フリーランスなら知っておきたい!
開業届の必要性と書き方

フリーランスなら知っておきたい!  開業届の必要性と書き方
公開日:
2019/11/21
 
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開業届をご存じですか? フリーランスとして働いていても、開業届を出していなかったり、そもそも開業届の存在を知らなかったりする人もいますが、知らないうちに損をしている可能性があります。本記事では、開業届の基礎知識からメリット、書き方まで徹底解説します。

開業届とは?

開業届とは何か

開業届とは、個人で事業を開始した際に税務署に申告する届出のことです。正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。提出の時期は事業を開始してから1ヶ月以内です。国税庁のウェブサイトや税務署から用紙を入手し、納税地の税務署へ提出します。手数料などは発生しません。

フリーランスは提出しないといけないのか

基本的に開業する人は提出すべきとされていますが、提出期限を過ぎてしまった場合や提出しなかった場合も特に罰則などはありません。副業などで収入を得ている人が事業と認識しておらず、提出していないというケースもあるでしょう。

なんのために提出するのか

個人事業主であることを公に証明するものとなります。また詳細は後述しますが、節税効果の高い青色申告ができるようになるなど、様々なメリットを享受できます。

開業届を出すメリット

青色申告が可能になる

開業届を出す大きなメリットが、所得税の確定申告において青色申告ができるようになることです。確定申告には、白色申告青色申告がありますが、個人事業主にとって節税効果が高いのは後者の青色申告です。帳簿にもとづいた細かな経費や利益、所得の申告が必要なため、白色申告より手間がかかり、専用のソフトを使ったり税理士などのプロにお願いしたりしている人もいます。その代わり、確定申告の際に基礎控除の38万円に加えて最大65万円の特別控除が受けられるなど、さまざまな面で優遇措置が受けられます。

青色申告を行うには、開業届に加えて「青色申告承認申請書」を開業から2カ月以内、もしくは対象となる年の3月15日までに提出することが必要です。この手続きを踏めば、次の確定申告の際に青色申告ができます。なお開業届を提出していない場合には白色申告のみとなり、青色申告はできません。

赤字を繰り越せる

開業届を提出すると、青色申告の特典である「赤字の繰り越し」の適用もできます。事業を営む中で万が一赤字になってしまい、控除しきれない純損失が生じた場合には、最大3年にわたり赤字を繰り越し、各年の所得金額から控除することが認められます。例えば50万円の赤字を翌年に繰り越した場合、その年の所得金額が200万円であったとしても前年の損失分50万円分を控除でき、課税所得金額は150万円になるというわけです。特に事業を始めたばかりの時期は収入より支出の方が多くなることも充分にあり得ますので、このような特典は大きなメリットとなります。

屋号で銀行口座を開設できる

開業届を提出すると、開業届に記載した屋号で事業用の銀行口座の開設が可能です。個人の口座と別で屋号の事業用口座があれば、確定申告に必要な帳簿付けを効率化でき、また顧客からの信頼感も得られます。ただしすべての金融機関で屋号の口座が開設できるわけではないので、各金融機関に事前に確認しておきましょう。

退職金制度へ加入できる

開業届を提出すると「小規模企業共済制度」への加入が可能になります。小規模企業共済制度とは、小規模事業の経営者や役員、個人事業主などが加入でき、廃業時や退職時にもらえる資金を積み立てられる制度です。掛金を一定期間積み立てると、廃業や退職に際して、もしくは65歳以上になった時などに共済金を受け取ることができます。いわばフリーランスのための退職金のようなもので、しかも掛金は控除の対象となるため節税効果もあります。また、事業資金が必要な時や傷病災害時などに、掛金の納付期間に応じた貸付限度額の範囲内で借入れできる貸付制度も利用できます。

開業届を出すデメリット

メリットが多い開業届ですが、デメリットもあります。以下のような場合には注意が必要です。

失業保険の給付について

会社員やアルバイトなどの給与所得者が離職した場合には、条件を満たせば所定給付日数分の失業保険がもらえます。しかし、開業届を出していると「個人事業主として仕事をしている」とみなされ、それが副業であっても失業中とみなされず給付の対象となりません。また、現に失業保険を受給している際に個人事業主となるか会社に勤めるかで迷っている場合なども、開業届を出してしまうとそのタイミングで失業状態ではなくなり、給付の対象から外れてしまいます。なお、開業していることを隠して失業保険の給付を受けることは不正受給になりますので注意が必要です。

配偶者の社会保険で扶養に入れないことも

社会保険上の扶養、つまり配偶者の健康保険や厚生年金への加入についても注意が必要です。被保険者の配偶者がパートなどで勤務している場合は、年収が130万円以下であれば扶養親族として社会保険に入ることができます。しかし個人事業主の扱いについては、加入している健康保険組合により条件が異なり、年収が130万円以下であっても扶養に入れない場合があります。なお、所得税などの税法上の扶養や扶養控除に関しては、開業届を出すことによるデメリットはありません。

開業届の書き方

提出先、入手方法

開業届の用紙は税務署や国税庁のウェブサイトから入手できます。用紙は合計2枚あり、1枚目は提出用、2枚目は控えとなっています。

記入方法

  • (1) 提出先:納税地を所轄する税務署を記入します。
  • (2) 提出日:提出日を記入します。
  • (3) 納税地:「住所地、所在地、事業所等」から該当するものを選択し、その住所を記載します。
  • (4) 上記以外の住所地・事業所等:納税地と居住場所が違う場合や事業所が2カ所以上ある場合にその住所を記入します。自宅兼事業所となる場合は空欄でかまいません。
  • (5) 氏名:名前を記入します。個人印か屋号印を押します。
  • (6) 生年月日:生年月日を記入します。
  • (7) 個人番号:個人番号(マイナンバー)を記載します。
  • (8) 職業:職業を記入します。細かな決まりはありませんが、他人からどのような仕事かがわかるように記載します。
  • (9) 屋号:屋号を記入します。必須項目ではありませんが、店舗を運営する事業や口座の開設をしたい場合は記入しておいたほうがよいでしょう。
  • (10)届出の区分:新規に開業する場合は「事務所・事業所の新設」にチェックをします。
  • (11)所得の種類:該当するものにチェックをします。
  • (12)開業日:開業した日を記入します。開業届の提出日でも大丈夫です。
  • (13)事業所等を新増設、移転、廃止した場合:開業の場合は未記入。
  • (14)廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合:開業の場合は未記入。
  • (15)開業・廃業に伴う届出書の提出の有無:青色申告をする人は上段の「有」にチェックをします。下段の「課税事業者選択届出書」については、個人事業主の開業当初は免税事業所になるので通常は「無」にチェックします。
  • (16)事業の概要:事業の具体的な内容を記載します。
  • (17)給与関連項目:従業員を雇う予定の場合は、届出日現在の人数や給与などの情報を記載します。「給与の定め方」欄には月給、日給など支払い方法について記載します。「税額の有無」欄は、従業員の給与額および扶養親族等などをみて納税すべき税額があるかどうかを判断し「無」か「有」にチェックします。
  • (18)源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無:10人未満の従業員を雇う場合に、源泉徴収した税を半年分まとめて納められる特例を受けたい場合は「有」にチェックを入れ、申請書を添付します。
  • (19)給与支払を開始する年月日:従業員への給与の支払いを開始する(した)日を記載します。

提出の際の注意点

届出書を作成したら、税務署へ持参するか郵送により提出します。提出時には本人確認書類の提示またはコピーの添付が必要です。

 

☆ヒント
開業の際、従業員を雇う場合などは特に税金に関しての確認事項も少なくありません。また、開業後は青色申告のための帳簿付けなど多くのすべきことがあります。不安な方や抜かりなく手続きしたいという方は、税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。

まとめ

開業届には多くのメリットがあります。フリーランスだけどまだ提出していないという人や、これから事業を始めるという人はぜひ参考にしてください。

山本麻衣
東京大学卒。現、同大学院所属。
学生起業、海外企業のインターンなどの経験を経て、外資系のコンサルティング会社に内定。
自分の起業の経験などを踏まえてノウハウなどを解説していきます。
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