個人事業主の確定申告、白色申告と青色申告の違いや税金について解説 – マネーイズム
 

個人事業主の確定申告、白色申告と青色申告の違いや税金について解説

公開日:
2019/07/02
最終更新日:
2022/02/28
 

個人事業主の確定申告は、白色申告のほうが青色申告よりも簡単といわれています。しかし、青色申告における税金面での優遇を除き、両者の違いを正確に理解している人は少ないでしょう。そこで、白色申告と青色申告のアウトライン、税金面で優遇されている内容、青色申告の事前手続きを中心に解説します。

個人事業主の確定申告

1年間に収入がある個人は原則、確定申告が必要です。個人の確定申告では、収入を10の所得区分に分けて所得金額などを計算します。このうち、事業所得に該当する収入を得ている個人を個人事業主といいます。個人事業主の確定申告で重要な部分は、次のとおりです。
 

1.税金(所得税)の計算
個人事業主の税金は、1月1日から12月31日までの所得金額に対して課されます。税金(所得税)の計算方法は、次の流れで求めます。

①所得金額=1年間の収入金額-1年間の必要経費(-青色申告特別控除)
②課税所得金額=所得金額-所得控除額(基礎控除や社会保険料控除など)
③所得税額=課税所得金額×税率(課税所得金額に応じて税率は異なる)-控除額

まず、1年間の収入金額と必要経費を集計し、所得金額を求めます。次に、所得控除の金額を計算し、所得金額から差し引くことで課税所得金額を求めます。最後に、課税所得金額に税率を乗じ、控除額を差し引くことで所得税の金額を求めます。
 

2. 確定申告の期間と確定申告書の提出場所
確定申告の期間は、原則、毎年2月16日から3月15日までです。3月15日までに、確定申告書の提出と納税を行います。確定申告書の提出先は、納税地を所轄する税務署です。
 

3.確定申告の方法
確定申告は以下のいずれかの方法でおこないます。

  • 管轄税務署の窓口
  • 管轄税務署への郵送
  • e-Taxによる電子申告

法人・個人事業主・会社員での確定申告の違い

ひとくちに確定申告といっても、法人・個人事業主・会社員で次のような違いがあります。
 

●法人
法人は、決算期を自由に設定できます。個人のように1月1日から12月31日までをひとつの期間にする必要はありません。たとえば、4月1日から3月31日までを1会計期間とするのも可能です。また、確定申告書の様式や必要書類も個人のものとは全く異なります。

法人は、決算月から2か月以内に申告書や決算書などの税務署類一式を、納税地を所轄する税務署に提出し、確定申告を行います。税金の納付も決算月から2か月以内です。
 

●個人事業主
上述したとおり、個人事業主の税金は、1月1日から12月31日までの所得金額に対して課されます。

個人事業主の確定申告で、税務署に提出しなければならない書類は「確定申告書B」と「青色申告決算書(青色申告の場合)」または「収支内訳書(白色申告の場合)」です。確定申告書Bは、すべての所得に対応する申告書となります。
生命保険料控除証明書など、申告の状況に応じた必要書類も、確定申告書に添付して提出します。
 

●会社員
通常、会社員は勤めている会社で年末調整を行い、所得税の清算を行うため、確定申告は不要です。ただし、医療費控除の適用を受ける場合や、住宅ローン控除を初めて受ける場合など、一定の場合は、確定申告が必要です。

会社員の確定申告で、税務署に提出しなければならない書類は「確定申告書A」です。確定申告書Aは給与所得、雑所得、配当所得、一時所得のみにしぼった申告書です。

※令和5年からは確定申告書Aは廃止され、確定申告書Bのみになります。

また、医療費の明細書や住宅ローンの残高証明書など、申告の状況に応じた必要書類も、確定申告書に添付して提出します。

白色申告と青色申告の違い

白色申告青色申告の明確な違いをきちんと理解するため、両者の内容について解説します。

白色申告と青色申告のアウトライン

白色申告と青色申告を理解するために両者のアウトラインを見ていきましょう。

(1)白色申告

個人事業主は税金の計算のプロセスとなる所得金額を計算しますが、その計算根拠を示すために最低限の帳簿の記帳と書類の保存が求められます。それが白色申告です。

(2)青色申告

青色申告も白色申告と同じように所得金額の計算根拠が必要です。しかし、その計算根拠について、白色申告よりも厳格さを求められます。それは、後述する帳簿の記帳方法の違いに表れています。その代わり、税金面で優遇されます。それが青色申告の特典です。

白色申告と青色申告の帳簿の記帳方法の違い

前述した白色申告と青色申告の所得金額の計算根拠について、その厳格さの違いを理解するために、それぞれの帳簿の記帳方法を見ていきましょう。

(1)白色申告

白色申告による帳簿の記帳対象者は事業所得、不動産所得、山林所得のある個人事業主です。記帳方法は収入金額、仕入、経費の項目ごとに次の内容を記帳します。

  • 取引年月日
  • 売上先・仕入先その他の取引先の名称
  • 日々の売上げ・仕入れ・経費の金額

なお、帳簿の記帳単位は領収書ごとなどの取引単位でなく、日々の合計金額をまとめて記載することが認められています。

(2)青色申告

青色申告による帳簿の記帳対象者は白色申告と同じように事業所得、不動産所得、山林所得のある個人事業主です。帳簿の記帳方法は正規の簿記に基づく方法と簡易記帳に大別できます。なお、前者のほうが後述する青色申告の特典で、より税金面で優遇されています。

1. 正規の簿記

所得金額の明細を示す損益計算書と現金預金や借入金などの財産名産を示す貸借対照表の作成をゴールに帳簿を記帳します。そのため、所得金額の明細の項目となる収入金額、仕入、経費と各財産の項目を記帳します。

2. 簡易記帳

正規の簿記の代わりに、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など各種明細書を記帳します。

白色申告と青色申告に必要な保存書類と保存期間

白色申告と青色申告では、必要な保存書類と保存期間が少し異なります。

(1)白色申告

必要な保存書類と保存期間は次の通りです。

保存が必要なもの 保存期間
帳簿 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) 7年
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) 5年
書類 決算に関して作成した棚卸表その他の書類 5年
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類 5年
(出典:国税庁)
(2)青色申告

必要な保存書類と保存期間は次の通りです。

保存が必要なもの 保存期間
帳簿 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など 7年
書類 決算関係書類 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など 7年
現金預金取引等関係書類 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など 7年(※)
その他の書類 取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) 5年

※前々年分所得が300万円以下の方は、5年

(出典:国税庁)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2080.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm

白色申告と青色申告の税金の計算方法は違う

白色申告と青色申告の税金の計算方法は違い、後者のほうが優遇されています。そこで、それぞれに税金の計算方法について説明します。

青色申告しか利用できない特典について解説

青色申告にしか利用できない特典が存在し、白色申告よりも税金面で優遇されている主な項目を取り上げます。

(1)青色申告特別控除

青色申告特別控除は支出がなくても所得金額から控除できる項目であり、控除額は次の通りです。
・正規の簿記で帳簿を記帳した場合:55万円(電子帳簿保存もしくはe-Taxを利用している場合は65万円)
・簡易記帳で帳簿を記帳した場合:10万円

(2)青色事業専従者給与

そもそも個人事業主は世帯単位で課税されるため、配偶者などの生計を一にする(同じ家計)親族に対する給料は経費で落とせません。しかし、後述する手続きをすることで、事業に従事している生計を一にする親族(15歳以上)に対する給料を個人事業主の経費として認められます。

(3)貸倒引当金

貸倒引当金とは、売上代金や貸付金など債権の回収不能額の見積計上額を経費で落とせる項目です。青色申告に限り、債権額の5.5%(金融業は3.3%)を貸倒引当金として計上することができます。

(4)純損失の繰越しと繰戻し

白色申告と違い、個人事業主の事業所得や不動産所得で赤字を節税に生かすことができます。それが純損失の繰越しと繰戻しです。

1. 純損失の繰越し

赤字分を翌年以降3年間の所得金額から控除できる制度です。

2. 純損失の繰戻し

前年に納めた所得税のうち、今年の赤字分に相当する部分について還付(返金)される制度です。

(5)中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

白色申告の場合、消耗品の全額を一括で経費として落とせる金額は10万円未満までになります。しかし青色申告の場合、一括で経費として落とせる金額は30万円未満までに拡充されます。

白色申告でも利用できる事業専従者控除とは

白色申告には事業に従事した配偶者など生計を一にする親族(15歳以上)がいる場合、個人事業主の経費で落とせる事業専従者控除という制度が存在します。控除額は次のうち、いずれか少ない金額となります。
 

  • (1) 配偶者86万円、その他親族は一人当たり50万円
  • (2) 事業所得、不動産所得などの金額÷(専従者の人数+1)

 

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2080.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2075.htm

青色申告の特典を利用するための手続きについて解説

青色申告の特典を利用するためには、事前に各種手続きが求められます。それでは、各種手続きについて見ていきましょう。

青色申告承認申請の手続きが必要

青色申告の特典を利用するためには、青色申告の事前手続きが必要であり、「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出します。提出期限は基本的に青色申告で確定申告をしようとする年の3月15日です。ただし例外として、1月16日以降に事業を開始した場合は事業開始日から2ヵ月以内となります。

青色事業専従者給与を利用するための手続き

青色事業専従者給与を利用するためには、事前手続きが必要となります。そのため、「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出します。記入項目はおもに支給対象者、対象者の仕事内容と従事の程度、支給金額です。提出期限は基本的に青色事業専従者給与を支給する年の3月15日です。ただし例外として、1月16日以降に事業を開始した場合は事業開始日から2ヵ月以内となります。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/12.htm

会計ソフトを利用した白色申告と青色申告の記帳方法について解説

帳簿の記帳は会計ソフトを利用するのが一般的でしょう。そこで、白色申告と青色申告の記帳方法について解説します。

取引データを会計ソフトに入力するのが基本

会計ソフトを利用する場合、取引データの入力により帳簿が自動作成できます。そのため、売上高などの項目の集計は不要であり、所得金額も自動計算されます。

効率よく取引データを入力する方法

会計ソフトによっては、取引データを手入力する手間を省くため、銀行明細やクレジットカードなどの取引データを自動的に読み込む機能が付いています。日常の取引を通帳やクレジットカードを介することで、自動読み込みの機能を最大限に利用することができます。

会計ソフトを利用すれば、白色申告と青色申告の手間はほぼ同じ

会計ソフトに取引データを入力すれば、自動的に青色申告で求められる帳簿が作成できます。そのため、会計ソフトを利用すれば、白色申告と青色申告でも帳簿の記帳の手間はほぼ同じといえます。

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青色申告の特別控除って、白色申告と比べると、実際どのくらい税金が安くなるの?|3分でわかる!税金チャンネル

 

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まとめ

帳簿の記帳には会計ソフトを利用するのが一般的である以上、白色申告と青色申告にかかる手間はほぼ同じです。そのため、白色申告を選択するよりも、税金面での優遇が受けられる青色申告の手続きを滞りなくするかどうかが個人事業主にとって大切となってきます。

マネーイズム編集部