たくさん寄付金を集めている自治体は、どこ? ~データで見る「ふるさと納税」~ | MONEYIZM
 

たくさん寄付金を集めている自治体は、どこ?
~データで見る「ふるさと納税」~

全国の自治体に寄付をすると「お礼の品」が届く「ふるさと納税」。制度のスタートから10年以上がたち、すっかり社会に定着した感があります。総務省が8月に発表した「ふるさと納税に関する現況調査(令和2年度実施)」によると、2019年度にこの制度で自治体が受け入れた寄付の総額は、およそ4,875億円(約2,330万件)となりました。ところで、具体的にどの自治体が、いくらくらい寄付を集めているのでしょうか? 昨年度のチャンピオンは、やっぱり「あの自治体」でした。

寄付すれば、住民税などが控除される

はじめに、「ふるさと納税」の仕組みについて、簡単におさらいしておきましょう。総務省のホームページでは、次のように定義されています。

 

ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄付(ふるさと納税)を行った場合に、寄付額のうち2,000円を超える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です(一定の上限はあります。)。

例えば、年収700万円の給与所得者の方で扶養家族が配偶者のみの場合、30,000円のふるさと納税を行うと、2000円を超える部分である28,000円(30,000円-2000円)が所得税と住民税から控除されます。

 

1年間に2000円を負担すれば、いくつの自治体に寄付しても可。寄付した金額が、全額控除(本来支払うべき所得税、住民税から減額)されます。さらに、このふるさと納税の特徴は、寄付した自治体から「返礼品」として地場産品などが送られてくること。そこに、2,000円を支払ってでも「参加」するメリットがあるわけです。また、最近は、地震や水害などの被災地への支援にも活用されるようになりました。

 

返礼品の充実や、認知度アップに伴って、寄付額は、特に2015年度以降、大きく増加しています。

 

出典:総務省 ふるさと納税ポータルサイト

わずか2ヵ月の実績で、“全国トップ”に

では、このふるさと納税で多くの寄付金を集めているのは、どこなのでしょう? 19年度の“トップ20”は、以下のようになっています。

 

順位 前年度順位 団体名 受入額 受入件数
1
2
3
4
5
(1)
(6)
(-)
(-)
(12)
大阪府
宮崎県
北海道
北海道
北海道
泉佐野市
都城市
紋別市
白糠町
根室市
18,497
10,645
7,738
6,733
6,589
307,630
503,916
448,803
460,533
413,575
6
7
8
9
10
(5)
(10)
(-)
(18)
(-)
宮崎県
佐賀県
鹿児島県
山形県
新潟県
都農町
上峰町
南さつま市
寒河江市
燕市
5,208
4,672
4,644
4,423
4,237
270,465
278,000
254,344
204,666
131,513
11
12
13
14
15
(20)
(-)
(-)
(19)
(-)
鹿児島県
愛知県
和歌山県
佐賀県
山梨県
志布志市
幸田町
有田市
唐津市
富士吉田市
4,024
3,850
3,517
3,491
3,346
154,020
36,414
261,299
222,679
99,046
16
17
18
19
20
(-)
(8)
(-)
(-)
(-)
山形県
茨城県
佐賀県
茨城県
鹿児島県
山形市
境町
嬉野市
日立市
大崎町
3,166
3,066
3,050
2,972
2,841
156,489
185,743
213,341
22,682
194,443
引用:総務省 ふるさと納税ポータルサイト

 

堂々の1位は、ふるさと納税では「おなじみ」の大阪府泉佐野市(受入額185億円)でした。泉佐野市といえば、地場産業とかかわりのない高額の返礼品などが問題視され、総務省から制度の対象外とするという処分を受けたものの、今年6月に最高裁で「制度除外は違法」との判決を勝ち取り、「復活」を果たしたばかり。

 

それにしても、最高裁判決までの期間は、ふるさと納税の対象外とされていたはずなのに、これほどの寄付を集めていたというのは、意外でもあります。総務省が泉佐野市を制度から外したのは、19年6月でした。その直前、同市が行った「アマゾンギフト券最大40%プレゼント」といった一大キャンペーンをご記憶の方も多いはず。実は185億円は、そうした「販促活動」によって、対象から外される直前の、年度始まりの2ヵ月(19年4月、5月)で「稼いだ」ものだったのです。

 

それで全国1位をキープしたという事実は、寄付がいかに返礼品に左右されるのかを、あらためて示すものでもあります。2位の宮崎県都城市は、「宮崎牛」が売りの上位の常連。残りのベスト5には、紋別市、白糠町、根室市と、海産物などが魅力の北海道の自治体が並んでいます。

 

ちなみに、都道府県別の受入額ランキングトップ10は、次の通りです。

 

順位 前年度順位 都道府県名 金額
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
(2)
(8)
(3)
(7)
(1)
(9)
(5)
(-)
(-)
(4)
北海道
鹿児島県
佐賀県
宮崎県
大阪府
山形県
福岡県
新潟県
長野県
静岡県
660億円
311億円
266億円
264億円
254億円
234億円
222億円
154億円
154億円
147億円

寄付の総額は7年ぶりの減少に

泉佐野市に話を戻すと、1位を維持したとはいえ、やはり「期間限定」には限界があり、受入額自体は18年度の498億円から大幅減を余儀なくされました。さきほどのグラフを見ると、右肩上がりで伸びてきた寄付の総額も、昨年の5,127億円から250億円ほど減り、12年度以来のダウンとなったことがわかります。

 

「総務省が泉佐野市を制度の対象外にしたのは、19年6月」という話をしましたが、この時、同省は自治体からの返礼品を「寄付額の3割以下の地場産品」に限ると規定し、それを基にふるさと納税制度に加われる自治体を指定する、という新たな制度を導入しました。その結果、高額な返礼品が姿を消して、そうしたものをゲットするために必要な高額な寄付も減少した、と分析されています。

 

こうした「制度改革」により、ふるさと納税額は、とりあえず頭打ちになった格好です。加えて今年は、新型コロナの影響が無視できません。この制度の寄付額の上限は「総所得金額の40%」と決まっていて、これを超えた分は、控除されないのです。「コロナ不況」で所得が減れば、それだけ寄付が可能な金額も抑えられることになります。

「持ち出し」の自治体の実態は?

ふるさと納税を受け入れる自治体があれば、その分、本来入るはずの税金を控除のかたちで「持っていかれる」自治体もあります。そのランキングが、こちら。

 

(単位:百万円、人)

団体名 市町村民税控除額 控除適用者数
神奈川県
愛知県
大阪府
神奈川県
東京都
横浜市
名古屋市
大阪市
川崎市
世田谷区
14,466
8,592
7,146
6,371
4,931
200,843
110,916
113,402
95,471
66,753
兵庫県
埼玉県
京都府
福岡県
北海道
神戸市
さいたま市
京都市
福岡市
札幌市
4,326
4,110
4,051
4,009
3,909
66,295
60,719
59,581
59,716
64,123
千葉県
東京都
東京都
東京都
東京都
千葉市
港区
渋谷区
江東区
大田区
3,488
3,324
2,653
2,575
2,572
38,629
28,447
23,875
43,523
46,513
東京都
広島県
東京都
東京都
東京都
杉並区
広島市
品川区
練馬区
目黒区
2,485
2,480
2,443
2,296
2,172
40,782
39,020
38,742
43,356
27,097

 

トップの横浜市の住民税控除額が145億円ですから、泉佐野市の寄付受入額に迫る金額の税金を「失って」いる計算です。ランキングを見れば、こちらは人口の多い都会の自治体が、ズラリと並んでいます。こうしたところから、「疲弊する地方」に資金を動かそうというのがこの制度の趣旨ですから、その意味では目的を達していると言うことができるでしょう。ただし、こうした都市部の自治体の税収源が過大になれば、住民サービスへの影響が避けられない、と懸念する声も強くあります。

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まとめ

昨年度のふるさと納税のランキングは、以上のようになりました。高額な返礼品の規制などにより、寄付の総額は頭打ちになっているようです。

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