学資保険に加入していたら確定申告が必要?
学資保険と税金の関係とは

学資保険に加入していたら確定申告が必要?  学資保険と税金の関係とは
公開日:
2021/05/19
 
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子供がいる家庭で、考えなければならないことのひとつとして、教育に関する資金があります。その資金として役立つのが学資保険です。

 

実は、学資保険の支払いや受け取りには、税金が関係してきます。また、確定申告が必要な場合もあります。そこで、この記事では学資保険と税金、確定申告について詳しく解説します。

そもそも学資保険とはどんなもの?

学資保険と税金、確定申告の関係を見ていく前に、そもそも学資保険とはどのようなものかを見ていきましょう。

 

学資保険とは、子供の将来の教育資金を貯蓄するための保険のことです。保険料を毎月支払うことで、子供が契約時に定めた年齢になると満期保険金が支払われます。

 

メリットとして支払額の合計よりも多い金額の満期保険金を受けとることができる、無理なく教育資金を貯蓄することができる、加入時に保険金の受け取りの時期や方法を決めることができるなどがあります。このように、さまざまなメリットがあるため多くの家庭で利用されている保険です。

 

学資保険は、子供がケガや病気になった場合にも、保障を受けることができるものが多く、生命保険会社などが運営しているため、生命保険のひとつともいえます。

学資保険を支払った場合の税金と確定申告

学資保険の支払いや受け取りには、税金が関係してきます。ここでは、学資保険を支払った場合の税金と確定申告について見ていきます。

学資保険料は生命保険料控除の対象となる

学資保険は、生命保険会社などが運営している生命保険のひとつです。そのため、学資保険の保険料は生命保険料控除の対象となります。

 

生命保険料控除とは、生命保険料の支払額に応じて、一定金額の控除が受けられるという所得控除のひとつです。所得税を求めるための計算式を簡単に表すと、次のようになります。

 

所得税の金額=(所得金額-所得控除)×所得税率

 

所得控除の金額が大きくなれば、それだけ納める税金の金額は低くなります。学資保険の生命保険料控除は、次の表にあてはめて求めます。

 

学資保険料の年間の支払額 控除額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下 支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下 支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円

 

たとえば、月5,000円の学資保険を支払う場合、年間の保険料支払額は5,000円×12か月=60,000円となるため、控除額は次のようになります。

 

控除額=60,000円×1/4+20,000円=35,000円

 

※この表は、平成24年1月1日以後に締結した保険契約に対するものです。平成23年12月31日以前に締結した保険契約については、計算式が異なるので注意が必要です。

サラリーマンは確定申告が不要

学資保険の保険料は生命保険料控除の対象です。それでは、控除を受けるための手続きはどうしたら良いのでしょうか。学資保険の保険料で生命保険料控除を受けるための手続きは、サラリーマンと個人事業主で異なります。

 

・サラリーマンにおける生命保険料控除の手続き

サラリーマンの場合は、年末調整で生命保険料控除を受けることができます。年末調整で生命保険料控除を受けるためには、「給与所得者の保険料控除申告書」と「生命保険料控除証明書」が必要です。

 

「給与所得者の保険料控除申告書」の用紙は、年末調整の時期に会社から渡されます。「生命保険料控除証明書」は、9月~10月ぐらいに生命保険会社から送付されてきます。生命保険料控除証明書を見ながら「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を記入します。

 

必要事項を記入後「給与所得者の保険料控除申告書」と「生命保険料控除証明書」を会社に提出すると、年末調整で生命保険料控除を受けることができます。サラリーマンは年末調整で生命保険料控除を受けることができるので、確定申告は不要です。

 

・個人事業主における生命保険料控除の手続き
個人事業主は、サラリーマンのように年末調整はできません。そのため、確定申告で学資保険料の生命保険料控除を受けることになります。

 

確定申告で学資保険料の生命保険料控除を受けるためには、確定申告書と「生命保険料控除証明書」が必要です。

 

確定申告書第一表と第二表にそれぞれ、生命保険料控除について記載する箇所があるため、そこに生命保険料控除の額などを記載し「生命保険料控除証明書」を添付して税務署に提出します。

学資保険を受け取った場合は受取人によってかかる税金が異なる

ここまでは、学資保険を支払った場合の税金の処理について見てきました。ここからは、学資保険を受け取った場合の税金の処理を見ていきましょう。

 

学資保険では、支払った保険料よりも多くの満期保険金を受け取ることができます。いわば、利益が出ていることと同じことになるので、税金が課されます。しかし、学資保険では、契約時に受取人を選ぶことができます。実は、受取人が誰かによって、学資保険を受け取った場合にかかる税金の種類が異なります。

 

具体的には、契約者と受取人が同じなのか異なるのかで、税金の取り扱いが異なります。それぞれについて見ていきましょう。

契約者と受取人が同一の場合

契約者と受取人が同一の場合は、所得税の課税対象となります。たとえば、父親が契約者、被保険者が子供、受取人が父親のようなケースです。この場合は、契約者と受取人がどちらも父親なので、所得税の課税対象です。

 

次に考えなければならないのが、受け取り方法です。一般的に学資保険では、満期時に満期保険金を一括で受け取る方法と、毎年分割で受け取る方法の2つを選択でき、それぞれでどの所得になるのか、また所得金額の計算方法が異なります。

 

・満期保険金を一括で受け取る場合
満期時に満期保険金を一括で受け取る場合では、一時所得に該当します。学資保険の受け取りによる一時所得金額の計算は、つぎの計算式で求めます。

 

学資保険の受け取りによる一時所得金額=満期保険金の金額-保険料の総支払額-特別控除額(最高50万円)

 

※一時所得は、所得金額の1/2を給与所得など他の所得と合算し、合算した後の金額の税率を乗じて納める所得税の金額を計算します。

 

たとえば、満期保険金が200万円、保険料の総支払金額が180万円の場合、満期保険金の金額200万円-保険料の総支払額180万=20万円で、特別控除50万円を下回るため、所得税は課されません。

 

・満期保険金を毎年分割で受け取る場合
満期保険金を毎年分割で受け取る場合は、雑所得に該当します。学資保険の受け取りによる雑所得金額の計算は、つぎの計算式で求めます。

 

学資保険の雑所得=学資年金額-(保険料総額 ÷ 年金受取回数)

 

たとえば、1年間に受け取る学資保険(学資年金額)が100万円、保険料総額が360万円、年金受取回数が4回の場合は、次のようになります。

 

学資保険の雑所得=学資年金額100万円-(保険料総額 360万円÷ 年金受取回数4回)=10万円となります。

 

※上記の計算式は、学資年金の金額が毎年同じ場合の簡易的なものです。受け取る学資年金の金額が毎年異なる場合は、複雑な計算となります。その場合は、税理士などの専門家にご相談ください。

契約者と受取人が別の場合

契約者と受取人が別の場合は、所得税ではなく、贈与税の課税対象となります。たとえば、父親が契約者、被保険者が子供、受取人が子供のようなケースです。この場合は、契約者と受取人が違うため、贈与税の課税対象です。

 

贈与税では、1年間に110万円の基礎控除があります。1年間に110万円以上の受取額がある場合は、贈与税がかかります。贈与税では、これまでに支払った保険料は関係なく、受取額がすべて対象となるため、受取金額が高くなると、納める税金が大きくなります。

まとめ

学資保険は、支払額の合計よりも多い金額の満期保険金を受けとることができ、無理なく教育資金を貯蓄することができる保険で、支払い時には所得控除も受けることができる、とてもメリットが多い保険です。

 

受取時には、受取人が誰かによってかかる税金が異なります。学資保険に加入する場合は、保険金の受取時のことも考えて契約をしたほうが良いでしょう。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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