個人事業主の基礎知識 確定申告の青色申告と白色申告とは | MONEYIZM
 

個人事業主の基礎知識
確定申告の青色申告と白色申告とは

個人事業主は、毎年、確定申告と納税を行う必要があります。確定申告には青色申告と白色申告があり、個人事業主は青色申告と白色申告のどちらかを選択して、確定申告をしなければいけません。では、どちらを選んだ方が事業主にとって有利になるのでしょうか。ここでは、青色申告と白色申告の基礎を解説します。

青色申告と白色申告の違い

では、はじめに青色申告と白色申告がどのようなものか、その違いについて確認しましょう。

青色申告と白色申告とは

所得税では、納税者が自らの所得や税金を正しく計算して申告する「申告納税制度」を採用しています。また、申告納税制度を成立させるために、個人事業主は「帳簿書類を備え付けてその取引を記録し、かつその帳簿書類を保存しなければならない」と法律で定められています。そのため、所得の計算の基となる帳簿なども、納税者が自ら作成する必要があります。

 

帳簿の記帳方法については、厳密にいうとあまり決まっていません。納税者が自由に作成できます。ただし、納税者が独自に作成した帳簿では、所得や税金を正しく計算できない可能性があります。

 

そこで、一定のルールに従って、正確な記帳をする場合には、その代わりに納税者に有利になる特典をつける制度を採用しています。これを「青色申告」といいます。それに対し、青色申告でない申告を「白色申告」と呼びます。

青色申告でやらなければならないこと

青色申告をするためには、条件があります。その条件を理解するために、まずは青色申告のための帳簿の記帳方法から見ていきましょう。青色申告による帳簿の記帳方法には主に次の2つがあります。

 

  • 正規の簿記に基づく方法
    毎日の記帳や商品の棚卸、決算整理を行うことで、貸借対照表や損益計算書が作成できる程度の帳簿組織の整った複式簿記などによる方法です。
  • 簡易な簿記に基づく方法
    仕入・売上の記帳と掛代金の記帳、商品の棚卸、決算整理を行うことで、損益計算書が作成できる程度の簿記による方法です。

 

この他にも、例外的に、現金基準による記帳方法もあります(税務署への届出が必要)。
では、青色申告をするための条件を見ていきましょう。青色申告のための条件は次の3つです。

 

  • ①帳簿書類を備え付けて、取引を記録し、かつ、帳簿書類の保存をすること
  • ②12月31日に決算を行い、商品の棚卸、決算整理を行い、棚卸表を作成すること
  • ③次の書類を作成し、確定申告書に添付すること

 

正規の簿記 簡易な簿記 現金基準
損益計算書
所得の計算に係る明細書
貸借対照表
損益計算書
所得の計算に係る明細書
損益計算書
所得の計算に係る明細書

 

この3つの条件をすべてクリアしないと、青色申告はできません。ただ、これらを自力で行うのは中々難しいため、税理士に依頼する個人事業主も少なくありません。

青色申告には特典がある

青色申告には、納税者が有利になる様々な特典があります。ここでは、どのような特典があるかを解説します。

青色申告のための手続き

青色申告の特典を受けるためには、青色申告をする必要がありますが、そのためには青色申告で確定申告するということを事前に税務署に認めてもらう手続きが必要です。具体的には、「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出し、承認を受ける必要があります。青色申告承認申請書には、次のように提出期限があります。

 

提出期限
新規に青色申告をしようとする場合
(1月15日までの開業を含む)
青色申告をしようとする年の3月15日まで
1月16日以後に開業した場合 開業日から2か月以内

 

青色申告承認申請書は、申請を行った年の12月31日までに何の通知もなければ、自動で承認となります。

青色申告の主な特典とは

青色申告には様々な特典があります。ここでは、その中で特に重要なものを見ていきましょう。

①青色申告特別控除

青色申告をする場合は、65万円(正規の簿記の方法で記帳している場合)または10万円

の青色申告特別控除を受けることができます。青色申告特別控除は所得金額を求めるときに控除されます。

 

所得金額=収益-費用-青色申告特別控除額

 

65万円の青色申告特別控除は、不動産所得または事業所得を営んでいる場合のみ適用できます。

※令和2年より青色申告特別控除の見直しが行われ、一定の条件を満たさない場合は、65万円控除が55万円の控除に変更となります。
②青色事業専従者給与

所得税では、配偶者や家族に対する給料は経費にすることができません。ただし、青色申告をしている場合は、一定の条件を満たす15才以上の家族に対する給料(青色専従者給与といいます)を経費にすることができます。

 

青色事業専従者給与を適用する場合は、事業開業の日から2か月以内または青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日までに、「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出する必要があります。

③貸倒引当金

貸倒引当金とは、売掛金や貸付金などの債権が回収されない見込みがあるときに、一定額を貸し倒れる前に経費にすることができるものです。経費にできるので、節税になります。

④損失の繰り越し

青色申告をしている場合は赤字の金額を3年間繰り越すことができます。繰り越した赤字は、翌年以降の黒字と相殺できます。ただし、毎年連続して確定申告をする必要があります。

⑤少額減価償却資産の特例

原則、販売商品の仕入や材料費を除き、1つあたり10万円以上のものを購入した場合は固定資産にする必要があります。固定資産は購入時に一括して経費にすることができず、毎年少しずつ「減価償却費」として経費にします。

 

ただし、青色申告をしている場合は、1つあたり30万円未満のものを一括で、購入年度の経費にすることができます(年間300万円まで)。これを「少額減価償却資産の特例」といいます。

 

このように、青色申告の特典は、納税者に有利になるものばかりです。

青色申告と白色申告で、所得税の金額はこんなに変わる

では、青色申告と白色申告をしている場合で、納める所得税の金額がどう変わるのか次の例で見ていきましょう。

 

例)1年間の売上800万円、必要経費450万円 差引所得金額350万円の場合

①白色申告の場合

差引所得金額350万円に税金が課されます。日本では、所得金額により税率などが異なります。所得金額350万円の場合の税率は(20%-控除額427,500円)です。

 

納める所得税の金額=所得金額350万円×20%-控除額427,500円=272,500円
②青色申告で、青色申告特別控除65万円の場合

この場合の所得金額は、差引所得金額350万円-青色申告特別控除65万円=285万円です。

所得金額285万円の場合の税率は(10%-控除額97,500円)です。

 

納める所得税の金額=所得金額285万円×10%-控除額97,500円=187,500円
③白色申告と青色申告の所得税の差額
①-②=272,500円-187,500円=85,000円

 

つまり、今回の例の場合、青色申告をしているだけで85,000円も節税になります。

 

では、青色申告と白色申告のどちらを選択すればよいのでしょうか。節税のことを考えると、青色申告を選択する方が、断然に有利です。特に65万円控除を利用すると、大きく納税額が変わります。

 

しかし、65万円控除を利用する場合は、正規の簿記の方法で、日々の取引を記帳する必要があります。記帳の複雑さや手間のことを考えると、白色申告の方が有利です。自社の規模や状況を考えて、青色申告にするのか白色申告にするのかを判断する必要があるでしょう。

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まとめ

青色申告と白色申告のどちらを選択するのかは、個人事業主にとって大きな問題です。

実は、青色申告承認申請書を提出したからといって、必ず青色申告をしなければならないわけではありません。青色申告承認申請書を提出しても、白色申告で確定申告することは可能です。もしもどちらを選択するのか迷っている場合は、とりあえず青色申告承認申請書を提出しておくのも手の1つでしょう。ぜひ、この記事を参考に、自分合った方法で正しく確定申告してください。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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