新型コロナで従業員に支給する「見舞金」は 非課税扱いになるのか? – マネーイズム
 

新型コロナで従業員に支給する「見舞金」は
非課税扱いになるのか?

公開日:
2021/09/10
 
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緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置の対象地域が全国規模に拡大されるなど、新型コロナの社会、経済に対する影響が長期化しています。そうした中で、公的な支援とは別に、会社が従業員に対して「見舞金」を出すようなケースがあります。通常の慶弔見舞金は原則として非課税ですが、こうした場合も同じ扱いと判断していいのでしょうか? 国税庁の見解を踏まえて解説します。

慶弔見舞金の課税関係

会社が支給する見舞金とは?

最初に会社が従業員に対して支給する「慶弔見舞金」の課税関係について、おさらいしておきます。慶弔見舞金は、従業員の業務に対するモチベーションアップや離職の防止、求職者に向けた企業のイメージアップなどを目的に支給されるもので、結婚祝金、出産祝金、死亡弔慰金、入院見舞金、災害見舞金などがあります。

 

支給に法律上の定めはなく、会社にこれらを支給する義務はありません。ただし、就業規則などで支給条件、金額が明記されている(会社が制度として設けた)場合には、支払い義務が生じることになります。

給与ではなく福利厚生費

こうした性格を持つことから、慶弔見舞金は、「労働の対価」として支払われる給与には当たらず、基本的に福利厚生費として処理されます。ですから、所得税は非課税で、消費税の課税対象にもなりません。

 

ただし、非課税だからといって(非課税だからこそ)、際限なく支給できるものではなく、福利厚生費として認められるためには、「社会通念上相当の金額であること」が条件となっています。法律に「結婚祝い金はいくらまで」といった規定があるわけではありませんが、「法外に」高額な場合などには給与とみなされ、課税される可能性もあります。

「コロナ見舞金」も条件を満たせば非課税に

3つの条件がある

では、例えば「新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言下において従事する従業員に、5万円の見舞金を支給する」といった基準を設けて支給を行った場合には、同様に非課税となるのでしょうか? もし、課税対象であれば、会社は支給分にかかる税金を源泉徴収(天引き)しなくてはなりません。

 

ひとことで言えば、課税か非課税かはケースバイケース。国税庁は、次の3つの条件を満たした場合、「所得税法上、非課税所得に該当する」という見解を示しています。詳しくみていきましょう。

 

なお、緊急事態宣言が解除されてから相当期間を経過して支給の決定がされたものについては、そもそも「見舞金」とはみなされない(非課税にはならない「給与」となる)可能性がありますから、注意してください。

【条件1】「心身又は資産に加えられた損害である」こと

1つ目は、「その見舞金が心身又は資産に加えられた損害につき支払を受けるものであること」で、具体的には次のような場合が該当します。

 

  • ▼従業員等やその親族が新型コロナウイルス感染症に感染したため、支払を受けるもの
  • ▼緊急事態宣言の下において、「事業の継続を求められる事業者」の従業員等で、次のいずれにも該当する者が支払を受けるもの
    • 多数の者との接触を余儀なくされる業務など、新型コロナウイルス感染症の感染リスクの高い業務に従事している者
    • 緊急事態宣言がされる前と比較して、相当程度心身に負担がかかっていると認められる者

 

「事業の継続が求められる事業者」は、医療、介護関係者のほか、国民の安定的な生活の確保(電力、ガスなどのインフラ運営関係、飲食料品供給関係、生活必需物資供給関係など)、社会の安定の維持(金融サービス、物流・運送サービス、行政サービスなど)に必要な業種などとされています。

 

また、非課税となる見舞金は、「緊急事態宣言がされた時から解除されるまでの間に業務に従事せざるを得なかったことに基因して支払を受けるものに限ります」とされています。

【条件2】「支給額が社会通念上相当である」こと

2つ目は、やはり「その見舞金の支給額が社会通念上相当であること」です。判断基準は、次の通りです。

 

  • ▼その見舞金の支給額が、従業員等ごとに新型コロナウイルス感染症に感染する可能性の程度や感染の事実に応じた金額となっており、そのことが事業者の慶弔規程等において明らかにされているかどうか
  • ▼その見舞金の支給額が、慶弔規程等や過去の取扱いに照らして相当と認められるものであるかどうか

【条件3】「役務の対価たる性質を有していない」こと

3つ目の条件は、「その見舞金が役務の対価たる性質を有していないこと」で、これも考え方は通常の見舞金と同様です。コロナ禍に際しては、次のようなケースは「非課税の見舞金」とはなりません。

 

  • ▼本来受けるべき給与等の額を減額した上で、それに相当する額を支給するもの
  • ▼感染の可能性の程度等にかかわらず、従業員等に一律に支給するもの
  • ▼感染の可能性の程度等が同じと認められる従業員等のうち、特定の者にのみ支給するもの
  • ▼支給額が通常の給与等の額の多寡に応じて決定されるもの

まとめ

コロナ禍の状況下で、事業の継続を求められる事業者の従業員に支給される見舞金は、説明したような条件を満たせば、所得税などが非課税扱いとなります。緊急事態宣言解除後、時間が経過してからの支給決定は見舞金とみなされない可能性がありますから、注意してください。

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