状が送られてきたら注意が必要

上述したとおり、税金には時効があります。では、時効が来るまで納めなければいいというわけではありません。税務署としても、時効は成立させたくありません。実は、時効期間は申告期限の翌日という起算日からずっと続くかというとそうではありません。途中で中断したり停止することもあります。

 

例えば、納めていなかった税金を、税務署と相談し、分割払いにした場合など、その一部を納税した場合は時効が中断します。時効が中断するとどうなるかというと、そこから新たに、時効期間をカウントしていきます。

 

では、支払わなければ、時効期間が続くかというとそうではありません。ここで注意したいのが督促状です。督促状とは税金の支払いを催促するための書面です。この督促状が届くと、その時点で、時効が中断し、そこから新たに、時効期間がカウントされます。税務署は、税金の滞納が続くと、原則、督促状を送付したり、最悪差し押さえなどを行うため、時効が成立することは、ほとんどありません。

 

督促状が届いていることを忘れて、税金の時効が成立したと思っていても、後で税金の支払いやペナルティなどを課されるため、注意しましょう。

税金を納付しない場合のペナルティ

税金の時効期間について見てきましたが、税務署は催促状などを送付するため、時効が成立する可能性は低くなります。この場合、税金を滞納しているのでそれに対するペナルティが課されます。税金を納付しない場合のペナルティには、次のようなものがあります。

①延滞税

延滞税とは、納付期限までに納付しなかった場合に課される税金です。期限内に申告したかどうかは関係のないペナルティです。納付が遅れれば遅れるほど、多くの延滞税が課されます。税率は最大14.6%(2ヵ月以内は7.3%)となっていますが、実際この税率になることはありません。毎年、財務大臣が告示する特例基準割合により、計算した税率(ここ数年は9%程度)と、14.6%(2ヵ以内は7.3%)のどちらか低い税率を用いて延滞税を計算します。

②無申告加算税

無申告加算税は延滞税と異なり、申告期限までに申告しなかった場合に課される罰金です。申告期限までに申告しなかったといっても、自分で期限後に申告する場合と税務署から指摘を受けて申告する場合では状況が異なります。そこで、税率についても異なる税率が適用されます。

・原則(税務署から指摘を受けて申告する場合)

納める所得税が50万円までの部分は15%、50万円を超える部分は20%の無申告加算税が課されます。

・自主的に期限後申告した場合

納める所得税の金額にかかわらず5%の無申告加算税が課されます。

・税務調査の事前告知があり、その告知から税務調査を受ける前までに自主的に期限後申告した場合

納める所得税が50万円までの部分は10%、50万円を超える部分は15%の無申告加算税が課されます。

③重加算税

重加算税は悪質な隠ぺいまたは仮装があった、つまり、脱税行為などがあったと認められたときに課される罰金です。当然、他のペナルティよりも重いものになります。それまでに申告していた場合は35%の、無申告の場合は40%ものペナルティが課されます。

その他にも、申告内容に間違いがあった場合の、過少申告加算税や無申告で特に悪質な場合の刑事罰などのペナルティもあるので注意が必要です。

まとめ

税金には時効があります。時効期間は期限内申告なのか、期限後申告なのか、または脱税なのかでその長さが異なります。ただし、税務署としても時効を成立させないために、催促状を送付するなどするため、通常、時効が成立することはありません。それどころか、税金を納めていないことに対するペナルティを課されてしまいます。税金の滞納がある場合は、速やかに納付をすることを心がけたほうが良いでしょう。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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