事業再構築補助金は個人事業主やフリーランスも対象? 申請方法や補助内容を解説 – マネーイズム
 

事業再構築補助金は個人事業主やフリーランスも対象?
申請方法や補助内容を解説

公開日:
2021/08/12
 
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新型コロナウイルスが蔓延し、外出自粛が続く中、売上の低下や経営難に苦しんでいる企業も多いです。そんな中小企業・中堅企業の、事業の方向転換や新規事業の展開などによる現状打破を応援する制度として、事業再構築補助金の公募が2021年3月から開始されました。この記事では、事業再構築補助金という制度や、審査項目等についてご紹介します。

中小企業等を支援する事業再構築補助金

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、新しい分野の展開や事業転換・事業再編など、意欲的に事業の再構築に挑戦する中小企業に対して支援する補助金のことです。新型コロナウイルスが蔓延している現状では、コロナ禍で打撃を受けてしまった企業が売り上げを回復することは難しい状況にあります。事業再構築補助金は、こうした経済社会の変化に対応すべく、日本経済の構造を変えることを目的に、挑戦意欲の高い中小企業を支援する取り組みです。中小企業だけではなく、個人事業主・フリーランスも事業再構築補助金の対象とされています。

 

事業再構築補助金を受け取ることで、コロナの影響で経営難に苦しんでいる企業でも、自社の強みを活かした方向転換や新しい事業を展開できます。ただし、事業再構築補助金を受け取るためには、審査に通る必要があります。事業計画の不備等によって審査に落ちることを避けるため、事業計画書の正当性を確認し直しましょう。

対象となる事業者の条件

事業再構築補助金の対象となる事業者の条件は下記の3点です。条件を全てクリアしていないと事業再構築補助金の申請が通らないので、注意しましょう。

  • 売り上げが一定額以上減っている
    確認するのは、2020年10月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3か月の合計売上高です。コロナ以前(2019年または2020年1~3月)の合計売上高と比較して、合計売上高が10%以上減っている場合は条件を満たしています。
  • 事業再編に取り組む
    新分野展開や業態転換など、中小企業等の事業活動「事業再構築」を行う必要があります。業態転換とは、もともとの事業内容は変えずに売り方などを変更することを言います。具体的には、「アパレルショップの販売方法を店舗型からネット販売型に変更する」といった形です。事業再構築指針については、中小企業庁の「事業再構築指針」にて詳しく記載されているので、こちらを確認しましょう。
  • 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
    認定経営革新等支援機関とは、専門的知識や実務経験のレベルが国に認定された機関のことです。この認定経営革新等支援機関と、事業計画を策定する必要があります。 事業計画で補助金額が3,000万円を超える場合は、銀行や信金などの金融機関も参加して策定します。金融機関が認定経営革新等支援機関も合わせ持つ場合は、金融機関のみで事業計画を策定できます。また、事業計画には以下のうち、どちらかの増加達成を見込んで策定しなければなりません。

    • 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均0%以上の増加 (グローバルV字回復枠は5.0%)
    • 従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0%)以上
    • ここでいう付加価値額とは、事業活動によって生まれた価値を数値化した金額のことで、営業利益・人件費・減価償却費を足し合わせたものです。

事業再構築補助金の補助額・補助率

事業再構築補助金の補助額・補助率は、中小企業と中堅企業で変わります。各企業の事業再構築補助金の補助額・補助率について、確認していきましょう。

中小企業

補助額 補助率
通常枠 100万円~6,000万円 2/3
卒業枠 6,000万円超~1億円 2/3
通常枠

一般的な中小企業は、通常枠の事業再構築補助金を受け取れます。必要な活動資金のうち、2/3を事業再構築補助金で賄うことが可能です。

卒業枠

卒業枠とは、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠のことです。事業計画期間内に「組織再編・新規設備投資・グローバル展開」のいずれかにより、資本金か従業員を増やしたい事業者におすすめです。卒業枠で申請が通れば、通常枠より事業再構築補助金の補助額が高くなります。なお、卒業枠は400社限定となっています。

中堅企業

補助額 補助率
通常枠 100万円~8,000万円 1/2(4,000万円超は1/3)
グローバルV字回復枠 8,000万円超~1億円 1/2

中堅企業は以下に当てはまる法人のことを指します。

  • 中小企業基本法に定める中小企業者に該当していない
  • 資本金の額、または出資総額が10億円の未満の法人
  • 資本金の額、または出資総額が定められていない場合、常勤従業員数が2,000人以下
通常枠

一般的な中堅企業は、中小企業と同様に通常枠の事業再構築補助金を受け取れます。中小企業の通常枠より補助額の上限は高くなりますが、補助率は少なくなります。

グローバルV字回復枠

グローバルV字回復枠とは、中堅企業が利用できる事業再構築補助金の特別枠のことです。グローバルV字回復枠としてみなされるには、以下の要件3つを全てクリアする必要があります。

  • 2020年10月以降の連続する6か月間のうち任意の3か月の合計売上高と比較して、コロナ以前の同じ3か月の合計売上高が15%以上減少している中堅企業
  • 補助事業終了後3~5年で、付加価値額か従業員一人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定すること
  • グローバル展開を果たす事業であること

 

グローバルV字回復枠で事業再構築補助金の申請が通れば、より多くの補助額が受け取れます。なお、グローバルV字回復枠は100社限定となっており、中小企業の卒業枠よりもさらに狭い枠となっています。

緊急事態宣言特別枠

補助額 補助率
5人以下 100万円~500万円  
中小企業:3/4
中堅企業:2/3
 
6人~20人 100万円~1,000万円
21人以上 100万円~1,500万円

緊急事態宣言特別枠とは、緊急事態宣言の影響で事業再構築が早急に必要な中小企業等向けに作られた特別枠のことです。要件をクリアすれば、従業員数に合わせて上記の補助額とより高い補助率で事業再構築補助金を受け取れます。緊急事態宣言特別枠は優先的に審査され、申請が通らなくても通常枠で再審査されます。デメリットが少ない制度ですので、要件がクリアできそうな事業者はぜひ検討してみましょう。

緊急事態宣言特別枠を受け取る要件

緊急事態宣言特別枠を受け取る要件は、下記の通りです。

  • 通常枠の申請要件を満たしている事業者
  • 2021年1~6月のいずれかの月の売上高が、対前年か前々年の同月より30%以上減少している事業者

要件さえクリアできれば、地域や業種問わず緊急事態宣言特別枠として補助金を受け取れます。ただし、緊急事態宣言特別枠には限りがあるので、注意しましょう。

補助の対象となる経費は?

主要な経費

事業再構築補助金の対象となる主要な経費は、下記のような事業の設備や必要投資にかかる費用です。

  • 建物費(建物の建築・改修、撤去、賃貸物件等の原状回復)
  • 設備費
  • システム購入費

事業内容の対象として明確なものに関しては、経費として補助の対象になります。

上限の定められる可能性の高い関連経費

主要経費と関連経費で分けられていることから、下記のような関連経費は、事業再構築補助金で計上できる上限が定められる可能性が高いです。

  • 外注費(製品の加工や改修など)
  • 研修費
  • 広告宣伝費

また、関連経費だけでは計上の対象になりません。 必ず、主要な経費も含めて計上するようにしましょう。

対象外となる経費

下記のようなものにかかる費用は、事業再構築補助金の経費として対象外です。

  • 従業員の人件費や旅費
  • 不動産や汎用品(パソコン、スマートフォンなど)の購入費
  • 消耗品費

他にも、車両費や販売する商品の原材料費も、対象外となっています。どの事業にも必要になるようなものに関しては、事業再構築補助金の対象外になるので、注意しましょう。

審査項目

事業再構築補助金の審査項目は、主に下記の5つです。これらの項目を漏れなく、そして審査員が納得できるような記述をしなければ、事業再構築補助金を利用できません。

補助対象事業としての適格性

事業再構築補助金の要件を満たしているかについて審査されます。「対象となる事業者の条件」で紹介した3つの条件を満たしているかどうかが鍵となります。

事業化点

  • 事業への実施性があるか
    社内の人材や事務処理能力といった事業を始めるために必要な体制や近頃の財務状況から、補助金を支援しても事業を実施できるかを確認されます。また、金融機関などから資金の調達ができる見込みがあるのかも必要となります。
  • 市場ニーズがあるか
    市場ニーズがしっかり検証されているのかを確認されます。 具体的には、競合他社の動向や市場規模の把握が当てはまります。
  • スケジュールは最適か
    事業開始から実施方法、収益までのスケジュールに妥当性があるかを確認されます。 補助事業の課題と解決方法の明確さ・妥当性も必要となります。
  • 収益性はあるか
    補助金を使った新事業で、収益性があるのかを確認されます。また、会社の強みと新事業のシナジー効果があり、効果的な取り組みとして成立しているのかも見られます。

再構築点

  • 事業再構築指針に沿っているか
    新事業が「事業再構築指針」に沿った内容かを確認されます。 他にも、リスクの高さや事業再構築の大胆さもポイントとして挙げられています。
  • 事業再構築の必要性があるか
    事業を再構築する必要性があるのかを確認されます。 新型コロナウイルスの影響で、売り上げが落ちたり深刻な被害が生じたりしているのかを見られます。
  • 「選択と集中」が最適か
    「選択と集中」を戦略的に組み込んで、会社の強みや市場ニーズを踏まえた最適な取り組みになっているのかを確認されます。
  • 地域の技術革新への貢献性があるか
    新事業を通じて、地域の技術革新へ貢献しているのかを確認されます。

政策点

  • 日本の経済成長につながるか
    最先端のデジタルや低炭素技術を使った新事業で、日本の経済成長につながるかを確認されます。
  • 投資内容に有効性があるか
    新事業の投資内容は、新型コロナウイルスで受けた影響を回復する有効性があるのかを確認されます。
  • 新事業が差別化できているか
    新事業が、ニッチ分野においてマーケティングや製品などの差別化ができて、グローバル市場でも活躍できる潜在成長力があるのかを確認されます。
  • 雇用の創出性や地域経済の発展性があるか
    新事業で、雇用の創出性や地域経済の発展性があるかを確認されます。
  • 高い生産性向上が期待できるか
    複数の会社が連携して事業に取り組んでサービスを提供するなど、高い生産性向上が期待できるかを確認されます。また、それぞれの会社の強みを活かして新製品の開発を行うことによる経済的波及効果の期待も見られます。

加点項目

加点項目に関しては、書類を提出して要件の一致が確認できると、加点できます。

  • 売上高の30%以上の減少
    2021年に日本が出した緊急事態宣言により影響を受けた会社が対象。2021年1月~6月のいずれかの月の売上高が、対前年か前々年同月比で30%以上減少していると加点されます。
  • 固定費が協力金を上回る
    2021年1月〜6月のいずれかの月の固定費が、同じ時期に給付した協力金を上回ると加点されます。ただし、「売上高の30%以上の減少』の要件を満たしていないと加点の対象外になります。
☆ヒント
事業再構築補助金を受け取ることができれば、コロナの影響で経営難に苦しんでいる企業でも、自社の強みを活かした方向転換や新しい事業を展開することも可能です。事業計画の不備等によって審査に落ちてしまうことがないよう、顧問税理士に相談してもらいましょう。

まとめ

事業再構築補助金は、新型コロナウイルスで甚大な影響を受けた中小企業を支援する補助金です。条件を満たした中小企業であれば、新事業に必要な資金を最大で半額国が負担してくれます。審査項目を意識しつつ事業再構築補助金を利用し、新事業による方向転換で経営難を乗り越えましょう。

宮脇佑介
一橋大学経済学部卒。 卒業後は、大手銀行で営業・融資担当として勤務し、法人融資や個人向け住宅ローンなどの業務を経験。 現在は、個人事業主として、会計・申告、税務経験に加え、飲食店の経理・税務補助、コロナ関連給付金・補助金申請等の実務を経験。 誰にでも分かる言葉で、丁寧にポイントを解説していきます。
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