IT導入補助金とは? 活用方法と2018年度の変更点を解説! | MONEYIZM
 

IT導入補助金とは?
活用方法と2018年度の変更点を解説!

2018年4月20日に「IT導入補助金」の公募が始まりました。中小企業を対象に、ITツールの導入に際して最大50万円の補助が与えられます。IT化を進めようとしている事業者の方にとっては、大変魅力的な制度なのではないでしょうか。以下では、IT導入補助金の概要と活用方法、2018年度の変更点を解説します。

IT導入補助金とは?

概要

IT導入補助金は、正式名称を「サービス等生産性向上IT導入支援事業」といい、一般社団法人サービスデザイン推進協議会が運営しています。日本国内で事業を行う中小企業と小規模事業者を対象に、生産性の向上を目的とするITツールの導入に補助金を支給する制度です。ここでの中小企業・小規模事業者とは、資本金または常勤従業員数のどちらかが、業種ごとに規定された数値を上回らない法人や個人を指します。これらの要件を満たす法人や個人が、「IT導入支援事業者」として認定された企業の提供するソフトウェアやサービス等のITツールを導入する際、その経費の一部が補助されます。導入後のアフターフォローまで視野に入れた、利用者にやさしい制度設計となっています。

手続きの流れ

●募集期間

2018年度の募集は全部で3回行われ、以下の日程で実施される予定です。

1次 交付申請期間 2018年4月20日(金)~2018年6月7日(木)
事業実施期間 交付決定後~2018年9月14日(金)
2次 交付申請期間 2018年6月中旬~2018年8月上旬(予定)
事業実施期間 交付決定後~2018年11月中旬(予定)
3次 交付申請期間 2018年8月中旬~2018年10月上旬(予定)
事業実施期間 交付決定後~2019年1月中旬(予定)

自社の事業スケジュールにあった期間を選び、計画的に進めましょう。

●ITツールの選択

IT導入補助金のWebサイトで利用できる「経営診断ツール」と「ITツール選定ナビ」を参考にして、申請するITツールを決定します。経営診断ツールの結果がなければ申請することができませんので注意しましょう。

経営診断ツールは、企業の経営状態が現在どのような状況にあるのかを客観的に分析するためのツールです。まず、基本情報として「従業員数や業種」および「最新決算期を含めた2期分の決算に関する情報」を入力し、同じ業種や規模の市場平均との比較を行います。また、①経営者、②事業、③企業を取り巻く環境・関係者、④内部管理体制、⑤総括の5分類の質問に回答することにより、経営状態の把握と、現在までの経営の振り返りを行い、企業の課題を発見します。こうして得られたデータは、今後の取組みに重要となります。

もう一方のITツール選定ナビとは、経営診断ツールの結果に基づいて、企業が必要とするITツールを検索する機能のことです。検索方法には以下の2通りがあります。

 

1. 機能検索

企業の業種や必要とする機能から検索

2. 診断検索

アンケート形式での質門に対する回答をもとに必要なツールを検索

 

ITツール選定ナビ以外にも、法人名やコンソーシアム名でIT導入支援事業者を検索することもできます。これにより、自社に必要なサービスを提供している企業等がすでにわかっている場合などは、その企業がIT導入支援事業者として登録されているかどうか調べることができます。

導入するITツールを選定した後には「SECURITY ACTION」のアカウントを作り、セキュリティ対策に関する自己宣言を行います。補助金申請の際に、このアカウント発行時に付与される数字を入力する必要があります。

●交付申請

申請マイページを開設し、必要な情報を入力すれば、申請完了となります。その際、添付資料として、法人の場合は「法人インフォ」、個人事業主の場合は現住所・生年月日・氏名が記載されてある公的身分証明書、名刺やチラシ等の事業実在証明書が必要となります。

2018年度の変更点

2018年度から、より多くの企業に補助金を支給するという方針への転換がなされました。具体的な変更点は以下の通りとなります。

・予算

前年度の5倍に増額され、500億円となりました。

・補助金上限

100万円だった前年度から、50万円に減額されました。

・補助率

投資額の3分の2だった前年度から、投資額の2分の1に変更されました。

・対象企業

前年度の10倍以上の13万5千社となりました。

補助金の対象

IT導入補助金の対象となるのは、IT導入支援事業者によって事務局に登録されたITツールの導入に要する経費となります。補助金による補てんが可能な費用の内訳は、以下の通りです。

 

・ソフトウェア、クラウドサービス

・機能拡張/データ連携ソフト

・ウェブサイト利用料

・アカウントID追加/クラウド年間利用料追加

・保守・サポート費

・導入設定、業務コンサル、マニュアル作成、導入研修

・セキュリティ対策

 

なお、以上の経費はいずれもITツールを導入した日から1年間の費用のみが補助の対象となります。

IT導入補助金の活用方法

IT導入補助金は、面的な効率化と事業拡大による中小企業と小規模事業者の生産性の向上を目的としています。そのため、経理など特定の業務の1機能に特化したIT化ではなく、複数の業務機能を組み合わせる形での導入が求められます。より具体的には、フロント業務、ミドル業務、バックオフィス業務のうち、2つ以上の機能を持つITツールを導入することが、交付申請の条件となっています。この条件を満たしさえすれば、単一の多機能ツールでも、あるいは複数のツールの組み合わせでもかまいません。

 

どの業務にITを導入するべきかは、業種や個々の企業の事情によって異なるため一概にいうことはできませんが、上述の経営診断ツールやITツール選定ナビのように、有効なヒントを得るための手立ても用意されています。また、自社に必要なサービスをある程度絞り込むことができたら、それを提供しているIT導入支援事業者に直接相談することも大切です。この制度に登録されているITツールは多機能のものが多いため、他の業務での活用方法も見えてくるかもしれません。非常に多くのITツールが存在するので、自社の経営状況を分析しながら、最も大きな利益が見込まれるツールを慎重に検討しましょう。

☆ヒント
IT導入補助金をはじめとする各種の補助金や助成金も、基本的には税金の対象となります。こうした制度は、申請から実際の入金まで時間がかかるため会計上の処理がややこしく、万が一計上漏れなどがあれば、ペナルティを科せられてしまうこともあります。ビスカスでは豊富な知識と経験を備えた税理士を多数紹介しておりますので、是非この機会にご利用を検討されてみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回はIT導入補助金について解説してきました。この事業は、ソフトウェアやサービスの購入に対してただ補助金を支給するだけのものではなく、ITの知識やノウハウの伝達までカバーされているため、今後の経営方針の決定に大いに役立つ可能性もあります。申請が可能な事業者の方は、本格的に検討してみてはいかがでしょうか。

 

山田隆裕
慶應大学卒。現、同大学院所属。
大学4年時に公認会計士試験に突破。
自分の知識の定着も兼ねて、会計・財務などに関する知識を解説していきます。
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