会計ソフトはなんとか使えるようになった! でも、簿記の基本ってなに? | MONEYIZM
 

会計ソフトはなんとか使えるようになった!
でも、簿記の基本ってなに?

起業したての個人事業主の場合、帳簿をつけるために会計ソフトを導入するケースが多いと思います。そして、簿記初心者にやさしい会計ソフトもたくさんあります。
この記事では、そんな簿記初心者の個人事業主に会計ソフトと簿記の基本の関係について解説します。

簿記の初心者でも使える会計ソフト

会計ソフトに入力するだけで確定申告までできるソフト

最近はクラウド型の会計ソフトがとても使いやすくなり、月額1,000~2,000円程度で利用できるようになりました。

この記事では、青色申告者として事業を始めた簿記初心者を対象に、「会計ソフトを利用すること」が簿記の基本的な考え方とどうマッチするのかをわかりやすく解説します。

 

はじめに、会計には「簿記一巡の手続き」という考え方があります。それは、次の一連の動きを繰り返すことをいいます。

 

  • ①業務の取引について仕訳入力をして仕訳帳を作成
  • ②総勘定元帳の各勘定へ転記
  • ③決算により帳簿を締め切る
  • ④損益計算書や貸借対照表を作成する

 

大まかにいえば、会計ソフトの利用によって、簿記一巡の手続きのうち、①で仕訳入力をすれば、②から④までの仕事はほとんど会計ソフトがカバーするというわけです。簿記一巡の手続きを知ることによって、実は会計ソフトがどのようなことをしているのかがわかります。会計ソフトへのさらなる理解という点から簿記一巡を見ていきましょう。

簿記一巡における「会計ソフト」のカバー範囲

「会計」という用語は実に多くのとらえ方がありますが、ここではわかりやすく、「経済的な取引の表現」とします。そしてその中で、簿記は「ルールに沿った帳簿のつけ方」を取り扱います。

 

簿記一巡の「一巡」とは、一会計期間という意味なので、「簿記一巡」とは、一会計期間に行われる簿記ということです。

 

一会計期間において、上図のように簿記一巡の手続きとしては「仕訳」と「転記」、そして「集計」が繰り返し行われて決算まで進みます。

会計ソフトを利用すると、「転記」と「集計」にあたる赤い点線で囲まれた部分をカバーしてくれます。

この図を見ると、仕訳を入力すれば会計ソフトが入力データを最後まで面倒見てくれるように見えますが、仕訳をするにあたっては、領収書や請求書などの証憑を確認し、さらに勘定科目を決めなければなりません。

入力が間違っていないかどうかを総勘定元帳や試算表、損益計算書などで確かめる必要があります。

この図では決算までですが、さらに確定申告書までカバーする会計ソフトも多くあります。

 

事業所得や不動産所得などが申告の対象となる個人事業主は、会計ソフトで作成した貸借対照表・損益計算書の電子データがあれば、電子申告は可能です。

 

電子申告において注意しておきたい点は、青色申告者に提出が求められているのは青色申告決算書(貸借対照表・損益計算書)の「電子データ」ということです。

Excel形式やPDF形式で会計ソフトから出力ができても、「電子申告用データ」として送信することはできません。青色申告決算書は「XML形式」で送付することにより電子申告となります ので注意しましょう。

自動仕訳機能の利用でさらに効率化!

クラウド型会計ソフトの自動仕訳とは?

クラウド型の会計ソフトの特徴として、「自動仕訳機能」が挙げられます。

 

自動仕訳とは、インターネットバンキングやクレジットカードなどから取引情報を入手し、自動で会計仕訳を作成する機能です。

 

 

自動仕訳機能を利用すると、会計ソフトが仕訳入力の一部をカバーします。先ほどの図と比較した場合、赤い枠で示した会計ソフトのカバー範囲は広がりました。

 

各会計ソフトにより、どこまでの自動化機能が備わっているかはさまざまです。補助機能として自動仕訳を搭載しているものや、自動仕訳機能がその会計ソフトの特徴であるものまであります。

 

自動仕訳を利用するメリット・デメリットは次のとおりです。

 

自動仕訳のメリット

  • 仕訳入力作業の時間が短縮される、人手不足が解消できる
  • 金融機関のサイトをチェックしなくても入出金結果などが連携される
  • 自動仕訳機能を利用することだけで特にコストはかからない

 

自動仕訳のデメリット

  • セキュリティの問題(パスワードなどが自動連携されることへの不安がぬぐえない)
  • 根気よく仕訳を設定(※)するのが面倒である
  • 一旦間違った仕訳設定をしてしまうと、修正しない限り間違い続ける

 

※自動仕訳の設定とは、主に次のようなものがあります。設定方法はそれぞれの会計ソフトで異なります。

  • インターネットバンキング、クレジットカードなど外部と連携する際のIDや口座番号、パスワード、連携の頻度などの設定
  • 「この取引内容であれば、この勘定科目を使い、このような仕訳をする」などの仕訳ルールの設定
  • 仕訳ルールとして登録済み仕訳のチェック(勘定科目、補助科目、摘要)など

 

メリット・デメリットをまとめると、ある程度の簿記の知識がある場合に自動仕訳の利用をおすすめします。

業務の取引数、金融機関との取引の頻度などを検討し、徐々に自動仕訳を導入していくとよいでしょう。重要なIDやパスワードの管理を会計ソフトに任せるわけですから、その会計ソフト自体の認知度や信頼性も視野に入れたいものです。

 

自動仕訳を利用する場合には、作成された仕訳の確認が必要です。

自動仕訳のチェックを画面上で行うか、プリントアウトしてチェックするかなど、検証性が高く効率のよい方法を模索していく過程は必要不可欠です。

クラウド型会計ソフトによる自動仕訳例

自動仕訳が可能となる仕訳の具体例をご紹介します。自動仕訳は、設定したタイミングで、まず仮の仕訳が作成され、確認後仕訳帳に転記されます。

 

得意先からの売掛金の入金例

日付 借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額 摘要
入金日 普通預金 X,XXX 売掛金-(ヤマダ商店) X,XXX ヤマダイチロウ

自動仕訳設定時に、売掛金などは上のように補助科目を設定しておくとよいでしょう。

 

新聞代、雑誌代など定期的な口座引落とし例

日付 借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額 摘要
引落日 新聞図書費など X,XXX 普通預金 X,XXX ○○シンブン

 

備考欄も連携されるものが多いですが、〇月分等の補記が必要となるケースもあります。

 
事業用で利用しているクレジットカードの引落とし例

日付 借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額 摘要
引落日 未払金など X,XXX 普通預金 X,XXX ○○カード

カードの引落としは合算されているので明細を確かめ、計上漏れがないかをチェックします。

 

クレジットカード利用時の未払金計上例

日付 借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額 摘要
利用日 ○○費用 X,XXX 未払金-カードA X,XXX ○○購入

クレジットカード会社と提携している会計ソフトでは、クレジットカードの利用時の自動仕訳も可能です。

この場合は、2点を注意します。まず、必要経費の勘定科目は必ず確認する必要があること。そして、事業用にカードを複数枚利用するときは、補助科目を設定するなど引落し時の仕訳がしやすいようにします。

会計ソフトにおける不安は「仕訳」の不安

実業務と会計ソフトだけでは心配な場合

65万円控除をめざす青色申告者に最低求められる会計帳簿は、「仕訳帳」と「総勘定元帳」です。

したがって、会計ソフトを導入し、仕訳入力がいくつかできた場合は、その時点で「仕訳帳」と「総勘定元帳」は作成されています。

 

しかし、会計ソフトの転記や集計について、どうしても「ブラックボックス」のようなイメージがぬぐい切れないことがあるかもしれません。それは、おそらく仕訳そのものがよく理解できていないためでしょう。

仕訳はずっと続くものですから、「仕訳」について学ぶ機会を持つことをおすすめします。

税務署も利用しよう!各種支援状況

各税務署においても、仕訳や記帳に関するあっせんや支援を行っています。記帳指導内容は、最寄りの税務署に確認 してください。

 

【記帳説明会】
白色申告で、営業所得、農業所得、不動産所得などの業務を行っている人が対象です。税務署の職員が講師となって説明したり、各国税局が事業者等に委託したりします。

 

【国税局主管による企業指導】
記帳指導を希望する人向けに、記帳の仕方など会計全般及び確定申告の仕方までの指導を各国税局が事業者に委託して行っています。

 

  • 会計ソフト方式
    指導会場で会計ソフトを使って、記帳の方法等の説明をします。パソコンは会場に準備されたものを使います。
  • 説明会方式
    指導会場において記帳の仕方等について一般的な資料に基づき説明します。
  • 個別指導方式
    記帳指導を実施する方の自宅又はリモートで、記帳指導を受けられる方が備え付けている帳簿等に基づき指導します。記帳の仕方の指導から決算の方法、e-Taxなど

まとめ

個人事業主の場合、取引内容はよく理解しているので、机上で簿記を始める人よりも仕訳への理解度は深く、修得も早いのではないでしょうか。

会計ソフトで利用する自動仕訳は、そのチェックが重要です。チェックを素早く済ませるために、仕訳は「シンプル」をモットーにしましょう。

岡和恵
大学卒業後、2年間の教職を経て専業主婦に。システム会社に転職。 システム開発部門と経理部門を経験する中で税理士資格とフィナンシャルプランナー資格(AFP)を取得。 2019年より税理士事務所を開業し、税務や相続に関するライティング業務も開始。
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