吊革広告をやめる会社もある? 吊革広告の効果や会計処理とは – マネーイズム
 

吊革広告をやめる会社もある?
吊革広告の効果や会計処理とは

    公開日:
    2021/11/01
     
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    時代の変化とともに、広告のあり方も変化していきます。これは雑誌や新聞の広告だけでなく、電車内の広告にもいえることです。雑誌や新聞の広告は減少し、ネットの広告が増加していますが、中吊り広告や吊革広告はどうなっていくのでしょうか。
    ここでは、電車内の広告の現状や吊革広告の効果や会計処理を解説します。

    一部の週刊誌が中吊り広告を取り止め

    2021年8月、一部の週刊誌が電車の中吊り広告を終了するという報道がありました。そのニュースの内容は『週刊文春』が同年の8月26日発売号をもって、電車の中吊り広告の掲載を終えるというものでした。

     

    電車の中吊り広告とは、電車の中の広告のひとつで、電車内の天井部分からポスターを吊り下げで広告をするものです。週刊誌の広告は、昔から中吊り広告が定番でした。しかし『週刊文春』が中吊り広告の終了を決めたのは、インターネットが普及し、ニュースの鮮度が重要視される現代社会において、電車の中吊り広告は時代には合わなくなったと判断したためです。

     

    また、出版業界では全体として、雑誌や書籍の電子化を進めています。『週刊文春』でも電子版を開始しており、中吊り広告などのコストを削減し、電子版の強化に資本を集中させる狙いもあります。さらに、中吊り広告は紙面よりも1日早く校了をする必要があるなど、手間がかかるものでもありました。

     

    ところで、電車内の広告には中吊り広告のほかに、吊革広告もあります。中吊り広告は縮小する会社がでていますが、吊革広告はどうなっているのでしょうか。次からは、吊革広告について見ていきましょう。

    吊革広告の特徴と効果

    吊革広告は、中吊り広告とは異なり、広告を取りやめるということが大きなニュースになりません。それは、吊革広告と中吊り広告では特徴や効果が異なるためです。

     

    そこでここでは、吊革広告の特徴と効果を見ていきましょう。

    そもそも吊革広告とは

    そもそも吊革広告とは、電車内に設置された吊革部分に掲出する広告のことです。基本的には、中吊り広告電車に乗っている多くの人に見てもらう中吊り広告と異なり、吊革を持ってもらう人に向けた広告となっています。

     

    また、より地域性の高い広告が多いという特徴があり、全国一律のものというよりは、その地域にあるお店や会社の名前、商品名やキャンペーンなどを広告にしていることが多いです。

     

    基本的には、電車1編成単位、1か月単位での広告になっていることが多く、多くの人に見てもらえます。吊革という目線に近い所に広告があるため、アイキャッチ効果の高い告知媒体となります。電鉄会社などに支払う広告料は、掲載期間や鉄道会社によって金額が異なります。

    吊革広告がもたらす効果

    企業が吊革広告を利用するのは、吊革広告がもたらす効果が大きいためです。効果として、次のようなものがあります。

     

    ・広告到達率が高い
    広告到達率とは、あらかじめ決めたターゲットに、どの程度その広告が届いたかをしめす割合のことです。広告到達率が高いほど、費用対効果も高くなります。

     

    吊革広告には、手元に近い広告であるという性質上、視認性が良く、また電車に乗っている時間、広告を見る可能性が高いことから広告到達率が高いという特徴があります。

     

    ・不特定多数に対する広告効果が見込める
    電車は、通勤者や主婦、学生などさまざまな層の人が利用しています。そのため、吊革広告でより広い層に訴求することが可能です。

     

    また、商品名や店舗名などの広告であれば、不特定多数の電車利用者に向けた刷り込みによる効果が見込め、売上の増加につながるなどの効果が見込めます。

     

    ・ターゲットを限定した訴求ができる
    電車の利用層が限られている場合には、ターゲットを限定した訴求も可能になります。特に、女性専用車両に吊革広告を掲出することで、女性に向けた訴求効果が高くなります。

     

    また、広告を見た女性から友達や家族に広告の情報が伝わることで、ターゲット以外にも影響を与えることもあります。

    吊革広告の会計処理方法

    吊革広告には、さまざまなメリットがあるため、これからも利用を考える企業も多いでしょう。吊革広告を利用した場合に、注意したいのが、会計処理をどうするのかということです。

     

    ここでは、吊革広告に関係する一般的な会計処理を具体的に見ていきましょう。

     

    1.その年度内に掲載期間が終了する吊革広告を掲出した場合

    例)吊革広告に広告を掲出し、広告料40万円を普通預金から支払った

     

    借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額 摘要
    広告宣伝費 40万円 普通預金 40万円 吊革広告

     

    吊革広告を利用した場合は「広告宣伝費」で処理します。

     

    2.その年度内に掲載期間が終了する吊革広告を掲出したが、広告代金の支払いが翌年度の場合

    例)吊革広告に広告を掲出し、広告料40万円を普通預金から支払った。ただし、吊革広告に広告を掲出したのは今年度だったが、広告料の支払いは、翌年度だった。

     

    ・広告を掲出した月の仕訳

    借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額 摘要
    広告宣伝費 40万円 未払金 40万円 吊革広告

     

    広告代金の支払いは、まだ行われていないため、貸方勘定科目は「普通預金」ではなく、「未払金」で処理します。

     

    ・翌年度に広告料を支払った時の仕訳

    借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額 摘要
    未払金 40万円 普通預金 40万円 吊革広告

     

    翌年度に広告料を支払った時は、前年度の未払金を支払った会計処理を行います。

     

    ※同じ年度であっても、広告掲載月と支払月が異なる場合は、上記の未払金を使った会計処理をすることで各月の正しい利益を計算することが可能です。月単位で利益を確認したいのか、年単位で利益を確認したいのかによって、仕訳を使い分けましょう。

     

    3.事業年度をまたいで吊革広告を掲載する場合
    吊革広告の掲載期間は基本1か月単位ですが、中には長期に掲載できるものもあります。

    長期に吊革広告を掲載する場合で注意が必要なのが、事業年度をまたいで吊革広告を掲載する場合です。この場合「広告代金を支払った時」「決算月」「翌年度」にそれぞれ以下の会計処理をする必要があります。

     

    例)吊革広告料360万円を普通預金で支払った。吊革広告の掲載期間は翌年まで続き、当年度は2か月間、翌年度は1か月間掲載する。

     

    ・広告代金を支払った時

    借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額 摘要
    前払費用 360万円 普通預金 360万円 吊革広告

     

    広告代金を支払った時は、まだ広告が掲載されていないため、「前払費用」などの勘定科目で処理します。

     

    ・決算月

    借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額 摘要
    広告宣伝費 240万円 前払費用 240万円 吊革広告

     

    決算月になったら、当年度分360万円×2か月/3か月=240万円を経費にします。会計処理は、前払費用から、広告宣伝費に振り替える仕訳となります。各月の正しい利益を計算する場合には、決算月ではなく、毎月上記の仕訳(金額が1か月分の120万円)を行います。

     

    ・翌年度

    借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額 摘要
    広告宣伝費 120万円 前払費用 120万円 吊革広告

     

    翌年度になったら、残りの前払費用を広告宣伝費に振り替えます。

    まとめ

    電車内の広告には、中つり広告と吊革広告があります。中つり広告においては最近、大手週刊誌が広告の取りやめを決めるなどのニュースがありました。情報伝達にスピード性が求められるなか、中つり広告の効果を考えると、仕方のないことなのかもしれません。

     

    吊革広告も、これから減少していく可能性はありますが、広告達成率の高さや不特定多数への訴求効果など、中つり広告とは異なるさまざまなメリットがあります。地元に密着した店舗などを中心に、これから新規で広告を出す企業もあるでしょう。

     

    もし、吊革広告を掲出することがあった場合には、会計処理を理解し、広告掲載期間や支払い時期に応じて正しい仕訳を行いましょう。

    長谷川よう
    会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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