ご存知ですか?「事実婚」でも健康保険などの
扶養に入れます! 国民年金加入もOK!

ご存知ですか?「事実婚」でも健康保険などの  扶養に入れます! 国民年金加入もOK!
公開日:
2020/08/18
 
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ライフスタイルの多様化を反映して、日本でも、結婚せずに同居生活を営む「事実婚」が珍しいことではなくなりました。ただ、例えば「内縁の妻」は、パートナーが亡くなっても法定相続人にはなれません。このように、法律(民法)上では、婚姻関係にある場合と、大きな扱いの差が存在します。そのために、「事実婚の相手方は、健康保険などの『扶養家族』にはなれない」と思い込んでいるケースもあるようですが、そんなことはありません。今回は、「事実婚と健康保険や年金」について解説します。

事実婚の避けられないデメリット

事実婚(内縁関係)とは、「夫婦」の意思を持ちつつも婚姻届けを出さずに、つまり入籍せずに、共に生活する男女を指します。言い方を変えると、入籍していないだけで、その関係性や生活のスタイルは、法律上の夫婦となんら変わらない状態、と定義できるでしょう。実数についての統計はありませんが、男女共働きの増加、結婚にとらわれない意識の広がりなどを背景に、今後も増えていくのではないか、という見方が一般的です。

 

ただ、そうした事実婚には、デメリットがあります。1つは、税金です。税法上の配偶者は、民法の定める「婚姻に基づく配偶者」を指します。事実婚の相手方は、この配偶者には該当せず、したがって配偶者控除などが受けられません。

 

相続における法定相続人にもなることができません。そのため、長年連れ添ってきた内縁の妻が、被相続人(亡くなった人)の財産をビタ一文もらうことができず、疎遠だった兄弟の手に渡ってしまった、などということもあり得ます(※1)。

 

※1 被相続人に子ども(相続第1順位)がおらず、父母(第2順位)も他界している場合には、兄弟姉妹(第3順位)が相続人となる。なお、遺言書を残すことなどにより、内縁の妻(夫)に財産を渡すことは可能。

社会保険では関係の実態を重視

ただし、「配偶者」の概念は、今説明した税法(民法)上のものと、社会保険などで適用される場合とで違いがあります。例えば、厚生年金保険法では、「この法律において『配偶者』、『夫』及び『妻』には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。」と定義されています。つまり、健康保険や厚生年金保険では、あくまでも配偶者の実態を重視し、事実婚の相手でも、それに含めることになっているのです。

 

今述べた「健康保険」、「厚生年金保険」とは、サラリーマンなどが加入する被用者保険(※2)です。これに対して、自営業者などの加入する「国民健康保険」は、世帯ごとの加入となっているため、「扶養家族」の概念が存在しません。

 

また、サラリーマンが厚生年金に加入すると、同時に「国民年金」にも入ることになります。この国民年金は、第1号被保険者=自営業者や学生、フリーター、無職の人など、第2号被保険者=会社員や公務員など、第3号被保険者=第2号被保険者の20歳以上60歳未満・年間収入130万円未満の配偶者――という建付になっています。つまり、第2号被保険者の配偶者として認められれば、第3号被保険者として国民年金に加入することができるわけです。

 

整理すると、事実婚であっても、主たる収入のある人の「配偶者」は、①健康保険、厚生年金に加入できる、②国民年金に加入できる――ということになります。①、②とも、保険料の負担をしなくてもよくなるのは、大きなメリットと言えるでしょう。

 

※2被用者保険
このほか、介護保険、雇用保険、労災保険があり、勤務先を通じて加入する。

被扶養者となる要件は?

ただし、配偶者であれば、誰でもOKというわけにはいきません。「被扶養者の範囲」は、次のように決まっています。

 

  • (1)被保険者と同居している必要がない者
    • 配偶者
    • 子、孫および兄弟姉妹
    • 父母、祖父母などの直系尊属
  • (2)被保険者と同居していることが必要な者
    • 上記1.以外の3親等内の親族(伯叔父母、甥姪とその配偶者など)
    • 内縁関係の配偶者の父母および子(当該配偶者の死後、引き続き同居する場合を含む)

 

また、被扶養者の認定は、

  • (1)「収入要件」=年間収入130万円未満(60歳以上又は障害の場合は、年間収入※180万円未満)かつ
    • 同居の場合 収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満
    • 別居の場合 収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満
  • (2)同一世帯の条件=配偶者、直系尊属、子、孫、兄弟姉妹以外の3親等内の親族は同一世帯でなければならない

 

を満たすことが必要になります。

 

事実婚は、それを「証明」することも求められます。基本的には、世帯全員が記載されている住民票と、戸籍謄本(抄本)は、最低限必要になります。後者は、当事者の双方あるいは一方に法律上の配偶者がいないか、確認するためです。

 

ちなみに、法律上の夫婦とは認められないものの、実質的に同様の共同生活を営んでいるのが事実婚ですから、単なる同棲とは違います。関係を偽って扶養に入るような行為が認められないのは、述べるまでもないでしょう。「夫婦の同居・協力義務」、「貞操義務」、「夫婦財産制に関する規定」といった婚姻に準じた法律関係が生じる(問題が起こった場合、相手方が保護される)ことも、当然、認識しておく必要があります。

まとめ

増加傾向にあるとみられる事実婚ですが、税金面などでは、婚姻関係よりも不利な状況を覚悟する必要があります。ただし、健康保険や厚生年金には、法的な夫婦同様、加入することができるのです。メリットは大ですから、未加入の場合は、要件などを確認してみましょう。

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