合同会社の特徴とは? その設立や運用についてやさしく解説! – マネーイズム
 

合同会社の特徴とは?
その設立や運用についてやさしく解説!

    公開日:
    2021/02/10
     
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    最近、法人を設立するにあたって「合同会社」を選択する例が増えてきています。日本のGoogleやAmazon、Appleが合同会社であることもよく知られるようになってきました。
    この記事では、合同会社の特徴について設立から運用までをわかりやすく解説します。

    なにが違う?合同会社と株式会社

    合同会社の設立件数

    まず、下の表をご覧ください。合同会社の設立件数の増加具合が他の形態より飛びぬけていることがわかります。

     

    合同会社の設立件数推移表

    2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
    株式会社 80,535 80,244 80,862 81,889 86,639 88,803 90,405 91,379 86,993
    合同会社 7,153 9,130 10,889 14,581 19,808 22,223 23,787 27,270 29,076
    合名会社 29 40 60 84 93 119 93 104 87
    合資会社 199 250 131 105 104 93 58 58 52

    (登記統計 商業・法人より筆者作成)

     

    上の表によりますと合同会社は増加傾向にあり、2010年から8年間で4倍以上になっています。その理由として、設立時の設立費用が安い、設立がスピーディである、運用時における自由度の高さが挙げられるほか、一人会社としての活用もさかんだといえます。

    この記事で、株式会社と合同会社の違いについてよく知ることによって、法人設立の際には利用目的に応じた会社組織を選択しましょう。

    合同会社の基礎知識-会社法における位置づけ-

    会社法では次の4つの会社形態を取り扱っています。それぞれの会社の債務に対し、出資者が出資した金額範囲まで責任を負うことを有限責任、出資者が会社の債務を無制限に追うことを無限責任といいます。

    合同会社は株式会社と同様、出資者が「有限責任」となる会社です。

     

    • 株式会社      出資者全員が有限責任
    • 合同会社      同上
    • 合名会社      社員の全員が無限責任社員
    • 合資会社      無限責任社員と有限責任社員の混合

     

    わが国の合同会社はアメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルにしたといわれいます。LLCをそのまま訳しますと「有限責任会社」となりますが、アメリカのLLCとわが国の合同会社の違う点として、課税のしかたが挙げられます。

     

    LLCでは、課税方法について法人課税を受けるのか、出資者に対し直接課税するのか(パススルー課税)を選択できます。パススルー課税とは、会社で発生した利益に課税せず、その利益の配分を受けた社員に課税することです。普通、法人などの利益にまず法人税が課税され、その課税後の利益が出資者に分配されます。さらに出資者への利益の分配金には所得税が課税されますが、パススルー課税では、法人への課税はスルーして個人への課税のみとなるのが特徴です。

     

    しかしながら、わが国の合同会社については、考え方のベースはアメリカのLLCにあってもパススルー課税は採用されず、法人課税となっています。

     

    また、合同会社、合名会社、合資会社は持分会社(もちぶんがいしゃ)と呼ばれます。これらの会社はそれぞれの経営者がお金を出し合って会社を設立していますので、株式会社であれば「株式の所有権」ですが、合同会社では会社の所有権、すなわち「重要事項の決定権」が持分となります。

     

    下記は、株式会社との比較から合同会社の特徴を集めたものですが、以下、合同会社の設立、運用、そして税務関係について解説します。

     

    合同会社と株式会社との比較

      合同会社 株式会社
    出資 出資者=経営者となる 出資者と経営者は分離している
    代表者 代表社員 株主総会で選出した代表取締役
    役員の任期 任期なし 最長10年
    設立時 定款認証 不要 約5万円~
    登録免許税 最低6万円 最低15万円
    印紙代 4万円 4万円
    機関 株主総会や取締役会は不要 株主総会や取締役会で意思決定
    意思決定 一人一票 出資割合に応じた議決権
    決算公告 公告義務なし 公告義務あり

    合同会社と株式会社の違いとは?

    合同会社の設立について-合同会社は安くできる?-

    合同会社の設立費用について、株式会社と比較して安くできることは事実です。

     

    定款認証とは、公証人がその会社の定款が正当な手続により作成されたことを証明することです。登記申請する際には、認証を受けた定款が必要となります。株式会社では、定款認証にあたって公証人の手数料として、50,000円程度はかかります。

     

    第三者が定款を認証することによって、会社の出資者と会社の経営者との間で意見の食い違いが発生した場合でも、中立的な立場を確保ができます。

     

    しかし、合同会社では出資者イコール経営者であるため、出資者と経営者の意見の対立はありません。

     

    そこで、合同会社の場合、基本的な会社のルールを定めた定款そのものは必要ですが、定款を認証してもらう費用は不要となります。

     

    次に、登録免許税が違います。

    登録免許税とは、登記をしてもらうのに要する費用です。会社の商業登記等については、税率は同じですが、最低額が異なるため合同会社は費用が安くて済みます。

     

    会社 課税標準 登録免許税 税率等
    会社設立登記 株式会社 資本金の額  1,000分の7(15万円未満は、1件につき15万円)
    合名会社
    合資会社
    申請件数  1件につき6万円
    合同会社 資本金の額  1,000分の7(6万円未満は、申請1件につき6万円)

    (国税庁:登録免許税の税額表より抜粋して筆者作成)

     

    定款を紙で作成する場合、認証などに関係なくその定款に貼付する印紙代が、4万円かかります。しかし、定款を電子データで作成すると印紙代の4万円を節約できます。電子化するには、定款に電子署名を添付し、CD等で保存しておく必要があります。自社で電子定款を作成すると、ICカードリーダライタなどの費用や調べる時間はかかります。そこで、司法書士などの専門家に依頼すると依頼費用がかかるものの、法人設立にあたってのアドバイス等を受けることができます。

    合同会社の運用について-配当が自由で決算の公表不要?-

    ここで「社員」という用語について確認しておきます。

     

    株式会社で「社員」というと、従業員や執行役員のような取り扱いになり、取締役や監査役などの「役員」と区別されます。しかし、合同会社では、「代表社員」とは出資者であり、経営者なのです。そして出資者が複数いれば、全員が代表社員となっても問題ないのです。

     

    株式会社は、配当額が決まったら出資比率により利益の配当をします。決算書の注記表に「1株当たりの配当額」などが提示されます。

     

    これに対し、合同会社では利益の配当が自由とされています。

     

    合同会社では、利益の分配割合を株式会社のように出資比率で決める必要はないのです。これが実務上の大きな有益性とみて、合同会社設立を選択するケースもあります。

     

    合同会社では、社員に対する「損益の分配割合を決めること」と、社員に分配された「利益を配当すること」が区分されます。

     

    例えば、A氏とB氏の出資によって合同会社を設立したとします。A氏はノウハウを、B氏は資金を持っていましたので出資の割合はA氏1割、B氏9割でした。

     

    ここで重要となるのが定款です。定款への記載がなければ株式会社のように出資の割合による利益分配となります。(会社法622条)しかし定款に記載すれば、利益の分配割合をA、B各社員に5割ずつとすることもできます。

     

    そして、合同会社では各社員は、利益の配当を請求できます。株式会社のように定期的なものではく、定款に定めることにより配当の時期や回数は自由に設計できます。

     

    さらに、合同会社では、株式会社において必要とされる計算書類の公告義務はなく、大規模な組織となっても監査法人を設置する必要もありません。

     

    決算公告とは、定時株主総会の終了後に、会社の定款による方法で決算の開示をすることです。開示方法については、予め定款で定めておいた方法によります。

     

    決算公告の目的は、株主者等の利害関係者に対し公告によって、財務内容を周知することにありますが、合同会社では経営者イコール出資者の関係ですので、公告義務はないのです。

     

    しかし会計処理についていえば、合同会社の財務諸表と株式会社の財務諸表について大きな変わりはありません。税務上も株式会社同様、法人税法に従って処理することに変わりはありません。

     

    残念ながら、合同会社は現段階では株式会社ほど社会的な信用力が高いとはいえません。

     

    したがって、合同会社は、運用設計の自由度が高く使い勝手はよい反面、銀行融資やエンジェル投資家など個人からの支援が集まりにくい可能性はあります。

    設立するならどちら?-合同会社と株式会社-

    合同会社設立における注意点とは?

    実際に法人を設立するにあたっては、設立費用のみに注目するわけにはいきません。

     

    設立した後については、合同会社でも株式会社でも定款を変更するたびに費用はかかります。合同会社では、新たな社員の加入については、原則として総社員の同意が必要となっていたり、社員を辞める(任意退社)ときも持分を売却したりできません。

     

    合同会社の形態が向いている業種としては、一般消費者を主な取引先としている店舗経営など、一人会社の場合は成立しやすいといえます。

     

    また、不動産投資などで不動産所得を得ていた個人事業主が、合同会社として法人登記することにより、損失を次年度に繰り越すことができたり、役員報酬に対し給与所得控除が利用できたりと、節税につながる場合が多くあります。

     

    一人での法人設立であれば、まずは合同会社で様子を見るという選択肢は十分にあります。

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    まとめ

    初期費用の安さがアピールされがちな合同会社ですが、業種や将来の在り方の吟味が大切です。

     

    そして合同会社設立にあたっては、当初気が合うと思われたビジネスパートナーとの関係を良好に継続するための意思があるかどうかも重要ポイントとなります。

    岡和恵
    大学卒業後、2年間の教職を経て専業主婦に。システム会社に転職。 システム開発部門と経理部門を経験する中で税理士資格とフィナンシャルプランナー資格(AFP)を取得。 2019年より税理士事務所を開業し、税務や相続に関するライティング業務も開始。
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