税制改正による贈与税の非課税措置の見直しとは? 見直し内容を解説 – マネーイズム
 

税制改正による贈与税の非課税措置の見直しとは?
見直し内容を解説

公開日:
2021/10/19
 
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財産を親族などに引き継ぐ方法のひとつに贈与があります。贈与をすれば、財産を受け取った側が贈与税を納める必要がありますが、一定の贈与については非課税措置があります。
ところが、令和3年(2021)年の税制改正では、贈与税の非課税措置の見直しがありました。ここでは、税制改正による贈与税の非課税措置の見直し内容を解説します。

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度

まずは、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度でどのような見直しがあるのかを見ていきましょう。

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度とは

「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度」とは、父母や祖父母など直系尊属から住宅の新築や取得、増改築などをするためのお金の贈与を受けた場合、一定の要件のもと、一定金額までの贈与を非課税とするというものです。

 

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度を受けるための要件には、大きく分けて受贈者に対する要件と住宅に対する要件があります。例えば、受贈者に対する要件の主なものは、次のようになっています。

 

・受贈者に対する要件

  • ①贈与を受けたときに贈与者の直系卑属であること
  • ②贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること
  • ③贈与を受けた年の本人の合計所得金額が2,000万円以下(一定の場合は1,000万円以下) であること
  • ④贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与を受けたお金で、住宅用の家屋を取得や増改築などをすること
  • ⑤配偶者や親族からの住宅の取得などでないこと
  • ⑥資金の贈与を受けたときに日本に住所があること
  • ⑦平成21年分~26年分までの贈与税の申告において「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと(一定の場合を除く)。

令和3年度の改正点とは

令和3年度の住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度の見直しは、新型コロナウイルス感染症の影響で、先行きの不透明感を少しでも抑えるために、非課税措置が拡充されたものとなっています。令和3年度の主な改正点は次の2点です。

 

・非課税限度額の拡大
令和3年12月31日まで、次の非課税限度額が拡大されます。

住宅の種類 非課税限度額
省エネ・耐震・バリアフリー住宅 1,500万円
一般住宅 1,000万円

※消費税10%が適用される住宅

 

・住宅用家屋の床面積要件の緩和
住宅用家屋の床面積要件が一部、次のように緩和されます。

  受贈者の合計所得金額 床面積
現行 2,000万円以下 50平方メートル以上240平方メートル以下
改正点(現行に追加) 1,000万円以下の場合に限る 上記に40平方メートル以上50㎡未満が追加され、床面積要件は40平方メートル以上240平方メートル以下となります

 

これらの改正は、令和3年1月1日の贈与から適用されます。

教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度

次に、教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度の見直しについて見ていきましょう。

教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度とは

「教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度」とは、簡単にいうと、30歳未満の人が、父母や祖父母などの直系尊属から教育資金の贈与を一括で受けた場合に、一定の要件のもと1,500万円までの贈与を非課税とするというものです。

 

ただし、教育資金の贈与が直接、受贈者に行われるではなく、金融機関等と一定の契約を結び、贈与された資金を口座に預け入れるなどの必要があります。また、取扱金融機関の営業所等を経由して、教育資金非課税申告書を税務署に提出する必要があります。

 

受贈者が30歳に達したときに贈与された教育資金が残っている場合などでは、一定金額について贈与税の対象となったり、契約期間中に贈与者が死亡した場合には、一定金額について相続税の対象になったりすることがあるので、注意が必要です。

令和3年度の改正点とは

令和3年度の教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度の見直しは、富裕層における過度な節税利用を防止するためのものとなっています。令和3年度の主な改正点は、次の3点です。

 

・適用期限の延長
教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度の適用期限が令和5年3月31日までとなり、2年間延長されました。

 

・信託受益権等についての改正
これまでは、贈与者が死亡する前3年以内の一定の贈与残高のみが相続税の対象となりましたが、令和3年4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等について、「死亡前3年以内」という期限を設けず、すべての期間において残高の一定金額が、相続税の対象となります。

※受贈者が23歳未満または在学中の場合を除く

 

・相続税の2割加算
受贈者が贈与者の子以外(孫等)である場合は、贈与者が死亡時に令和3年4月1日以後に取得した教育資金等に残高がある場合に課される相続税に2割加算がされます。

結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度

税制改正による贈与税の非課税措置の見直しの3つ目が、結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度の見直しです。

結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度とは

「結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度」とは、20歳以上50歳未満の人が、結婚・子育て資金を父母や祖父母などの直系尊属から一括で贈与された場合、一定の要件のもと、最大1,000万円までを非課税とする制度です。

 

ただし、結婚・子育て資金の贈与が直接、受贈者に行われるではなく、金融機関等と一定の契約を結び、贈与された資金を口座に預け入れるなどの必要があります。また、取扱金融機関の営業所等を経由して、結婚・子育て資金非課税申告書を税務署に提出する必要があります。

 

受贈者が50歳に達したときに贈与された結婚・子育て資金が残っている場合などでは、一定金額について贈与税の対象となったり、契約期間中に贈与者が死亡した場合には、一定金額について相続税の対象になったりすることがあるので、注意が必要です。

令和3年度の改正点とは

令和3年度の結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度の見直しは、富裕層における過度な節税利用を防止するためのものとなっています。令和3年度の主な改正点は、次の3点です。

 

・適用期限の延長
結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度の適用期限が、令和5年3月31日までと2年間延長されました。

 

・相続税の2割加算
受贈者が贈与者の孫等の場合は、贈与者が死亡時に取得した結婚・子育て資金等に残高がある場合に課される相続税に2割加算がされます。

 

・受贈者の年齢要件
令和4年4月1日以後の信託等による信託受益権等で、結婚・子育て資金の一括贈与を受ける場合には、受贈者の年齢要件を18歳以上50歳未満とします。

暦年贈与非課税枠廃止の可能性も

令和3年の税制改正では、贈与税の非課税措置の見直しが行われました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響拡大や富裕層における過度な節税利用を防止するための措置です。

 

しかし、それとは別で、これまでの相続税や贈与税の在り方を見直そう(相続税と贈与税を一体化しよう)という議論も行われています。見直しの内容に含まれるのではないかといわれているのが、暦年贈与非課税の廃止や生前贈与加算年数の引き延ばしです。

 

・暦年贈与非課税の廃止
現在、1年間の贈与には110万円の非課税枠があります。つまり、年間110万円までの贈与であれば、贈与税はかかりません。暦年贈与非課税の廃止とは、この110万円の非課税枠をなくそうというものです。

 

・生前贈与加算年数の引き延ばし
財産を所有する人がなくなった場合、現在の制度では、死亡前3年以内に生前贈与したものは、相続財産に含めて相続税を計算することになっていますが、その年数を3年よりも引き延ばそうというものです。

まとめ

令和3年の税制改正では、贈与税の非課税措置の見直しが行われました。見直しがあったのは、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度、教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度、結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度です。

 

また、それとは別に、暦年贈与非課税の廃止や生前贈与加算年数の引き延ばしによって、これまでの相続税や贈与税の在り方を見直そうという議論もあります。もっとも、どちらも今の時点では何か決まっているわけではありません。

 

ただし、今後の税制改正などで何らかの動きがあるかもしれません。相続税や贈与税の改正の動きには、これまで以上に注視しておく必要があるでしょう。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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