落とし物を届けてもらった「お礼」は 課税対象になる? – マネーイズム
 

落とし物を届けてもらった「お礼」は
課税対象になる?

    公開日:
    2021/11/10
     
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    新型コロナウイルス感染症による移動制限などにより、警察に届けられる落とし物の数が激減している、というニュースがありました。ところで、お金を届けたけれど、落とし主が現れなかったら、それは拾った人のものになります。また、落とし主が名乗り出た場合でも、一定額の「お礼」がもらえることになっているのは、ご存知だと思います。例えば、これらのお金には税金がかかるのでしょうか? 「拾得物とマネー」についてまとめました。

    コロナで減った落とし物

    東京で「拾われた」お金は年間30億円超

    2020年に、警視庁に届け出があった東京都内の拾得物は約280万6,000件で、前年に比べ3割以上減ったそうです。現金は約33億1,000万円で、やはり15%近い減少でした。コロナ禍に伴う外出自粛や商業施設などの営業時間短縮、さらには来日外国人の減少が影響したものとみられています。

     

    とはいえ、東京だけで警察に届けられるお金が1日平均900万円超というのは、やはり驚くべき数字ではないでしょうか。ちなみに、このうち落とし主に返還された現金の総額は、27億4,000万円でした。

    もらえる「お礼」は5%~20%

    警察に届けられた落とし物の扱いについては、「遺失物法」という法律に詳しく定められています。まず、落し物、忘れ物は、原則として3ヵ月間警察署などに保管され、それを過ぎると、所有権が拾い主に移る、すなわちまるまる拾った人のものになります。かつては6ヵ月間だったのですが、2007年12月の法改正により、半分に短縮されました。

     

    一方、落とし主が現れた場合にも、拾い主は、落とし物の価格の5%~20%の範囲で「お礼」(報労金)を請求する権利を持ちます。裏を返せば、落とし主には、支払う義務があるのです。現実には、拾い主が受け取りを辞退することもありますが、それはあくまでも拾った人の「厚意」で、請求された場合に、落とし主がそれを拒否することはできません。具体的な金額については、落とし主が、今の範囲内で任意に決めることができます。

    拾ったお金に課税される?

    拾得物やその報労金は「一時所得」

    高額の拾得物といえば、1980年に東京・銀座の道路脇で1億円の風呂敷包みが見つかった事件や、89年に川崎市の竹やぶから、やはり1億円近いお札の詰まったボストンバッグが相次いで発見された「竹やぶ現金事件」が有名です。前者は結局落とし主が現れず、全額が拾ったトラック運転手のものになりました。また、後者は脱税したお金を置いたという「落とし主」が現れ、拾った人にはそれぞれ10%の報労金が支払われています。

     

    1億円を拾うという「幸運」はめったにあるものではありませんが、こうしてもらったお金の課税関係はどうなっているのでしょうか? 答えは、「そのお金は、税法上の『一時所得』であり、場合によっては所得税がかかってくる」です。

     

    一時所得とはどういうものでしょうか? 国税庁ホームページでは、次のように説明されています。

     

    一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。

    この所得には、次のようなものがあります。

     

    • (1) 懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)
    • (2) 競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除きます。)
    • (3) 生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等
    • (4) 法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものを除きます。)
    • (5) 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等

     

    要するに、働いて得たり、不動産などを売って得たりしたものではない、一時的な所得と考えればいいでしょう。

    50万円を超えたら課税される

    ただし、一時所得があったから必ず課税されるというわけではありません。この所得には、50万円の特別控除額(所得から差し引ける金額)があるため、拾得物やその報労金が50万円以下の場合は、申告も納税も必要ないのです。

     

    では、50万円を超えた場合、納税額はどのように計算されるのでしょうか? まず、次の式で一時所得の額を求めます。

     

    総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(50万円)=一時所得の金額

     

    「収入を得るために支出した金額」とは、「その収入を生じた行為をするため、又は、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額」のことで、例えば競馬なら、払戻金を受けたレースの馬券の購入金額が、これに該当します。

    一時所得の1/2が他の所得と合算される

    この一時所得の金額の1/2が「課税所得」(税金がかかる所得金額)になります。この金額がサラリーマンの給与所得、個人事業主の事業所得など他の所得と合算され、所得税の税額が算出されることになります。

     

    仮に拾得物による課税所得が10万円、所得税率が20%だったら、10万円×20%=2万円、支払う所得税が増えるわけです。また、所得税は所得が増えるほど税率が高くなる累進課税という仕組みになっていますから、この一時所得が加わったために、全体にかかる所得税率がアップする(例えば20%→23%)ということも、可能性としてはあり得ます。特に「高額の拾い物」をしたときには、税金の支払いについてしっかり考えておく必要があるでしょう。

    サラリーマンでも確定申告が必要に

    50万円超の一時所得に関しては、原則として確定申告しなくてはなりません。サラリーマンも同様です。

     

    ただし、今説明した課税所得が20万円以下の場合には、サラリーマンは申告、納税の必要はありません。給与所得以外に副業で所得(雑所得)を得ている場合には、それと合計して20万円が基準になります。

    まとめ

    拾得物やその「お礼」は、50万円を超えると課税対象になり、確定申告が必要になる場合があります。申告を忘れたり、故意に怠ったりすると、税務署に申告漏れを指摘される可能性もありますから、注意しましょう。

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