法人で売電収入がある場合には
どんな税金がかかる?法人の税金と注意点

法人で売電収入がある場合には  どんな税金がかかる?法人の税金と注意点
公開日:
2020/01/17
 
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • LINEでシェア

太陽光発電設備を用いた売電事業といえば、個人が行うものと考えがちですが、売電収入のある法人も少なくありません。実は、法人で売電収入がある場合とない場合では、税金の計算方法が異なることがあり、売電収入に対する税務知識が必要です。今回は、売電収入がある場合の法人の税金と注意点について解説します。

売電収入と法人税の関係とは

法人が支払う税金にはさまざまな種類がありますが、その代表的なものが法人税です。まずは、売電収入と法人税の関係について見ていきましょう。

売電収入に関する法人税の計算方法

個人で売電収入があれば、事業として大規模に行っている場合や、事業と呼べるほどではない小規模で行っている場合など、それぞれのケースに応じて所得に区分し、所得ごとに所得金額などを計算する必要があります。では、法人の場合はどうでしょうか。

法人の場合は、それぞれのケースに応じて所得に区分する必要はありません。法人税は、規模の大小や本業かどうかは関係なく、すべての収入や経費を合算して利益を求め、そこに税率をかけて税額を計算します。

 

例)本業の売上1,000万円、経費500万円、売電の売上500万円、経費200万円の場合
総売上 本業1,000万円+売電500万円=1,500万円
総経費 本業500万円+売電200万円=700万円
利益 総売上1,500万円-総経費700万円=800万円

 

利益の800万円が法人税の計算の基となります。どの所得に該当するのかを考える必要がない分、所得金額の計算間違いは少なくなりますが、売電関連の取引について、必ず帳簿付けが必要である分、労力はかかります。

売電収入がある場合の会計処理方法

法人で売電収入がある場合は、必ず帳簿付けが必要です。ここからは、売電収入がある場合の会計処理方法を見ていきましょう。

例)電力を売却し、収入が100万円あった。翌月になって、その全額が普通預金に入金された

①売電事業が本業の場合

・電力売却時

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
売掛金 100万円 売上高 100万円 ○月分売電収入

・入金時

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
普通預金 100万円 売掛金 100万円 ○月分売電収入

②売電事業が本業でない場合

・電力売却時

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
未収入金 100万円 雑収入 100万円 ○月分売電収入

・入金時

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
普通預金 100万円 未収入金 100万円 ○月分売電収入

 

売電事業が本業の場合は、勘定科目の売掛金と売上高を使って、本業でない場合は勘定科目の未収入金(未収金)と雑収入を使って処理します。一般的に、売電事業が本業に該当するかどうかは、定款の目的に記載があるかどうかなどで判断します。

売電収入がある場合は、法人事業税に注意する

法人で売電収入がある場合とない場合で、計算方法が異なる税金があります。それが法人事業税です。では、法人事業税がどのようなものか、また、その計算方法について見ていきましょう。

法人事業税とはどんな税金?

法人事業税とは、簡単にいうと、法人が行う「事業」に対してかかる税金です。法人が事業を行うには、必ず公共サービスや公共施設を利用します。そこで、それらの経費の一部を負担するという目的で課税されます。

法人事業税は、都道府県に支払う地方税です。原則、各都道府県内に事務所または事業所を設けて事業を行っている法人なら、法人事業税を支払う義務があります。法人税や法人住民税と異なる点は、法人事業税は事業に対して課される税金であるため、経費になることです。通常、法人税や法人住民税の申告と同時に、税額の計算や申告を行います。

売電事業は収入に課税されることに注意

法人事業税は、法人が行う「事業」に対してかかる税金ですが、では、どの金額を基に税額を計算するのでしょうか。原則は、法人税と同じように、所得金額に税率を乗じて計算します。税率は、資本金の額(または出資金の額)と所得金額の大きさなどによって異なります。法人事業税は、法人税、法人住民税と合わせて「法人税等」と呼ばれるメジャーな税金であるため、計算方法を知っている法人も多いでしょう。

しかし、売電収入については、計算方法が異なります。売電事業の場合は所得ではなく、収入に課税されます。売電収入に対する法人事業税は、次の計算式で求めます。

 

法人事業税額=課税標準額(収入金額の総額-控除額)×税率

 

収入金額とは、電灯料収入や電力料収入、設備貸付料収入、事業税相当分の加算料金などが該当します。控除額とは、国などからの補助金や保険金、不用品や固定資産の売却による収入金額などが該当します。

では、法人が一般の事業と売電事業の2つを営んでいる場合は、どう計算するのでしょうか。この場合は原則、収入や経費を一般の事業と売電事業の2つに分け、一般の事業部分は所得を基に、売電事業部分は収入を基に法人事業税を計算し、その合計額を納めます。

※売電の収入金額が本業の収入金額に比べて軽微な場合は、売電の収入金額を本業の収入金額に加えての事業税の計算が認められる場合もあります。

売電収入には消費税がかかる?

売電収入がある場合の税金で気になるものの1つに消費税があるでしょう。それは、消費税がかかるかどうかで、納める税金の金額が大きく変わるからです。ここでは、売電収入と消費税の関係について見ていきます。

消費税の課税事業者と免税事業者

法人には、消費税を納める必要のある課税事業者と、納める必要のない免税事業者の2つがあります。消費税の課税事業者になる要件は、次のいずれかを満たす場合です。

 

  • ①前々事業年度の売上が1,000万円超
  • ②前事業年度の上半期日の売上が1,000万円超、または給料総額が1,000万円超

 

つまり、消費税の課税事業者になるかどうかは、主に前々事業年度、もしくは前事業年度の上半期日の売上が影響します。この売上が本業の売上であるかどうかは問いません。そのため、売電収入も売上に含まれます。本業が売電収入の他にある場合は、本業の収入と売電収入の合計額が1,000万円を超えるかどうかが基準となるため、注意が必要です。

消費税の課税事業者になったら

では、消費税の課税事業者になる要件に該当した場合は、どうなるのでしょうか。この場合は、速やかに所轄の税務署に、課税事業者になった旨を届け出る必要があります。具体的な提出書類は、次のようになります。
 

  • 消費税課税事業者届出書(基準期間用)(特定期間用)
    上述した消費税の課税事業者になる要件の①に該当する場合は、「基準期間用」を提出します。②に該当する場合は、「特定期間用」を提出します。届出書の提出期限は、明確に決まっておらず「速やかに」となっています。忘れないうちに早めに提出しましょう。
  • 消費税簡易課税制度選択届出書(簡易課税制度を選択する場合のみ 一定の条件あり)
    提出期限は、簡易課税制度を適用したい年度の開始前日までです。
  • まとめ

    法人が売電収入を行う場合には、さまざまな税金が課されます。その中で特に注意したいのが、法人事業税と消費税です。法人事業税は、売電収入と他の一般的な収入では計算方法が異なります。他の一般的な収入では所得を基に税額を計算しますが、売電収入は収入を基に税額を計算するため、注意が必要です。

    消費税については、売電収入も消費税の対象になります。一般事業の収入と売電収入の合計金額を基に、課税事業者の判定や税額の計算をする必要があります。

    このように、売電収入を行っている場合は、税金面で注意しなければならないことがたくさんあります。申告時に間違いをしないためにも、税金の制度を理解しておきましょう。

    長谷川よう
    会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • LINEでシェア
マネーイズムは下記環境を奨励しています。

Widows PC (Widows10)
Mac PC (最新OS)
iPhone / iPad (最新OS)
Android (最新OS)
全国の税理士をご紹介しています
税理士紹介ビスカス