雇用調整助成金特例の上限額が22年1月から段階的に引き下げ!変更点などを詳しく解説します | MONEYIZM
 

雇用調整助成金特例の上限額が22年1月から段階的に引き下げ!変更点などを詳しく解説します

厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の影響で売上が減少した事業者を対象とした「雇用調整助成金」の特例措置の上限額を、2022年1月から段階的に引き下げると発表しました。雇用調整助成金の特例制度自体は22年3月までの継続が決まっており、4月以降は雇用情勢を見極めながら助成内容を検討する方針です。なお、労働者が直接申請できる「休業支援金」も同じく、22年から上限が引き下げられます。

21年以降はどう変わる?

上限助成額の減額

新型コロナウイルス感染症の拡大により業績が悪化した事業者が、休業手当を支給して従業員を休ませた場合に、その手当の一部を助成するのが「雇用調整助成金の特例措置」です。コロナ禍の長期化により申請期限は何度か延長されており、直近では2021年11月から12月に延びましたが、このほど22年1月以降の運用について、厚生労働省から発表がありました。
概要は以下の通りです。
①特例の申請は、22年3月まで延長する。
②助成率は以下の通りで、21年までと変わらない(カッコ内の助成率は、解雇等を行わない場合)。
〈中小企業〉

  • 原則的な措置 4/5(9/10)
  • 地域特例、業況特例 4/5(10/10)

〈大企業〉

  • 原則的な措置 2/3(3/4)
  • 地域特例、業況特例 4/5(10/10)

③「原則的な措置」に関しては、中小企業、大企業ともに上限額(現行13,500円)を段階的に減額する。

  • 22年1、2月 11,000円
  • 22年3月 9,000円

④「地域特例」「業況特例」に関しては、中小企業、大企業ともに上限額(現行15,000円)に変動なし。
⑤22年4月以降については、雇用情勢を見極めながら助成内容を検討し、22年2月末までに公表する。

地域特例・業況特例とは?

地域特例は、営業時間の短縮等に協力する事業主が対象です。
 

〈対象となる事業主〉
以下を満たす飲食店や催物(イベントなど)を開催する事業主

  • (1)緊急事態措置の対象区域またはまん延防止等重点措置の対象区域(職業安定局長が定める区域)の都道府県知事による要請等を受けて、
  • (2)緊急事態措置を実施すべき期間またはまん延防止等重点措置を実施すべき期間を通じ、
  • (3)要請等の対象となる施設(要請等対象施設)の全てにおいて、
  • (4)休業、営業時間の変更、収容率・人数上限の制限、入場者の整理等、飲食物提供(利用者による酒類の店内持ち込みを含む)またはカラオケ設備利用の自粛に協力する事業主

 

〈対象となる休業〉
要請等対象施設における、以下の期間を含む判定基礎期間の休業等(短期間休業を含む)
・厚生労働省ホームページに掲載する区域及び期間 雇用調整助成金(新型コロナ特例)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
 

業況特例は、特に業況が厳しい全国の事業主が対象です。
 

〈対象となる事業主〉
AとBそれぞれの月平均値の生産指標(売上高など)を比較し、Aが30%以上減少している事業主

    A:判定基礎期間の初日が属する月から遡って3ヵ月間の生産指標
    B:Aの3ヵ月間の生産指標に対して、前年同期または前々年同期の生産指標

 

(例)21年11月5日から休業を実施(賃金締切日は月末)した場合、Aは21年9月1日から11月30日までで算定。これを20年、ないし19年の同じ3ヵ月と比較する。
 
なお、判定基礎期間の初日が2021年1月1日以降の休業については、生産指標が最近3ヵ月の月平均で前年、前々年または3年前同期比30%以上減少の全国の事業主が、業況特例の対象となる予定。
 
〈対象となる休業>
判定基礎期間の初日が21年12月31日以前の休業等(短時間休業を含む)

休業支援金も上限額は減額

同時に、労働者に個人給付される休業支援金は、以下のような扱いになります。

  1. ①申請は、22年3月まで延長する。
  2. ②助成率8割(中小企業、大企業とも)は変わらない。
  3. ③「原則的な措置」に関しては、中小企業、大企業とも22年1月~3月の上限額(現行9,900円)を8,265円に減額する。
  4. ④「地域特例」(対象は雇用調整助成金と同じ)に関しては、中小企業、大企業とも上限額(現行11,000円)に変動なし。

休業手当などを助成する雇用調整助成金

コロナ禍に対応した特例措置

助成の申請に当たっては、制度の趣旨を正しく理解しておくことも重要です。あらためて概要を見ていきましょう。
 
「雇用調整助成金」とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が「雇用調整(休業)」を行った場合、その間に従業員に支払う休業手当に要した費用の一部を国が助成する制度です。労働者の雇用を維持してもらうために休業手当の一部を国が肩代わりするもので、1975年に創設され、2013年に現在のような形になりました。
 
今回申請が延長された「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例」(特例措置)は、名前の通り新型コロナの拡大に伴う雇用情勢の急速な悪化に対応する措置で、コロナの影響により休業した事業主に対しては支給の中身を拡充し、なおかつ申請を簡素化しています。当然、対象になるのは新型コロナによる休業で、それ以外のものについては、特例の申請はできません。

新設された「休業支援金」

一方、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金(休業支援金)」は、新型コロナの感染拡大を踏まえて新設されました。雇用調整助成金は、あくまでも従業員に対して休業手当を支払った企業が対象です。企業にとっては、後から「補填」されるかたちになります。しかし、実際には感染症の影響で一気に売り上げが落ち込み、休業手当を支払えないようなケースもあるでしょう。従業員は「無給」状態となり、結果的に離職を余儀なくされる可能性が高くなります。
 
そうした事態を防ぐために、従業員(雇用保険の被保険者)に個人給付を行おうというのが、この制度です。申請は事業主経由のほか、従業員個人が行うこともできます。ただしその場合も、支給要件確認書への記入など、事業主のフォローが必要です。

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まとめ

新型コロナに伴う雇用調整助成金の特例措置と休業支援金は、当面21年3月まで申請が可能です(支給額上限は減額)。対象になる場合には、忘れずに申請するようにしましょう。

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