法人が資産を購入した場合の税金と 処理方法について解説 – マネーイズム
 

法人が資産を購入した場合の税金と
処理方法について解説

    公開日:
    2019/02/18
    最終更新日:
    2019/03/25
     
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    法人が事業を大きくするために、設備投資を行うことがよくあります。新たに資産を購入した場合には、資産に対する税金のことも考慮する必要があります。それは、購入した資産の種類や金額によって、かかる税金の種類や金額も異なるからです。ここでは、法人が資産を購入した場合の税金と処理方法について解説します。

    固定資産税と償却資産税

    土地や建物にかかる固定資産税とは

    事務所や工場など、自社で土地や建物を所有している場合にかかる税金が、固定資産税です。固定資産税は、土地や建物が所在する市区町村に支払う地方税で、毎年1月1日にその資産を所有している法人や個人に税金が課されます。納める税金の額は次の計算式で求めます。

     

    固定資産税の金額=固定資産税評価額(課税標準額)×標準税率1.4%

     

    それぞれの項目について見ていきましょう。

    ①固定資産税評価額(課税標準額)

    土地や建物の価値を決める基準として、実際に売買されている時価や路線価などがありますが、固定資産税は固定資産税評価額(課税標準額)という独自の基準を用います。

     

    固定資産税評価額(課税標準額)とは、総務大臣が定めた固定資産評価基準を参考に、市町村長が決定する価格のことです。固定資産税評価額(課税標準額)は、3年に一度見直されます。土地の公的価格や建物の時価のおおよそ70%程度の価格に設定されているといわれています。

     

    固定資産税評価額(課税標準額)は、市役所などで取得できる固定資産評価証明書や、毎年、市役所などから送られてくる納税通知書などに記載されています。

    ②標準税率

    固定資産税の税率は原則1.4%です。しかし、自治体によって異なる税率になる場合や、別に0.3%以下の都市計画税がかかることがあります。

     

    ※30万円までの土地や20万円までの建物には、固定資産税はかかりません。また、土地や建物の用途や状況により、各種、軽減措置もあります。

    償却資産にかかる償却資産税とは

    償却資産と償却資産税の概要や対象資産、免税点、計算方法などを記載する

     

    ひとくちに固定資産といっても、土地や建物以外に機械や備品など、さまざまなものがあります。土地や建物以外の事業用の固定資産を所有している場合にも税金がかかりますが、土地や建物と税金の課税標準の計算方法が異なります。

     

    そのため、固定資産の中でも、機械や備品を土地や建物と区別して「償却資産」とよび、そこにかかる税金を「償却資産税」といいます。法人が所有しているもので、よくある償却資産として、外構や看板などの構築物や各種機械装置、パソコンや家具などの工具・器具備品が挙げられます。

     

    自動車については、別に自動車税や軽自動車税がかかるため、償却資産税の対象にはなりません。ただし、ブルドーザーなどの特殊自動車は償却資産税の対象となります。納める税金の額は次の計算式で求めます。

     

    償却資産税の金額=課税標準額×標準税率1.4%

     

    計算式は、固定資産税と同じですが、課税標準額の求め方が固定資産税とは異なります。

    固定資産税では、市町村長が決定した固定資産税評価額を使いますが、償却資産税では、

    資産ごとに設定された減価率を用いて計算します。課税標準額の計算式は、1年目と2年目以降でそれぞれ次のようになります。

     

    1年目 課税標準額=取得価額×(1-減価率×1/2)
    2年目 課税標準額=前年度評価額×(1-減価率)

     

    課税標準額(全ての資産の合計額)が150万円以下の場合には、償却資産税はかかりません。

     

    固定資産税も償却資産税も自分で税額を計算することはありません。そのため、計算方法としては、だいたいこのように計算しているということを理解しておくだけで、問題ありません。毎年、市区町村から金額が記載された納付書が届くので、それで納付します。

    土地や建物などの固定資産を所有している場合の処理方法

    固定資産を購入した場合の処理

    土地や建物などの固定資産を所有している場合には、固定資産税がかかります。では、どのような経理処理を行えばよいのか見ていきましょう。

     

    まずは、土地や建物を購入した場合の処理です。事務所や工場など、土地と建物を一緒に購入した場合は、土地と建物を分けて経理処理する必要があります。

     

    会計上、土地は時の経過とともに価値が減少しないと考えます。そのため土地は売却などをするまでは、取得価格のまま決算書などに表示されます。逆に、建物は、時の経過とともに価値が減少すると考えます。そのため、購入時は取得価格で処理しますが、毎年、減価償却を行い、帳簿価格を減少させる必要があります。

     

    土地は減価償却せず、建物は減価償却するため、土地と建物を一緒に購入した場合は、土地と建物を分けて経理処理することになります。

     

    例)土地3,000万円、建物2,000万円の不動産を購入した。代金は当座預金から支払った。
    借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
    土地 3,000万円 当座預金 5,000万円 工場
    建物 2,000万円 工場

     

    決算になって建物の減価償却費を計算したら100万円だった(直接法)。

    借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
    減価償却費 100万円 建物 100万円 当期償却額

    固定資産税を支払った場合の処理方法

    固定資産税は4月、7月、12月、2月の年4回の分割で支払います(納期は自治体によって異なる)。では、固定資産税を経費に計上できる時期はいつなのでしょうか。原則、固定資産税は賦課決定があった日(納付書が交付された日)に経費に計上します。

     

    例えば、1月に固定資産税4万円の賦課決定があり、4月以降の各納期に1万円ずつ普通預金から支払っている場合は以下のように処理します。

     

    賦課決定のあった日
    借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
    租税公課 4万円 未払金 4万円 固定資産税
    4月、7月、12月、2月の納付日
    借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
    未払金 1万円 普通預金 1万円 固定資産税

     

    固定資産税は、「租税公課」で処理します。賦課決定のあった日は、固定資産税の支払いはまだのため未払金で処理し、各納付日はその未払金を支払った処理をします。

     

    固定資産税を経費に計上できる時期は、原則、賦課決定があった日ですが、固定資産税の納付日に経費に計上することも認められています。この場合の上記の例の仕訳は以下のようになります。

    賦課決定のあった日

    仕訳なし

    4月、7月、12月、2月の納付日
    借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
    租税公課 1万円 普通預金 1万円 固定資産税

     

    賦課決定があった日に経費にする方法で処理した場合も、納付日に経費にする方法で処理した場合も、どちらも毎年継続して同じ方法で処理する必要があります。償却資産税についても、固定資産税と処理は同じです。

    償却資産を所有している場合は申告が必要

    償却資産申告書ってどんなもの

    償却資産を所有している場合、原則、自分で納付額を計算する必要はありません。ただし、前年度に資産の増減などがあったかどうか、毎年、市区町村に「償却資産申告書」を提出する必要があります。

     

    償却資産申告書は、償却資産申告書(償却資産課税台帳)、種類別明細書(増加資産・全資産用)、種類別明細書(減少資産用)の3つに分かれています。前年度に申告している場合、償却資産申告書(償却資産課税台帳)、種類別明細書(増加資産・全資産用)には、前年申告分の資産名や数字などが、すでに記載されています。

     

    固定資産の増減がない場合は、償却資産申告書(償却資産課税台帳)の取得価格の計欄に前年前に取得したもの欄の数字を転記するだけです。固定資産の増減がある場合は、その情報を、償却資産申告書(償却資産課税台帳)、種類別明細書(増加資産・全資産用)、種類別明細書(減少資産用)の用紙に記載します。

     

    償却資産申告書の提出期限は1月31日となっているため、忘れずに申告しましょう。償却資産申告書の申請書式は、申告する市区町村のホームページなどでダウンロードができます。下記は東京都の23区で使用できる申告書のダウンロードページです。

     

    償却資産を所有している場合の注意点

    償却資産税の対象外となるケースを述べ、減価償却について説明。少額減価償却資産については、償却資産税がかかるが、3年償却の場合はかからないことを説明する

     

    土地や建物、自動車税や軽自動車税の対象となる自動車は、償却資産にはなりません。実は、パソコンなどの固定資産であっても、償却資産税の対象とならないものがあります。

    それが以下のものです。

     

    ①取得価格が10万円未満、または耐用年数が1年未満の資産で、消耗品費などの経費に計上したもの。

    ②取得価格が20万円未満のもので、一括償却資産として3年均等償却をしているもの。

     

    ここで注意しなければならないのが、少額減価償却資産です。「少額減価償却資産の特例」といって、中小企業など一定の条件に該当する法人が、取得価格30万円未満の資産を購入した場合、固定資産に計上せず、消耗品費などの経費に計上することができる特例があります。

     

    しかし、少額減価償却資産は、償却資産税の対象とならないものには含まれておらず、償却資産税がかかります。少額減価償却資産の特例は、法人税等の節税方法として使われることが多いですが、償却資産税がかかることに注意しましょう。

    また、取得価格が10万円未満、または耐用年数が1年未満の資産でも、固定資産として計上すると償却資産の対象となるので、こちらも注意が必要です。

    まとめ

    固定資産を所有している場合は、固定資産税や償却資産税がかかります。また、購入時の仕訳や固定資産税や償却資産税を支払った場合の仕訳をする必要があったり、償却資産申告書の提出を求められたりと、多くの作業が必要となります。固定資産を購入した場合は、これらの処理を間違えないように注意しましょう。

    長谷川よう
    会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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