「官報」って何? 誰が見てるの? 私たちの生活にかかわりはある? | MONEYIZM
 

「官報」って何? 誰が見てるの?
私たちの生活にかかわりはある?

ニュースなどでも、たまに耳にすることがある「官報」。「お役所の出す文書」らしきことはわかるのですが、いったいどんなことが記載されているのか、詳しく知っている人は少ないと思います。何のためにあって、誰が見ているのか? 私たちの暮らしにかかわることはあるのでしょうか? わかりやすく解説します。

ほぼ毎日発行されている

最近も、次のようなニュースがありました。

 

「行政手続きでの押印を廃止する政府の方針を受け、警察庁は22日、車庫証明や道路使用許可など全ての申請手続き書類について原則、押印を廃止することを決めた。(略)警察庁は押印廃止を官報に載せるほか、各警察本部に通知する」(「東京新聞Web」10月22日)

 

この「官報」の歴史は、明治16年(1883年)まで遡ります。のちに総理大臣を務めることになる参議・山縣有朋の建議に基づいて、その年の7月2日、時の太政官文書局から創刊されました。

 

明治時代の官報は、法令の公布のほか、国の施策を周知するための記事や学術、文化、産業のほか、外電の記事を掲載するなど、新聞的な色彩の濃いものだったといいます。大正時代の官報には、行政施策のほか、一般教養的な事項が雑報欄として掲載され、やがてこれらの記事は「週報」へと姿を変えました。昭和時代前半の官報は、戦時色が濃い法令や物価統制関連の事項が掲載されました。

 

このようにその時々の時代を反映してきたわけですが、現在の発行元は内閣府で、行政機関の休日を除いて、毎日発行されています。「紙」だけでなく、インターネットを活用した次のようなサービスも行われています。

 

  • 1947年5月3日(日本国憲法施行日)から直近までの官報の内容を、日付やキーワードを指定して検索・閲覧できる会員制有料サービス「官報情報検索サービス」
  • 2003年7月15日以降の法律、政令などの官報情報と、16年4月1日以降の政府調達の官報情報をPDFデータで無料公開するとともに、直近30日間分の官報情報(本紙、号外、政府調達等)をすべて無料で公開する「インターネット版官報」

法令の公布などが主な役割

現在の官報に記載されているのは、大きく「公文」と「公告」に分かれます。「公文」は政府や省庁などが公布する法令などの文書、「公告」は国や地方公共団体などからの告知を指します。

  • 公文
    官報の最も重要な役割が、「法令の公布」です。詔書(国会の召集、衆議院の解散、総選挙など)、法律、政令、条約、最高裁判所規則、府令や省令、規則、告示が掲載されています。ちなみに、「公布」は「成立した新しい法令を広く一般人が知ることができる状態におく行為」で、法的な定めはないのですが、最高裁の判例で「法令の交付は、官報をもって行うのが相当」であるとされています。
    また、「広報的事項」として、国会事項(議事日程、議案関係など)、人事異動(一定の役職以上の公務員)、叙位叙勲、皇室事項(行幸啓、御祝電、宮中諸儀など)、官庁報告(各省庁の報告事項など)、資料(閣議決定など)が掲載されています。
  • 公告
    「公告紙的事項」としては、各官公庁、裁判所、会社などが法令の規定に基づいて行う公告が掲載されており、実はここには、国民の権利義務に関連した重要事項が多くみられます。政府関係機関の入札公告や地方公共団体の公告(地方債償還、行旅死亡人公告など)のほか、裁判所公告(破産関係、失踪宣告、禁冶産宣告など)、会社公告(商法などに基づく組織変更公告、解散公告など)が記載されているのです。

 

■官報を構成する記事


出典:国立印刷局ホームページより

自分の名前が官報に載る!?

さまざまな重要事項が掲載される官報ですが、最も「身近」と言えるのは、「裁判所公告」ではないでしょうか。そこには、自分の名前が掲載される可能性があるのです。

 

「自己破産すると、官報に名前が載る」という話を聞いたことはありませんか? 自己破産や個人再生を行うと、官報で公告されることになるのです。ちなみに、「個人再生」とは、裁判所に再生計画の認可決定を受け、借金を大幅に減額してもらう手続きのことです。自己破産は裁判所から免責決定をされると、借金の支払義務がなくなりますが、個人再生では、減額された借金をおおむね3年かけて支払うことで、残りの借金についての支払義務がなくなります。

 

官報に掲載されるのは、

 

  • 手続きをした裁判所
  • 手続きをした日時
  • 氏名
  • 住所

 

です。なお、自己破産では「破産手続開始決定」「免責許可決定」時の2回、個人再生では「再生手続開始決定」「書面による決議に付する旨の決定」「再生計画許可決定」時の3回、掲載されることになります。

 

となると心配になるのは、その情報が、官報を読んだ会社の人間や家族、知人などに知られてしまうのではないか、ということ。しかし、実際には、その可能性はゼロに近いと考えていいでしょう。

 

あなたの周囲に、紙にしろネットにしろ、「官報を読んだことがある」という人は、果たしているでしょうか? 説明したように、ほぼ毎日発行される官報に載る情報量は、膨大です。明治、大正時代のように、一般教養のような「ためになる」記事が載っているわけではありません。一般の人がわざわざ見に行くようなものではないのです。

 

逆に言えば、わざわざ見に行くのは、何かの目的を持つ人たち。たとえば、「信用情報機関」「区や市役所の税担当者」そして、違法な「闇金業者」などに限られます。闇金業者が破産者リストをチェックするのは、普通の金融機関から借金ができなくなっている人たちに、融資のダイレクトメールを送るのが目的です。

 

このほか、レアケースではあると思いますが、親族に行方不明者が出た場合に、裁判所に「失踪宣告」を認めてもらうためには、官報で催告(不明者への呼びかけ)を行う必要があります。催告に応答がなく、失踪宣告が行われれば、その人は死亡したものとみなされ、相続人から外したり、死亡保険金を受け取ったり、といったことが可能になるのです。

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まとめ

官報は、法令の公布などを目的に、ほぼ毎日発行されており、インターネットでも見ることができます。自己破産などの際には、住所、氏名が掲載されますが、そのことで周囲に事実を知られる可能性は、極めて低いと考えていいでしょう。

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