金融緩和ってなに?わかりやすい用語だけで
金融緩和を攻略する!

金融緩和ってなに?わかりやすい用語だけで  金融緩和を攻略する!
公開日:
2020/11/09
 
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「金融緩和」と聞いても経済に興味がある人でなければ、少し難しい話と考えてしまうかもしれません。しかし、新型コロナウィルス感染症の影響で今後、私たちの暮らし、経済はどうなるのかは誰もが知りたいことです。
そこで、この記事では今後の経済の動きを追う前提となる「金融緩和」についての基礎を解説します。

そもそも金融緩和とは何か?

必要最低限の用語で金融緩和を理解する

そもそも金融緩和とは何でしょうか?簡単に言うと、金融緩和とは国の政策として金利を下げることです。金融緩和の反対語は「金融の引き締め」であり、金利を上げることです。

 

しかし、これだけの情報では金融緩和について理解したことにはなりません。金融緩和と聞くと、誰しも経済用語であり、国の政策であると察しはつくものの、金融緩和をとりまく状況の中での意義や必要性などを知っている人は少ないです。

 

ここでは、金融緩和を理解するために必要最低限の用語を紹介しながら、わかりやすく解説していきます。なお、金融緩和については学者や研究者などの立場によって、説明のしかたが違うことはあります。そのため、ここでの解説は筆者からの1つの提案としてお読みください。

 

そして、この記事をきっかけに興味を持てれば、さらに金融緩和の背景を調べるとよいでしょう。格段に理解が深まります。

まず今、起こっていることから理解する

最近の資料で、金融緩和がどのように登場しているか見てみます。日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の会合で、金融政策の運営に関する事項を審議・決定する会合があり、「金融政策決定会合」といいます。

 

2020年9月16・17日に開催された会合で決まったことは次の3つです。

 

  • 2%の「物価安定の目標」の実現をめざす
  • 上記のための「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する
  • 新型コロナウィルス感染症の影響を注視し、必要があれば追加的な金融緩和措置をする

 

このように菅新内閣発足(2020年9月16日)と時を同じくして開催された日銀の会合においては、「2%の物価安定目標のための金融緩和を維持する」という議事が残されています。その後、菅首相は黒田総裁との会談で、アベノミクスを継承し、金融緩和の継続することに意欲を示しました。

この記事では、新型コロナウィルス感染症にかかる今後の状況については次なる課題にするとして、2%の「物価安定の目標」と、そのための「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」が何を意味しているのかがわかるように解説していきます。

日銀の金融緩和政策について

失われた20年とインフレ目標

「物価安定の目標」として初めて2%が設定されたのは2013年のアベノミクスにおいてでした。2%というのは、消費者物価の前年比上昇率(インフレ率)の目標値を2%にするということです。物価上昇率(インフレ率)とは、前年を基準とした物価の上昇率のことです。

 

今年の対前年物価上昇率(%)=今年の消費者物価指数-昨年の消費者物価指数/昨年の消費者物価指数

 

基本的には景気が拡大するとインフレ率が上がります。景気が良くなると、みなモノを求めるため、モノの値段が上がります。インフレ率とはモノの値段の上昇割合です。

 

また、消費者物価指数とは消費者が購入する各種の消費やサービスの物価水準を示す値です。

 

2%という目標値はアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)やヨーロッパ中央銀行も2%を掲げている値であり、世界的な標準とも言えます。インフレ率を欧米並みとすることで円高をストップさせ、不景気から脱却し物価安定のための指数として、高めの設定になると説明されています。

 

「失われた20年」という言葉があります。「失われた20年」とは、1993年のバブル崩壊後から第二次安倍内閣によってアベノミクスが開始された2013年ぐらいまでのわが国の経済が停滞していた時期を指します。この間は物価が下落し、「デフレ」と呼ばれる時期が続きました。

 

デフレとは、全体的に日用品やサービスの値段が下がる現象です。逆に言うと、デフレではお金の価値が上がるため、モノを買ったり、投資したりするより国民はお金として持つ傾向にあります。その結果、モノが売れず不景気になってしまいます。結果、企業はモノやサービスが売れないので値段を下げます。別の言い方をすると、モノの供給が需要を上回っている状態です。

 

供給(モノやサービス)>需要(消費や投資)

 

この景気の停滞期を乗り越える策として2013年に出されたのが、第二次安倍内閣によるアベノミクスでした。そのアベノミクスにおける三つの経済政策の1つが、「異次元の金融緩和」と呼ばれる量的・質的金融緩和政策でした。

 

ここまでで、金融緩和が2%の「物価安定の目標」に対する「手段」であったことをおさえておいてください。

金融緩和とは? -量的金融緩和と質的金融緩和-

アベノミクスは安倍総理と黒田日銀総裁が「二人三脚」で進めました。2013年に始めた政策は黒田総裁が「かつてない異次元のレベル」と言った超金融緩和でした。 金融緩和とは、モノが売れず景気が悪いときに金利を下げることです。反対に景気が過熱したときに金利を上げることを金融引き締めといいます。

 

日銀は公開市場操作(オペレーション)と呼ばれる手段を用いて、金利の誘導や資産の買入れなどを行っています。

 

日銀が金融緩和により金利を下げると、金融機関は顧客である企業や個人への貸出を低金利で行うことができるのです。なぜなら、日銀は市中の金融機関の金利を直接変えることはできませんが、金融機関は日銀が決める金利を基準に金利を決めているからです。

 

また、金融市場は相互に連動しているため、企業が社債発行などで市場から直接資金を調達する時の金利も低下します。したがって金利が下がると、企業も個人も資金を借りやすくなり、全体として経済が活発となります。このように景気を上向かせるための金融政策が、金融緩和政策です。

 

ところで金融緩和には、量的金融緩和と質的金融緩和があります。 量的金融緩和とは、日銀が操作して「お金の量」を増やすことです。

 

市中の金融機関は、日銀に「日銀当座預金」という口座を持つこととされています。日銀は量的金融緩和によって金融機関が政府から買った国債を買い取って、金融機関の持つ「日銀当座預金」残高を増やします。すると、金融機関は増えた「日銀当座預金」を企業や個人に貸し付けることができます。

 

質的金融緩和とは、日銀が保有する国債の保有期間を延ばしたり、国債以外にも買い入れたりする、いわゆる「質的」な手段によって、市中に出回るお金を増やすことです。日銀が保有する国債を長く保有すること、そして国債以外に証券取引所に上場されている投資信託など多様な金融資産を買い入れることがここで言う質的金融緩和です。

 

金融緩和はそれまでも何度か実施されたものの、アベノミクスにおける金融緩和では、「量」も「質」もそれまでの金融政策とは異なるため「異次元の金融緩和」と呼ばれました。

長・短金利を操作するとは?

ここでは、「長短金利操作付き」の金融緩和について解説します。実は、2013年のアベノミクス開始時おいては、「量的・質的金融緩和」でしたが、2016年9月から「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」となりました。

 

既に説明したとおり日銀が金利を下げる政策が金融緩和です。この「金利」には2種類あります。「長期金利」と「短期金利」です。

 

借りたお金を全部返すまでの期間を償還期間と言いますが、償還期間が1年以上の場合の金利を長期金利、反対に償還期間が1年未満の場合の金利を短期金利と言います。

 

企業が比較的大規模な設備のための借入をしたり、個人が住宅ローンを組んだりする場合は長期となることが多いため、短期金利より長期金利のほうが経済に与える影響は大きいとされます。

 

先ほどの日銀融政策決定会合においては、長期金利は10年物国債金利をゼロ%程度とし、また短期金利は日銀当座預金の一部をマイナス0.1%の金利を適用するとしています。すなわち、日銀は長期金利をゼロ%、短期金利をマイナス0.1%などとすることによって、金融機関の金利をそれぞれ低く誘導し、企業や個人がお金を借入しやすくする政策なのです。

 

マイナス金利の中では金融機関が日銀当座預金を使わないと、その金融機関の残高は結果的にどんどん減っていくことを意味します。

 

ここまで解説してきたことが、「日銀が実施した金融政策は長・短の金利を誘導しつつ、国債その他の有価証券を市中から積極的に買って、最終的には世の中に出回るお金を増やそうとする金融緩和政策であり、2%のインフレ率達成を目標としている」ことを意味しています。

Youtube動画でポイントを解説中!

まとめ

金融緩和をはじめとする金融政策では、現在のわが国の経済の根本的な問題を解決できていません。2020年4月にはコロナの影響で国債の買い入れ上限を撤廃する追加的な金融緩和策を講じましたが、今後も他の政策とともに金融政策においてもさらなる策が必要となるでしょう。

岡和恵
大学卒業後、2年間の教職を経て専業主婦に。システム会社に転職。 システム開発部門と経理部門を経験する中で税理士資格とフィナンシャルプランナー資格(AFP)を取得。 2019年より税理士事務所を開業し、税務や相続に関するライティング業務も開始。
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