法人にかかる税金はどれぐらい?
法人税の計算方法をわかりやすく解説

法人にかかる税金はどれぐらい?  法人税の計算方法をわかりやすく解説
最終更新日:
2019/7/18
 
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経営者にとって重要なことの1つに、その年に納付する税金のことがあります。利益に税率をかければ簡単に法人税の金額が出ると思いがちですが、実はそうではありません。なぜなら、税金の計算には、税法独特の考え方が影響するからです。ここでは、法人税の計算を正しくするために、計算方法の基本的な考え方を解説します。

法人税の計算のしくみと手順

法人税の計算のしくみと手順

法人税の計算は、「(課税)所得×税率」の計算式で求めます。計算式自体はシンプルですが、その内容は少し複雑です。そこで、それぞれの構成要素を詳しく見ていきましょう。

①(課税)所得

毎月の経営状況を確認したり、毎年の税金を計算したりする際に、「利益」や「所得」という言葉を耳にする機会は多いでしょう。利益と所得は同じように思えますが、実は異なるものです。法人の計算をする場合は利益と所得の違いを知っておく必要があります。

・利益

利益とは、会社のもうけを示すものです。その月や年の経営状況を判断する指標となります。日々の取引を帳面に付けていきますが、その帳面に付けた売上などの収益から仕入や経費などの費用を差し引いたものが利益です。

 

利益=収益-費用

 

残高試算表や決算書では「当期純利益」などの科目で表示されます。利益は、税金の概算を把握するための目安になりますが、税金の計算をするための基になるものではありません。税金の計算では、所得を用います。

・所得

所得とは、税金の計算の基になる数値です。税法では、税金を計算する上の収益を「益金」費用を「損金」とよびます。所得は、益金から損金を差し引いたものになります。

 

所得=益金-損金

 

税金の計算は、日々の帳簿付けから導かれた利益から始めますが、日々の帳簿付けによる会計上の収益や費用と、税法上の益金と損金は、まったく同じではありません。そこで、利益から税法上の益金と損金になるように調整を行い、所得を計算していきます。

②税率

所得の金額を求めたら、そこに税率を乗じて法人税の金額を計算します。法人税の税率は、会社の規模やその年の所得金額によって異なります。中小企業の税率は次のように定められています。

 

所得金額 平成28年4月1日以後

開始事業年度

平成30年4月1日以後

開始事業年度

800万円以下の部分 15% 19%(15%)※
800万円超の部分 23.4% 23.2%

※平成31年(2019年)3月31日までの間に開始する事業年度については15%です。

具体的に法人税を計算してみよう

では、具体例を挙げて法人税の金額を計算してみましょう。

 

例)帳簿上の利益金額は500万円だった。帳簿上の収益のうち、税法上の益金にならないものは100万円、費用のうち損金にならないものは200万円だった。

 

所得金額は次のようになります。

 

所得金額=利益金額500万円-益金にならないもの100万円+損金にならないもの200万円=600万円

 

帳簿上の収益のうち、税法上の益金にならないものは、収益を計上しすぎているので利益からマイナスし、損金にならないものは費用を計上しすぎているため、利益にプラス(費用からマイナス)する必要があります。

 

所得金額が600万円の場合、税率は15%です。そこで法人税の金額は次のようになります。

 

法人税額=所得金額600万円×法人税率15%=90万円

 

具体例のケースでは、90万円の法人税を納めることになります。

益金とは 益金になるものとならないもの

法人税の計算上、益金になるもの

ここまでは、法人税の計算方法について見てきました。ここからは、税法上の益金について詳しく見ていきましょう。まずは、益金になるものです。益金になるものには、次のようなものがあります。

①有償での商品の販売やサービスの提供など

基本的に、会計上の収益と益金は同じです。商品を販売したり、サービスを提供したりして、現金などを受け取った場合は、税法上の益金になります。この他、固定資産の売却益や預金利息の受け取りなども会計上の収益と同じく、益金になります。

②無償での商品の販売やサービスの提供など

お金を受け取らず、無償で商品を販売したり、サービスを提供したりする場合も、益金に該当します。もしも、帳簿に載っていない無償での商品の販売や、サービスの提供があった場合は、税金の計算をする際に、その分を所得にプラス(益金算入)する必要があります。

法人税の計算上、益金にならないもの

会計上では収益になるものの、税法上では益金にならないものがあります。税法上で益金にならないものは、税金の計算をする際に、その分を所得からマイナス(益金不算入)する必要があります。益金にならないものには、次のようなものがあります。

①受取配当金

他社の株式を所有している場合に、配当金を受け取ることがあります。配当金は普通預金などに振り込まれるため、一般的に会計上では、受取配当金として収益に計上しています。しかし、配当金を支払う会社は、法人税などの税金を支払った後の利益から、配当金を支出しています。配当金を受け取った側でも税金を課してしまうと、二重課税となるため、受け取った側では、益金にしません。

②税金の還付

法人税や法人住民税の予定納税など、払いすぎた税金の還付を受けることがあります。こちらも通常は、益金にはなりません。ただし、事業税や固定資産税など損金になる税金が還付された場合は、益金になります。

損金とは 損金になるものとならないもの

法人税の計算上、損金になるもの

次に、法人税の計算上損金になるものを見ていきましょう。基本、損金になるものは費用になるものと同じです。損金になるものは、主に次の3つです。

①原価

仕入れや材料費など、売上に直接関係する原価については、売上を得るために必要不可欠なもののため、損金になります。

②販売費、一般管理費、その他の費用

原価が売上に直接関係する支出であるのに対し、売上に間接的に関係するのが、販売費や一般管理費などの費用です。例えば、人件費や水道光熱費、事務用品費、地代家賃などが販売費や一般管理費に該当します。こちらも、売上を得るために必要なものに違いがないので、損金になります。

③損失

固定資産を売却した場合の損や、商品が陳腐化した場合の廃棄損など、売上に関係する費用ではないが、事業を行う上で、発生しうる損失については、損金として認められます。

法人税の計算上、損金にならないもの

企業が支出する費用は、基本、事業に必要なものです。しかし、一定のルールを作らないと、経営者の裁量や利益の大小によって、その年の費用が大きくなったり小さくなったりする可能性があります。そこで、経営者の裁量などで費用の金額の大小を決められるものについては、税法上、一定のルールを設け、損金に認められないものもあります。代表的なものに次のようなものがあります。

①役員報酬、役員賞与

役員報酬や役員賞与は原則、損金になりません。ただし、役員報酬や役員賞与のうち定期同額給与や事前確定給与については損金になります。

②一定の金額を超える寄附金

慈善団体などへの寄付は、企業の社会貢献のために必要です。しかし、無制限に損金と認めてしまうと、租税回避に利用されてしまう可能性があるため、限度額を超える分については、損金になりません

③減価償却費の過大分

固定資産を購入すると、その取得価格を毎年少しずつ損金にしていきます。税法では、損金にする金額の計算方法を定めています。その計算によって求めた限度額よりも過大に費用とした分については、損金になりません

④その他

同業種、同規模の会社に比べ、あきらかに金額が多い費用については、損金にならないものがあります。例えば、役員やその家族の給料などです。

まとめ

今回は、法人税の計算の基礎について解説しました。法人税の計算には利益ではなく、所得を使います。所得を計算するためには、益金や損金について理解する必要があります。益金や損金になるもの、ならないものについては、その時の社会情勢などで税法で規定が変わるものもありますが、基本の考え方は不変です。まずは、基本の考え方を身に付けることが、法人税の計算の第一歩となるでしょう。

 

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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