免税事業者の個人事業主でも消費税は請求できる?
請求書の書き方とは
免税事業者の個人事業主でも消費税は請求できる?  請求書の書き方とは
最終更新日:
2019/10/7
 
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消費税の免税事業者は、消費税を納付する必要がありません。その場合に気になるのが、消費税を納めていないのに、取引先に消費税を請求してよいのかということでしょう。また、請求できるのなら、請求書にどのような記載をしたらよいのでしょうか。ここでは、免税事業者と消費税の関係について詳しく解説します。

個人事業主と消費税の関係

免税事業者が取引先に消費税を請求して良いのかどうかを確認する前に、まずは、消費税について詳しく見ていきましょう。

消費税の課税事業者と免税事業者、判定基準

個人事業主ならすべて、消費税は納めないといけないのでしょうか。実は、そうではありません。消費税の制度では、個人事業の売上の規模などによって、消費税を納める必要があるかどうかを区分しています。

 

課税事業者・免税事業者フローチャート

 

消費税を納める必要がある人を「課税事業者」、納める必要がない人を「免税事業者」といいます。免税事業者になるためには、次の基準にすべて該当する必要があります。

 

  • ①前々年度の売上が1,000万円以下の場合
  • ②前年度の上半期の売上が1,000万円以下または給料総額が1,000万円以下の場合

 

開業1年目については、前々年度や前年度がなく、上記2つの条件を満たすので、通常、免税事業者となります。なお、消費税の免税事業者が課税事業者になるかどうかの判断をする場合、上記判定の売上1,000万円は税込金額で考えます。

消費税の仕入税額控除とは

売上にかかった消費税 - 仕入れや経費にかかった消費税(仕入税額)
= 納める消費税

 

消費税の課税事業者の場合は、毎年、消費税を国等に納める必要があります。納める消費税の金額の求め方を簡単にいうと、売上にかかった消費税から、仕入れや経費にかかった消費税(仕入税額)を差し引いて求めます。この仕入れや経費にかかった消費税を差し引くことを「仕入税額控除」といいます。仕入税額控除に該当するものには、主に次のようなものがあります。

 

  • 商品や材料などの棚卸資産の購入
  • 機械や建物等、車両や器具備品等の事業用固定資産の購入や賃借、修繕費
  • 広告宣伝費、厚生費、接待交際費、通信費、水道光熱費などの支払
  • 事務用品、消耗品、新聞図書などの購入
  • 外注費

免税事業者でも、消費税の請求ができる

ここまでは、消費税の課税判定や仕入税額控除について見てきました。ここからは、免税事業者でも消費税の請求ができるのかどうかについて、見ていきましょう。

取引先は免税事業者からの請求でも、仕入税額控除ができる

実は、免税事業者でも消費税の請求はできます。取引先は、免税事業者や事業者ではない消費者から仕入れた場合も、仕入税額控除ができるからです。上述した通り、仕入税額控除の対象になるものは、法律で定められています。しかし、仕入税額控除の要件に、課税仕入れに係る相手方が課税事業者であることとは定められていません。そのため、免税事業者からの仕入れや請求であったとしても、仕入税額控除ができます。

 

例えば、免税事業者が消費税なしの10,000円を請求したとしても、取引先は9,259円+消費税741円(消費税率8%の場合)として処理します。取引先が納める消費税の計算上、免税事業者からの請求も消費税の経費から差し引くことができるのですから、当然、免税事業者も消費税を請求することが可能です。

請求書には消費税額を明記しよう!請求書の記載方法

免税事業者にとって、消費税を請求した方が得です。取引先もその分を仕入税額控除として取り扱うので、損をすることはありません。ただし、消費税を取引先に請求する場合は、請求書に消費税の金額を明記した方がよいでしょう。なぜなら、請求書の金額が税抜金額なのか税込金額なのか、取引先が判断できないからです。

 

こちらが税抜金額と思って記載しても、取引先が税込金額と思って、消費税抜きの金額を振り込んだり、逆に、こちらが税込金額と思って記載しても、取引先が税抜金額と思って、余計に消費税の金額を振り込んだりする可能性があります。この場合はトラブルになったり手間が余計にかかったりしてしまいます。取引先との余計なトラブルを避けるためにも、請求書に消費税の金額を明記しましょう。

 

請求書への消費税の金額の書き方は2つあります。税抜金額と消費税額を分けて記載する方法と、税込金額を記載し内消費税額を記載する方法です。例えば、税抜金額100,000円、消費税8,000円(消費税率8%の場合)の請求をする場合で見てみましょう。

 

  • ①税抜金額と消費税額を分けて記載する方法
    この方法では、本体価格100,000円 消費税額8,000円 合計108,000円と記載します。
  • ②税込金額を記載し内消費税額を記載する方法
    この方法では、合計108,000円(内消費税額8,000円)と記載します。

 

どちらの方法で請求しても問題ありません。

いよいよ消費税が10%に! 請求書の書き方に注意しよう

2019年10月、消費税率8%から10%へ引き上げられました。消費税率が10%に引き上げられると、請求書の書き方も変更されます。ここでは、消費税率10%時の請求書の記載方法について見ていきましょう。

区分記載請求書等保存方式と適格請求書等保存方式

今までは、消費税の免税事業者からの請求であっても、仕入税額控除が可能でした。しかし、2023年10月1日からは、新たに導入される適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者(課税事業者のみ登録可能)からの請求でなければ、仕入税額控除ができなくなります。これを「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」といいます。

 

適格請求書発行事業者は、一定の内容を記載した適格請求書を発行することになっています。しかし、いきなり適格請求書等保存方式を導入すると、混乱を招く恐れがあります。そのため、2019年10月1日から2023年9月30日の間は、「区分記載請求書等保存方式」が導入されます。区分記載請求書等保存方式とは、今までの請求書の方式を維持しつつ、区分経理に対応する方式のことです。

区分記載請求書等保存方式による請求書の書き方

区分記載請求書等保存方式による請求書では、請求書に記載しなければならない内容が決まっています。「区分記載請求書」の記載事項は次のとおりです。

 

①今までと変わらない点 ②区分記載請求書になってから追加された点
  • 発行者の氏名又は名称
  • 取引年月日
  • 取引の内容
  • 受領者の氏名又は名称
  • 軽減税率の対象品目である旨の記載(「※」印等をつけることにより明記)
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額(税込)

 

区分記載請求書では、軽減税率の対象品目に※印をつけ、欄外に「※は軽減税率対象」といった記載をする必要があります。また、合計金額の下に税率ごとの合計金額を記載する必要があります。例えば、次のような記載です。

 

合計 21,800円
(10%対象11,000円)
(8%対象  10,800円)

 

区分記載請求書等保存方式には、次のような注意点もあります。

 

  • ①区分記載請求書には一定の記載事項を満たす領収書や納品書、レシートなども含まれる。
  • ②区分記載請求書は必ず発行しないといけないものではないが、区分記載請求書でないと、仕入税額控除の対象にならない。
  • ③支払対価が3万円未満の場合は、区分記載請求書を発行する必要はない。

 

つまり、2019年10月1日からは、取引先が消費税の課税事業者である場合で、取引金額が3万円以上の場合は、区分記載請求書の発行を求められることになるでしょう。

まとめ

消費税の免税事業者であったとしても、取引先に消費税の請求をすることは可能です。取引先は、免税事業者への支払いも仕入税額控除の対象にできるからです。消費税の請求をしても、取引先の損にはならないので、消費税の請求をするかどうか迷っている場合は、請求を行いましょう。その際には、消費税額を忘れないようにしてください。

 

ただし、消費税率が10%に引き上げられると同時に、区分記載請求書等保存方式が導入され、請求書の記載方法が一部変わります。その際には、正しい記載をした区分記載請求書を発行するようにしましょう。

 

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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