法人が利息を受け取ったら? 受取利息の税金と処理方法を解説 – マネーイズム
 

法人が利息を受け取ったら?
受取利息の税金と処理方法を解説

    公開日:
    2019/03/28
    最終更新日:
    2019/08/20
     
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    普通預金や当座預金など、法人は多くの種類の預金口座を所有しています。その中には、利息を受け取るものもあります。利息も収入のため、利息を受け取ったら帳簿付けなどの処理をする必要があります。そこで、ここでは受取利息の処理方法やその税金がどうなっているのかなどを徹底解説します。

    まずは、法人で開設できる口座の種類を理解しよう

    法人はさまざまな種類の口座を開設することができます。その中には利息を受け取ることができるものもあれば、できないものもあります。まずは、法人で開設できる口座の種類を見ていきましょう。

    ①普通預金

    普通預金は、最も一般的な預金口座の1つです。自由に預け入れや払い戻しができるので、使い勝手の良い口座になっています。支払いなどの決済や手元の資金管理を主な目的としています。普通預金は利息を受け取ることができますが、定期預金などに比べると低い利率に設定されています。総合口座(一冊の通帳に普通預金と定期預金を預け入れられる)や決済用普通預金などもあります。

    ②当座預金

    当座預金も普通預金と同様、法人にとって一般的な預金口座の1つです。手形や小切手の支払いなど、決済専用の口座です。通帳は発行されず、当座勘定照合表が毎月発行されます。普通預金と違うところは、無利息というところです。無利息のため、利息の処理をする必要はありません。

    ③定期預金

    定期預金は貯蓄や中期運用を主な目的としている預金口座です。満期日(または据置期間)までは払い戻しをしない条件で一定の金額を預け入れます。定期預金は利息を受け取ることができます。一定期間の預け入れを保障するため、普通預金に比べ高い利率となっています。

    ④定期積金

    定期積金は、信用金庫や信用組合などで取り扱いがある預金口座です。貯蓄や中期運用を主な目的としています。一定期間(6ヵ月から5年まで)、毎月掛金を払い込み、満期日に給付補てん金という利息を加えた給付金が支払われます。

    ⑤通知預金

    通知預金は、短期間の資金運用を目的としている預金口座です。預け入れした後は、最低7日間は引き出すことができません。引出す際には少なくとも2日前に通知することになっているため、通知預金といわれます。通知預金は、利息を受け取ることができます。最低7日間は引き出すことができないため、普通預金に比べ高い利率となっています。

    ⑥納税(準備)預金

    納税(準備)預金は、納税のための資金を預け入れることを目的とした預金口座です。原則、払い戻しは納税時期に限られます。利息を受け取ることができ、しかも税金は非課税です。ただし、納税以外の目的で引き出した時は、税金がかかるケースがあります。

    利息を受け取った時の処理方法

    原則、当座預金以外の預金口座では、利息を受け取ります。ここでは、利息を受け取った時の処理方法を確認します。

    受け取った利息は、税金が差し引かれている

    受取利息は収入になるため、税金がかかります。実は、預金に振り込まれている受取利息は税金が差し引かれた後の金額となっています。しかし、利息は他の収入と考え方が異なり、受取利息には15.315%の源泉所得税及び復興特別所得税がかかります。

    ※平成27年までは、これとは別に、都道府県税利子割の5%がかかっていましたが、今は廃止されています。

    例えば、預金利息が200円だったとした場合、200円×15.315%=30円の源泉所得税及び復興特別所得税が差し引かれ、200円-30円=170円の受取利息が口座に振り込まれます。

    利息を受け取った場合の処理方法には2つある

    では、利息を受け取った時の処理方法について見ていきましょう。実は、利息を受け取った場合の処理には「原則的な方法」「純額主義の方法」があります。

    ①原則的な方法

    原則的な方法は、口座に入金された受取利息の金額と、差し引かれた税金の金額の両方を仕訳する方法です。上記の預金利息200円、源泉所得税及び復興特別所得税30円、口座に振り込まれた金額170円の例を使って、原則的な方法の処理を見てみましょう。原則的な方法の仕訳は、次のようになります。

    借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
    普通預金 170円 受取利息 200円 預金利息
    法人税、住民税及び事業税 30円 源泉所得税及び復興特別所得税

    源泉所得税及び復興特別所得税は、「法人税、住民税及び事業税」勘定で処理します。「法人税等」などの別科目で処理する場合もあります。差し引かれた源泉所得税及び復興特別所得税の金額は、銀行から送られてくる預金利息の明細書などに記載されています。

    原則的な方法では、受取利息は税金を差し引く前の200円となります。

    ②純額主義の方法

    純額主義の方法では、源泉所得税及び復興特別所得税を無視して、受け取った金額のみで処理をする方法です。こちらも、原則的な方法と同じ例で処理方法を見てみましょう。純額主義の方法の仕訳は、次のようになります。

    借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
    普通預金 170円 受取利息 170円 預金利息

    純額主義の方法では、源泉所得税及び復興特別所得税の処理をしません。そのため、受取利息は税金を差し引いた後の170円となります。

    受取利息から差し引かれる税金は経費になる?法人申告での処理方法

    受取利息から差し引かれる税金の2つの処理方法

    上述した原則的な方法と純額主義の方法は、どちらも認められています。仕訳だけを比べると、純額主義の方が収入である受取利息の金額が少ないので、得と思われるかもしません。しかし、実際はそうではありません。

    預金利息から差し引かれている源泉所得税及び復興特別所得税は、税金の前払いの性格を持ちます。本来は、支払う法人税などから差し引かれるものです。原則的な方法をとっている場合は、問題なく、支払う法人税などから差し引かれます。これを「所得税額控除」といいます。

    しかし、純額主義の方法をとっている場合は、収入の金額は低くなりますが、差し引かれた源泉所得税及び復興特別所得税には、所得税額控除の適用はありません(別表で調整した場合を除く)。

    例えば、赤字の場合、原則的な方法では源泉所得税及び復興特別所得税の金額は還付されますが、純額主義の方法では還付されません。法人の状況によりますが、このように、一般的には、原則的な方法を採用したほうが得になることが多いといわれています。

    所得税額控除を受けるには

    では、所得税額控除を受けるための処理を見てみましょう。今回は、一般的な方法で仕訳したとして説明します。所得税額控除を受けるためには、控除を受けようとする金額の記載やその計算に関する明細書(別表六(一))の記載が必要です。

    まず、別表六(一)に収入金額や源泉所得税及び復興特別所得税の金額を記載します。次に、別表四の「法人税額から控除される所得税額」欄に、源泉所得税及び復興特別所得税の金額を記載します。最後に、別表一の「控除税額」「控除税額の計算」欄に、源泉所得税及び復興特別所得税の金額を記載し、納める税金を計算します。

    所得税額控除の手続きは少し複雑です。不明点などがあれば、税理士などの専門家に相談するようにしましょう。

    まとめ

    法人は、さまざまな種類の預金を開設しますが、通常、当座預金を除き、預金利息を受け取ります。実は、口座に振り込まれた利息は、税金を差し引いた後の金額になっています。

    預金利息は収入とみなされるため、仕訳処理をする必要があります。処理方法としては、差し引かれた税金の金額も仕訳する原則的な方法と、振り込まれた金額のまま仕訳する純額主義の方法があります。

    一般的には、原則的な方法の方が得になりますが、仕訳は純額主義の方法の方が楽です。

    差し引かれた税金の金額と仕訳の手間を比較しながら、自社に合った方法で処理をするようにしましょう。

    長谷川よう
    会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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