ベーシックインカムとは~
メリットとデメリットを徹底解説~

ベーシックインカムとは~  メリットとデメリットを徹底解説~
公開日:
2020/11/05
 
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新型コロナウイルスの影響拡大により、注目を浴びているのがベーシックインカムです。ネットやテレビなどで、報じられているのを見たことがある人も多いでしょう。
実は、このベーシックインカムは、導入されると、我々の生活に大きな影響を与えます。そこで、ここではベーシックインカムについて詳しく解説します。

ベーシックインカムとは

まず、そもそもベーシックインカムとはどのようなものか。その内容や、考えが生み出された背景について見ていきましょう。

そもそもベーシックインカムとはどんなもの

ベーシックインカムとは、簡単に言うと「政府がすべての国民が最低限の生活を送れるように、年齢・性別等に関係なく、一律・無条件で現金を給付するしくみ」です。ベーシックインカムで重要なのが、「すべての国民」に対する「無条件」の支給ということです。

 

現在の社会保障制度では、例えば、高齢者への年金や、所得の低い人への生活保護など、一定の条件を満たした人に現金の支給があります。対して、ベーシックインカムでは、一定の条件を満たした人だけではなく「すべての国民」に現金を支給します。

 

また、現在の社会保障制度では、支給を受ける側が定期的に申請をすることで、現金が支給されますが、ベーシックインカムでは原則、申請なども不要です。「無条件」で現金が支給されます。

ベーシックインカムが注目を浴びる理由と背景

ベーシックインカムは、「すべての国民」に対する「無条件」の現金の支給です。では、なぜベーシックインカムが注目を浴びているのでしょうか。

 

新型コロナウイルスの影響で、ベーシックインカムが注目を浴びていますが、実は、ベーシックインカムの考え方は、今に始まったものではありません。ヨーロッパでは、昔からベーシックインカムの考え方が存在していたといわれています。古くからある考えがなぜ今になって注目を集めているかというと、近年、世界で貧富の差が広がってきているためです。

 

日本でも、貧富の差が著しくなり、ワーキングプアの人が増えてきています。ワーキングプアとは、生活保護の条件を満たさない程度の所得はあるが、生活をしていくには苦しい人々のことです。

 

また、少子高齢化により「現在の年金制度が続かないのではないか」「将来AI化が進んだときに、人の仕事が少なくなるのではないか」といった不安を多くの人が抱いています。

 

このように、現在や将来への不安が大きくなったことで、ベーシックインカムの考え方が、注目を浴びるようになってきたのです。

ベーシックインカム導入のメリット

ベーシックインカムには、さまざまなメリットとデメリットがあります。ベーシックインカムを導入したほうが良いのかどうかを判断するには、メリットとデメリットを理解しなければなりません。

 

ここではまず、ベーシックインカム導入のメリットについて見ていきましょう。

貧困・少子化対策

ベーシックインカム導入のメリットとして重要となるのが、貧困や少子化対策になる点です。

 

ベーシックインカムでは、「すべての国民」に「無条件」で現金を支給します。例えば、ワーキングプアの方も、現在の仕事の収入とベーシックインカムの収入があれば、生活が苦しくなることはありません。このように、ベーシックインカムは、貧困対策に効果的です。

 

また、ベーシックインカムの収入に年齢制限はありません。子供も支給対象です。子供が多ければ多いほど、支給される現金が多くなるため、少子化対策にもなります。

労働環境の改善

ベーシックインカムは、国民が生活できる最低限の現金を支給するものです。最低限の生活が保障されているため、生活のため、労働環境や待遇の悪い企業で無理に働き続ける必要がありません。企業側も労働環境や待遇が悪いままでは、労働者に敬遠され、労働力不足に陥ります。そのため、多くの企業で労働環境や待遇の改善が期待できます。

 

また、ベーシックインカムの導入で、労働人口が増えるといわれています。その理由は、生活保護を受けている人の存在にあります。生活保護は一定の収入があると、現金の支給が打ち切られます。そのため、仕事ができない人もいます。

 

しかし、ベーシックインカムでは、現金の支給に条件がないため、現在、生活保護を受けている人の中から、仕事をする人も増加します。労働人口が増えることで、人材不足による労働環境の悪化を防げます。

さまざまな働き方ができる

さまざまな働き方ができることも、ベーシックインカムのメリットのひとつです。最低限の生活が保障されているため、収入を得るための残業を増やす必要もありません。

 

また、子育てや親の介護をしながら、限られた時間で仕事をした場合であっても、生活に困ることはなくなります。自由な時間を大事にしたい人、お金を稼ぎたい人など、自分の望むさまざまな働き方が可能になります。

ベーシックインカム導入のデメリット

ここまでは、ベーシックインカム導入のメリットを見てきましたが、もちろん、ベーシックインカム導入にはデメリットもあります。ここからは、ベーシックインカム導入のデメリットを見ていきましょう。

ベーシックインカム導入には多くの財源が必要

ベーシックインカムを導入するための最大の問題点が、財源です。ベーシックインカム導入には、多くの財源が必要です。総務省の発表によると、現在、日本の人口は約1億2500万人です。すべての人に月7万円支給したとすると、毎月の予算は8兆7,500億円、1年間に換算すると105兆円にのぼります。

 

月7万円では、最低限の生活の保障は難しいため、もっと必要な金額が増えるケースが予想されます。この莫大な財源を捻出するために、消費税などの大きな増税が予想されます。

労働意欲の低下が起こる

ベーシックインカムのメリットでは、労働人口が増えることに触れました。しかし、逆の考え方をすると、ベーシックインカムの導入では、労働意欲の低下が起こる可能性があります。

 

ベーシックインカムでは、労働をしなくても、最低限の生活が保障されます。豊かな生活を送るためには、仕事をする必要がありますが、仕事をしなくても生きていけるため、労働意欲が低下し、中には働かなくなる人が増える可能性さえあります。

経済競争力の低下の可能性もある

ベーシックインカムによる収入があれば、労働者が働く会社や職種を選びやすくなります。人気のない職業は、生き残りのために賃金を高くする必要があるため、会社に利益が残りにくくなります。そのため、人気のない職業は、経済競争力の低下をまねきます。

 

また、財源の捻出のため、国は増税をする必要があります。法人が利益を確保するためには、税金分を自社の商品やサービスに転嫁せざるを得なくなります。そのため、物価が上昇します。

 

会社に利益が残らなくなることや、物価が上昇することで、企業の経済競争力が低下する可能性も出てきます。

Youtube動画でポイントを解説中!

まとめ

ベーシックインカムは、「すべての国民」に「無条件」で現金を支給します。しかし、貧困・少子化対策や労働環境の改善などのメリットがある一方で、多くの財源が必要、経済競争力の低下の可能性があるなどのデメリットもあります。

 

今後、日本でもさらにベーシックインカムが注目される可能性があります。ベーシックインカムの導入には、事前にしっかりとした議論をする必要があるでしょう。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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