10都府県に拡大された「まん延防止等重点措置」で
雇用調整助成金の特例が延長に 時短協力金は?

10都府県に拡大された「まん延防止等重点措置」で  雇用調整助成金の特例が延長に 時短協力金は?
公開日:
2021/04/21
 
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4月16日、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う「まん延防止等重点措置」の対象地域に埼玉、千葉、神奈川、愛知の4県の追加が決まり、すでに適用されている東京都、大阪府などと合わせて対象は10都府県となりました。ところで、この「重点措置」は、3月に解除されたばかりの「緊急事態宣言」とどう違うのでしょうか? また、影響を受ける事業者へのサポートはどうなっているのか? 公表資料をもとにまとめました。(4月16日時点)

「緊急事態宣言」との違いは?

「まん延防止等重点措置」(以下「重点措置」)は、2021年2月13日に施行された新型コロナ対策の特別措置法で新設されたもので、適用地域では飲食店への午後8時までの営業時間短縮要請などが行われています。ただ、今ひとつわかりにくいのが、「緊急事態宣言」とどう違うのか、という点。要点は、次の表のようになります。

 

  緊急事態宣言 まん延防止等重点措置
対象地域 都道府県 都道府県内の区域(区域は知事が指定)
発出の目安 「ステージ4」で発出が視野に 基本的に「ステージ3」を想定
時短や休業対応 「時短」「休業」ともに要請と命令が可能 「時短」のみ要請と命令が可能(休業要請はできない)
命令違反の罰則 30万円以下の過料 20万円以下の過料

 

◆対象地域
都道府県が単位になる緊急事態宣言と異なり、重点措置は政府が対象とした都道府県知事が、市区町村などの特定の地域を指定します。ですから、例えば東京都が対象といっても、その全域に適用されるわけではありません。ちなみに東京では、23区のほか八王子、立川、武蔵野、府中、調布、町田の各市に適用されました。

 

◆適用の目安
感染状況を示す「ステージ」には、「病床のひっ迫具合」や「新規感染者数」など6つの指標に基づいて4段階あり、「ステージ4」=緊急事態宣言は「感染爆発段階」(爆発的な感染拡大が起き医療供給体制が機能不全に)、「ステージ3」=重点措置は「感染急増段階」(感染者数が急増 医療供給体制に支障)と定義されています。

 

◆時短や休業要請
重点措置が適用されると、緊急事態宣言同様、知事が飲食店などの事業者に対して、営業時間の短縮などを要請することができます。応じない場合には、「命令」が可能で、事業者名を公表することも認められています。しかし、緊急事態宣言で可能な休業要請は、行うことができません。

 

◆罰則
重点措置の下では、正当な理由なく「命令」に応じない事業者や、立ち入り検査を拒否した事業者には、20万円以下の過料となることがあります。緊急事態宣言では30万円以下の過料になります。

 

埼玉県など4県が追加されたことで、重点措置の全国の対象区域と期間は、次のようになっています。

 

  • 大阪、兵庫、宮城 4月5日~5月5日
  • 京都、沖縄 4月12日~5月5日
  • 東京 4月12日~5月11日
  • 埼玉、千葉、神奈川、愛知 4月20日~5月11日

 

対象となった市区町村にある飲食店などには、営業時間を午後8時までとすることなどが要請され、述べたように「命令」に従わないと罰則を科せられる可能性があります。では、時短要請に応じた店舗などへの補償は、どうなっているのでしょうか?

 

各自治体は、要請に協力した事業者に対し「感染拡大防止協力金」を支給する制度を設けています。支給対象となる業種や期間、支給額、手続きの方法などは自治体により異なりますが、例えば東京都は、重点措置期間中の協力金について、「一店舗当たり111万円から600万円を予定し、国の方針を踏まえ、今後詳細を決定する」としています。

 

「国の方針」とは、次のようなものです。

 

以下の区分に応じて算定した日額×時短要請に応じた日数分

 

(1)まん延防止等重点措置区域
〈中小企業〉

  • ①前年度又は前々年度の1日当たり売上高が10万円以下の店舗:4万円
  • ②前年度又は前々年度の1日当たり売上高が10万円から25万円の店舗:(1日当たりの売上高)×0.4の額
  • ③前年度又は前々年度の1日当たり売上高が25万円以上の店舗:10万円

〈大企業〉
1日当たりの売上高の減少額×0.4(上限20万円)

※中小企業も上記方式を選択可能

 

(2)重点措置区域外
(4月12日から5月5日)
中小企業、大企業ともに1日当たり一律4万円
(5月6日から5月11日)
中小企業は1日当たり2.5万円~7.5万円
大企業は売上高の減少額に基づき算定(上限20万円)

※中小企業も上記方式を選択可能

 

なお、もらった協力金は「雑収入」となり、所得税が課税されます。物やサービスの提供に対する対価ではないため、消費税は課税されません。

雇用調整助成金の特例は6月30日まで「延長」

重点措置の発令に伴い、国の「雇用調整助成金」も若干の見直しが発表されました。

 

「雇用調整助成金」は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、「雇用調整(休業)」を行った場合、その間従業員に支払う休業手当に要した費用の一部を国が助成する制度です。新型コロウイルス感染症の拡大という事態に対応し、その影響により休業した事業主に対しては、支給の中身を拡充し、申請を簡素化した「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例」(特例措置)が設けられました。対象期間中は、「平時」の助成金に比べて支給の要件が緩和され、助成率や日額上限が引き上げられています。

 

コロナ禍が長期化したことから、上限額の引き上げや対象期間の延長などの制度の拡充も実施され、現在は、解雇などを行っていない中小企業については、休業および教育訓練に対して助成率10/10、1人当たり1日1万5,000円を上限とする支援が行われています。ただし、特例措置の対象期間は4月末までとされ、5月以降は縮減される予定です。

 

今回の見直しは、重点措置の適用区域に関しては、その特例対象期間を延長して、6月30日までとする、というものです。また、大企業については、従来解雇などがない場合に3/4だった助成率が、中小企業と同じ10/10に引き上げられることになりました。

 

この特例の「重点措置適用地域ごとの対象期間」を整理すると、次のようになります。

 

  • 大阪、兵庫、宮城 4月5日~6月30日
  • 東京、京都、沖縄 4月12日~6月30日
  • 埼玉、千葉、神奈川、愛知 4月20日~6月30日

 

この期間の休業手当が、今説明した雇用調整助成金の特例措置の対象になるわけです。

まとめ

緊急事態宣言との違いがわかりにくい「まん延防止等重点措置」ですが、それに伴う自治体ベースの「協力金」が設けられています。国の雇用調整助成金も、一部見直しが行われました。今後の情報にも注意しながら、対象となる場合には、忘れずに申請するようにしましょう。疑問点などは、各自治体窓口や、税理士などの専門家に相談を。

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