会社の備品を個人のカードで購入して精算
その際貯まったポイントは、「所得」にならない?

会社の備品を個人のカードで購入して精算  その際貯まったポイントは、「所得」にならない?
公開日:
2020/11/04
 
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • LINEでシェア

会社の備品や、出張用の新幹線や航空機のチケットを個人のクレジットカードで購入し、後で精算。珍しいことではないでしょう。その際、自分のカードにポイントやマイルが貯まるのはもうけもの……なのですが、これって、税金的には「問題なし」なのでしょうか? ある日突然、「申告していない税がありますね」とお咎めが? 会社の経費をカード払いで立て替えた際のポイントの扱いについて、考えてみました。

実質的に出費ゼロで「利益」が出る

クレジットカードで物を買ったり、サービスを受けたりすれば、カードのポイントが貯まります。航空券を購入したら、マイルが貯まるでしょう。ドラッグストアや家電量販店などには、自社のチェーンで使えるポイントカードを発行しているところもあります。

 

当然、会社で仕事に使う備品の購入や、出張旅費にクレカやQRコードなどを使った場合にも、こうした特典が付きます。ただし、自分用の物を買うのと違って、これらは一時的な立て替え。後日経費清算することによって、もともとの支出は手元に戻ってきます。購入代金を支払うのはあくまでも会社で、自分の懐からは1円も出していないのに、個人が使えるポイントやマイルだけを手にすることになるわけです。

 

クレカなどのポイントサービスが定着したために可能になった「錬金術」とも言えますが、現金で購入する場合と「不公平」が生じているのは、明らか。そうして得たポイントが「所得」として認識され、課税されてもおかしくないように感じられますが、実際に「税金を取られた」という話も聞きません。税法上の扱いは、どうなっているのでしょうか?

現状は、会社によってまちまちだが

税法の前に、現状でそれぞれの会社は、これをどのように処理しているのでしょうか? 答えは、「対応はまちまち」です。社内の規定で、会社の経費立て替えで得たポイントを個人的な消費に使用することを禁じているところもあります。ただ、現実には、特に規定はなく、事実上、私的利用を認めている会社が、少なくないのではないでしょうか。

 

「対応がまちまち」なのは、現状では税務署が、「経費の立て替えで獲得したポイントは、所得とはみなしていない」からです。みなされていれば、会社は「ポイントは社員の所得」として税務処理を行わなくてはなりませんが、そうはなっていないわけです。

近い将来、所得として課税対象になるかもしれません

ただし、国税庁が、「それは所得にはなりませんよ」という見解を示しているわけではありません。それどころか、「今後の議論によって、課税対象になるかもしれない」のが、このポイントやマイルだと考えてください。

 

さきほど述べたように、これらのポイントは、仕事に必要な経費を立て替えたことにより、「タダで手に入れた」ものです。本来であれば、会社がもらうべきものを、個人が手にして使うというのは、逆に見れば、会社が従業員に対して、業務に伴う「ボーナス」を支給していることになるのではないか――。こうした意見が、専門家の間では主張されているのです。

 

「ポイントはお金ではないから、ボーナスというのはおかしい」と思うかもしれませんが、税法上、所得は現金には限られません。「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」、すなわち「現物給付」も所得とみなされ、ポイントやマイルもそれに含まれるという解釈が、理論的には成り立つのです。

 

ですから、現状は、「課税当局が、ポイントやマイルのグレーゾーンを認識しつつ、それを黙認している」とみるのが正確だと言えるでしょう。しかし、税法や税務署の対応も、時代に対応して変わっていきます。キャッシュレス決済がもっと普及して、ポイントやマイルの「グレー部分」がさらに顕在化するような状況になれば、すでに説明したように、それらが「給与所得」として課税対象とされることになる可能性は、大いにあると考えられます。

 

その場合は、例えば「出張旅費などの経費精算の際には、獲得したポイントやマイルも記載するように」というような社内規定が、新たにできるかもしれません。そのうえで、次回以降の経費精算に使ったポイント(この場合には、私的利用には当たりません)を除き、所得税計算のベースに加算されることになるはずです。ちなみに、そうした「改訂」が行われた場合でも、すでに私的に使ったポイントにまで課税されることはありませんから、その点は安心してください。

 

一方で、会社の役員などが大量に獲得したポイントやマイルを私的に利用したりすると、コンプライアンス(法令遵守)や倫理上の問題が生じかねないことも、指摘しておきたいと思います。かつて、外務省の官僚が、公費出張で貯めたマイルを使って飛行機の座席をアップグレード(ビジネスクラス→ファーストクラス)していた事実が週刊誌に載り、追及されたことがありました。法的に問題がないからといって、「会社を利用して得をしよう」という考えは、やはりほどほどにしておくべきでしょう。

まとめ

会社の経費を、個人のクレジットカードなどを使って立て替えた際に付与されたポイントは、現状では課税対象にはなっていません。ただし、今後の議論によっては、給与所得(現物支給のボーナス)と認められる可能性があると思われます。

  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • LINEでシェア
全国の税理士をご紹介しています
税理士紹介ビスカス