中小企業が知っておくべき 高年齢者雇用のメリットと注意点 – マネーイズム
 

中小企業が知っておくべき
高年齢者雇用のメリットと注意点

    公開日:
    2020/02/18
     
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    高年齢者の雇用は少子高齢化が進むなかで社会的に推進され、今後ますます拡大していきます。労働力不足解消の切り札としても期待され、中小企業にとっても前向きに取り組むべき課題のひとつです。この記事では助成金が受け取れるなど、高年齢者雇用のメリットと注意点についてご説明します。

    中小企業が高年齢者雇用をするメリット

    労働力不足が解消できる

    高年齢者の雇用は、労働力不足の解消に役立ちます。少子高齢化により働き手となる年齢層が減り、代わってリタイア後の高齢者が増えていく傾向であることは、社会的に大きな問題としてクローズアップされています。大企業よりも中小企業の方が労働力不足はより深刻な問題で、高年齢者の雇用は労働力不足解消の切り札となり得る有効な手段です。

    助成金が活用できる

    高年齢者の雇用に対してはさまざまな施策が行われています。助成金はそのひとつで、支給対象となる助成金を活用すると、雇用にかかる費用の負担が軽減できます。新たに高年齢者を雇い入れる場合のほか、定年制度について廃止や年齢引き上げを行うことで支給される助成金もあります。

    企業として社会的責任が果たせる

    企業の高年齢者雇用には労働力不足解消や助成金受給のほかに、社会的責任を果たすことができるというメリットがあります。高年齢者雇用は政府もさまざまな施策で推進を進めている大きな課題のひとつです。

     

    2012年の「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」改正では、企業は「65歳までの定年の引き上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかの措置を行う必要があるとされています。これらはまだ罰則付での義務化はされてはいませんが、社会的責任を果たすという意味では全ての企業が前向きに取り組む必要があります。

     

    また高年齢者に労働の場を与えることは、高年齢者の「働きたい」というニーズに対応することにもつながります。社会全体で高年齢者が増えるなか、健康で体力があり、労働意欲を持っている高年齢者も多くなっています。企業にはこのような働く意思と能力を持つ高年齢者に雇用の機会を与えることも求められ、中小企業も例外ではありません。

     

    高年齢者を雇用する2つの方法

    今の労働者を継続して雇用する

    今働いている労働者を定年退職させずに継続して雇用すると、長年の経験や習得した技術をそのまま活かすることができます。代わりの労働者に引き継ぎを行う手間が省け、即戦力として安心して業務が任せられます。

     

    高年齢者継続雇用を行うには定年を廃止する方法と定年年齢を引き上げる方法、再雇用制度を導入する方法の3つがあります。定年廃止や定年年齢の引き上げは、文字通り雇用をそのまま継続する方法です。

     

    再雇用とは、いったんは退職の形を取りその後に再び雇い入れる制度です。それまでの関係をリセットし、勤務時間や給料、待遇などの勤務条件を新たに取り決めることができます。このため定年廃止や定年年齢の引き上げよりも再雇用制度の導入を選ぶ企業の方が圧倒的に多くなっています。

    新規に高年齢者を雇用する

    ハローワークなどで紹介を受けたり求人を出したりして新規の高年齢者を雇う場合は、有期契約とすることが一般的です。形態も嘱託社員や契約社員、パートなどとして雇用します。高年齢労働者の事情に合わせるため、勤務形態や給料、その他の待遇に違いが生じることがほとんどです。

    高年齢者雇用で気をつけなければならないこと

    身体能力の衰えや健康状態に配慮する

    高年齢者を雇用する場合は、筋力など身体能力の衰え、記憶力や判断力の低下、健康状態に配慮してさまざまな処遇を決める必要があります。軽作業への配置転換や労働時間の短縮など、高年齢労働者にとって過酷にならない働き方の準備が必要です。

    給料設定での注意事項

    高年齢者の給料は、高年齢ではない労働者よりも低くなるのが一般的です。雇用保険では企業の雇用継続制度を利用して給料が減額になった高年齢労働者に対して、高年齢雇用継続給付を行っています。給料が60歳到達時点よりも75%未満になった場合に、減額になった給料の15%までが給付されます。60歳のときに300,000円の給料だった労働者が180,000円になった場合は、180,000×15%=27,000円が給付されます。

     

    しかし大幅な給料ダウンは高年齢労働者のモチベーションを下げ、またトラブルの原因になるので注意が必要です。なかには裁判に発展するケースもあるので、真摯に向き合い、慎重に取り扱わなければなりません。

     

    中小企業が高年齢者雇用で受けられる助成金

    高年齢者の継続雇用で受けられる助成金

    今働いている労働者を高年齢者となってからも継続して雇用する場合には、65歳超雇用推進助成金を受け取ることができます。働く意欲と能力のある高年齢者が年齢に関係なく働き続けられる社会の実現を目的に支給されるもので、65歳超継続雇用促進コース、高年齢者評価制度等雇用管理改善コース、高年齢者無期雇用転換コースがあります。

     

    65歳超継続雇用促進コースは定年の65歳以上への引き上げまたは廃止を行った場合、あるいは希望者全員を対象にした継続雇用制度を導入した場合に支給される助成金です。

     

    60歳以上の定年の引き上げを行った場合は60歳以上の被保険者数と引き上げた年齢によって100,000~1,600,000円、定年を廃止した場合は60歳以上の被保険者数によって200,000~1,600,000円が支給されます。

     

    希望者全員を対象にした66歳以上の継続雇用制度導入を行った場合は60歳以上の被保険者数と雇用継続年齢によって50,000~1,000,000円の助成金が支給されます。

     

    高年齢者評価制度等雇用管理改善コースは高年齢者の雇用管理について一定の措置を行った企業に支給される助成金です。高年齢労働者のために職業能力評価の仕組みや賃金・人事処遇制度、短時間勤務制度・隔日勤務制度、研修制度、法定外の健康診断などの導入・改善を行った場合に支給される助成金です。

     

    かかった費用に対して中小企業は75%(厚生労働省が定める生産性要件を満たさなかった場合は60%)の金額が支給されます。

     

    高年齢者無期雇用転換コースは有期で雇用している労働者を無期雇用に転換した場合に支給が受けられる助成金です。中小企業が50歳以上定年年齢未満の有期雇用労働者を無期雇用とした場合、1人あたり600,000円(生産性要件を満たさなかった場合は480,000円)が支給されます。

     

    高年齢者の新規雇用で受けられる助成金

    高年齢者を新規に雇用する場合には、厚生労働省の雇い入れ関係の助成金のうち、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)、あるいは特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)の支給を受けることができます。対象となる高年齢者をハローワークや職業紹介者の紹介で雇い入れた場合に支給されます。

     

    特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)は高年齢者や障害者、母子家庭の母親といった就職困難者を雇い入れたときに支給される助成金です。

     

    高年齢者については60歳以上65歳未満の高年齢者を雇い入れた場合に1人あたり600,000円が支給されます。65歳以上も継続して雇用され、かつ雇用期間が2年以上となることが確実な場合に支給を受けることができます。

     

    なお、短時間労働者として雇い入れた場合の支給額は1人あたり400,000円です。

     

    特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)は65歳以上の高年齢者を雇用保険の高年齢被保険者として雇い入れ、1年以上雇用することが確実であると認められる場合に支給される助成金です。1人あたり700,000円、短時間労働者は1人あたり500,000円が支給されます。

     

    まとめ

    高年齢者雇用は中小企業にさまざまなメリットをもたらします。高年齢者の働きたいという意志の尊重や労働力不足の解決策にもなることから、社会的にも高年齢者雇用は今後ますます推進すると考えられます。継続雇用・新規雇用ともにそれぞれ助成金制度があるので、上手に活用しつつ高年齢者雇用への取り組みに向き合っていきましょう。

    矢萩あき
    複数の企業で給与計算などの業務を担当したことから社会保険や所得税などの仕組みに興味を持ち、結婚後に社会保険労務士資格とファイナンシャルプランナー資格(AFP)を取得。現在はライターとして専門知識を活かした記事をはじめ、幅広い分野でさまざまな文章作成を行う。
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