もしも個人事業主がバイトをしたら?
副収入がある場合の税金
もしも個人事業主がバイトをしたら?  副収入がある場合の税金
最終更新日:
2019/8/16
 
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個人事業主がバイトで得た副収入も税金の課税対象になり、確定申告をしなければなりません。しかも、勤務先との契約形態によって所得の種類や計算方法が違い、申告書の作成手順にも影響を及ぼします。そこで、個人事業主のバイト収入と確定申告をテーマに基本的な内容から税金の計算の具体例まで徹底解説します。

個人事業主がアルバイト収入のある場合の税金

個人事業主が本業のほか、アルバイト収入による副収入がある場合の税金について説明します。

所得の種類を把握する

本業とアルバイト収入とでは、所得の種類や税金の計算方法が違ってきます。個人事業主の場合、次の通りになります。

(1)賃貸収入

アパート経営などの賃貸収入は不動産所得です。ただし、賄い付きの下宿や民泊などのように「不動産等の貸付け」と「人的役務の提供(サービス提供)」が一体となっている場合、事業収入扱いになります。

(2)事業収入

販売やサービス提供による事業収入は事業所得です。

(3)アルバイト収入

アルバイト収入は勤務先との契約形態によって次のように区分されます。
 

  • 時給制などの雇用契約:給与所得
  • 完全出来高制などの請負契約:事業所得

 

時給制や完全出来高制などの契約形態はアルバイトの求人広告で分かるため、勤務先に事前確認することをおすすめします。

所得金額の計算方法

所得の種類ごとの計算方法は次の通りになります。

(1)不動産所得または事業所得
収入金額-必要経費-青色申告特別控除(65万円または10万円)

必要経費を実際の負担額で計算するのが特徴です。

(2)給与所得
給与収入-給与所得控除額

給与所得控除は給与所得の必要経費に相当し、年間の給与収入に応じた概算額で計算するのが特徴です。

 

また、2019年分(2020年確定申告分)までの給与所得控除額は次の通りです。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%

650,000円に満たない場合には650,000円

1,800,000円超 3,600,000円以下 収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下 収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超 10,000,000円以下 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超 2,200,000円(上限)
(出典:国税庁)

確定申告の方法

複数の収入にかかる事業所得・不動産所得と給与所得を合わせて計算するため、確定申告の手順が本業のみ場合よりも複雑になります。

確定申告の手順

副収入に給与所得がある個人事業主の確定申告の手順について説明します。

アルバイト先から源泉徴収票をもらう

2019年4月1日以降に確定申告書をする場合、源泉徴収票の添付は必要なくなります。しかし、確定申告書に給与所得の数値を記入するため、アルバイト先から入手する必要があります。

 

そもそも源泉徴収票のデータはアルバイト先が住民税の計算資料として各市区町村に申告しているため、税務署でも給与所得の申告が正しいかどうかの確認資料になります。そのため、給与収入などの計算ミスを防ぐ意味でも源泉徴収票は事前に揃えておきましょう。

確定申告書に事業所得と給与所得を分けて記入する

確定申告書には所得ごとの「収入金額等」と「所得金額」の欄があり、事業所得(不動産所得)と給与所得を分けて、次のように記入します。

(1)事業所得

所得税青色申告決算書(白色申告は収支内訳書)を参照し、収入金額等と所得金額の事業(営業等㋐)に記入します。

(2)給与所得

給与所得の源泉徴収票のうち、給与収入の「支払金額」と所得金額の「給与所得控除の金額」を参照し、収入金額等と所得金額の給与㋕に記入します。

源泉徴収税額も忘れずに記入する

基本的にアルバイト収入は源泉徴収税額を天引きして入金されるため、税金の計算の「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」欄に忘れずに記入しましょう。源泉徴収税額は所得税の前払いであり、納付税額から控除できるためです。

確定申告書の提出と納付をする

毎年3月15日の申告期限と納付期限までに確定申告書の提出し、納付する必要があります。期限を過ぎてしまった場合のデメリットは次の通りです。
 

  • 提出期限より遅れて提出した場合:青色申告特別控除の最大額65万円が受けられない
  • 納付期限より遅れて納付した場合:延滞税などのペナルティーが課せられる

税金の計算の具体例

運送業を営む個人事業主で税金の計算の具体例を見ていきましょう。

①本人の属性

青色申告者

②本業

年商300万円、必要経費150万円

③アルバイト(飲食店)

毎月の月収10万円、年収120万円
なお、勤務先で年末調整をしていないと仮定します。

④上記③にかかる源泉徴収税額

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出している場合・していない場合によって金額が異なります。

(出典:国税庁

 

  • 提出している場合 月額720円×12ヵ月=8,640円
  • 提出していない場合 月額3,600円×12ヵ月=4万3,200円
④国民年金・国民健康保険料(社会保険料)

年間30万円

⑤家族構成

独身

⑥その他

生命保険や地震保険は未加入

所得金額を計算する

本業の事業所得とアルバイト収入の給与所得を計算します。

①事業所得
事業収入(年商)300万円-必要経費150万円-青色申告特別控除額65万円=85万円
②給与所得(※)
給与収入(年収)120万円-給与所得控除額65万円=55万円

 

(※)給与所得の算出方法
実際に給与所得を計算する場合は「平成29年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」の「給与所得控除後の給与等の金額」を参照します。

年間所得税を算出する

事業所得と給与所得を計算した後、年間所得税を算出するまでのプロセスは次の通りです。

①合計所得金額を計算する

事業所得85万円+給与所得55万円=140万円

②所得控除額を計算する

社会保険料控除30万円+基礎控除38万円=68万円

③課税所得金額を計算する

合計所得金額140万円-所得控除額68万円=72万円

④年間所得税を算出する
  • 所得税:課税所得金額72万円×所得税率(※)5%=3万6,000円
  • 復興特別所得税:所得税3万6,000円×2.1%=756円
  • 年間所得税:所得税3万6,000円+復興特別所得税756円=3万6,756円→3万6,700円(百円未満切捨て)

所得税率は次の税率表を参照します。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円
(出典:国税庁)

納付金額を求める

計算方法は次の通りであり、源泉徴収税額の天引き額によって納付金額が違ってきます。

 

年間所得税-源泉徴収税額=納付金額(値がマイナスなら還付金額)

 

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出している場合としていない場合に分けて具体例を説明します。

①提出している場合
年間所得税3万6,700円-源泉徴収税額8,640円=2万8,060円→2万8,000円(納付金額)
②提出していない場合
年間所得税3万6,700円-源泉徴収税額4万3,200円=△6,500円(還付金額)

 

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出していない場合、源泉徴収税額が多めに天引きされているため、確定申告で還付になる可能性が高くなります。

まとめ

アルバイト収入が給与所得の場合、本業での収入とは別口で申告しなければならないため、確定申告の手続きが複雑になります。しかし、勤務先から天引きされた源泉徴収税額の一部が還付される可能性があり、この記事を機に確定申告のやり方をマスターすることをおすすめします。

阿部正仁
TAX(税金)ライター。会計事務所で約10年間の勤務により調査能力を身に付けた結果、企業分析の能力では高い定評を得、法人から直接調査を依頼される実績も持つ。コーチングスキルを活かした取材力で、HP・メディアでは語られない発言を引き出すのが得意。
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