【2021年】新型コロナウイルス関連の 補助金に必要な確定申告方法 | MONEYIZM
 

【2021年】新型コロナウイルス関連の
補助金に必要な確定申告方法

新型コロナウイルスの影響拡大により、多くの個人や事業者などが国や自治体などから補助金を受け取りました。
2021年の確定申告の時期を迎えて心配になるのが、補助金に対する税金や確定申告のことではないでしょうか。実は、補助金には税金がかかるものと、かからないものがあります。
ここでは、補助金を受け取った場合の申告について解説します。

【2021年2月3日追記】

緊急事態宣言の期間が令和2年分所得税の確定申告期間(令和3年2月16日~3月15日)と重なるため、十分な申告期間を確保し、確定申告会場の混雑回避を図るため、申告所得税(および復興特別所得税)、贈与税および個人事業者の消費税(及び地方消費税)の申告期限・納付期限について、全国一律で令和3年4月15日(木)まで延長になりました。
これに伴って申告所得税及び個人事業者の消費税の振替納税の振替日についても延長されます。
下記表にてご確認ください。

 
●申告期限・納付期限

税目 当初 延長後
申告所得税
個人事業者の消費税
令和3年3月15日(月)
令和3年3月31日(水)
令和3年4月15日(木)
贈与税 令和3月3月15日(月)

 
●振替日

税目 当初 延長後
申告所得税 令和3年4月19日(月) 令和3年5月31日(月)
個人事業者の消費税 令和3月4月23日(金) 令和3月5月24日(月)

補助金には課税されるものと非課税のものがある

新型コロナウイルスの影響拡大によって国や自治体などから受け取った補助金や給付金には、課税されるものと課税されないものがあります。そのため、確定申告をする前に、受け取った補助金の取り扱いを把握しておく必要があります。

 

そこで、まずは所得税が非課税となる補助金と課税される補助金について確認しましょう。

 

所得税が非課税の補助金

所得税が非課税になる、新型コロナウイルス関連の補助金や給付金には次のものがあります。

 

・特別定額給付金

国民一人あたり10万円が支給された給付金です。

・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

新型コロナウイルスの影響拡大により休業させられた中小企業の労働者のうち、休業中に賃金(休業手当)を受けることができなかった方に対して支給される支援金・給付金です。

・子育て世帯への臨時特別給付金

新型コロナウイルスの影響拡大による小学校の臨時休業等により、影響を受けた子育て世帯を支援する臨時・特別の一時金です。

・学生支援緊急給付金

新型コロナウイルスの影響拡大によってアルバイトなどの収入が激減し「学びの継続」が困難な学生に対して、20万円または10万円の支給をする給付金です。

・低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金

令和2年6月分の児童扶養手当の支給を受けている方などに、世帯ごとや子供の人数に応じて3万円または5万円の支給をする給付金です。

・新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金

新型コロナウイルス感染症に対応している医療従事者の方に、最大20万円を給付する慰労金です。

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新型コロナウイルス関連の補助金に必要な確定申告!所得税が非課税のものってどれ?|3分でわかる!税金チャンネル

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所得税が課税される補助金

所得税が課税される、新型コロナウイルス関連の補助金や給付金には次のものがあります。

・持続化給付金

新型コロナウイルスの影響拡大により、事業の継続が難しい事業者に、法人なら最大200万円、個人事業主なら最大100万円の支給が受けられる給付金です。

・家賃支援給付金

5月の緊急事態宣言の延長などにより、売上の減少に直面する事業者の地代・家賃(賃料など)の負担を軽減するための給付金です。

・文化芸術・スポーツ活動の継続支援

新型コロナウイルスの影響拡大により、文化芸術活動を自粛した事業者に対し、経費の一部を助成するものです。

・雇用調整助成金

新型コロナウイルスの影響拡大により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業者が、労働者に休業手当を支払う場合に、休業手当などの一部を助成するものです。

・小学校休業等対応助成金・支援金

新型コロナウイルス感染症に係る小学校等の臨時休業等により、仕事を休まざるをえなくなった保護者を支援するための助成金・支援金です。

・Go To キャンペーン事業における給付金

Go To トラベルやGo To Eatなどのキャンペーン事業に対する給付金です。

Youtube動画でポイントを解説中!②

コロナ補助金に必要な確定申告~課税される助成金・給付金はなに?|3分でわかる!税金チャンネル

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所得税が課税される補助金の取り扱い

ここまでは、新型コロナウイルスの影響拡大により、国や自治体などから受け取った補助金や給付金に対する所得税の取り扱いを確認しました。

 

国や自治体などから受け取った補助金や給付金には所得税が課税されるものもあります。所得税では、各所得ごとで所得金額などの計算を行う必要があります。そこで、ここでは所得税が課税される補助金や給付金が、どの所得に該当するか見ていきましょう。

 

1.事業所得等となるもの
事業所得や不動産所得など、いわゆる本業の収入としてみなされる補助金や助成金は、次のものが該当します。

 

  • 持続化給付金(事業所得者向け)
  • 家賃支援給付金
  • 文化芸術・スポーツ活動の継続支援
  • 雇用調整助成金
  • 小学校休業等対応助成金・支援金

 

2.一時所得となるもの
一時所得とは、営利を目的とする継続的な行為から生じた所得以外の一時的な所得のことです。一時所得の金額は、次の計算式で計算します。

 

一時所得金額=収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額50万円
※総所得金額の計算の場合、一時所得金額の1/2が他の所得と総合されます。

新型コロナウイルス関連の補助金・給付金では基本、収入を得るために支出した金額はない(各種給付金等の申請手続に際して税理士などに依頼した場合は、その費用は経費になります)ため、特別控除額50万円を超える補助金・給付金を受け取った場合は、税金がかかります。一時所得となる補助金や助成金は、次のものが該当します。

 

  • 持続化給付金(給与所得者向け)
  • Go To キャンペーン事業における給付金

 

3.雑所得となるもの
雑所得とは、他の所得のどれにも該当しない所得のことをいいます。雑所得の金額は、次の計算式で計算します。

雑所得金額=収入金額-必要経費

雑所得となる補助金や助成金は、次のものが該当します。

 

  • 持続化給付金(雑所得者向け)

帳簿付けが必要な補助金の仕訳例

補助金や給付金の中には、帳簿付けが必要なものがあります。所得税では、一時所得や雑所得で帳簿付けは義務付けられていません。帳簿付けが必要な補助金や給付金は、事業所得等となるものだけです。

 

ここでは、具体的な仕訳例について見ていきましょう。

雑収入となる補助金の仕訳

事業所得等となる補助金や給付金は、本業の売上とは別のものであるため、「雑収入」科目を使って処理します。

 

例)持続化給付金を申請し、申請が通ったため、事業用の口座に100万円が振り込まれた。

借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額 摘要
普通預金 100万円 雑収入 100万円 持続化給付金

 

プライベートの口座に振り込まれた場合は、「普通預金」科目ではなく「事業主貸」科目で処理します。その場合の仕訳は、次のようになります。

 

借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額 摘要
事業主貸 100万円 雑収入 100万円 持続化給付金

借入金となる補助金の仕訳

新型コロナウイルスの影響拡大により、事業資金が不足する企業を助けるため、銀行などの金融機関も、融資を受けやすくしています。

 

そのため、事業資金の融資を受けた事業主も多いでしょう。この場合は、補助金ではなく融資であるため、収入にする必要はありませんが、帳簿付けは必要です。具体例で仕訳を見ていきましょう。

 

・融資を受けたときの仕訳
例)新型コロナウイルスにより、事業に影響を受けたため、100万円の特別融資を受けた。事業用の口座に入金された。毎月の返済は10万円である。

借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額 摘要
普通預金 100万円 借入金 特別融資

・返済時の仕訳

例)返済日になったので、元本10万円と利息1万円を事業用の口座から支払った。

借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額 摘要
借入金 10万円 普通預金 11万円 特別融資返済
支払利息 1万円 支払利息

 

「支払利息」科目は、「利子割引料」科目で処理しても問題ありません。

まとめ

新型コロナウイルスの影響拡大で、さまざまな補助金や給付金が創設されました。それぞれの補助金や給付金で所得税の課税関係が違うため、複雑になっています。特に、所得税が課税される補助金や給付金については、確定申告する際、各所得に加えて計算する必要があります。

 

所得税が課税される補助金や給付金を、確定申告するのを忘れてしまうと、税金の納付額が少なくなり、のちに延滞税などのペナルティを受ける可能性もあります。2020年に新型コロナウイルスの補助金や給付金の支給を受けた場合は、課税関係を正しく把握し、2021年の確定申告では正確に処理するようにしましょう。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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