マンション管理組合で収益事業をしていたら
税金はどうなる?
マンション管理組合で収益事業をしていたら  税金はどうなる?
最終更新日:
2019/5/20
 
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建物の共用部分や敷地を維持管理したり、マンションの風紀や秩序、安全を維持したりするマンション管理組合。マンションの管理をするための組合ですが、収益をあげるための事業をしている場合もあります。では、その場合の税金はどうなるのでしょうか?ここでは、マンション管理組合の収益事業と税金について解説します。

マンション管理組合の2つの組織形態

分譲マンションは原則、1つの建物を多くの所有者が区分して所有する「区分所有」という形態になります。しかし、すべてが区分所有(専有部分)されているわけでなく、エントランスや庭、エレベーターなど共有分もあります。共有部分は区分所有者すべてが共同して管理・維持していきますが、その管理する組織がマンション管理組合です。

 

ひとくちにマンション管理組合といっても、任意組合と法人の2つの組織形態に分かれます。任意組合とは、例えばマンション管理組合団地管理組合と呼ばれるものです。法人とは、例えばマンション管理組合法人や団地管理組合法人と呼ばれるものです。

 

両者の違いは、法人名で契約などができるかどうかの他に、法人税上の違いがあります。法人税上、任意組合は「人格のない社団等」、法人は「公益法人等」に分類され、どちらも法人となります。人格のない社団等も公益法人等も、法人税の課税についてほとんど変わりはありません。そこで、ここからお話しする内容は、どちらにもあてはまる内容となります。

マンション管理組合が収益事業をしていると税金がかかる

収益事業とはどんなもの?

マンション管理組合の主な仕事は、共有部分の管理・維持です。マンション管理組合は、組合員から毎月、管理費や修繕積立金などを受け取りますが、それはあくまで、管理や修繕の費用を組合員が分担しているだけで、そこに収益は生じないため、税金がかかることはありません。

 

しかし、マンション管理組合には、共有部分の管理・維持以外に、収益を生む事業を営んでいることもあります。収益を生む事業を営んでいる場合は、マンション管理組合でも、税金の対象になります。収益を生む事業のことを収益事業といい、法律では34種類の事業が規程されています。どのような事業が収益事業になるのかは、以下の記事で詳しく解説しています。こちらをご参照ください。

 

収益事業の中で、特に注意が必要なのが「駐車場の賃貸」です。マンションの駐車場は、基本マンションの住民が使うものですが、外部の人にも貸している場合があります。マンションの住民だけに貸している場合は、原則、税金はかかりません。では、外部の人にも貸している場合はどうなるのでしょうか。これは駐車場の賃貸人の募集状況などによって、次のように課税関係が異なります。

①マンションの住民と外部の人を分けずに、申し込み順に募集している場合

駐車場の賃貸には、マンションの住民と外部の人を分けずに、駐車場の賃貸人を募集し、申し込み順に貸し出ししている場合があります。申込が遅れると、マンションの住民でも駐車場を借りることができず、またマンションの住民と外部の人で価格などの条件も同じである場合が少なくありません。この場合は、マンションの住民と外部の人を分けずに、すべてを収益事業と考えます。そのため、マンションの住民からの賃貸収入にも税金がかかります。

②マンションの住民を優先して、外部の人にも募集している場合

マンションの住民に優先して駐車場を賃貸し、空きがあったら外部の人に募集している場合もあります。この場合は、あくまで駐車場はマンションの住民が使うもののため、外部の人が借りている場合でも、マンションの住民が駐車場の使用を希望したら、外部の人の次の契約更新はありません。この場合では、マンションの住民と外部の人を分けて考え、マンションの住民への賃貸分は税金をかけず、外部の人の賃貸分のみ税金がかかります。

③マンションの住民のみ使用可能だが、臨時で外部の人が使う場合

マンションの住民のみ使用可能の場合は、税金はかかりません。しかし、たまたま駐車場に空きがある場合で、近くの人に2~3日だけ貸してほしいと頼まれることもあるでしょう。この場合のように、マンションの住民のみ使用可能で、外部の人への賃貸が臨時的かつ短期間である場合は、独立した収益事業には該当しないと考え、外部の人への賃貸にも税金はかかりません。

マンション管理組合が行っている収益事業にかかる税金の種類

マンション管理組合が行っている事業が収益事業の場合には、どのような税金が課されるのでしょうか。これは、一般的な法人と同じです。利益がでれば、法人税・法人住民税・法人事業税などが課されます。また、収益事業の規模が大きい場合(基準期間または特定期間の課税売上が1,000万円超の場合など)は、消費税も課されます。

収益事業を行う場合は、かかる税金の種類を確認し、納税資金の確保などの準備を行う必要があります。

マンション管理組合の収益事業の課税所得とは

収益事業の課税所得の考え方

収益事業に課される税金の多くは、1年間の所得(もうけ)に対して税金を課します。

では、収益事業の課税所得はどのように求めるのでしょうか。収益事業の課税所得は、次の計算式で求めます。

 

収益事業の課税所得=収益事業の収益-必要経費

 

ここで重要なのが必要経費です。必要経費には、収益事業に直接関係する経費である「直接経費」と、収益事業とマンションの管理・維持の両方に関係する「共通経費」の2つがあります。

 

直接経費は、例えば外部の人向けの駐車場の広告代や修繕費、減価償却費などです。共通経費は、例えば、水道光熱費や通信費、人件費などです。直接経費は、その全額が経費になりますが、共通経費は、その一部しか経費になりません。分かりやすくするため、直接経費と共通経費は別の帳簿で管理するなど、区別して管理しておく必要があります。

間接経費は按分が必要 その基準とは

収益事業とマンションの管理・維持の両方に関係する共通経費は、その一部しか経費になりません。経費にできる部分は、あくまで収益事業にかかった部分だけです。しかし、共通経費は支払金額のどこまでが収益事業に対するものか、どこまでがマンションの管理・維持に対するものかを明確にすることができません。そこで、適切な基準で按分する必要があります。

 

例えば、1ヵ月の人件費が50万円であれば、収益事業に20時間とマンションの管理・維持に30時間、合計50時間従事した場合の収益事業に係る人件費は次のようになります。

 

収益事業に係る人件費=
1ヵ月の人件費が50万円×20時間(収益事業)/50時間=20万円

 

水道光熱費や通信費など別の共通経費についても、同じようなに適切な基準を基に按分する必要があります。適切な基準とは利用時間や使用料、面積比率などがあげられますが、どの基準を採用するかは、事業形態などで異なります。不明な場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。

まとめ

 

マンション管理組合が行う事業には、マンションの維持・管理と収益事業の2つがあります。このうち、収益事業には法人税などの税金が課されます。ただし、駐車場の賃貸のように、状況によって税金が課されたり、課されなかったりする場合があるため、注意が必要です。収益事業に該当すると、課税所得の計算が必要です。特に共通経費の場合、適切な基準で按分する必要があります。

 

このように、マンション管理組合の収益事業では、注意すべきことが多くあります。そのため、税金のことで不明点などがあれば、税理士などの専門家に相談したほうが良いでしょう。

 

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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