個人事業主・法人経営者のための 民泊の賃貸収入にかかる税金について解説 – マネーイズム
 

個人事業主・法人経営者のための
民泊の賃貸収入にかかる税金について解説

    公開日:
    2019/03/07
    最終更新日:
    2019/08/08
     
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    国税庁は民泊の税金について2018年6月13日に「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について(情報)」を発表しています。賃貸収入にかかる所得金額の計算についてはもちろん、必要経費の範囲、住宅ローン控除の併用なども記載されています。そこで、ポイントを絞って説明します。

    民泊の賃貸収入に課税される税金の概要

    民泊の賃貸収入に対して課税される税金について説明します。

    事業所得・雑所得が原則

    民泊の賃貸収入は不動産所得ではなく、事業所得または雑所得が原則であり、所得金額は「収入金額-必要経費」で計算します。

     

    ただし、例外として不動産賃貸業の場合、次の契約締結までの間の一時貸し付けは不動産所得になります。

    民泊で計上できる必要経費

    民泊の賃貸収入を得るために支出した費用が必要経費になります。おもに次の通りです。

    (1)住宅宿泊仲介業者に支払う仲介手数料

    観光庁長官の登録を住宅宿泊仲介業者に支払う仲介手数料は全額必要経費に計上できます。

    (2)住宅宿泊管理業者などに支払う管理費用や広告宣伝費

    上記(1)と同じように全額必要経費に計上できます。

    (3)水道光熱費

    投資用の民泊なら事業割合が100%のため、全額必要経費に計上できます。一方、自宅兼民泊の場合、水道光熱費のうち事業割合に応じた金額が必要経費になります。

    (4)通信費

    電話代やインターネットプロバイダー代などは事業割合に応じた金額が必要経費に計上できます。

    (5)非常用照明器具の購入および設置費用

    事業割合が100%のため、全額必要経費の対象になります。

    (6)宿泊者用の日用品などの購入費

    原則、全額必要経費に計上できます。ただし、応接セットはテーブル・イスなどのように一体になって機能する消耗品は、合計した購入費が10万円未満に限り、原則必要経費に計上できます。

    (7)住宅宿泊事業に利用している家屋の減価償却費

    家屋の購入費用にかかる減価償却費は事業割合に応じた金額が必要経費に計上できます。

    (8)固定資産税

    上記(7)と同じように事業割合に応じた金額が必要経費に計上できます。

    (9)住宅宿泊事業用資金の借入金利子

    上記(7)と同じように事業割合に応じた金額が必要経費に計上できます。

     

    しかし、上記(1)~(9)のうち、生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃などは必要経費に計上できません。

    事業所得になるケース・雑所得になるケース

    民泊事業が本業なら事業所得であり、副業なら雑所得になります。たとえば、民泊事業以外を営んでいる個人事業主が不動産投資として民泊事業をしている場合は雑所得となります。

    消費税も原則課税される

    民泊の賃貸収入は宿泊サービスの提供と考えられているため、課税売上であり、原則消費税の課税対象になります。しかし、前々年や特定期間(前年の1月1日~6月30日)の「民泊事業以外の課税売上+民泊の賃貸収入」の合計額が1,000万円以下なら免税事業者になります。

    自宅の一部を民泊に利用している場合の税金は?

    自宅の一部を民泊に利用している場合、「住宅ローン控除」「居住用財産の 3,000 万円特別控除」が適用できます。しかし、完全に居住用不動産よりも利用できる条件は厳しくなり、しかも一般的に納付税額に大きく影響するため、申告ミスのリスクも大きくなります。

    住宅ローン控除が併用できるケース

    自宅の一部を民泊に利用している場合において、住宅ローン控除が併用できるケースを説明します。

    住宅ローン控除の対象となる住宅とは?

    床面積が50㎡以上であり、全体の2分の1以上に相当する部分を居住用としている住宅が住宅ローン控除の対象になります。また、他の要件はおもに次の通りです。

    • その年の合計所得金額が3,000万円以下
    • 住宅ローンの返済期間が10年以上
    • 居住した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産の 3,000 万円特別控除など他の特例制度の適用を受けていないこと など

    居住用住宅の床面積の計算方法

    具体例を用いて説明します。

    (1)家屋の総床面積 250 ㎡
    (2)総床面積の内訳

    ①居住用108 ㎡

    ②民泊事業用 72 ㎡

    ③居住用と民泊事業用の併用部分70㎡

    ④居住割合:①108㎡÷(①108㎡+②72㎡)=60%

     

    居住用部分の床面積の計算方法は次の通りです。

    ・上記①の床面積:108㎡

    ・併用部分のうち居住用に相当する床面積:上記③70㎡×居住割合60%=42㎡

    ・居住用部分の床面積:108㎡+42㎡=150㎡

    住宅ローン控除の計算方法

    住宅ローン控除は「住宅ローンの年末残高×居住割合×1%」で計算します。上記例の住宅に対して、住宅ローンの年末残高が2,000万円なら、「住宅ローンの年末残高2,000万円×居住割合60%×1%=12万円」が税額控除できます。

    3,000万円特別控除が適用できるケース

    3,000万円特別控除は住宅ローン控除の適用要件と少し異なります。それでは、詳しく見ていきましょう。

    3,000万円特別控除は原則、適用できる

    住宅ローン控除と違い、居住割合は問われないため、通常の適用要件に該当すれば、3,000万円特別控除は利用できます。

    3,000万円特別控除の適用要件を解説

    3,000万円特別控除の適用要件は次の通りです。

    (1)次の自宅兼民泊を売却する
    • 住んでいた自宅兼民泊の売却
    • 自宅を民泊事業に転用した場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の年の12月31日までに売却した場合(住まなくなった日が2019年1月15日なら2022年12月31日までに売却する)
    (2)売却した年の前年および前々年に「3,000万円特別控除」や「マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例」の適用を受けていないこと

    ただし、被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例は3,000万円特別控除と併用可能です。

    (3) 売却した年、その前年及び前々年に「マイホームの買換え」や「マイホームの交換の特例」を受けていないこと
    (4) 売却した家屋や敷地について収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
    (5)売却する人と購入する人の間柄が親子や夫婦など特別な関係でないこと

    特別な関係には生計を一にする親族のほか、法人の代表者などが経営する法人、内縁関係なども含まれます。

    所得控除の計算方法

    所得控除の計算方法は、原則3,000万円のうち居住割合で按分計算します。ただし、居住割合が全体の90%以上の場合は居住割合を100%として、所得控除することができます。

    居住用住宅の面積の計算方法

    居住用住宅の面積は家屋と敷地の面積を合計して計算します。家屋についての居住用住宅の床面積は住宅ローン控除の居住用部分の床面積と同じ値になります。一方、敷地の居住用の面積は家屋の居住用住宅の面積を用いて計算します。

    例)
    (1)家屋の総床面積 250 ㎡
    (2)居住用部分の床面積180㎡
    (3)敷地面積

    ①居住用120㎡

    ②民泊事業用 90 ㎡

    ③居住用と民泊事業用の併用部分80㎡

     

    敷地の居住用の面積は次の通りになり、併用部分を家屋の総床面積と居住用部分の床面積で按分計算します。

    居住用120㎡+併用部分90㎡×(居住用部分の床面積180㎡÷家屋の総床面積250㎡)=184.8㎡

    まとめ

    賃貸収入など民泊にまつわる税金は「不動産投資によるものなど民泊事業専用の物件」と「自宅の一部を民泊に利用している場合」に区分できます。前者は所得金額の計算方法、特に必要経費に計上できる項目を把握することがポイントになります。一方、後者は所得金額の計算に加えて、住宅ローン控除や3,000万円特別控除との併用ができるかどうかの把握も求められます。

    阿部正仁
    TAX(税金)ライター。会計事務所で約10年間の勤務により調査能力を身に付けた結果、企業分析の能力では高い定評を得、法人から直接調査を依頼される実績も持つ。コーチングスキルを活かした取材力で、HP・メディアでは語られない発言を引き出すのが得意。
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