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故人に勘当された子ども遺産分割協議に呼ばなくてもOK?

故人に勘当された子ども遺産分割協議に呼ばなくてもOK?

2019年10月31日

被相続人(亡くなった人)の遺言書がない場合に、遺産の分け方を決めるために相続人が集まってする話し合いを「遺産分割協議」といいます。分け方が決まったら、「遺産分割協議書」を作成するのですが、それを有効にするためには、協議が「正しく」行われなくてはなりません。では、無効になってしまうのには、どんなケースが考えられるのでしょうか? わかりやすく解説します。

遺産分割協議書がないと、預金が引き出せない

遺産分割協議書を作らなければならない大きな理由は、それがないと、不動産の名義変更や銀行口座からの預金の引き出しなどの手続きができないからです。被相続人が遺言書を残していれば、それを添付することでそうした手続きは問題なく実行できるのですが、ない場合には、「すべての相続人が、この分け方で一致しました」という証明が必要になるのです。

この「協議書」を作成するために行われる遺産分割協議には、当然「要件」があります。それを満たさないと、「協議書」自体が無効になってしまうので、注意が必要です。

遺産分割協議には「すべての相続人」の参加が必要

最も気をつけるべきなのは、「協議には相続人全員が参加する必要がある」ということです。相続では、ケースによっては、被相続人の孫、兄弟姉妹、甥や姪が相続人になることがあります。養子や、愛人の子どもにも相続権があります。どんなに疎遠でも、被相続人に勘当を言い渡された息子でも、法が定めた相続人であれば、呼び寄せて協議に加わってもらわなくてはならないわけです。

意図的に排除するのはもちろんNGですが、協議書が出来上がってから、誰も知らなかった相続人がひょっこり現れる、といったこともあり得ない話とはいえません。そんなことにならないために、話し合いを始める前に、被相続人の戸籍を出生から確認して、「相続人は誰なのか」を明確にしておく必要があります。あえて言えば、相続人以外の人間が加わった場合にも、協議自体が無効になってしまいます。「協議に参加すべき人がいなかった」場合にも、「余計な人が混じった」場合でも、遺産分割協議はやり直し、ということになるのです。

なお、相続の権利はあっても、未成年者は協議に加わることができません。その時には、親などが法定代理人として、代わって参加することになります。ただし、その親自身も相続人の場合には、子どもとの間に法的な利益相反(※1)が生じるため、別に特別代理人を立てることが求められます。

また、被相続人の子どもであれば、胎児にも相続の権利があります。正確には、生きて生まれたら、相続の権利を得ます。逆に言えば、死産だったらその権利はなし。それがはっきりするまで、すなわち出産まで遺産分割協議はできません。相続税が発生する場合には、その申告期限は、被相続人が亡くなってから10ヵ月。協議は、かなり慌ただしいことになるかもしれません。

※1利益相反 当事者の一方の利益が、他方の不利益になる状態。この場合は、例えば親が自分の遺産の取り分を増やすために、子どもの取り分が少ない状態で合意する可能性があるため。

遺産分割協議書は作り直せるのか?

このほか、判断に迷うケースについてまとめました。

遺言書の中身が曖昧で、分け方がよくわからない

そのような場合には、やはり遺産分割協議が必要になるでしょう。遺言書に記載されていない財産があったときにも、その部分について協議しなくてはなりません。

そもそも、相続人全員の同意があれば、遺言書とは異なる遺産分割を行うことも可能です。例えば、長男は現金が欲しい、次男は不動産がもらいたかったのだけれど、父の遺言書には逆のことが書かれていた。そんなときには、子ども同士が話し合って、それぞれが望む通りの遺産分割協議書を作成することが許されるわけです。

遺産分割協議はやり直せるか?

いったん遺産分割が終わった後でも、相続人全員の合意があれば、遺産の分け方を変える、すなわち遺産分割協議をやり直す=遺産分割協議書を作り直すことは可能です。不動産の名義変更などについても、修正することができるのです。

ただし、税金は基本的に「やり直し」が認められませんから、要注意です。例えば、1回目の遺産分割で長男が取得した財産に関しては、税法上、長男がその所有権を持ったと解されます。遺産分割協議をやり直して、それを次男に渡した場合には、新たな財産の贈与、譲渡(※2)とみなされて、前者なら次男が贈与税、後者ならば長男が所得税を支払わなくてはならないのです。財産が不動産ならば、不動産取得税や名義変更登記の際の登録免許税も発生することになります。

協議が終わってから、新たな財産が見つかったら

その時には、元の遺産分割を反古にすることなく、見つかった遺産についてあらためて協議して、分割できることになっています。

ちなみに、さきほど「相続人全員が参加しなかった遺産分割協議は、やり直し」という話をしました。不幸な状況ではありますが、この場合は協議が最初からなかったのと同じなので、やはりいま説明したような「新しい税」が課税されることは、原則としてありません。

※2贈与と譲渡
財産を無償で渡すのが「贈与」、何らかの対価を受け取って渡すのが「譲渡」。

まとめ

遺産分割協議は、相続人が過不足なく参加しなければ無効です。全員の合意で協議をやり直すことは可能ですが、その結果財産を移動すれば、新たに贈与税、所得税などが発生しますから、1回でまとめるのがベター。不安なときは、相続に詳しい税理士などの専門家に相談しましょう。

この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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