“終活”で人気の「エンディングノート」
これさえあれば、遺言書はいらない?

“終活”で人気の「エンディングノート」  これさえあれば、遺言書はいらない?
公開日:
2019/05/30
 
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本屋に行けば、平積みになった「エンディングノート」を目にするようになりました。自らの一生を振り返り、死に際しての希望などを家族に伝えるツールとして人気です。遺言書と違い、気軽に書けるのもいいところなのですが……ちょっと待ってください。エンディングノートを記しておけば、遺言書は必要ないのでしょうか? 実は、両者には決定的な違いがありました。

家族に「遺志」を伝えるのに有効なエンディングノート

いまや、「“終活”といえばエンディングノート」と言っても、過言ではないでしょう。そこには、人生最後の時や死後のことについての希望やメッセージのほか、自分が歩んできた人生の軌跡などを書くことができます。書店や文具店、ネット通販では、さまざまな団体や出版社などから発売されたものが手に入りますし、自治体によっては無料で配布しているところもあるようです。ネットから書式をダウンロードすることもできますし、スマホのアプリなんていうのも、登場しています。

 

「書式」といっても、基本的に書き方も書く内容も自由。ただ、家族に自分の遺志を伝えるのが一番の目的である以上、次のような項目が、書いておくべきことの中心になるでしょう。

 

  1. ①将来認知能力が衰えた場合の介護について
    どのような介護を望むか(在宅か施設か)、誰に財産管理を託したいか、などを書く。
  2. ②終末期医療について
    延命治療を望むか否かを明確に書く。本人の意思が不明瞭になった場合は、家族がその可否を判断することになるため、特に重要。そのほか献体についてなどの希望を書いておく。
  3. ③葬儀のやり方、お墓について
    葬儀に呼んで欲しい人の連絡先や、宗派、菩提寺など必要な情報を書いておく。あるいは「家族葬にしてほしい」「どこそこへの散骨を望む」といった希望を書く。
  4. ④自分の財産
    預貯金、現金、不動産、有価証券、保険、貴金属、価値あるコレクションなどを、すべて書いておく。光熱費などの自動引き落とし口座や、年金が振り込まれる口座についても正確に記しておく必要がある。
  5. ⑤相続についての考え方
    死後、誰にどれだけの財産を渡したいのか、なぜそうしたいのかの考え方を書いておく。
  6. ⑥家族などへのメッセージ
    感謝の気持ち、「これからも仲良く」といったメッセージを残す。

 

こう列挙してみると、特に①~⑤に関しては、本人の死後、残された家族にとって必須の情報、「知らなかったら困ること」なのがわかります。それらを明確に残せるのが、エンディングノート作りの最大のメリットと言えるでしょう。

ただし、法的効力はない

ただし、このエンディングノートには限界もあります。そこに書かれるのは、あくまでも本人の希望であって、家族がその中身を完全に実行する義務は負わない、つまり法的効力はないということです。ですから、例えば本人が在宅介護を希望していたとしても、家族がその負担に耐えられないからと、施設入所になることもありえるわけです。

 

当然、⑤の相続についても、どんなに詳しく財産の分け方を書いたとしても、法的効力はありません。遺産分割を自分の考える通りに実行させたかったら、やはり遺言書の形にする必要があるのです。

 

「あれ、遺言書は自筆でもいいんじゃないの?」「どうしてエンディングノートに書かれていたらNGなの?」と思われるかもしれません。確かに、法的効力を持つ遺言書には、公証役場で公証人に作成・保管してもらう「公正証書遺言書」のほか、自分で書いて公証役場に持参する「秘密証書遺言書」、自分で書いて保管する「自筆証書遺言書」が認められています。でも、この「自筆」にも、作成日時と氏名が明記され、押印がされている、といった要件があります。財産目録以外は、手書きである必要もあるのです。それらの、どの要件が欠けていてもダメ。

 

仮に、エンディングノートに、今の要件に従って遺産分割のやり方が記されていれば、法的有効性が認められる可能性はあるでしょう。しかし、自筆の遺言書は、ただでさえ改ざんなどが疑われやすいもの。そこまで作るのならば、単独で文書にして、きちんとした封筒に厳封して保管すべきでしょう。

エンディングノート+遺言書という考え方

もちろん、法的効力がないのだから、相続についてはエンディングノートに何を書いても意味がない、というのではありません。さきほども触れたように、「なぜそういう遺産の分け方をしたいのか」という気持ちを家族が知ることで、相続をめぐる無用な争いを避けることができるかもしれないのです。法的効力のある遺言書で遺産分割のきちんとした方針を示し、エンディングノートでそれを補足する、という使い方もアリではないでしょうか。

 

ちなみに、遺言書には「付言事項」を付けることが認められていて、さきほどの①~⑥について、そこにしたためることもできます。この付言事項にも、法的効力はありません。

 

「エンディングノートを作ることは、人生を見直すことだ」とも言われます。その作業を通じて、「面倒だ」「縁起でもない」と感じていた遺言書作成の意味が、理解されてくるかもしれません。

まとめ

エンディングノートの作成は、本人の気持ちや必要な情報を家族に伝えるうえで、有意義なことです。ただし、法的効力が認められないことには、注意が必要。相続に関しては、やはりしっかりした遺言書を残すのがベストです。

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