2021年4月より新様式になる
36協定届出の変更点と注意点を解説!

2021年4月より新様式になる  36協定届出の変更点と注意点を解説!
公開日:
2021/03/29
 
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • LINEでシェア

時間外・休日労働に関する協定届、通称36協定届の様式が変更されます。2021年4月1日以降は新様式での届出となるため、旧様式との違いを把握し、対応する必要があります。スムーズに36協定届出が行えるよう、具体的な変更点や注意点を解説します。準備にぜひ役立ててください。

2021年4月以降に届け出る36協定の変更点

押印・署名が不要になる

新様式では使用者や労働者の押印・署名が不要になります。それまでは労使双方が合意の上で36協定が締結されたことを明らかにするため、記名+押印、または署名が必要でした。新様式では押印・署名が廃止され、記名のみでの届出が可能になります。

協定当事者適格性チェックボックスへのチェックが必要になる

協定当事者適格性チェックボックスが設けられ、届出の際はチェックを入れる必要があります。適正に選任された労働者の過半数代表者によって締結された36協定かどうかを確認するためのチェックボックスの新設です。チェックボックスにチェックが入れられていない36協定届は受理されません。

特別条項のある・なしで使う様式が変わる

様式が2種類に増え、特別条項なしの場合、特別条項ありの場合、それぞれの様式を使って届出を行うように変わります。旧様式は1種類のみで、特別条項がある場合は余白や別紙へ記入する形式での対応になっていました。新様式では特別条項の有無によって使い分けるよう、2種類に増えます。

電子申請が可能になる

電子政府の総合窓口「e-Gov」から、36協定の電子申請での届出が可能になります。労働基準監督署へ出向かずに届出ができ、時間や手間が省けます。

36協定や時間外労働で中小企業が気をつけるべき点は?

36協定届出は遅れることなく忘れずに!

労働基準法では1日8時間、1週間40時間を労働時間の限度とすること、週に1日以上、4週間に4日以上の休日を与えなければならないことが規定されています。残業や休日労働といった所定労働時間を超えた労働は、原則的に禁止されています。

これらの労働時間や休日の規定にかかわらず残業や休日労働といった時間外労働をさせることを可能とするのが36協定ですが、36協定は労使間で締結しただけでは効力を持ちません。締結後に労働基準監督署に届け出ることで有効になるので、忘れたり怠ったりしないよう注意が必要です。

 

また36協定の届出が遅れると、届出前に労働者にさせた時間外労働は労働基準法違反とみなされます。せっかくの締結を無駄にしないよう、速やかに届け出ましょう。

36協定に関わらず時間外労働は必要最低限に!

使用者が労働者に時間外労働をさせるためには締結、そして届出までをきちんと行っておく必要があります。しかし36協定をきちんと締結・届出しているからと言って、時間外労働が多くても問題ないわけではありません。

 

長時間や多数にわたる時間外労働は、労働者にとって生活の質が低下したり健康を損なったりする原因になります。労働意欲の減退や注意力不足など労働にも悪影響を及ぼし、生産性低下にもつながります。

 

働き方改革の推進の一環として、2020年4月(大企業は2019年4月)より時間外労働に上限規制が設けられています。長時間労働は社会的にも少なくしていかなければならないことを理解し、必要最低限にするようにしましょう。

2021年度の36協定届出での変更の具体的内容と注意点

36協定への押印が必要な場合がある

36協定は正式には時間外・休日労働について締結した協定書の添付が求められています。協定書は労使間で協議し、双方が合意に至った内容をまとめたもので、労使それぞれの押印、または署名が必要です。

 

例外的にこの協定書を添付する代わりに、36協定届に必要事項をすべて記載することでも届出は可能とされています。協定書を添付しないで届け出る36協定には、これまで通り押印する必要があります。

協定当事者適格性チェックのポイント

36協定は労働者の過半数が加入している労働組合(過半数労働組合)、または労働者の過半数の代表者(過半数代表者)と締結する必要があります。過半数労働組合がなくて過半数代表者を選出して36協定を締結する場合には、36協定締結のための代表者選出であることを明らかにし、挙手や投票の方法で過半数代表者を選出します。また管理監督者でないことも求められ、事業主と一体的な立場にある人は過半数代表者と認められません。

 

新様式には協定の当事者(労働者の過半数を代表する者の場合)の選出方法として、「全ての労働者の過半数を代表する者であること」、および「監督又は管理の地位にある者でなく、かつ、同法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であって使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」の2つのチェックボックスが設けられ、チェックを入れることが求められます。

特別条項ありの36協定の注意点

2020年4月(大企業は2019年4月)より時間外労働の上限規制が施行され、原則として月45時間・年360時間を超える時間外労働は認められません。臨時的な特別な事情があり労使が合意する場合でも年720時間以内、2~6ヵ月平均80時間以内、月100時間未満、月45時間を超える月は年に6回までとされています。罰則もあり、違反した場合には6ヵ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

 

2~6ヵ月平均80時間以内は2ヵ月、3ヵ月、4ヵ月、5ヵ月、6ヵ月のいずれについても平均80時間を超えてはいけないという内容です。例えば90時間の時間外労働をさせた月の翌月は70時間未満に抑えないと2ヵ月平均80時間とはなりません。この条件はすべての月において満たさなければならず、隣接する月の時間外労働のしっかりとした把握が求められます。

 

特別条項あり6協定の締結・届出によって、臨時的な特別な事情がある場合に月45時間・年360時間を超える時間外労働をさせることが可能になります。この特別条項ありの36協定について新様式では

 

  • ①限度時間を超えて労働させることができる場合
  • ②限度額を超えて労働させる労働者に対する健康・福祉を確保するための措置
  • ③限度額を超えた労働に係る割増賃金率
  • ④限度時間を超えて労働させる場合における手続き

 

の記入が必要になります。

 

①についてはこれまでの「特別な事情がある場合」のような記述ではなく、「決算業務のため」や「大規模クレーム対応のため」、「機械トラブルが生じた場合」、「納期ひっ迫時」など具体的内容の記入が求められます。

 

また②について、限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康・福祉を確保する措置として以下が裏面に記載されています。

 

  • ①労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること。
  • ②労働基準法第37条第4項に規定する時刻の間において労働させる回数を1箇月について一定回数以内とすること。
  • ③終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること。
  • ④ 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること。
  • ⑤労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること。
  • ⑥ 年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること。
  • ⑦心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること。
  • ⑧労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること。
  • ⑨必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等による保健指導を受けさせること。
  • ⑩その他

 

この中から行うものを選び、具体的内容とともに記入する必要があります。

本社一括での届出も可能になる

複数の事業場がある場合でも36協定の本社一括での届出が認められるのはすべての事業場が1つの労働組合と締結する場合のみに限られていました。2021年3月末からは電子申請で36協定届出を行う場合のみではあるものの、事業場ごとに労働者代表が異なる場合であっても本社一括での届出が可能になります。

まとめ

2021年4月より36協定の届出には新様式が用いられます。押印・署名が廃止され、協定当事者適格性チェックボックスが設けられます。また電子申請による届出も可能になります。変更点をしっかりと抑えて、スムーズに届け出られるよう準備しましょう。

矢萩あき
複数の企業で給与計算などの業務を担当したことから社会保険や所得税などの仕組みに興味を持ち、結婚後に社会保険労務士資格とファイナンシャルプランナー資格(AFP)を取得。現在はライターとして専門知識を活かした記事をはじめ、幅広い分野でさまざまな文章作成を行う。
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • LINEでシェア
全国の税理士をご紹介しています
税理士紹介ビスカス