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相続税の申告は、1割近くが税務調査に その85%は、“クロ”判定!

相続税の申告は、1割近くが税務調査に その85%は、“クロ”判定!

2020年3月4日

発生した相続のうち、およそ8.5%が相続税の課税対象となっており、そのうちの約1割で税務調査が行われ、85%で「申告漏れ」などの「非違」(税法違反)があった――。国税庁の最新の報告では、そんな日本の相続の実態が浮き彫りになりました。発表資料からは、「問題になりやすい資産は何か?」「税務当局が注目するのはどこか?」といったことも見えてきます。ポイントを整理してみましょう。

相続件数、相続税の課税対象は右肩上がり

2019年12月19日に公表されたのは、以下の2つの文書です。

まず、①の「平成30年(2018年)の相続の概要」からみていきます。なお、これは、令和元年10月31日までに提出された相続税の申告書データに基づいています(相続税の申告期限が、相続発生から10ヵ月以内であるため。修正申告は含まず)。

それによると、被相続人(亡くなった人)数は136万2,470人で、前年比1.6%増。そのうち、相続税の課税対象となったのは11万6,341人で、4.1%増でした。課税割合は8.5%と、0.2ポイントの増となっています。

添付資料の「被相続人の推移」を載せておきます。

 

グラフから、高齢化の影響で相続の総数自体が増え続けていることが、よくわかります。「課税対象被相続人数」が平成27年(2015年)に急に増えたのは、この年から相続税の基礎控除(課税・非課税のボーダーライン)が、大幅に引き下げられたからです。課税割合でみると、14年の4.4%が15年に8.0%となり、それ以降も漸増傾向が続いています。

税務調査に入られたら、まず「お咎めなし」では終わらない

そうした概要も踏まえて、②の「平成30事務年度(2018年7月~19年6月)の税務調査の状況」について、ポイントをまとめました。相続税の税務調査は、申告内容に間違いがあったり、あるいは故意に財産を隠したりしている疑いのある場合に行われます。

税務調査は、課税対象の「10件に1件以上」

②で対象とした税務調査(実地調査)は、「平成28年に発生した相続を中心に、国税局及び税務署で収集した資料情報等から申告額が過少であると想定される事案や、申告義務があるにもかかわらず無申告と想定される事案について実施」されたものです。

調査の件数は、1万2,463件で、前年比微減でした。今述べたように、平成30事務年度に調査が行われたのは、約2年前の「平成28年(2016年)発生の相続」が中心なので、さきほどのグラフにもある、この年の課税対象件数・約10万6,000件をベースに考えると、そのうちのおよそ12%に税務調査が入ったことになります。かなりの「高率」だと言えるのではないでしょうか。

税務調査が行われると、85%以上が「非違」となる

そうやって調査が行われたうちで、申告漏れなどの問題が指摘されたのは、1万684件。「非違割合」は、85.7%(前事務年度比2%増)に上りました。ざっくり言うと、国税当局からは、相続税課税対象全体の1割の申告に問題があった(あるいは申告の必要があるのにしなかった)、とみなされたことになります。

その結果、1件当たりの「追徴税額」は568万円に

申告漏れがあった場合は、基本的に「足りなかった税金」を支払うだけでは、許してもらえません。別途「加算税」などの支払いというペナルティを覚悟しなくてはならないのです。

加算税のうち、悪質性が高いと判断された場合に課せられるのが、最高税率40%の「重加算税」。この対象になったのは1,762件で、前事務年度比17%増でした。それも含めた追徴税額(本来納める分の不足分=本税+加算税)の合計は708億円に上り、税務調査1件当たりにすると568万円となりました。

実地調査以外でも追徴されている

実は国税庁は、実際に被相続人の住んでいた自宅などを調べる「実地調査」だけでなく、文書や電話連絡、来署面接などにより申告内容の是正を求める「簡易な接触」も行っています。こちらは、総数1万332件で、最終的な追徴税額は、44億円(1件当たり42万円)となりました。

この「簡易な接触」も含めると、課税対象の中で何らかのかたちで税務当局に「声を掛けられる」のは、「5件に1件」を超えることになります。他の税に比べ、厳しい目が向けられていることは、認識しておく必要があるようです。では、彼らは、特にどんなところに注目しているのでしょうか?

海外資産にも目を凝らす

「現金・預金」の申告漏れが多い

下のグラフは、申告漏れとなった相続財産の金額の内訳と、その推移です。

 

ご覧になってわかるように、少なくともこの5年間は、傾向に変化が見られず、「その他」を除くと、「現金・預金等」が目立ちます。逆に、一見問題になりそうな「土地」や「家屋」のウエートは、それほど高くはありません。

「現預金」でよく指摘されるのが、夫の収入から貯め込んだ妻の「へそくり」や、被相続人が子や孫に黙って、彼ら名義の口座に積み立てていた預金です。これらは「名義預金」といって、被相続人の財産とみなされることがあります。すなわち、本来、被相続人の相続財産に当たる=その分も相続税を支払う必要があることになるわけで、「隠し財産」と判断されて、重いペナルティを課せられることもありますから、注意が必要です。

海外資産も隠せない

②は、添付資料も含めて計8ページのペーパーですが、うち2ページを「海外資産事案」関連に割いている点には、注目すべきでしょう。それによると、関連する税務調査は1,202件で、「申告漏れ等の非違件数」は144件、合わせて59億円の申告漏れが見つかりました。

 

この資料にも明記されているように、各国税務当局の国際的な取り決めである「CRS情報」(共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報)の交換も始まりました。国税庁は、今後もこの分野に対する監視の目を強めていくことが考えられます。

まとめ

税務当局は、相続に目を凝らしています。「10件に1件」に入って、高額なペナルティを課せられたりすることのないよう、申告には万全を期しましょう。財産が大きな場合などには、生前から相続に詳しい税理士のサポートを受けて、準備を進めるのがいいでしょう。

この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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