クルマ選びは年内が有利? 新「エコカー減税」「環境性能割」を解説 | MONEYIZM
 

クルマ選びは年内が有利?
新「エコカー減税」「環境性能割」を解説

地球温暖化や排ガス対策として、電気自動車などの「次世代車」をはじめとする「エコカー」が注目されています。こうした環境性能の高い自動車には、その導入を促す目的で、2009年4月から自動車重量税の減免=「エコカー減税」が実施されています。当初は今年4月までの予定だったこの制度ですが、2021年度税制改正で、23年4月まで2年間延長されることが決まり、同時に税の減免の基準も改められました(2021年5月1日から)。これとは別の制度である「環境性能割」なども含め、「自動車と環境」に関連する税についてまとめました。

税制改正では、より高い環境性能が要求された

税の減免の対象となる「エコカー」とは、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)、天然ガス自動車、プラグインハイブリッド車の「次世代車」と、国土交通省の定める排出ガスや燃費に関する基準を満たしたガソリン車、ハイブリッド車などを指します。

 

「エコカー減税」は、条件を満たした自動車には、車検の際に課税される自動車重量税が減免される制度です。21年度税制改正で、2年間延長されるとともに、燃費の基準が、従来のガソリン1ℓ当たり17.6㎞から25.4㎞に引き上げられました。国は減税の条件として、従来よりも高い環境性能を求めたわけです。

 

乗用車については、具体的に次のようになりました。

国土交通省「エコカー減税(自動車重量税)の概要」より抜粋

ちょっとわかりにくいかもしれませんので解説すると、「令和12年度燃費基準」というのは、今説明した高い環境性能の新基準(2030年度を目標年度とする基準)のこと。注にある「初回継続検査」というのは、車を購入して1回目の「車検」のことを指しています。

 

まとめると、

  • EVやプラグインハイブリッド車などについては、
    燃費性能などを問わず、新車新規登録時と初回の車検時に免税
  • ガソリン車、ハイブリッド車などについては
    新燃費基準120%達成→新規登録時と初回の車検時が免税
    同90%達成→新規登録時のみ免税
    同75%達成→新規登録時のみ50%減税
    同60%達成→新規登録時のみ25%減税

ということになります。

 

一方、クリーンディーゼル車については、ハイブリッド車などに比べて環境性能が劣ることから、エコカー減税の対象から外されることになりました。ただし、同車を主力とするメーカーへの影響を考慮し、対象除外まで2年間の経過措置が設けられました。従来の燃費基準を達成する車については、21年、22年度の新規登録時のみ免税、新燃費基準120%達成の場合は、新規登録時と初回の車検時に免税となります。

「環境性能割」の「1%軽減措置」は、今年末まで

さて、環境性に優れる自動車に対する税の軽減措置は、エコカー減税だけではありません。1つが、自動車の購入時に価格に課税される「環境性能割」という制度です。

 

同様の税には「自動車取得税」(登録車=軽自動車の規格を超える大きさの自動車は3%、軽自動車は2%)がありましたが、2019年に廃止され、同年10月1日から排出ガスや燃費性能に応じて税が減免されるかたちに改められました。税率は、登録車が0~3%、軽自動車が0~2%となっており、EVやプラグインハイブリッド車などは、やはり非課税です。

 

現行制度の適用期間は23年3月31日までですが、実は現在、税率を1%軽減する臨時的軽減措置が行われています。もともと消費税増税による需要減を抑制するために20年9月30日までの時限措置として導入されたものでしたが、その後の新型コロウイルス感染症の拡大を踏まえて今年3月31日まで延長され、さらに今年12月31日まで、9ヵ月間再延長されました。課税対象のガソリン車、ハイブリッド車などの購入を検討するなら、今年中がお得ということになります。

「軽課」と「重課」がある「自動車税のグリーン化特例」

また、EV、FCV、天然ガス自動車、プラグインハイブリッド車については、適用期間中に新車新規登録を行った場合に限って、その翌年度分の自動車税が「概ね75%軽減」される「自動車税のグリーン化特例」が実施されています。今年4月1日に基準が改められ、その適用期間は、23年3月31日までとなっています。

 

なお、この特例では、反対に「重税」になるケースもあります。新車新規登録などから一定期間経過した自動車については、「概ね15%の重課」となるのです。

 

具体的には、

  • 13年超のガソリン車、LPG車
  • 11年超のディーゼル車

が対象となり、EV、FCVなどは、これらの期間を経過しても重課の適用はされません。

 

環境性能のいい自動車は税を軽減し、「古く」なってその性能が劣るようになった車には逆に高い税金を課すことで、前者の普及を促進しようというわけです。重課の対象になる自動車を保有する場合には、買い替えを検討してみるのもいいのではないでしょうか。

まとめ

新たな基準のエコカー減税をはじめ、適用期間の定められた自動車関連税の減免措置が実行されています。また、まだまだ高額のEV、FCVなどの次世代車に関しては、購入時に国や自治体から補助金が出る場合もあります。車の買い替えなどを考える際には、そうした制度をよく調べ、賢い買い物をしましょう。

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