「住宅ローン減税拡充で、
消費税増税の影響はなくなった」は本当?
「住宅ローン減税拡充で、  消費税増税の影響はなくなった」は本当?
最終更新日:
2019/7/5
 
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2019年の税制改正に、住宅ローン控除の3年間延長など、住宅購入に際しての新たな減税が盛り込まれました。10月に予定されている消費税の税率8%から10%への引き上げに伴う措置なのですが、ネット上の記事を見ると、「住宅については、増税の影響はなくなった」というものもあれば、「やはり増税前が無難」、反対に「増税後のほうが有利になる」という指摘も。いったいどういうことなのか、ポイントを解説します。

3年間で消費増税分は“チャラ”になる

まず、「そもそも論」を2つ。住宅購入で消費税が問題になるのは、建物のみ。土地は消費税の課税対象外です。そして、消費税率8%が適用されるのは、19年3月末までに売買契約が結ばれている(引き渡しは10月以降でもOK)か、9月末日までに引き渡しが完了している(契約は4月以降でもOK)場合に限られることにも、注意しましょう。

 

さて、単純計算で、3500万円の住宅を購入する場合、消費税が2%アップすれば、70万円の負担増になります。「そろそろ家を持とう」と考えている人ならば、「どうせなら増税前に」と考えるのも当然。しかし、その結果起こる駆け込み需要は、一時的に景気にプラスに働くものの、増税後の反動もまた大きなものがあります。過去の消費税率アップ時の教訓も踏まえ、そうした大幅な変動を抑えて需要の平準化を図る目的が、今回の税制改革には色濃く現れているわけです。

 

住宅に関する具体的な中身をみていきましょう。今回盛り込まれたのが、住宅ローン控除の3年間延長です。住宅購入の際にローンを組んだ場合、10年間、ローン残高(上限4000万円)の1%が、所得税から差し引かれます。これが従来の住宅ローン控除ですが、消費税10%で住宅を買った場合には、さらに3年間、この控除が受けられることになりました。

 

対象になるのは、2019年10月1日から2020年12月末日までに住宅を購入し、入居するケース。また、延長される3年間については、①「建物購入価格の2/3%」か②「住宅ローン残高の1%」の、いずれか少ない額が税額控除されます。①はちょっとわかりにくい表現ですが、要するに「3年間で、消費増税分の2%が手元に帰ってくる」と理解していただいて、問題ありません。より正確に言えば、「住宅購入価格にかけられた消費税2%アップ分が、住んでから11年目~13年目に還付される」のです。

 

大多数の人は、住宅ローンを組んで家を買うでしょう。ローンを組んだら、その程度の期間は住み続けるのが普通。10%で住宅を購入しても、将来的に増税増の分は相殺され、消費税の負担に関しては増税前に買うのと同じこと、という結論になるわけです。

低・中所得者への給付なども拡充される

では、消費税増税の前と後では、住宅購入の「損得」は、まったく変わらないのか? そこは、意見の分かれるところでもあります。

 

実は、消費税率アップ後の住宅については、税制改革に盛り込まれた住宅ローン控除の延長以外にも、需要を変動させないためのいくつかの予算措置が用意されているのです。1つは、低・中所得者層を対象にした「すまい給付金」の拡充です。これは、2014年4月に、消費税率が5%から8%に引き上げられた時に新設された制度で、これまでは、年収目安が510万円以下の住宅購入者を対象に、最大30万円を給付する、というものでした。それが、消費税率10%移行後は、年収目安775万円、最大50万円給付に改められます。

 

また、一定の省エネ、耐震、バリアフリー性能などを有する住宅の新築、リフォームを行った場合に、さまざまな商品と交換ができるポイントを発行する「次世代住宅ポイント制度」も導入されます。10%増税後は、新築で最大35万ポイント、リフォームは最大30万ポイント(ただし、若者・子育て世代が既存住宅を購入しリフォームを行う場合は最大60万ポイント)がもらえることになるのです。

 

消費税の負担がトントンだとすると、こうした恩恵が拡大する増税後のほうが、むしろ得と言うこともできるでしょう。だから、「住宅については駆け込みどころか、むしろ買い控えが起こるのではないか」と分析する専門家もいます。

 

ちなみに、冒頭で「消費税8%で住宅が購入できる条件」についてお話ししました。すでに売買契約を済ませ、今年9月までに引き渡しを受ける予定だった人は、あえてそれを増税後に延ばすことで、今の「特典」を受けることが可能になります。

 

一方、お金のことだけを考えるのなら、やはり増税前がお勧め、という意見もあります。さきほども説明したように、住宅購入の増税分が返ってくるのは、11年後から。何かの事情で、それまでに住み替えることになれば、住宅ローン控除期間延長の恩恵は受けられません。後段の給付金なども、もちろん必要な要件(※)を満たさなかったら、対象外です。

 

さらに、家を新築となれば、いろんな家具や家電も買いそろえることが多いでしょう。それらの購入には、控除はありません。引っ越し代や、諸手続きにも、10月以降はバッチリ10%の消費税がかかってくることになります。

 

※「すまい給付金」、「次世代住宅ポイント制度」の要件 ともに国土交通省ホームページで確認できます。

ただし、最優先すべきは「自分のタイミング」

住宅の購入には、普通に物を買うのとはけた違いのお金がかかります。だからこそ、2%の消費税が問題になるわけですが、同時に家を持つというのは、“人生の一大事”のはず。税金を気にしすぎるあまり、物件選びで妥協したり、返済計画の検討もなしにローンを組んだりすれば、あとあと「しまった」ということにもなりかねません。

 

「一生の買い物」に、焦りは禁物です。少なくとも、住宅購入資金の多くを住宅ローンで賄う人にとっては、今度の消費税増税によるデメリットはないのだということを理解したうえで、しっかりした購入計画を練るべきでしょう。

まとめ

10月1日から実施予定の消費税率アップに当たっては、住宅ローン控除の期間延長をはじめ、住宅購入者に対する「救済策」が用意されています。自らがそれらの適用対象であるかなどをよく調べたうえで、賢く対応したいものです。

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